江戸の観光や娯楽に関する本。
このジャンルは、かつては芝居や見世物小屋を取り上げ、また見に行く側の視点から扱うことが多かったが、本書では寺社仏閣への参詣を、寺社側による経済的企図から分析している点が面白い。
対象となっているのは、開帳。江戸/地方の寺社が秘仏を公開するものだが、どこで何回くらい行われ、どのくらいの収入となったかが具体的に論じられている。ひとを集めるためのノウハウなども開発され、観光業として成立していたことが分かる。
それから、大名屋敷地内の神社の公開も研究されている。有馬家の水天宮などが日を決めて庶民の参詣を許したもので、こちらも相当な収入になったらしい。
江戸庶民の娯楽について、これまでとは違った角度から見えてきて大変興味深かった。現代の観光業と比較できるのも楽しい。

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観光都市 江戸の誕生 (新潮新書 122) 新書 – 2005/6/16
安藤 優一郎
(著)
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100万の膨れあがる欲望が、江戸を最先端の観光地にした!
- 本の長さ206ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2005/6/16
- ISBN-10410610122X
- ISBN-13978-4106101229
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商品の説明
著者について
1965(昭和40)年千葉県生まれ。江戸・都市史研究家。日本近世政治史・経済史専攻。文学博士。最近は、江戸時代の行楽や飲食など、江戸の生活文化の諸相について研究を進めている。著書に『寛政改革の都市政策』『江戸の養生所』など。
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2005/6/16)
- 発売日 : 2005/6/16
- 言語 : 日本語
- 新書 : 206ページ
- ISBN-10 : 410610122X
- ISBN-13 : 978-4106101229
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,150,472位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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- 2005年10月8日に日本でレビュー済み江戸八百町のとらえ方は様々である。「将軍様のお膝元」として首都の基盤整備がすすむ1600年代の「建設労働都市」という性格。元禄文化から化政文化の間が、講やおかげ参り、出版、浮世絵によって引き起こされた「観光都市」としての性格。次に地方の飢饉、囲い込みから失業者の目指す「浮浪労働者の都市」という性格。この流れの①と②の中央部分を実例でわかりやすく紹介解説されている。「江戸の花」の部分である。しかし物足りないのは③の部分へのつながり。今、私たちが足を運んで確認出来る江戸情緒は、最後の部分の光を失いつつあった江戸文化なのだから。
- 2010年1月19日に日本でレビュー済み江戸の人々が花見や近郊への小旅行など
観光を積極的に楽しんでいた様子や、
有名寺院が江戸で行う出開帳、
大名屋敷の中に領国から分祀された有名神社についても
経済的な目的や効果も含めて、実情が詳しく具体的に紹介されている。
江戸文化の息吹が感じられる。
- 2008年2月19日に日本でレビュー済み主に江戸時代後期の史料を題材に取り上げて、観光地としての江戸の実態を分かりやすく書いた本です。
現在の日本では、京都のように他地域から観光に来てお金を落としてもらい、地元の人は地元の観光地を余り知らなかったりすると言うのが実態ですが、江戸の場合はもっぱら地元需要をあてにしている点が現代とは異なるなと思いました。一方、「出開帳」は他地方の寺社仏閣の宣伝、財政救済のために賽銭を目当てにして地元から神社仏閣を勧請して大名屋敷を開放する大名達、また、江戸の庶民にアピールするために観光地開発をした徳川吉宗など、現代社会でもありそうな悲喜こもごもの観光事情に思わず苦笑します。
しかしこれらの観光ブームも、参勤交代に代表される徳川幕府の強権的政策の上に成り立っていた物であり、幕末になると江戸の観光は終焉を迎えます。一見楽しい遊興である「観光」も政治に左右された現象であることを教えてくれる本です。江戸好きの人ならおもしろく読めると思いますが、江戸観光と徳川幕府の政策が如実に関係しているのをよりいっそう知りたい方は同じ著者の『徳川将軍家の演出力』も読まれるのをお奨めします。
- 2005年6月27日に日本でレビュー済み最近多い「江戸時代の観光事情」に関する本。
なかでも「江戸とその周辺」を対象にしているのだが、観光する側ではなく、「受け入れる側」からの視点が面白い。
例えば成田山などの地方のお寺が、メディアへの露出や影響力のある人物へのPR活動をするなどして、「ご開帳」をたくみに成功させる姿などは、現代の観光マーケティングにもつながるところがあるだろう。
また、大名諸家が自分の屋敷内に地元の神様を勧請して、江戸の市民を受け入れて財政の足しにしていたなんてことは本書で初めて知った。やりすぎで幕府にとがめられるところもあったりして、大名家も大変だったんだ、と思わずにいられない。