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中傷と陰謀アメリカ大統領選狂騒史 (新潮新書 87) 新書 – 2004/10/1

3.7 5つ星のうち3.7 9個の評価

どこにでもいそうな凡人が、いかにして「世界一の権力者」に仕立て上げられるのか。鍵を握るのは政策ではなく、選挙参謀の戦略である。誹謗中傷、あら探し、映像トリック等何でもあり。テレビ時代のアメリカ大統領選挙は、メディアを駆使した壮大な足の引っ張り合い、ネガティブ・キャンペーンの歴史だった。アイゼンハワー、ケネディからレーガン、ブッシュ・ジュニアまで、その情けなくも恐ろしい舞台裏とは。
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商品の説明

抜粋

序 章 いかにして凡人が「世界一の権力者」となるのか

 アメリカ大統領に誰が選ばれるかは、今やアメリカ国民にとってだけでなく世界の人々にとっても大きな意味を持っている。イラクやアフガニスタンの人々にとって、次の四年間に自分たちがどうなるかは、このことに大きく左右される。  日本もこれから北朝鮮とどのように向き合っていくかは、新大統領の北朝鮮政策に大きく影響される。主要駅や新幹線のホームから警備員が姿を消すかどうか、ゴミ箱が再び戻ってくるかどうかも、彼の中近東を中心とする外交政策と密接にかかわりがある。  同じことはイラクやアフガニスタンに兵士を送り込んだ国々についてもいえる。送っていない国々でさえ、政治や経済のみならず、社会や文化にまで、影響を受けることになる。今日ほどアメリカ大統領選挙の結果が世界と直結している時代はない。  しかし、これほど重要な人間を選ぶアメリカの大統領選挙には幻滅を禁じ得ない。そして主役である候補者にしても、それほど重要な責務につく人間には見えない。言い方は悪いが、ただの凡人にしか見えないのだ。  カンヌ映画祭で最高の賞であるパルムドールを受賞したマイケル・ムーア監督の『華氏911』に代表されるように、ブッシュ(・ジュニア)大統領は大金持ちの無責任な道楽者と見られ、そのように描かれることが多い。実際にそういう面が強いのだろう。  かといって、民主党のジョン・ケリーにもカリスマ性は感じられない。選挙中の彼の移動手段は、先輩のビル・クリントンのような庶民的なバスではなく、自家用機やヘリコプターだった。ヴェトナムの英雄だというが、話題になるのは彼自身のことというより、テレサ夫人のことだ。トマト・ケチャップで有名なハインツの御曹司で共和党の上院議員だった前夫(飛行機事故で死亡)から巨額の遺産を得たとか、共和党寄りの歯に衣着せぬ発言をするとか、記者に向かって「くそったれ」と毒づくとか、夫人のほうが夫よりはるかに話題性が豊かだからだ。  対立陣営の流すコマーシャルでたたかれたり、マスコミの「中傷ジャーナリズム」の餌食になったりしているときの大統領候補者は凡人以下だ。とくに、州知事時代の不倫を書き立てられたときのクリントン、飲酒運転による逮捕歴を認めたときのブッシュがそうだった。大統領を目指すことさえ間違いではないかと思うほどだ。  だが、凡人以下の彼らは、少しでも他の候補者よりもメディアに露出を多くするためにあらゆることをする。とくに候補者が乱立し団子状態にある予備選挙の段階では、売れないタレントのように、どんなことでもする。あまりの卑屈さに胸が悪くなるほどだ。  また、近年ではネガティヴ・キャンペーンが目立ち、候補者たちは互いに誹謗中傷しあう。品性が疑われる場合も多い。だが、アメリカにはこのようなネガティヴ・キャンペーンを規制するいかなる法律もない。この手段に訴えるのは当人にとっても大きなリスクを伴うからだ。もし、それが度を越えたと有権者に判断されたなら、彼はその選挙だけでなく、自らの政治生命を失う恐れすらある。  ネガティヴ・キャンペーンの打ち合いを制する秘訣は、有権者の注意と関心を相手候補の欠点とスキャンダルに向けさせることだ。そうすれば、自ずとメディアと有権者の関心は自分の欠点とスキャンダルに向かわなくなる。  しかし、そうするにしても、できるだけマスメディアや政治団体など自分とは直接関係のないものを利用し、そう仕向けたのが自分だと有権者に悟られないようにしなければならない。それに成功した候補者がネガティヴ・キャンペーンの打ち合いを制し、多くの場合、選挙を制することになる。つまり、大統領選挙の勝者とは、狡猾で陰険で鼻持ちならない参謀たちを手足のように使える人間なのだ。  テレビ討論にしても、子供の口喧嘩にしか思えないことも多い。相手がなんといってこようが、自らの土俵を守り、同じ主張を飽くことなく繰り返すからだ。