ライブドア騒動を契機に高まった会社論争。この問題に真正面から取
り組んでいる。
会社のステイクホルダーは、経営者であり、株主であり、従業員であ
る。日本人が慣れ親しんできたのは「会社は従業員のもの」という考え
方であるが、最近では、株主主権の考え方が圧倒的に優勢になってい
る。ここ10年、株主主権を掲げた企業が生き残り、日独仏伊に生息し
ていた過度の労使協調企業群は完全に敗退したという。
この本は、“最後に”利益を享受するがゆえに「会社は株主のもの」
として、株主主権を条件付きで支持する。というのも、株主利益の最大
化は、従業員、取引先、銀行、政府への支払いを済ませた後にしか達成
できず、これを目指すことがステイクホルダー全員の満足につながるか
らである。また、モラル・ハザードを起こしやすい経営者の信任を保つ
ためにも、株主によるガバナンスが重要だからである。
このように本書は、株主主権を支持しながらも、優先順位や、経営者
の信任といった会社の「倫理」の重要性に焦点をあてて、最後に「会社
は最も志が高い人のもの」と答える。株主利益の最大化という価値と、
志というお金に変えられない価値とが止揚することで、新しい資本主義
が生まれるという。
ところで、岩井克人氏が同時期に同名の本をだしている。これが純粋
理論的に作り上げられた会社論であるのに対して、吉田氏の本は、ネッ
トとメディアと金融の「魔の三角地帯」の実態を描くなど、シンクタン
ク的理論にもとづいた会社論といえるだろう。ただし、そこに通底する
考え方は類似している。是非、二冊を続けて読むことをお勧めしたい。
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会社は誰のものか (新潮新書 121) 新書 – 2005/6/16
吉田 望
(著)
ライブドア対フジテレビ、そして西武王国の崩壊――。日本企業が直面する数々の事態は、かくも普遍的な問いを我々に投げかける。いったい会社は誰のものなのか、と。まずは筆者が揺籃期からかかわってきたネット企業を通じて、ポスト産業資本主義の時代の会社、株主、経営者の生態を分析。株式会社のモラル・ハザードとガバナンスの歴史を振り返りながら、専門のブランド論をまじえて「新しい資本主義」の展望を語る。
- 本の長さ191ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2005/6/16
- ISBN-104106101211
- ISBN-13978-4106101212
商品の説明
著者からのコメント
このたび新潮新書より「会社は誰のものか」を刊行させていただきました。フジテレビとライブドアの騒動を見て、会社が登場した直後から生まれ、陳腐とさえ>思えるこの普遍テーマにあらためて取り組んでみたいと考えました。
自分なりの区切りもありました。ある種宗教のような共同体だった電通を辞めてちょうど5年。ミドルエイジの思いがけぬ激動を駆け抜けました。その間に4つ(3.5?)の会社を創業し、わいのわいのとやって おります。
また幸運なことに声をかけてくださる方がおり、2社の上場会社(スカイパーフェクト・コミュニケーションズ 東証一部 社外取締役)(スカイマークエアラインズ 東証マザーズ 常勤監査役)の役員を務める貴重な経験を経ました。
あえて中空をつくることにより、激しい資本主義のエネルギーの流入を招く会社の野蛮な仕組みを、実業経験としても十分に体感いたしました。そのことを真面目考えなければ身を滅ぼす、切実感もありました。経営の真っ当な考え方を自分なりに理解し、また表現したく、そして正直に言えば・・・・ちょっとだけ時流に乗ってみました。是非お読みいただければ幸いです。(ちなみに同月には東大教授の岩井克人さんも平凡社より同タイトルで出版されます。このテーマが流行していることが、よくわかります。読み比べていただくのも一興、と考えております。)
今後ともよろしくお願いいたします。
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2005/6/16)
- 発売日 : 2005/6/16
- 言語 : 日本語
- 新書 : 191ページ
- ISBN-10 : 4106101211
- ISBN-13 : 978-4106101212
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,057,104位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,652位新潮新書
