本書は、知恵を持ち集団で行動する時代の人類(20万年前ぐらい)から現代にいたるまでの歴史を、人口という観点から眺める一冊である。
グローバル・ヒストリー系の本で人口に着目したものはわりとあるが、本書はその中でも読みやすい部類に入ると思う。
まず道具使用やヒトの社会性について触れられる。
性分業などのベーシックな話題から、核家族が普遍的にみられること(これは一夫多妻社会でも)、狩猟採集民の方が農耕民よりも飢餓等の危機に強いなど触れられる。
次いで出アフリカと人類の拡散に進み、ウォーレス線(ニューギニアのあたりでユーラシア大陸とニューギニア・オーストラリア大陸が切れており、他は当時つながっていた)による大きな差異、クローヴィス石器とアメリカ大陸到達問題、大型野生動物絶滅などが触れられる。
オーストラリアの人が自らサバンナに火を放って、狩猟対象となる動物が増えやすくする環境を作っていたというのはなかなか興味深い。
続けて農耕の話である。
農耕は「農業革命」などと一瞬で起きたかのように思われるが、実際には数千年ほどかけてゆっくり進んだらしい。
農耕起源は複数あり、西アジアのムギ(野生採集から栽培化には3000年ほどかかったとか)、中国の水田稲作東南アジアの根菜(ヤムイモ、タロイモなど)、ニューギニアのワーギ渓谷のもう一つの根菜、アメリカ大陸のトウモロコシとジャガイモなどが挙げられている。
人類起源のアフリカ南部は、適切な栽培作物も家畜化対象の動物もおらず、こうした動きは遅かったというのも知ってはいたが改めて興味深い話である。
なお西アジアにおける家畜化も1500年ほどかかったようである。
高地適応した人類は、アンデスとチベットとで異なる方法がとられた(アンデスはヘモグロビン濃度が高く、チベットは血流量が多い)というのも面白い話で、いったん高地適応してしまえば、流産の増加などの弊害もなく、病原ウイルスが少ないなど利点が多いので、時々こういうことが起きるようである。高地文明としては上記以外にエチオピアやマヤが知られており、これらは赤道に近く平坦な台地が広がっているという特徴がある。
一方、乾燥地は放牧させる動物の餌となる植物量で律速されるので、そうそう居住可能にはならなかったし人口は増えなかったようである。
ヨーロッパでは役畜や犂の活用で労働に対する生産性を上げ、同時に三圃式農業(輪作の一種)によって土地の生産性を上げたが、水田稲作はもっぱら土地生産性の改善に特化していたという。
続けて文明の発展、エジプトやメソポタミア(5000年前には人口1万人以上の都市はここにしかなかった)から近代にいたるまでが展開される。
帝国が作られると一旦人口増に転じるが、すぐに農業生産が追い付かなくなり人口の急減を招く(逆に帝国が長くできなかったインドではコンスタントに人口が増え続けた)。人口が増減する人口循環(紀元ゼロ~500年:秦やローマなど)(中世:モンゴル帝国や黒死病)などもある。
現在の1億トン以上生産の主要7穀物(イネ、コムギ、オオムギ、トウモロコシ、キャッサバ、ジャガイモ、サツマイモ)のうち4つがアメリカ大陸原産であり、新大陸発見以降のこうした食物の旧大陸普及は人口増に大きな役割を果たしたという。
シルクロードで一番古いのがカルカッタ経由の西南シルクロード(場合によってはシルクロードに含まれない)といったこぼれ話も楽しい。
最後は人口転換論や人口爆発などの話で締めくくられている。
人口一辺倒ではなく、グローバルヒストリー要素もまみえながらの構成で、なかなか読みやすいと思う。
類書の
人口の世界史
がデータも多くて詳しいが話がやや散りがちで、
10万年の世界経済史
がやや冗長なのと比べると、本書はコンパクトに重要な箇所は押さえてくれていると感じる。
人口転換や少子高齢化などの現代の話を知りたいなら
人口学への招待
を読むといいだろう。
本書は、人口を軸に歴史を大きく眺めさせてくれる良入門書である。
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ヒトはこうして増えてきた (新潮選書) 単行本(ソフトカバー) – 2015/7/24
大塚 柳太郎
(著)
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何が人類をここまで激増させたのか? 20万年前、アフリカで誕生したわれわれは穏やかに増えていくが、つい最近、突然の増加をみた。農耕が始まった約1万年前のわずか500万人が、文明が成立し始めた5500年前には1000万、265年前の産業革命で7億2000万となり、2015年には72億人に。そしてこの先どう推移するのか? 人口という切り口で人類史を眺めた新しいグローバルヒストリー。