そして、相手が少し言い過ぎたり、言い間違えたりしたなら、たとえそれが議論の本質と関係なくともさんざんにあげつらう。  嘆かわしいことに、それをテレビで見ている有権者も、候補者が戦わす議論ではなく、顔の表情や話し方によって勝ち負けを判断している。だが、最終段階で行われる政治的イヴェントなだけに、その判断は選挙の結果に大きな影響を与える。  なぜ、このようになってしまったのだろうか。  世界一の権力者を選ぶ選挙が、なぜこれほどまでに低劣きわまりないものになってしまったのだろうか。  アメリカ人は漠然とそれをテレビのせいにする。テレビの登場によって、政治と政治家が堕落したと考えている。それは間違いではない。確かに、選挙にテレビ・コマーシャルが使われるようになって、選挙は広告キャンペーンになり、政治家は商品になった。  アメリカの家庭にテレビが普及するようになったため、大統領選挙はこのテレビを通じて行われるようになった。そのやり方もテレビでアピールするものになっていった。徐々に、政治的メッセージは広告メッセージに近いものになっていった。そのようなメッセージによってアピールできる候補者が選挙戦を制するようになった。  やがて、どうすればテレビを使ってアピールできるかについてマスコミ理論が応用され、実証的研究がなされるようになった。選挙参謀たちはこのような理論や研究に無知ではいられなくなった。凡人候補者は広告代理店や世論調査会社や大学教授を自らの陣営に迎えるようになった。  人はよくこういう。政治はその国民に見合ったものでしかない。国民が愚かなら、彼らは同じくらい愚かな政治しか期待できない。これは真理だが、高度にメディアが発達した現代の状況を考えるならば、ここにメディアを加えるべきだろう。国民は自分たちに見合ったメディアしか持ち得ない。そして、メディアに見合った政治しか望み得ない。  アメリカのテレビはアメリカ社会に独自のメディア環境を形成してきた。そして、大統領選挙でテレビ・コマーシャルが使われて以来、大統領選挙はこのメディア環境の中で進化してきた。その進化とともに候補者と有権者のあいだの政治的コミュニケーションも変わった。変化するメディア環境により適合し、変わりゆく政治的コミュニケーションにおいて有権者に対し強い訴求力を持つため、選挙は広告理論やメディア理論の助けを借りるようになった。こうして政治が変わり、政治家が変わった。  大統領選挙がなぜこのようになったのか、いつからこうなったのかは、テレビがどのようなメディア環境を作り、それがどのように変化したのかを見ればわかる。また、その変化に対応してどのようにメディア理論と広告理論を取り入れたのかを見ればわかる。現在のアメリカの大統領選挙はその積み重ねの上にある。  本書はこのような視点からテレビ・コマーシャルが初めて大統領選挙に使われた一九五二年から二○○○年にいたるまでのアメリカ大統領選挙を見ていきたい。まず、私たちの記憶に最も新しい、そしてアメリカ選挙史上希に見る大接戦で、これまでに蓄積された選挙戦術が総ざらえされた二○○○年の大統領選挙から始めよう。

著者について

有馬哲夫 1953年生まれ。77年早稲田大学第一文学部卒業。84年東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得。93年ミズーリ州立大学客員教授。現在、早稲田大学社会科学部教授(メディア論)。著書に『テレビの夢から覚めるまで』『ディズニーの魔法』など。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 新潮社 (2004/10/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2004/10/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 新書 ‏ : ‎ 255ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4106100878
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4106100871
  • カスタマーレビュー:
    3.7 5つ星のうち3.7 9個の評価

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有馬 哲夫
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上位レビュー、対象国: 日本