- - 13,768位ビジネス・経済ノンフィクション
- - 26,603位経営学・キャリア・MBA
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2005年8月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
実際に経営に携わっている人以外には、
この本の価値がわからないかもしれない。
それだけ実感と知識が詰まっている。
この言語感覚は学者とも実務家とも違う著者独特の話法であり、
「ブランド」に共通する。細部に神は宿っている。
市井の人にはこの感覚はわからないかもしれない。
わかりやすいのは「会社はだれのものか」のほうであろう。
両方読み比べてみることを是非お勧めする。
読者自身の立ち位置がわかると思われる。
この本の価値がわからないかもしれない。
それだけ実感と知識が詰まっている。
この言語感覚は学者とも実務家とも違う著者独特の話法であり、
「ブランド」に共通する。細部に神は宿っている。
市井の人にはこの感覚はわからないかもしれない。
わかりやすいのは「会社はだれのものか」のほうであろう。
両方読み比べてみることを是非お勧めする。
読者自身の立ち位置がわかると思われる。
2005年7月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ライブドアの一件から今や「会社は誰のものか」という問いはネット上や日々の会話でも頻繁に登場するトピックとなりつつありますが、この本はそれについて最新の考察をしているうちの一冊であると思います。
難解な用語や理論のみの引用を極力省き、現実の事例に即して述べていく著者の語り口は明快且つよどみなく、その深く練られた企業観には驚かされ、そして納得させられます。
しかしなにより特筆すべきは語られている事例の「新しさ」でしょう。ライブドアやエンロンなど、記憶に新しいモデルを通して語られる内容は、読みやすいので場所を選びません。
忙しい人にこそ、お薦めです
難解な用語や理論のみの引用を極力省き、現実の事例に即して述べていく著者の語り口は明快且つよどみなく、その深く練られた企業観には驚かされ、そして納得させられます。
しかしなにより特筆すべきは語られている事例の「新しさ」でしょう。ライブドアやエンロンなど、記憶に新しいモデルを通して語られる内容は、読みやすいので場所を選びません。
忙しい人にこそ、お薦めです
2005年11月30日に日本でレビュー済み
「俺の本より同名の違う本の方が売れている。俺の書いた本の方がはるかに良いものなのに。これはAmazonで批判的なレビューが書かれたからだ。ムキーッ!!」って感じでしょうか。
レビュアーに粘着し、同名本の作者を罵倒しつつ自分の本をべた褒めする。
こんな人が書いた本をとても薦める気にはなれません。
「自分の本への批判は許さない」というのなら、取次の扱う本として出版するのが間違い。
自費出版して手売りするべきです。
筆者はネット企業に揺籃期からかかわってきたそうですが、はたして「情報リテラシー」の意味すら分かっているのかどうか、その言動からは疑問に思います。
広告屋の空威張りなんてネット上では何の価値もありません。
電通ブランドに誰もがひれ伏すと思ったら大間違いです。
レビュアーに粘着し、同名本の作者を罵倒しつつ自分の本をべた褒めする。
こんな人が書いた本をとても薦める気にはなれません。
「自分の本への批判は許さない」というのなら、取次の扱う本として出版するのが間違い。
自費出版して手売りするべきです。
筆者はネット企業に揺籃期からかかわってきたそうですが、はたして「情報リテラシー」の意味すら分かっているのかどうか、その言動からは疑問に思います。
広告屋の空威張りなんてネット上では何の価値もありません。
電通ブランドに誰もがひれ伏すと思ったら大間違いです。
2005年7月6日に日本でレビュー済み