- 本の長さ260ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2015/7/24
- ISBN-104106037734
- ISBN-13978-4106037733
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2015/7/24)
- 発売日 : 2015/7/24
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 260ページ
- ISBN-10 : 4106037734
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2016年2月27日に日本でレビュー済み
食糧生産の人口支持力の観点から人類史を概観している。書名から気軽な内容かと思ったが、地学、考古学、文化人類学に加えて、地理や世界史の幅広い知識が必要な人類史である。「アラブの春」も食糧不足がきっかけだった。今後も増加を続ける世界人口を支えるだけの食糧生産が可能なのか、我が国は食糧確保できるのか考えるきっかけになる。
第1章は、約20万年前のホモサピエンスの誕生で、第2章は、約7万年前に「出アフリカ」して全世界への移住(狩猟採集時代)である。
全世界に拡散するプロセスには、最近のDNA解析の成果も採り入れながら、考古学的に述べる。この時期に世界人口は500万人程度に達し、狩猟採集生活による人口支持力の上限に近づいた。
第3章は、約1万2000年前に定住して農耕を開始したころ(先史時代)。
西アジアのムギ農耕、中国南部の水田耕作、東南アジア・ニューギニアの根栽農耕、ペルー(アンデス)のジャガイモ農耕、メキシコ(マヤ)のトウモロコシ農耕など。農耕の開始により、狩猟採集生活時代より人口支持力は増え、人口が緩やかに増加し始めたが、急増したわけでもなかったらしい。本書では古代文明の成立前で1000万人程度かと推定している。
畜力を耕作に利用することで労働生産性は人力の2倍になったが、労働生産性上昇は食糧生産以外に携わる人の生存を可能にしたものの、人口支持力を増やすには土地生産性向上もしくは新たな土地(開墾、フロンティア)が必要だった。
第4章は、古代文明成立(約5500年前)から産業革命前まで。
ここから世界史講義の総まくり、わずか60ページで古代文明から産業革命まで進む。歴史好きでないとついて行くのが大変だが、人口推移をテーマにする以上、大国の盛衰や戦乱など歴史知識は必要だから我慢。
農耕開始から続いていた人口増加が紀元500年頃で一旦終焉する(世界人口2億人)。原因は特定できないが、東西の巨大帝国の崩壊(ローマ、漢)と戦乱のせいではないかとする。次の人口増加は、西欧では鉄製農具や三圃式農法の普及、東アジアではイネの品種改良等で13世紀まで続いたが(世界人口4億人弱)、モンゴル帝国による戦乱やペスト流行で終焉したらしい。
この時期の終わりには、農法や品種の改良で土地生産性も上昇した上、新大陸の再発見により土地そのものの増加、さらに旧大陸にはなかった作物の導入も行われ、産業革命前までに世界人口は7億人超まで増加していた。
第5章は、産業革命以降である。
生活水準が向上し、「多産多死」から「多産少死」そして「少産少死」という、最近の人口論でお馴染みの人口転換がここから始まる。2015年の世界人口は72億人、今後も増加を続け、2060年には100億人を突破する見通しという。
第1章は、約20万年前のホモサピエンスの誕生で、第2章は、約7万年前に「出アフリカ」して全世界への移住(狩猟採集時代)である。
全世界に拡散するプロセスには、最近のDNA解析の成果も採り入れながら、考古学的に述べる。この時期に世界人口は500万人程度に達し、狩猟採集生活による人口支持力の上限に近づいた。
第3章は、約1万2000年前に定住して農耕を開始したころ(先史時代)。
西アジアのムギ農耕、中国南部の水田耕作、東南アジア・ニューギニアの根栽農耕、ペルー(アンデス)のジャガイモ農耕、メキシコ(マヤ)のトウモロコシ農耕など。農耕の開始により、狩猟採集生活時代より人口支持力は増え、人口が緩やかに増加し始めたが、急増したわけでもなかったらしい。本書では古代文明の成立前で1000万人程度かと推定している。
