ネタバレになってしまうので、かけませんが、最後があ~やっぱりね。とがっかりしました。
内容すべてがかきこみ不足の感じがのこります。ただ映画にすると、よいかも。
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祖母の手帖 (Shinchosha CREST BOOKS) 単行本 – 2012/11/30
- 本の長さ141ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2012/11/30
- 寸法13.2 x 1.4 x 19.3 cm
- ISBN-104105900986
- ISBN-13978-4105900984
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2012/11/30)
- 発売日 : 2012/11/30
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 141ページ
- ISBN-10 : 4105900986
- ISBN-13 : 978-4105900984
- 寸法 : 13.2 x 1.4 x 19.3 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 530,590位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 185位イタリア文学 (本)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年6月25日に日本でレビュー済み
本書の原題は
Mal di pietre
、「石の痛み」、イタリア型サナトリウム文学の一様式。
この小説の中心は語り手の「わたし」を借りて展開される、父方の「祖母」と「帰還兵」の
療養地におけるロマンスをめぐる「記憶」。
「彼といるとき、祖母は何も恥ずかしいとは思わなかった。結石を出すためにいっしょに
おしっこをすることだって平気だった。生まれてからずっと、月の国の人間のようだと
言われてきて、ようやく同じ国の人間に出会えたような気がしたし、彼こそ今まで求め
つづけていた、人生で一番大切なものだったように思えた」。
子どもを授かるもその度に「石の痛み」に苛まれ流産を繰り返した「祖母」、その彼女は
ただ一度、例の温泉療養の9ヶ月後、「わたし」の父を産み落とす。
「愛は、ベッドをともにしても、優しくしたりよい行いをしたりしても、生まれないときには
決して生まれない。一番大切なものなのに、どんなことをしても呼び寄せることができない」。
夫との間には決して芽生えることなく、そしてそれゆえ自身を呪詛させた「一番大切な
もの」をただひとり、「帰還兵」の中に見出す、そして彼女は「手帖」に綴る。
「どの家族にも、秩序と無秩序のつり合いが守られて世界が止まってしまわないように、
犠牲になってくれる人が必ず一人いるのだ」。
生まれつきの「月の国の人間」、「祖母」は己をそう見做し、周囲も彼女を「魔女」と
罵る。しかし事実はその「一人」を担うことになったのがたまたま彼女だっただけのこと、
なのかもしれない。
「わたし」のもうひとりの母方の祖母、リア夫人。一見、「祖母」とはまるで対照的、
「運の悪いことに、ほんとうの人生というものを経験してしまっていた」人、ただし
そんな彼女とて「一番大切なもの」を知るもののひとり、なのかもしれない。
以下、プチネタバレ。
読みつつ薄々気づいてはいたが、基本的なテーマ軸はシーシキン『 手紙 』に果てしなく
等しく、そしてクオリティにおいてはあいにくそちらに劣る。
長所もないではない。
伴侶でありながらも、決して分かち合えぬ、分かり合えぬ「祖父」と「祖母」、同じ風景を
見ているはずなのにまるで違って見えてしまう、そんな寄り添い得ぬ亀裂の深淵を紡ぎ出す
描写にかけてはなかなかに良質、それゆえ生じる自責も切なくて、痛い。
悪い小説だとは思わない、ただしベタで陳腐、今更感は否めない。
この小説の中心は語り手の「わたし」を借りて展開される、父方の「祖母」と「帰還兵」の
療養地におけるロマンスをめぐる「記憶」。
「彼といるとき、祖母は何も恥ずかしいとは思わなかった。結石を出すためにいっしょに
おしっこをすることだって平気だった。生まれてからずっと、月の国の人間のようだと
言われてきて、ようやく同じ国の人間に出会えたような気がしたし、彼こそ今まで求め
つづけていた、人生で一番大切なものだったように思えた」。
子どもを授かるもその度に「石の痛み」に苛まれ流産を繰り返した「祖母」、その彼女は
ただ一度、例の温泉療養の9ヶ月後、「わたし」の父を産み落とす。
「愛は、ベッドをともにしても、優しくしたりよい行いをしたりしても、生まれないときには
決して生まれない。一番大切なものなのに、どんなことをしても呼び寄せることができない」。
夫との間には決して芽生えることなく、そしてそれゆえ自身を呪詛させた「一番大切な
もの」をただひとり、「帰還兵」の中に見出す、そして彼女は「手帖」に綴る。
「どの家族にも、秩序と無秩序のつり合いが守られて世界が止まってしまわないように、
犠牲になってくれる人が必ず一人いるのだ」。
生まれつきの「月の国の人間」、「祖母」は己をそう見做し、周囲も彼女を「魔女」と
罵る。しかし事実はその「一人」を担うことになったのがたまたま彼女だっただけのこと、