2008年10月5日に日本でレビュー済み
ケネディから始まったテレビ討論は、メディアを駆使した壮大なネガティブ・キャンペーンの始まりでもあった――
大統領選につきものの情報戦略や情報操作に焦点を当て、その失敗と成功がドキュメンタリータッチで語られていきます。

2008年、民主党の大統領候補者を決めるオバマVSクリントンで再注目されたネガティブ・キャンペーンも、本書を読んだ後ではその位置づけに妙に納得させられました。
本来一国の長を決める選挙戦とは、このように一年近くかけ用意周到に練られるべきであり、ブッシュの時代だけで4人もの首相が誕生する(というか、誕生できてしまう)日本は体制を考え直したほうが良いのでは、と思ってしまうのは私だけでしょうか?

そこまでして選ばれた大統領がブッシュって…(苦笑)という疑問は残りますが、
本書は大統領に相応しい人物評論ではなく、あくまで選挙戦略分析であり、
ことこれに関してはブッシュの無能さが必ずしも裏目に出ていない(むしろ救われた)事実もわかって、非常に興味深いです。
2005年5月29日に日本でレビュー済み
アメリカ大統領選挙にまつわる戦略について書かれている本です。
誹謗中傷やあらさがしなどあらゆる手段を使い、
大統領選挙を戦っていることが分かります。
そのターニングポイントをテレビの登場と位置づけ、
テレビが一般家庭に普及することで何が起きたのか、
宣伝広告の重要になり、
有権者に何をどう訴えるのかを決めるのが
政治家からテレビマンになるなど、
多くの問題要素を含んでいるようです。
日本は大統領選挙のように全国を巻き込んだ選挙というのはないものの
日米の考え方の差、しかし共通しているのは
議席、大統領の座を奪い取るためには
熾烈な競争をしなくてはならないことが分かります。
政治の世界を新しく見ることが出来るのでは?
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2004年10月26日に日本でレビュー済み
大統領選のネガティブキャンペーンなどを豊富な実例を基に説明。
分かりやすく、面白かった。
レーガンに負けた民主党デュカキスは、精神病歴があるというデマを流されたとか。
選挙戦術の基本テクには、「プライミング」と「ディフュージング」がある。
プライミング:
217p >テレビ・ニュースがある問題を繰り返し取り上げると、視聴者はそれが重要な問題だと思うようになること。
ディフュージング:
はっきりした定義は書かれていないが、「プライミングの逆」とのこと。
だから、多分、別のことに関心を集中させることで、そうでない問題は重要でないと思わせることだろう。
一番印象的な立ったのは、言葉の内容より、画像が大切だということ。
つまり、いくら論理的に相手をやり込めたとしても、視聴者はそんな言葉は聴いていない。
むしろ、それをニコニコ聞いているほうが人間的に立派に見えて、人気が出るということ。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2004年12月8日に日本でレビュー済み
興味深い本に出会えた。
何故、明らかに資質の無い人が大統領に選ばれるのだろう?と常々不思議に思っていたが、本書を読んで納得した。
そう、大統領選にとって大切なのは『政策』よりもむしろ『イメージ』。
なるほど、それもそのはず、海外(アメリカ国外)在住のアメリカ人と国内(アメリカ国内)のアメリカ人とでは、ああも各候補者に対する支持率が違ってくるのだ。国内にいれば、それだけ、メディアからの‘雑音’が増え、客観視が出来なくなる。
当然、その‘雑音’を流してるのは各候補者。自身を「相対的に」上げるために、相手の評価を落とそうと画策する。まさに何でもありだ。
議論で「勝って」、選挙に「負ける」。
テレビは大統領選を大きく変えてしまった。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2004年11月6日に日本でレビュー済み
『論座』(2001年)の「政党政治を崩壊させる<テレビ選挙戦>の力」や『思想』の「テレビが生んだアメリカの<中流>」(2003年)を読んで、メディア論で政治を読み解く面白い人がでてきたなと思っていました。マクルーハンやらラザーズフェルドやらメイロウィッツやら出てきますが、要するに選挙戦をメディア・マスコミ理論読むというメディア学者の大統領選挙分析ですよね。そういう意味ではユニークだと思います。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート