著者は海軍技術研究所、旺文社などを経て最後は大学教員になったという数学史・数学教育史の研究者。数学史に関する入門的な著作が多い。
本書は、夏目漱石、正岡子規、泉鏡花、スウィフト、ポオ、スタンダール、ヴァレリーなどの文学者たちと数学との関わりを紹介したもの。
正岡子規が数学が苦手だったこと、泉鏡花の『なヽもと桜』に登場する数学教員、スウィフトの『ガリヴァー旅行記』中の計算ミス、スタンダールがどこで数学を勉強したかなどが語られている。
単に興味本位、エピソード的に語るのではなく、きちんと当寺の数学文化、教育制度なんかにも話を結び付けているのがいい。
文学者と数学というと、縁遠いような気もするが、そんなこともないようで、おもしろい切り口だった。
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数学を愛した作家たち (新潮新書 167) 新書 – 2006/5/16
片野 善一郎
(著)
- ISBN-10410610167X
- ISBN-13978-4106101670
- 出版社新潮社
- 発売日2006/5/16
- 言語日本語
- 本の長さ191ページ
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2006/5/16)
- 発売日 : 2006/5/16
- 言語 : 日本語
- 新書 : 191ページ
- ISBN-10 : 410610167X
- ISBN-13 : 978-4106101670
- Amazon 売れ筋ランキング: - 679,000位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2013年1月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
数学と作家を結び付ける発想が面白いです。
数学好きが多かったのは意外でした。
数学好きが多かったのは意外でした。
2010年2月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「数学者が数学以外の領域で犯す過ちは、
不順な概念を道具に、
数学において純粋な概念を道具に推論するのと同じように推論することだ」
−ヴァレリー
数学の論理的な美しさは数学の中でのみ完結する。
現実に横たわる自分ではどうしようもない不明瞭なものにぶちあたったときほど、
この現実とかけ離れた明晰な学問に魅せられてしまう。
不順な概念を道具に、
数学において純粋な概念を道具に推論するのと同じように推論することだ」
−ヴァレリー
数学の論理的な美しさは数学の中でのみ完結する。
現実に横たわる自分ではどうしようもない不明瞭なものにぶちあたったときほど、
この現実とかけ離れた明晰な学問に魅せられてしまう。
2009年12月7日に日本でレビュー済み
数学の論理が役に立つのか。
数学の論理をそのまま実生活に当てはめようとすると、通用しないことが多い。
そもそも数学とその他、例えば法論理は同じ論理でも全く違うものであると著者は言う。
本質的に違うものだからだ。
法律は様々な解釈がされるが、数学の論理は少しの妥協も無い。
だからこそ、数学は美しい。
文学と対比させることによって、数学のすばらしさ、国語の大切さを改めて感じる。
数学の論理をそのまま実生活に当てはめようとすると、通用しないことが多い。
そもそも数学とその他、例えば法論理は同じ論理でも全く違うものであると著者は言う。
本質的に違うものだからだ。
法律は様々な解釈がされるが、数学の論理は少しの妥協も無い。
だからこそ、数学は美しい。
文学と対比させることによって、数学のすばらしさ、国語の大切さを改めて感じる。
2010年9月11日に日本でレビュー済み
数学を愛した作家たちは意外に数学が苦手だったようです。
音楽好きが音痴だったり、絵画好きが絵が下手だったりします。
こんなことは芸術に限らず、いろんな分野であります。
みんな数学が得意で、歌や絵が上手かったら、得意や上手という言葉の意味はなくなってしまいますね。
作者がいて、鑑賞者がいるということで、芸術は成立します。芸術には「下手の横好き」が必要になります。
これは芸術としてのアートだけではなく、数学にも、さらには英語の"art"という概念全般について当てはまります。
"art"、つまり、芸術、技術、技能、教養等の、自然ではなく、不自然な、人間の人為的、作為的な活動全般に当てはまります。
