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中東 危機の震源を読む (新潮選書) 単行本(ソフトカバー) – 2009/7/24

4.2 5つ星のうち4.2 15個の評価

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イスラーム問題を理解したければ、池内恵を読め!


中東・イスラームはなぜ「西洋近代」に挑戦するのか?

「イスラーム思想」と「国際関係論」の両面から、
中東危機の行方を洞察した「情勢分析」の金字塔!

(目次より)
・アメリカ憎悪を肥大させたムスリム思想家の原体験
・イラク史に塗り込められたテロと略奪の政治文化
・「取り残された若者たち」をフランスはどう扱うのか
・風刺画問題が炙り出した西欧とイスラームの対立軸
・安倍首相中東歴訪で考える「日本の活路」
・中東に歩み寄るオバマを待つ困難な決断

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【新潮選書】池内恵 作品 イスラームと西洋近代の衝突は避けられるか。「中東問題」の深層を構造的に解き明かし、イスラーム世界と中東政治の行方を見通すための必読書。 一世紀前、英・仏がひそかに協定を結び砂漠に無理やり引いた国境線が、中東の大混乱を招いたと言う。だが、その理解には大きな間違いが含まれている! いつからか中東は、イスラーム2大宗派の対立構図で語られるようになった。その対立が全ての問題の根源なのか。歴史と現実から導き出す、より深い考察。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 新潮社 (2009/7/24)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2009/7/24
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本(ソフトカバー) ‏ : ‎ 367ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4106036436
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4106036439
  • 寸法 ‏ : ‎ 13 x 2.4 x 19.3 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.2 5つ星のうち4.2 15個の評価

著者について

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池内 恵
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池内恵(いけうちさとし)

1973年、東京生まれ。1996年、東京大学文学部イスラム学科卒業。東京大学大学院総合文化研究科博士課程を経て、2001年4月よりアジア経済研究所研究員。イスラーム政治思想史、中東地域研究が専門。共著に『民族主義とイスラーム』――アジア経済研究所、『非・西欧の視座』――大明堂――など。

カスタマーレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

  • 2023年12月23日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    池内先生のご本は、どの本も読みやすい。
    中東という流動的でマニュアル化しにくい世界を、なるべく分かりやすいように‥しかし固定観念を植え付けるようなこともなく。オススメ
    1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2014年9月6日に日本でレビュー済み
    2005~2009年(ブッシュ~オバマ時代)の雑誌「フォーサイト」に月一回掲載した記事を纏めたもの。私は先に難解だが堅固な論文と柔らか目の新聞掲載時評から構成された「イスラーム世界の論じ方」(秀逸)を読んだのだが、本書はそれとはやや趣旨が異なり、中東情勢の<定時観測>及び多地点<定点観測>を意図した由。また、イスラーム教政治理念の中東の枠を越えたグローバルな影響の分析も意図した由。私は上述の「イスラーム世界の論じ方」中で(明言されてはいないものの)「アラブの春」をある程度予見していた事に驚いたのだが、本書においては、特に、現在の「イスラム国」に繋がる動向・分析に着目した。

    すると冒頭から出るわ出るわ。「レバノン(アラブ人"キリスト"教徒国とは私は知らなかった)からシリアとイラクを横断しイランに至る"シーア派の弧"」、シリアの「大シリア主義」、マーリキー政権(シーア派)に対するスンナ派の不満・反発、シーア派とスンナ派との内戦の可能性(人民同士の内戦には否定的)、イラクの生命線である石油とガス(クルド人関連)等、現在の「イスラム国」に繋がる話題が目白押しである。また、ロンドンの同時爆破テロがイギリスの<多文化主義>を揺るがすという記事も面白い。その際、イギリスの最大ムスリム・メディア(上述の書といい、著者はムスリム・メディアを良く注視している)が、「全てのムスリムにとって戦争は義務である。イスラーム国家を創設し、イスラーム教とイスラーム法を全世界で確立しなければならない」と主張した由。「イスラム国」の思想的背景が窺えると共に、何故、「イスラム国」のメンバの中にイギリス人(国籍)が含まれるのか ? という個人的疑問に対する回答が自然と浮かび上がった。更に、イスラーム主義の国際テロリズムが、「指導部も指揮命令系統も一貫せず、共通の理念や感情に自発的に各地で結集し、ネットワークで共鳴して行く運動」となるいう言説も興味を惹く。