なのかもしれない。
「わたし」のもうひとりの母方の祖母、リア夫人。一見、「祖母」とはまるで対照的、
「運の悪いことに、ほんとうの人生というものを経験してしまっていた」人、ただし
そんな彼女とて「一番大切なもの」を知るもののひとり、なのかもしれない。
以下、プチネタバレ。
読みつつ薄々気づいてはいたが、基本的なテーマ軸はシーシキン『 手紙 』に果てしなく
等しく、そしてクオリティにおいてはあいにくそちらに劣る。
長所もないではない。
伴侶でありながらも、決して分かち合えぬ、分かり合えぬ「祖父」と「祖母」、同じ風景を
見ているはずなのにまるで違って見えてしまう、そんな寄り添い得ぬ亀裂の深淵を紡ぎ出す
描写にかけてはなかなかに良質、それゆえ生じる自責も切なくて、痛い。
悪い小説だとは思わない、ただしベタで陳腐、今更感は否めない。
2017年12月5日に日本でレビュー済み
原題は「石の痛み」で、今年公開された映画の邦題は「愛を綴る女」です。
「祖母の手帖」と言うこの本の日本語訳の題名と合わせると、この本のキー・ワードはすべて出ていて、この小説の本質を良く表しています。
話は、主人公祖母の人生を可愛がられた孫が語り手として、聞いたことや「手帖」を元に語ってゆくというものです。
時代は、終戦前後のイタリアのサルデーニャ島とミラノが舞台です。
読んでいて、日本もイタリアも状況は非常に酷似していたんだなと言うことを強く感じました。
「疎開」「帰還兵」と言う言葉が、この小説の大きな要素になっていることからも窺えます。
情景描写でも、その貧困ぶりが描かれており、戦中・戦後の暮らしぶりが解ります。
物語の中心は、映画のタイトルにもなっている様に、祖母の愛の物語です。
それを綴ったのが「祖母の手帖」です。
子どもの頃から「夢見る乙女」だった祖母は、現実離れした行動で気違い扱いされて婚期も遅れています。
そこに「疎開」してきた男性が現れ、形だけの結婚をしますが、ベッドでも両サイドに離れて眠り、夫を売春宿に通わせます。
しかし、タバコを買う金が大変ということで、売春婦がすることを祖母は教えてもらってする様になります。
そんな中、祖母は結石に悩みミラノに療養に出かけます。
そこで「帰還兵」との運命的な出会いをします。
そこから、「帰還兵」への想いと家族との生活に揺れ動く祖母の「愛」の気持ちと、周りの家族の気持ちが描かれてゆきます。
その中で、療養から帰って生まれた父の出生の謎が残ります。
最後の章で、すべてを考え直させる「帰還兵」からの手紙が、壁の中から発見されます。
このどんでん返しが気持ちの良く、楽しく読み終えられました。
同時に、「愛」と「夫婦」を含めた「家族」の問題は、永遠のテーマの様な気がします。
「祖母の手帖」と言うこの本の日本語訳の題名と合わせると、この本のキー・ワードはすべて出ていて、この小説の本質を良く表しています。
話は、主人公祖母の人生を可愛がられた孫が語り手として、聞いたことや「手帖」を元に語ってゆくというものです。
時代は、終戦前後のイタリアのサルデーニャ島とミラノが舞台です。
読んでいて、日本もイタリアも状況は非常に酷似していたんだなと言うことを強く感じました。
「疎開」「帰還兵」と言う言葉が、この小説の大きな要素になっていることからも窺えます。
情景描写でも、その貧困ぶりが描かれており、戦中・戦後の暮らしぶりが解ります。
物語の中心は、映画のタイトルにもなっている様に、祖母の愛の物語です。
それを綴ったのが「祖母の手帖」です。
子どもの頃から「夢見る乙女」だった祖母は、現実離れした行動で気違い扱いされて婚期も遅れています。
そこに「疎開」してきた男性が現れ、形だけの結婚をしますが、ベッドでも両サイドに離れて眠り、夫を売春宿に通わせます。
しかし、タバコを買う金が大変ということで、売春婦がすることを祖母は教えてもらってする様になります。
そんな中、祖母は結石に悩みミラノに療養に出かけます。
そこで「帰還兵」との運命的な出会いをします。
そこから、「帰還兵」への想いと家族との生活に揺れ動く祖母の「愛」の気持ちと、周りの家族の気持ちが描かれてゆきます。
その中で、療養から帰って生まれた父の出生の謎が残ります。
最後の章で、すべてを考え直させる「帰還兵」からの手紙が、壁の中から発見されます。
このどんでん返しが気持ちの良く、楽しく読み終えられました。
同時に、「愛」と「夫婦」を含めた「家族」の問題は、永遠のテーマの様な気がします。
2013年2月25日に日本でレビュー済み
読書と旅行が趣味の、40代女です。イタリアが大好きで何度も旅行に行ってます。日本ではイタリアが大人気なのに、どうして最近のイタリア小説は紹介されないのでしょうか?イタリア人の友人にいわせると、あちらでは日本の小説がけっこう翻訳されていて、吉本ばななさんの作品は若い人はみんな読んでるっていうし、あと小川洋子さんも人気とか。でこのたび偶然見つけたこの女流作家の本、もうワクワクして読んじゃいました!期待にたがわず面白い・・最初の出だしだけ読むと、暗い小説なのかな〜と思いましたが、読んでいくうちにけっこう笑えるというかイタリア人の持つユーモアのセンスに感心しました。そして短い割にはけっこう奥が深く、タイトルの「祖母」は一人ではなく、もう一人の祖母の人生にも焦点をあてています。いわば「私のルーツ探し」。最後の意外な結末には・・泣きました。というより泣き笑いです。翻訳もとても素晴らしい。イタリアが好きな人にもそうでない人にもお勧めです。