ニッポン放送のライブドアによる買収劇をきっかけに「株式って何だろう」という疑問をずっと持っていました。今までは投資の対象のというイメージしかありませんでしたが、今回の一件で「株式とは会社そのものである」ということを改めて再認識する事件だったと思います。けれども「だったら会社は株主のもの」ということになりますが、ニッポン放送は「従業員のもの」と主張していたし、公的資金注入で「会社は社会のもの」と言っている人もいたように思います。西武鉄道のように「個人のもの」と主張していたら上場廃止になってしまった会社もあり、「いったい会社って誰の所有物なの?」という疑問の回答を見いだせずにこの本を読みました。本書は絶妙なバランス感覚でこの疑問の回答を導き出してくれています。上場・非上場を問わず経営者は常にこのバランス感覚を意識しながら会社を運営できていたら「ポイズンピル条項」なんていらないんじゃないかな?と思った今日この頃です。
2008年4月9日に日本でレビュー済み
買いそうな人にお知らせしておきたい。
この著者は、この本の感想を書いたレビュアーを執拗に攻撃し、
嘘つき呼ばわりし、
レビュアーの個人名まで突き止めてネット上で公開したあげく、
それが話題になって世間の批判を免れえぬ状況になり
自身のブログが炎上し始めると
今度は平謝りをし、
今では遠い目をして
「実は炎上願望があった」
「一連の出来事も一つの物語だ」
などと自己愛むき出しのセリフを述べて自己完結を試みている人物である。
"amazonレビューをめぐる著者とのやりとり"
と検索すれば、ことの顛末がわかります。
本書の著者を知る上で、参考にしてみてください。
この著者は、この本の感想を書いたレビュアーを執拗に攻撃し、
嘘つき呼ばわりし、
レビュアーの個人名まで突き止めてネット上で公開したあげく、
それが話題になって世間の批判を免れえぬ状況になり
自身のブログが炎上し始めると
今度は平謝りをし、
今では遠い目をして
「実は炎上願望があった」
「一連の出来事も一つの物語だ」
などと自己愛むき出しのセリフを述べて自己完結を試みている人物である。
"amazonレビューをめぐる著者とのやりとり"
と検索すれば、ことの顛末がわかります。
本書の著者を知る上で、参考にしてみてください。
2005年7月8日に日本でレビュー済み
参考になりました。大企業に身を置きながらネット企業を側らで見、結局は自ら起業にいたったという筆者の経歴がよく生かされていると思います。論理的に思考しつつも、「でも、現実ってこうだよな」というビジネスマン的感性をまぶしている著者のスタンスに、とても共感します。
岩井さんの同名の本も読んでみましたが、「会社はこれからどうなるのか」(これは良い本でした)を読んだ人なら読む必要はない感じ。
面白いのは、吉田さんが「会社は株主のもの」、岩井さんが「会社は社会のもの」としつつも、人材やブランドなどの目に見えない価値が高まっていくこと、「お金」の価値が低下しつつあることなどについては共通の見解を持っていることです。両者の立ち位置は、それほど遠くない気がします。
やっぱり読み比べてみるのがいいかも……。
岩井さんの同名の本も読んでみましたが、「会社はこれからどうなるのか」(これは良い本でした)を読んだ人なら読む必要はない感じ。
面白いのは、吉田さんが「会社は株主のもの」、岩井さんが「会社は社会のもの」としつつも、人材やブランドなどの目に見えない価値が高まっていくこと、「お金」の価値が低下しつつあることなどについては共通の見解を持っていることです。両者の立ち位置は、それほど遠くない気がします。
やっぱり読み比べてみるのがいいかも……。
2012年3月26日に日本でレビュー済み
ここにレビューを書かれている皆様
本当の意味でスマートな方ばかりで助かりました
彼の人間性について言及されているレビューがいくつかありましたが
あながち間違っていないかもしれません
私の外国人の友人の住んでいるマンションにこの著者が住んでいるそうですが
挨拶してもシカト 彼のお子さんのことをむやみやたらとにらみつけるなど
人間性も問題があるそうな...
東大卒 元電通勤めなんて
肩書だけはまさにエリートですが人間としては非エリートなんですね
もちろん著者としても三流でしょう
早速ブックオフに売りに出してきます
いや 10円で買い取りすらもしてもらえないかも笑
本当の意味でスマートな方ばかりで助かりました
彼の人間性について言及されているレビューがいくつかありましたが
あながち間違っていないかもしれません
私の外国人の友人の住んでいるマンションにこの著者が住んでいるそうですが
挨拶してもシカト 彼のお子さんのことをむやみやたらとにらみつけるなど
人間性も問題があるそうな...
東大卒 元電通勤めなんて
肩書だけはまさにエリートですが人間としては非エリートなんですね
もちろん著者としても三流でしょう
早速ブックオフに売りに出してきます
いや 10円で買い取りすらもしてもらえないかも笑