日本の財政問題から、借金とデフォルトに関心があり、読んでみた。
残念ながら、「貨幣の日本史」を超える部分はなかった。
ただ、この筆者、日本史の専門家でも、金融の専門家でもない。
クレジット関係者が、道楽で、金貸しの歴史を調べて、本にしたらしい。
プロの作家や学者が、薄っぺらな本を量産する時代である。
素人がこのように中身の詰まった本を出すことに関心した。
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金貸しの日本史 (新潮新書) 新書 – 2004/12/16
水上 宏明
(著)
貨幣の誕生以来、人の歴史は「金貸しと借金」にずっと振り回されてきた。日本最古の銭で賭博にはまった天武天皇、政府自らが金貸しをしていた律令時代、貨幣が行き届いて徳政令に揺れた鎌倉期、大名から百姓まで借金で縛り太平の世を築いた江戸幕府、明治の文明開化も高利貸しのおかげ……。いつの世でも疎まれながら、しかし決してなくなることのない存在、「金貸し」。全く異質な観点から日本史を読み直す。
- 本の長さ220ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2004/12/16
- ISBN-104106100967
- ISBN-13978-4106100963
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2004/12/16)
- 発売日 : 2004/12/16
- 言語 : 日本語
- 新書 : 220ページ
- ISBN-10 : 4106100967
- ISBN-13 : 978-4106100963
- Amazon 売れ筋ランキング: - 537,001位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,077位新潮新書
- - 7,327位日本史一般の本
- - 34,044位投資・金融・会社経営 (本)
- カスタマーレビュー:
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2015年10月18日に日本でレビュー済み
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カソリック圏でもないのに利息制限法がある日本。
不思議だと思っていたが、理由がこの本を読んで理解できた。
多角的に、日本人の金融に対する考え型を分析した好著。
平易な文章で、一日あればガラパゴス金融大国日本の思想的バックグラウンドが理解できる。
金融マン必読の好著
不思議だと思っていたが、理由がこの本を読んで理解できた。
多角的に、日本人の金融に対する考え型を分析した好著。
平易な文章で、一日あればガラパゴス金融大国日本の思想的バックグラウンドが理解できる。
金融マン必読の好著
2022年1月16日に日本でレビュー済み
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金貸しの歴史に広く触れることができ、面白かった。内容も読みやすいです。
2005年2月7日に日本でレビュー済み
「金貸し」という側面から日本通史を叙述する一冊。
社会史的な読み物としては、
歴史の教科書に出ていない事柄ばかりで
そういう意味では「面白い」本だろう。
しかし作者が専門家ではないので
あちこちの本から金貸しのエピソードを
ただ切り取っただけという印象は、残念ながら否めない。
この分野に詳しい人ならば、物足りなさは残るだろう。
社会史的な読み物としては、
歴史の教科書に出ていない事柄ばかりで
そういう意味では「面白い」本だろう。
しかし作者が専門家ではないので
あちこちの本から金貸しのエピソードを
ただ切り取っただけという印象は、残念ながら否めない。
この分野に詳しい人ならば、物足りなさは残るだろう。
2012年3月17日に日本でレビュー済み
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本書で最も役に立った資料
「新しい型の金匠銀行家の事業」(三和銀行調査部翻訳,全国銀行協会図書館所蔵)。現代の銀行制度の起源について極めて重要な資料で,一般に刊行されていない資料を発掘し,紹介した水上さんの功績は評価されます。
詳しくは本書を読んでいただきたいが,当方が最も重要だと思ったのは,銀行が預金者に利子を支払うようになった理由です。17世紀にイングランドに出現した「新しい型の金匠」は,重量が重い金貨を削り取り,重量が軽い金貨と同じにして,削り取った分を自分の儲けにするようになった(本当は当時でも違法),これがおいしいのでもっと金貨を集めようとして,利子支払いを約束して金貨を預かる(=銀行の借金)ようになったというくだりです。これなら,利子にはちゃんとした理由があり,「無」から創造されるわけではないところが,銀行預金利子の発祥であったというのが面白いところです。
しかし,所詮,「詐欺」が根本であり,銀行業の本質はその揺籃期から変わっていないということです。
その他
・貨幣の登場と同時に金貸しが生まれていると水上さんは主張しています。提供される資料は,日本の例とハムラビ法典だけでいささか心許ないですが,ハムラビ法典に利子に関する記述があったというだけでも非常に重要です。