畜力を耕作に利用することで労働生産性は人力の2倍になったが、労働生産性上昇は食糧生産以外に携わる人の生存を可能にしたものの、人口支持力を増やすには土地生産性向上もしくは新たな土地(開墾、フロンティア)が必要だった。
第4章は、古代文明成立(約5500年前)から産業革命前まで。
ここから世界史講義の総まくり、わずか60ページで古代文明から産業革命まで進む。歴史好きでないとついて行くのが大変だが、人口推移をテーマにする以上、大国の盛衰や戦乱など歴史知識は必要だから我慢。
農耕開始から続いていた人口増加が紀元500年頃で一旦終焉する(世界人口2億人)。原因は特定できないが、東西の巨大帝国の崩壊(ローマ、漢)と戦乱のせいではないかとする。次の人口増加は、西欧では鉄製農具や三圃式農法の普及、東アジアではイネの品種改良等で13世紀まで続いたが(世界人口4億人弱)、モンゴル帝国による戦乱やペスト流行で終焉したらしい。
この時期の終わりには、農法や品種の改良で土地生産性も上昇した上、新大陸の再発見により土地そのものの増加、さらに旧大陸にはなかった作物の導入も行われ、産業革命前までに世界人口は7億人超まで増加していた。
第5章は、産業革命以降である。
生活水準が向上し、「多産多死」から「多産少死」そして「少産少死」という、最近の人口論でお馴染みの人口転換がここから始まる。2015年の世界人口は72億人、今後も増加を続け、2060年には100億人を突破する見通しという。
2015年12月26日に日本でレビュー済み
ホモサピエンスが出現してから約20万年間の人口推移をまとめた作品。
人類の移動の歴史や生活様式の変遷などと絡めて解説しているので、非常に面白くわかりやすい。
人口増加の第一歩となったのは、アフリカで誕生した人類の祖先たちが、同じホモ属であるネアンデルタール人たちとの競争に打ち勝ち、生息範囲を広げた事である。もともと狩猟採集民だった祖先たちは、移住を繰り返し肥沃な土地を見つけ定住を始めた事により、さらなる人口の増加に成功した。ちなみに定住生活を始めた、1万2千年前頃の推定世界人口は500万人だったらしい。
狩猟採集しながら移動する生活スタイルから、農耕や牧畜中心の定住生活へとチェンジしたことにより、元々ヒトが備えていた高い出産力が発揮される事となる。世界各地で文明が起こり、人々の間に階層が発生したことによって、人間はより集団化された生物となった。ちなみにその頃、約6000年前の人口はまだまだ1000万人。
文明の発達により人間はさらに行動範囲を広げ、シルクロードによって物や情報の交換が行われるようになるが、その反面、領土を巡り国家間の諍いも頻繁に起こるようになり、人口増加は一時停滞する。しかし、当時は小国だった欧州諸国が大西洋を渡り新大陸を発見したことが、後の産業革命につながり更に人口は増加する。まあ増えたとは言っても、その頃の人口はまだ7億2千万人くらい。
そこからは尋常じゃないペースで増え続け2015年現在の人口は72億人、産業革命の頃からたった200年で65億人も増えてしまったのである。
研究者や国連が推計した地球の人口支持力は120億人、ちなみに今のペースだと2060年には100億人を突破する言われているのだ、我々の孫やその次の世代にツケを残さないよう、環境問題や途上国への支援など、今まで以上に真剣に取り組むタイミングなのではないかと思う。
人類の移動の歴史や生活様式の変遷などと絡めて解説しているので、非常に面白くわかりやすい。
人口増加の第一歩となったのは、アフリカで誕生した人類の祖先たちが、同じホモ属であるネアンデルタール人たちとの競争に打ち勝ち、生息範囲を広げた事である。もともと狩猟採集民だった祖先たちは、移住を繰り返し肥沃な土地を見つけ定住を始めた事により、さらなる人口の増加に成功した。ちなみに定住生活を始めた、1万2千年前頃の推定世界人口は500万人だったらしい。
狩猟採集しながら移動する生活スタイルから、農耕や牧畜中心の定住生活へとチェンジしたことにより、元々ヒトが備えていた高い出産力が発揮される事となる。世界各地で文明が起こり、人々の間に階層が発生したことによって、人間はより集団化された生物となった。ちなみにその頃、約6000年前の人口はまだまだ1000万人。
文明の発達により人間はさらに行動範囲を広げ、シルクロードによって物や情報の交換が行われるようになるが、その反面、領土を巡り国家間の諍いも頻繁に起こるようになり、人口増加は一時停滞する。しかし、当時は小国だった欧州諸国が大西洋を渡り新大陸を発見したことが、後の産業革命につながり更に人口は増加する。まあ増えたとは言っても、その頃の人口はまだ7億2千万人くらい。