人為的、作為的ないわゆる人工物というものが、"art"の正体となります。
全ての人工物を俯瞰することができるのか興味があります。
いわゆる「哲学」というのとも違います。「哲学」は人工物のひとつですからね。
そうなると「宗教」ですか?でも「宗教」も人工物ですね。
なんとなく自己言及的になってきましたので、このあたりで終わりにしたいと思います。
ちなみに、私も数学が好きですが、得意ではありません。
音楽好きが音痴だったり、絵画好きが絵が下手だったりします。
こんなことは芸術に限らず、いろんな分野であります。
みんな数学が得意で、歌や絵が上手かったら、得意や上手という言葉の意味はなくなってしまいますね。
作者がいて、鑑賞者がいるということで、芸術は成立します。芸術には「下手の横好き」が必要になります。
これは芸術としてのアートだけではなく、数学にも、さらには英語の"art"という概念全般について当てはまります。
"art"、つまり、芸術、技術、技能、教養等の、自然ではなく、不自然な、人間の人為的、作為的な活動全般に当てはまります。
人為的、作為的ないわゆる人工物というものが、"art"の正体となります。
全ての人工物を俯瞰することができるのか興味があります。
いわゆる「哲学」というのとも違います。「哲学」は人工物のひとつですからね。
そうなると「宗教」ですか?でも「宗教」も人工物ですね。
なんとなく自己言及的になってきましたので、このあたりで終わりにしたいと思います。
ちなみに、私も数学が好きですが、得意ではありません。
2007年8月18日に日本でレビュー済み
「銭形平次捕物控」で有名な野村湖堂は東大の法科へ数学で満点近くとれたので合格した。安部公房は数学が抜群にできたので医学部へ入った。立原正秋は小説を書くのにいきずまったら
「解析概論」を読んでいた。「僧正殺人事件」のヴアン・ダイン「ホワイト・ライト」のルーディ・ラッカーもかなりの数学知識がなければ書けない本。最近有名な藤原正彦の父、新田次郎も和算小説を書いている。「ガリバー旅行記」の中でも数学が沢山出てくる。心理小説で有名なスタンダールは数学に熱中したのは偽善がないからだとし、しかし後に理解できないと酷評するという。まさにかわいさ余って憎さ百倍。田辺元は東大数学科に入ったが落伍して哲学者で有名になった。多くの人が数学とどのようにかかわって人生が変わったか面白い話が満載です。そういえば最近の難解極まりない映画「マトリックス」も正に数学用語です。
「解析概論」を読んでいた。「僧正殺人事件」のヴアン・ダイン「ホワイト・ライト」のルーディ・ラッカーもかなりの数学知識がなければ書けない本。最近有名な藤原正彦の父、新田次郎も和算小説を書いている。「ガリバー旅行記」の中でも数学が沢山出てくる。心理小説で有名なスタンダールは数学に熱中したのは偽善がないからだとし、しかし後に理解できないと酷評するという。まさにかわいさ余って憎さ百倍。田辺元は東大数学科に入ったが落伍して哲学者で有名になった。多くの人が数学とどのようにかかわって人生が変わったか面白い話が満載です。そういえば最近の難解極まりない映画「マトリックス」も正に数学用語です。
2009年1月1日に日本でレビュー済み
夏目漱石、正岡子規、スウィフト、スタンダールなどの作家が、
数学についてどの様に考えていた(接していた)のかということや、
それぞれの作家の時代における数学の時代背景などが書かれています。
数学が論理的な思考を育てると考える作家もいれば、
その考えを否定している作家もいて、
読んでいても結論は出ません。
(著者は「論理的な思考を育てるには国語が必要」とする考えに賛同しています。)
結局は、
広い視野を持って数学、
国語など幅広く接していくのが無難なのかも知れません。
私自身は数学が大の苦手なので、
今からでも少し勉強してみようかなと考えさせてくれました。
個人的な評価としては星3つです。
数学についてどの様に考えていた(接していた)のかということや、
それぞれの作家の時代における数学の時代背景などが書かれています。
数学が論理的な思考を育てると考える作家もいれば、
その考えを否定している作家もいて、
読んでいても結論は出ません。
(著者は「論理的な思考を育てるには国語が必要」とする考えに賛同しています。)
結局は、
広い視野を持って数学、
国語など幅広く接していくのが無難なのかも知れません。
私自身は数学が大の苦手なので、
今からでも少し勉強してみようかなと考えさせてくれました。
個人的な評価としては星3つです。