・江戸時代の貨幣事情が詳しく紹介されており,当方が強く確信したのは,貨幣は「信用」であり,オーストリア学派が言うような「ゴールドなどの実体貨幣だけが貨幣だ」という主張はやはり歴史的に見ても間違っているということです。
「新しい型の金匠銀行家の事業」(三和銀行調査部翻訳,全国銀行協会図書館所蔵)。現代の銀行制度の起源について極めて重要な資料で,一般に刊行されていない資料を発掘し,紹介した水上さんの功績は評価されます。
詳しくは本書を読んでいただきたいが,当方が最も重要だと思ったのは,銀行が預金者に利子を支払うようになった理由です。17世紀にイングランドに出現した「新しい型の金匠」は,重量が重い金貨を削り取り,重量が軽い金貨と同じにして,削り取った分を自分の儲けにするようになった(本当は当時でも違法),これがおいしいのでもっと金貨を集めようとして,利子支払いを約束して金貨を預かる(=銀行の借金)ようになったというくだりです。これなら,利子にはちゃんとした理由があり,「無」から創造されるわけではないところが,銀行預金利子の発祥であったというのが面白いところです。
しかし,所詮,「詐欺」が根本であり,銀行業の本質はその揺籃期から変わっていないということです。
その他
・貨幣の登場と同時に金貸しが生まれていると水上さんは主張しています。提供される資料は,日本の例とハムラビ法典だけでいささか心許ないですが,ハムラビ法典に利子に関する記述があったというだけでも非常に重要です。
・江戸時代の貨幣事情が詳しく紹介されており,当方が強く確信したのは,貨幣は「信用」であり,オーストリア学派が言うような「ゴールドなどの実体貨幣だけが貨幣だ」という主張はやはり歴史的に見ても間違っているということです。
2011年10月17日に日本でレビュー済み
駅前一等地に店を構える消費者金融は街の景観を損ない、百害あって一利無しですが「高い利率であっても借りたい」と言う人は後を絶ちません。このような人の中なかには商売上急遽お金が必要な人もあり高利貸しも一概に悪とは言えません。本書によれば、中世の土倉や近世の両替屋の金融業はときの政府も出資をしていたそうです。また古代にあった出挙(春先に政府が種もみを貸し、借り入れ後利子をつけて返す)も高利貸しのさきがけと言えなくも無いです。特に江戸時代は金融業があったから活発な経済活動ができた様子が描かれています。このように考えると高利貸しも叩くだけでなく社会との共存を図る必要があると考えられます。
2015年5月6日に日本でレビュー済み
このようなテーマに対する挑戦は認めるが、近世や明治期に限っても、庶民金融はもっと多彩なものであり、他の評者も書いているが、この著者にはちょっと無理なテーマであろう。歴史学の研究にはかなりの実績があり、そのようなものを拾っていかないと、ある程度の水準には到達できない。
2005年5月21日に日本でレビュー済み
久々にはまった。書名もこっている。『金貸しの日本史』というからてっきり極悪非道の金貸しの歴史でも書いてあるかと思ったら、金貸しが流行る原因は為政者の失政が原因で金回りが悪いときという日本史の輪廻が書かれた本だった。現代もこの本の通りだ。
現代の金貸しは司法のマーケット化に多大な貢献をしている。毎年20万人を超える破産者がいるそうだが、弁護士にお願いしてもただでやってくれるわけではない。金貸しを悪とするなら、それと戦うのは正義という極めて単純化した図式の元で、このようなニッチな司法マーケットは成り立っているのである。もっとも金貸しが嫌われるのは古今東西完全に普遍のこと。日本的な嫌われ方がどのような歴史的背景をもって作り上げられてきたかが良く分かった。
消費者金融とクレサラ被害救済を標榜する弁護士の業界で盛んに議論されている、利息制限法を超えた払いすぎの利息は返すべきという議論が明治初期にもあったというのは驚きだった。何も変わっていないではないか。ただし通史とはいってもあまりに矮小なテーマなので膨大な文献から良く調べたという研究の成果は評価できるが、読み物の種類として良く出来た長編エッセイである。もっともこんな分野を専門に研究している学者もいないだろう。
最後に引用している漱石の言葉「みんな金が欲しいのだ、そうして金より外には何にも欲しくないのだ」は、アダムスミスの「見えざる神の手の導き」より資本主義の本質をついている。いい引用だ。
現代の金貸しは司法のマーケット化に多大な貢献をしている。毎年20万人を超える破産者がいるそうだが、弁護士にお願いしてもただでやってくれるわけではない。金貸しを悪とするなら、それと戦うのは正義という極めて単純化した図式の元で、このようなニッチな司法マーケットは成り立っているのである。もっとも金貸しが嫌われるのは古今東西完全に普遍のこと。日本的な嫌われ方がどのような歴史的背景をもって作り上げられてきたかが良く分かった。
消費者金融とクレサラ被害救済を標榜する弁護士の業界で盛んに議論されている、利息制限法を超えた払いすぎの利息は返すべきという議論が明治初期にもあったというのは驚きだった。何も変わっていないではないか。ただし通史とはいってもあまりに矮小なテーマなので膨大な文献から良く調べたという研究の成果は評価できるが、読み物の種類として良く出来た長編エッセイである。もっともこんな分野を専門に研究している学者もいないだろう。
最後に引用している漱石の言葉「みんな金が欲しいのだ、そうして金より外には何にも欲しくないのだ」は、アダムスミスの「見えざる神の手の導き」より資本主義の本質をついている。いい引用だ。