    ここでは触れなかったが、勿論、イスラエル・パレスチナ和平問題とそれに関するアメリカの姿勢(影響力)の変化を含む中東の諸問題にも言及している。この中では、北朝鮮によるシリアへの核施設提供とそれに伴うイスラエルによるシリアへの攻撃が目を惹いた。「イスラーム世界の論じ方」と併せて中東の"今と未来"を知るための良書だと思った。
    10人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2009年8月21日に日本でレビュー済み
    本書は、中東政治を専門とし

    現在は、東京大学准教授である著者が

    現代中東政治について論じた著作です。

    主要な新聞、テレビニュースのほか

    学術誌や学会での発表、個人的な体験をもとに

    近年のの中東・イスラムの主要なトピックスについて

    評価・分析を加えます。

    取り上げられるのは

    イラン、イラクはもちろん

    イスラムへの対応にゆれるヨーロッパ諸国

    ソマリア、東南アジア、そして中国など

    日本のニュースでも取り上げられる話題なので、

    特に予備知識がなくても、読みにくさは感じません。

    また、わかりにくい国際法や政治学などの用語もほとんど登場せず

    具体的なエピソード中心に論じられることが、読みやすさを増します。

    欧米における多文化主義・寛容と価値観の闘争

    アフマディネジャドの挑発的な言説の真意

    欧米とイスラムに対する、日本ならではの戦略

    など、どの記述も興味深かったのですが、

    著者がモスクを訪れた際に肌で感じた空気を皮切りに、

    フィリピンの現政権とイスラム社会の緊張を論じた箇所や

    ゲーツ国防長官の『ミネルヴァ・コンソーシア』を取り上げた箇所は

    とりわけ印象深く、より深く知りたいと感じました。

    書かれた順に従って読むのもよいでしょうが

    個人的には、何気なく開いたページをパラパラと読む方が

    いっそう長く、深く付き合えるように思います。

    幅広いトピックスを論じながらも

    統一的な評価・分析を知ることができる本書。

    アルジャジーラ等をチェックしている方はもちろん、

    国際問題等に関心がある方には、強くおススメしたい著作です☆☆
    17人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2016年3月8日に日本でレビュー済み
    中東情勢をテーマに,大体10ページくらいの長さで完結した記事を章として,
    寄せ集めたものです.
    専門用語ばかりで,日頃中東情勢に興味があってウォッチしている人ではないと,すらすらと読むことは難しいと思います.
    といっても,実際に読んでみると,著者なりに分かりやすく説明しようと考えながら書かれたことが分かります.
    著者の体験談をベースに書かれた章があったりと,著者の博識さが垣間見えます.
    2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2015年5月29日に日本でレビュー済み
    非常に優れた書籍だと感じます
    中東やイスラームについての本は多数存在していますが
    他の書籍よりも一歩も二歩も踏み込んでいます
    そして文章が非常に丁寧です
    少しでも読者に理解をしてもらおうという気持ちもあると思いますが、
    それ以上に、
    読者に筆者の伝えたい事と
    違う内容で理解してもらっては困るのだ、という意思が感じられます

    分かりやすいという意味では池上彰さんの本は非常に分かりやすい本ですが
    分かりやすくする為にある一定部分を省略して伝えている面も否めません

    この本はそういった手段を取ることなく分かりやすく記載されています
    また、他の本にはない内容がふんだんに盛り込まれていますので
    値段分以上の価値があると思います
    8人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2019年11月12日に日本でレビュー済み
    なぜアラブ問題においては、イスラム思想史研究家が大手をふるって中東情勢をしたり顔で語るのか。カント哲学の専門家にドイツのネオナチ問題を語らせますかね。儒教研究の専門家にポスト習近平の行方を語らせますかね。アラビア語を理解できる専門家の不足が招いたことなのでしょうか。意味不明です。
    20人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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  • 2009年9月27日に日本でレビュー済み
    いわゆる中東地域における政治をマクロな視点で「楽しむ」ためなら、それほど悪くない思う。

    しかし、本書は著者が雑誌『フォーサイト』に寄稿したコラム等をまとめて掲載したものであり、決して全体で体系を成してはいないことに注意したい。

    さらに、余りにも鳥瞰的すぎる分析(むしろ「観察」と言うべき?)が目立つため、中東地域内の各国・地域における詳細な政治情勢や各テーマ・パラダイムを綿密に踏まえ分析しているとは言い難い。

