喜劇的想像力で戦争を描いた自伝的な名作。『楡家の人々』『キャッチ=22』やヴォネガットの作品等の反響を感じる。また、戦前の日本に大量にあふれていた、アメリカ文化の影響の大きさについても描く。
作中に、アメリカ人が書いていた「第二次世界大戦に日本が勝った」小説が、入れ子構造で挿入されているのは、フィリップ・K・ディックの『高い城の男」の影響。小林信彦の小説には、ディックの影響をうけた作品がかなりあります。また、この本の執筆前に、「日米架空戦記」について、また、古典SF研究家の横田順彌に問合わせをしていた。
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ぼくたちの好きな戦争 単行本 – 1986/5/1
小林 信彦
(著)
- 本の長さ371ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1986/5/1
- ISBN-104106006464
- ISBN-13978-4106006463
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (1986/5/1)
- 発売日 : 1986/5/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 371ページ
- ISBN-10 : 4106006464
- ISBN-13 : 978-4106006463
- Amazon 売れ筋ランキング: - 309,028位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 7,511位日本文学
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2021年12月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2023年8月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
出て来るギャグ(タケちゃんマンとか)も、後しばらくして、私の世代がいなくなったら、、新注(!)が無いと通じなくなるだろう。同時代的なところで受けた作品の、宿命か。
2021年8月30日に日本でレビュー済み
小林信彦の小説世界。その二面性(シリアスと戯画・ブンガクとファルス)が混じり合い、からみ合った複雑な作品。疎開、空襲、玉砕など大東亜戦争の悲惨な状況と老菓子舗の人間模様(作者自身も誠少年に投影され、戦後を生きることになる誠の思いに物語は収束する)。その間に挟まるのが、日米が入れ替わった皮肉な戦後状況を描き出す“フラナガン”的世界。何度か読み返すことが必要な“純文学”作品だ。最初の単行本刊行時に、ケースの箱に「純文学書下ろし特別作品」と書いてあるのは、洒落でもあり、かつ真率(マジ)でもあったのだ。
という訳で、本作は小林信彦の集大成的作品。「冬の神話」「みずすましの街」「ビートルズの優しい夜」などマジメな作品のファン。「オヨヨ大統領シリーズ」「唐獅子株式会社シリーズ」「悪魔の下回り」「ちはやふる奥の細道」など哄笑を誘う作品のファン。この両者が、楽しめる一作だ。
という訳で、本作は小林信彦の集大成的作品。「冬の神話」「みずすましの街」「ビートルズの優しい夜」などマジメな作品のファン。「オヨヨ大統領シリーズ」「唐獅子株式会社シリーズ」「悪魔の下回り」「ちはやふる奥の細道」など哄笑を誘う作品のファン。この両者が、楽しめる一作だ。
2010年5月10日に日本でレビュー済み
小林信彦先生の戦争文学です。この作品のような視点の戦争小説が他にあるでしょうか?
ありませんね。
ノーマン・メイラーの『裸者と死者』、ジョーゼフ・へラーの『キャッチ22』、ジェームズ・ジョーンズの『地上より永遠に』
を越えた戦争文学、ポリティカル・フィクションの大傑作です。
ありませんね。
ノーマン・メイラーの『裸者と死者』、ジョーゼフ・へラーの『キャッチ22』、ジェームズ・ジョーンズの『地上より永遠に』
を越えた戦争文学、ポリティカル・フィクションの大傑作です。
2021年7月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
小林さんらしい毒の聞いた戦争ものです。フルメタルジャケットレベルとは正直言いませんが、小林さん好きなら安心して購入されて問題ないです!
2022年2月24日に日本でレビュー済み
プロローグの玉砕を前にした兵士たちの辞世の句が百人一首のパロディでいきなり鷲掴みされた。
これはただ事ではない…! と勇躍読み進めていった。
1940年、東京にまだ奇妙に残っていたアメリカ文化の風俗の残滓が描かれ、ええっ・・・昭和15年(皇紀2600年)にまだこんなにグルーチョ・マルクスのパロディなんかやっていたんですか、と仰天し、戦前風俗を丁寧に描いていく…と思ったら、その先がときどき物語は中途半端に分断されるので腰砕けになる。
初戦、日本が勝利を重ねていた一瞬の高揚は「これが新秩序なの?」といささか呆れさせつつも奇妙な活気を感じるが、主人公・誠少年の感じる1944(昭和19)以後の傾きゆく東京の姿と、アメリカ軍のもとラジオのシナリオライターが太平洋戦争の進行中に書き進める「日独が勝利した未来」の小説が差しはさまれたり(1980年代の純文学では衝撃的と思うが、2020年代になると、残念なことにこの手のシミュレーション小説、ポリティカル小説、イフのパラレルワールドはすっかり相対化されてしまい、衝撃力は感じなかった)するのは、いまいち全体のトーンを殺ぐ。
著者のスタイリッシュさが、凄惨であれ、コメディであれ、極北までつきぬけるのを妨げている。でも、それは無闇に凄惨な事実をふりかざすことを潔しとしない著者の美学かもしれない。
けれども、少し迫力を損ねており、非現実への飛翔は残念ながら感じなかった。
後半、ベルガウル島で主人公が直面する戦闘のあとの投降は、アメリカ文化に憧れる日本人の姿をありありと表現していて、この7章は喜劇と悲劇とユーモアが混然となり、全編の白眉だった。
ラストは再び弛緩したような烈日のなかで敗戦がさらりと描かれ、主人公・秋間一族は生命力の旺盛さで戦後もなんとか生きのびていけそうだ、という見通しがついたことで読者・私はほっと一息ついた。
が、もちろん設計され、計算された上の事でだが、時代も悲劇も喜劇も断片を提示され、それが主軸となって一つの物語となるのではないために、いま一つ突き抜けた異次元に運ばれる昇華の感覚は(7章を除いて)筆者は得ることはなかった。その意味では、特異な感性と独自の視点で「大東亜戦争」を書いたことは評価される所と思うが、超一級の作品とまで感じることはできなかった。
上から目線で失礼しますが、笑いで戦争を描くのであれば、もっと徹底的に悲劇もファルスもつきつめてしまえば世紀の大傑作になったのたのではないかと思ったので痛恨の思いでマイナス1つ★にします。
(2022年2月24日、偶然、ロシアがウクライナに侵攻した時に読んだので、21世紀の戦争がインターネットとともにあることを感じつつ、比較しながら読むという稀有の読後感とともに。草の根レベルで世界の「いずこも同じ庶民」を見ているせいか、「好きな」とまでは感じませんでしたわ…チェルノブイリのロシア軍占拠は20世紀でしたら、けっこうシンボリックな意味があったり、衝撃を与えたかもとは思うのですが、21世紀ですと「廃炉占拠してどないするの」みたいな感じはありました。これはインターネットで人類全体が変えられた所だと思い、進歩した所もあるのかなと…思いたいのですが…ですが文学者ならこの21世紀からも「笑い」は抽出できるんでしょうね)
これはただ事ではない…! と勇躍読み進めていった。
1940年、東京にまだ奇妙に残っていたアメリカ文化の風俗の残滓が描かれ、ええっ・・・昭和15年(皇紀2600年)にまだこんなにグルーチョ・マルクスのパロディなんかやっていたんですか、と仰天し、戦前風俗を丁寧に描いていく…と思ったら、その先がときどき物語は中途半端に分断されるので腰砕けになる。
初戦、日本が勝利を重ねていた一瞬の高揚は「これが新秩序なの?」といささか呆れさせつつも奇妙な活気を感じるが、主人公・誠少年の感じる1944(昭和19)以後の傾きゆく東京の姿と、アメリカ軍のもとラジオのシナリオライターが太平洋戦争の進行中に書き進める「日独が勝利した未来」の小説が差しはさまれたり(1980年代の純文学では衝撃的と思うが、2020年代になると、残念なことにこの手のシミュレーション小説、ポリティカル小説、イフのパラレルワールドはすっかり相対化されてしまい、衝撃力は感じなかった)するのは、いまいち全体のトーンを殺ぐ。
著者のスタイリッシュさが、凄惨であれ、コメディであれ、極北までつきぬけるのを妨げている。でも、それは無闇に凄惨な事実をふりかざすことを潔しとしない著者の美学かもしれない。
けれども、少し迫力を損ねており、非現実への飛翔は残念ながら感じなかった。
後半、ベルガウル島で主人公が直面する戦闘のあとの投降は、アメリカ文化に憧れる日本人の姿をありありと表現していて、この7章は喜劇と悲劇とユーモアが混然となり、全編の白眉だった。
ラストは再び弛緩したような烈日のなかで敗戦がさらりと描かれ、主人公・秋間一族は生命力の旺盛さで戦後もなんとか生きのびていけそうだ、という見通しがついたことで読者・私はほっと一息ついた。
が、もちろん設計され、計算された上の事でだが、時代も悲劇も喜劇も断片を提示され、それが主軸となって一つの物語となるのではないために、いま一つ突き抜けた異次元に運ばれる昇華の感覚は(7章を除いて)筆者は得ることはなかった。その意味では、特異な感性と独自の視点で「大東亜戦争」を書いたことは評価される所と思うが、超一級の作品とまで感じることはできなかった。
上から目線で失礼しますが、笑いで戦争を描くのであれば、もっと徹底的に悲劇もファルスもつきつめてしまえば世紀の大傑作になったのたのではないかと思ったので痛恨の思いでマイナス1つ★にします。
(2022年2月24日、偶然、ロシアがウクライナに侵攻した時に読んだので、21世紀の戦争がインターネットとともにあることを感じつつ、比較しながら読むという稀有の読後感とともに。草の根レベルで世界の「いずこも同じ庶民」を見ているせいか、「好きな」とまでは感じませんでしたわ…チェルノブイリのロシア軍占拠は20世紀でしたら、けっこうシンボリックな意味があったり、衝撃を与えたかもとは思うのですが、21世紀ですと「廃炉占拠してどないするの」みたいな感じはありました。これはインターネットで人類全体が変えられた所だと思い、進歩した所もあるのかなと…思いたいのですが…ですが文学者ならこの21世紀からも「笑い」は抽出できるんでしょうね)