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大切なことは60字で書ける (新潮新書 100) 新書 – 2005/1/1
- 本の長さ191ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2005/1/1
- ISBN-104106101009
- ISBN-13978-4106101007
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商品の説明
抜粋
この本でお伝えするのは、職場や学校で「使える」文章を書く技術です。「使える」というのは「伝わる」ということです。それも、書き手の感情よりも情報やメッセージを伝えることです。
多くの文章指南の本では、ときに欲張って、読み手を感動させるような文章まで書かせようとします。しかし、日常生活でまず必要なのは情報を伝えることです。
そのために大切なことのひとつが、「短い文を書く」ということです。そのよい例として、桃太郎のお話をあげてみましょう。
桃太郎を始めとする日本のおとぎ話を体系的にまとめて編集したのは、巌いわ谷や小波さざなみ(1870~1933年)という人です。日本おとぎ話の創始者といっていいでしょう。その名前は『広辞苑』にも掲載されています。
1894(明治27)年、巌谷小波によって作られた『桃太郎』の一部をご紹介します。
"『桃太郎』
むかしむかし或る処ところに、爺ぢぢいと婆ばばあがありましたとさ。或る日の事で、爺は山へ柴刈に、婆は川へ洗濯に、別れ別れに出て行きました。
(途中、長すぎるので中略)
婆さんは適ほど宜よい処に盥たらひを据ゑ、其その中なかへ入れて来た、汗染みた繻じゆ絆ばんや着古した単衣ひとへを、代る代る取り出しては、底の小石から小鮎の狂ひまで、手に取る様に見え透く清流ながれに浸して、頻しきりにぼちやぼちや行やつて居りますと、
(ルビ、下線は筆者による)"
途中、相当量の文を省略してもこの長さになります。ここでやっと桃が流れてくるシーンになるわけです。
とくに、下線の部分は、現代の『桃太郎』からは想像しがたい、悪くいえば冗長、良くいえばのどかな、スローライフの典型のような表現です。
では、ここでもうひとつの『桃太郎』を紹介しましょう。1920(大正9)年に森鴎外らによって発表された作品です。
"『桃太郎』
ムカシ ムカシ アルトコロニ、オジイサントオバアサンガ イマシタ。毎日オジイサンハ 山ヘ 柴カリニ、オバアサンハ 川ヘ センタクニ 行キマシタ。アル日 オバアサンガ 川デ センタクヲ シテイマスト、
(原文では漢字にカタカナのルビ付き)"
これが鴎外らが編集した『桃太郎』です。私たちが馴染んでいるのはこちらの文章です。
文のひとつひとつが短くなっただけでなく、冗長箇所が皆無になり、現代文そのものといえます。
巌谷小波の作品は、話しことばを文の形にした作品であり、大人が子どもに聞かせるための大人用です。巌谷小波は、言文一致運動を提唱した尾崎紅葉などと親交が深く、新文学を推進した作家の1人です。その影響がおとぎ話の制作にもでているのです。これは、巌谷小波の他の作品をみても同じです。
小波には、7名の子どもがいました。教育という観点からおとぎ話を聞かせたのでしょう。そして、子どもを対象にした口演(講演ではない)を通じて、子どもたちにおとぎ話(文学)の素晴らしさを伝える活動をしていました。これは関連資料の写真などから明らかです。
そんなところから言文一致の文体が自然に生まれてきたのだろうと推測することができます。
その文体そのものは、現在私たちが使っている文章のもとになっていて、言文一致運動は大変な意義のあるものでした。しかし、話しことばというのは往々にして余計な情報が入り、冗長になりがちです。巌谷版の桃太郎にもそのきらいはあります。
それに対して、鴎外らのものは、書きことばに徹しており、子ども自身の読み物として制作したことがわかります。ちなみに、この本の末尾に提示した主要参考文献の中に、「森林太郎」とありますが、鴎外の本名です。鴎外はそのほとんどの作品にペンネーム「森鴎外」と記すことなく、林太郎で通しました。
鴎外らの『桃太郎』は、私たちが書く現代文にいろいろな教えを授けてくれる名文といっていいでしょう。その一番の魅力は「一文の短さ」です。
その短さは、以下のルールから生まれました。
1ひとつの文にひとつの事だけを書いている。いわゆる「一文一義主義」を貫いている。
2修飾表現を極端に削っている。すなわち形容詞や副詞などの使用を避けている。
3接続助詞を使わないで、終止形で文をとめている。接続助詞を使うと文全体が長くなる。(接続助詞=ば、ど、ども、が、ところが、のに、ものを、も、し、と、から、けれど、けれども等)
この本では、「短く書く」ことをキーワードとしてとらえて、講を進めています。とくに60字という数字を目標にしています。
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2005/1/1)