そこからは尋常じゃないペースで増え続け2015年現在の人口は72億人、産業革命の頃からたった200年で65億人も増えてしまったのである。
研究者や国連が推計した地球の人口支持力は120億人、ちなみに今のペースだと2060年には100億人を突破する言われているのだ、我々の孫やその次の世代にツケを残さないよう、環境問題や途上国への支援など、今まで以上に真剣に取り組むタイミングなのではないかと思う。
2015年9月10日に日本でレビュー済み
72億という人口を抱えている現代において、そもそも何でこんなに増えたのか?という疑問があるだろう。
だがこの著作を読めば、なぜ72億人なのか?という疑問に変わっていく。
単純な人口史ではなく、「人口」とセットで学ばなければならない世界史もわかりやすく書かれている。
特に「文明の誕生」にもっともページが割かれているので、人口の増減だけを知りたい人にとっては回りくどいかもしれない。
しかし読み進めていくと、当たり前だが世界史とセットでなければ「人口」を語ることは出来ないのだと納得できる。
僕が一番知りたかった産業革命後の人口大爆発についての著述が少ないのが少し残念だったが、そもそも人口とは文明の成した事柄の積み重ねなのだ。
だがこの著作を読めば、なぜ72億人なのか?という疑問に変わっていく。
単純な人口史ではなく、「人口」とセットで学ばなければならない世界史もわかりやすく書かれている。
特に「文明の誕生」にもっともページが割かれているので、人口の増減だけを知りたい人にとっては回りくどいかもしれない。
しかし読み進めていくと、当たり前だが世界史とセットでなければ「人口」を語ることは出来ないのだと納得できる。
僕が一番知りたかった産業革命後の人口大爆発についての著述が少ないのが少し残念だったが、そもそも人口とは文明の成した事柄の積み重ねなのだ。
2016年3月28日に日本でレビュー済み
人類が誕生して間もなくの20万年前の人口は5000人。人類が5大陸に行き渡ったのは5万年前くらいとの事ですので、ほぼ行き渡るのに15万年かかったことになります。日本列島に来たのは、それから少し遅れて3万8千年くらい前だそうです。
当時は、狩猟・採集型の生活パターンで、食べ物が無くなれば他に移住するのですが、新たな土地に移動するのではなく、以前の場所に戻ることも多かったからだそうです。我々の先祖は、3歩進んで2歩下がるを延々と10数万年繰り返していたようです。農耕・牧畜が無い1万2千年前の時点で、世界人口は500~1000万人だそうです。
農業のインパクトは思っていたより小さいです。米作・小麦作が始まると、今度は定住と集住による伝染病が増え人類の行く手を阻みます。結果として、それほど人口は増えず、人類最古のメソポタミア文明が花開く5500年前で1000万人くらいです。その後も、気候変動などの影響もあり、人口の伸びはゆっくりとしたペースで進みます。本格的に増え始めるのは、産業革命前後くらいからです。
翻って、2015年の人口は72億人、日本を始め人口減少が始まっている国もありますが、毎年8千万人くらいのペースで増えています。過去20万年からすると、かなり異常なペースで増えており、人口増による貧困化も進んでいます。本当に、このまま地上の生態系の頂点に立つ生物として増え続けるのでしょうか?
当時は、狩猟・採集型の生活パターンで、食べ物が無くなれば他に移住するのですが、新たな土地に移動するのではなく、以前の場所に戻ることも多かったからだそうです。我々の先祖は、3歩進んで2歩下がるを延々と10数万年繰り返していたようです。農耕・牧畜が無い1万2千年前の時点で、世界人口は500~1000万人だそうです。
農業のインパクトは思っていたより小さいです。米作・小麦作が始まると、今度は定住と集住による伝染病が増え人類の行く手を阻みます。結果として、それほど人口は増えず、人類最古のメソポタミア文明が花開く5500年前で1000万人くらいです。その後も、気候変動などの影響もあり、人口の伸びはゆっくりとしたペースで進みます。本格的に増え始めるのは、産業革命前後くらいからです。
翻って、2015年の人口は72億人、日本を始め人口減少が始まっている国もありますが、毎年8千万人くらいのペースで増えています。過去20万年からすると、かなり異常なペースで増えており、人口増による貧困化も進んでいます。本当に、このまま地上の生態系の頂点に立つ生物として増え続けるのでしょうか?