    専門書・学術書というよりは、中東政治に興味を持つきっかけづくりに向いている「読み物」と呼ぶほうが適切だろう。

    個々の国・地域やテーマを知るには、この本だけでは不十分である。
    21人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2015年1月13日に日本でレビュー済み
    非常に博識でキレがあり、イスラム研究者としての(意識的な)独自性もある池内氏の比較的新しい著書であり、なかなか分厚く内容が豊かでありわりには安価でありコストパフォーマンスも高い。間違いなく必読であろう、と言いたいところだが幾つか注意点もある。本書はかなり短い時事論集であり、数年間様々な場所で発表してきた論稿をかき集めてまとめた本である。悪く言えばそれ「だけ」の本という見方もできないわけではない。

    このような本は性質上、幾つかの長所と短所を含まざるを得ないだろう。長所はまず当たり前の事だが、時事論であるので時事論が目当ての読者にはこれ以上に美味しい内容はない。本書には数年間で起きたイスラム圏の代表的な事件を片っ端から扱っており、一流の専門家の手短な意見に触れる事ができる。イスラム圏の事件を考えたり論じたりする基礎的能力が本書を通読するだけでかなり自然と身に付く事は必至であろう。またそれぞれの文章が、完全に独立しているため、いつどこから読んでも良いというのも読者によっては気楽な利点になるだろう。非常に分厚いのだが一から最後まで、一気に通読する必要はない。また大半の文章は短いため直ぐに読んでしまう事ができるという利点もある。

    だがこれらの長所は短所と一体だ。本書は時事論の寄せ集めであり、改めて書かれた書下ろしや総括の類は殆ど全く含まれていないし、著者が本来は政治思想の専門家であるにも関わらず思想色は驚くほど薄く、抽象論や本質論には殆ど手を出していない。(かつての著書にはそういうものも見られたのだが、本書ではかなり時事論家に徹しているように見える。)それが嬉しい人もいるだろうが、抽象論や本質論が好きな人にとっては、細かいごちゃごちゃした特殊な時事解説が延々と続くばかりで、「こんな細かい知識よりもまず、抽象的な問題の本質についての見解が欲しいんだ!」という不満が生じてもおかしくはない。短い論稿の中では出来事の解説と初歩的な問題提起が精一杯で、提起した問題についての著者の考察は殆どないという物も決して少なくない。著者には明らかにそういうものを書く事が可能なはずなのだが、本書では殆どそれをしていない。新聞などに公開している論稿をそのまま掲載しているから、という事情があるのだろうか。(新聞にあまりに本格的な思想論を書いても場違いになる可能性があるのかもしれない。)何にしても、本書は使い道を誤ってはいけない本だ。期待するものが的外れであれば、本書自体が的外れな本に見えてしまうだろう。また本書は性質上、比較的新しい本であるという点に実質的にはそれほど意味がない。大部分の内容はかなり過去の事についてのかなり過去の文章であり、現在の立場から振り返るといったものではないのだ。だから最新の著者の見解だけに関心があるという人にも本書は不向きだ。

    以上を踏まえた上で、あえて言えば本書は明らかに良い本ではあるし、大変参考にもなるものの、この種の問題の初心者や初歩的関心しか持たない人、持つ気がない人にはかなり不向きな本と言う事もできてしまうだろう。不謹慎に聞こえるかもしれないが誤解を恐れずに言えば、本書のあまりに具体的で細かな時事論の数々は「今から」「素人が」読むと、どうしても「マニアック」と感じてしまうような部分がある。勿論それらが普遍的な重要性を持ち得る事は分かっているのだが、しかし世の中の素人、多少は関心を持つ程度の一般人は本書で扱われているような数年前の細かな時事的出来事をいつまでも記憶して、いつまでもそれについて考えたりはしないし、できないだろう。それは荷が重い事だ。著者自身ですら後書きで本書のような本をまとめると、自分の記憶力の限界を思い知らされたと書いている。それは当然の事であろう。恥じる必要はない。恐らく多少はイスラム圏の問題にも関心を持つという程度の一般的な素人は、本書ほどディープでマニアックな時事論をいつまでも読みたい、という風には思わないのではないか。彼らが望むのも、そして彼らに実際に必要なのも、これらの膨大な具体的出来事の数々から抽象的に抜き出す事のできる理論的見解や普遍的真理や、射程の長い有効な対策案、背景的思想の方なのではないだろうか。思想研究者であり、他ならぬ処女作が「アラブの政治思想」という日本でも非常に稀有だった貴重な仕事を意識的に担った野心作であった著者はこんな事は勿論分かりすぎるほどに分かっているだろう。それでもあえて、本書のような徹底的な豊かな時事論を出版したのだから、それは本書の目的や役割、使い道の問題であり、あまり文句を垂れるのは的外れである。しかしそれでも恐らく、私も含めて多くの読者が、より本質論的な著者による最新のアラブ政治論を待望しているはずである。
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