- 発売日 : 2005/1/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 191ページ
- ISBN-10 : 4106101009
- ISBN-13 : 978-4106101007
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,046,761位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
こんなに分かり易い本は、それ程多くないですね。
ビジネス用、広報用に最適な文章作りに向けた本です。
学校の作文や、筆記試験用ではないのです。
けれどエッセンスが理解出来れば応用できますね。
作文が下手なら、この本で及第点は取れるでしょう。
用途外ですが有効な指南書だと感じました。
適切な手続きをせよ、という記述があります。
引用は出典を明記し、本文が主、引用が従の関係
で使用すれば自由に行うことができます。著者は
誤った理解をしているようです。
これを出版社が指摘しないことも問題です。
加えて、「小中学校の教員の九割は著作物の利用
条件を知らない(のはけしからん)」と内容にあ
りますけれども、これはギャグでしょうね。
冒頭に短く書くことについて説明はありますが、その後は文字数とは直接関係のない内容に移ります。いつ60文字の話に戻るのだろうと思いながら読んでいたのですが、後半に入ってやっと気がつきました。自分の思っていた内容とは違う本だということに。
題名から文を短くまとめる為の手法の本だと思い込んでいたのですが、そのような内容ではありません。この本は分かりやすい文を書く為の手引書で、主にビジネス用途を意識した内容です。60文字というのは、1文を60文字で表現するということです。文は短い方が分かりやすく、相手も読みやすいので、60文字程度に収めた方が良いということでした。
文字数に注目してみると、この本自体が短い文で書かれていて、1文が短く表現されています。朝日新聞のコラム・天声人語は30文字に収める努力をしているそうですが、確かに短い文をうまくつないでいます。このレビューも1文60文字で書いたのですが、なかなか難しいですね。
それぞれ、メッセージがこめられた文、単なる状況説明の文と分けて
考えるべきと説く。
これらを見分けることによって、文章の理解が格段に違う。
書かれた文章を理解するときのみならず、
自分で文章を組み立てる際にも、きわめて有効だ。
僕の場合は、最初にメッセージ性のある文章をまず考えて、
その後理由を説明するための消極文を数字を交えながら
考えていくと相性がいいと分かった。
他の多くの評者の方が言っている様に、タイトルと中身が
若干違うかなというのはある。
しかし、60字というのは意識しておきたい数字だ。
普通の日本人が書く文章というのはたいてい60字程度になるという。
これより長ければ冗長の可能性がある、くらいに考えておけばいいのではないか。
最後に、新聞の記事を60字までに縮めるのをやってみたが、
これがたいそう頭を使う作業であることが分かった。皆さんもぜひ。
悪い例と良い例とを比較すれば、その違いは明瞭である。下手にテクニックを示すより断然良い。
さらに会社の企画書などで使えるノウハウもあり。
私のような古びたサラリーマンは体得しているけれど、若い人にそれを伝えるにはありがたい本。
本当は若い人に自分で読んで、勉強した上で、身につけて欲しい「文章術」なのだか。
内容を的確に説明するタイトルを
つける方法などが述べられています。
内容は参考になるのですが、
残念なことに本の内容を的確に表す
タイトルがつけられていません。
大いなる自己矛盾のために評価が下がります。
ところが実際は、「60字」という字数制限はこの本の中で、すぐに外されてしまいます。それ以後は、なんてことはない、ただの文章まとめ術。でも、この程度のまとめ術であれば、何も今さら、という感じが、私はしてしまいました。やはり作者は最後まで「60字」にこだわるべきでした。また、そうでなければ、この本のタイトルは「看板に偽りあり」になってしまうのではないでしょうか。
「60字で書ける」とおっしゃる以上、最後まで60字にこだわっていただかないと買ったほうは騙されたような気になります。
タイトルと内容が懸け離れた本を新潮新書さんがお出しになるとは……。これは「タイトルによる騙し」の好例だと思います。
私がこの本のタイトルをつけるとしたら、『大切なことは60字などではとても書けない』になるでしょう。
でも、こんなタイトルの本が書店に並んでいたら、あなたは買いますか? そうなんです、私にはそんな本に思えたのです。
『他人に情報を伝えるためには一文には伝えたいひとつの情報を。必要でないものを排除し、簡潔な文章にすれば60字以内に収まります。』
という趣旨を意味します。しかし、これについて書かれているのは冒頭部のみで中盤はわかりやすい文章を書く際に気をつけなければいけないこと、後半は使えるひな型集、つまり、テンプレート。知っている人は知っている文章展開の基礎が解説されています。
全体としては簡潔に書かれていて読みやすく、コンセプトも言いたいことはわかります。ただ、独創性には欠ける感あり。