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発売元 浅見書店
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大奥の奥 (新潮新書 191) 新書 – 2006/11/16

3.5 5つ星のうち3.5 5個の評価

商品の説明

出版社からのコメント

将軍の世継ぎを巡って嫉妬の火花が散る後宮であり、
時に表の政治をも動かす、女だけの巨大な官僚機構であり、
旗本や大店の娘たちの、花嫁修業の場でもあった----。

●どのように就職したのか?
●勤務体系は?
●給与と出世は?
●側室になる方法とは?
●引退後の生活保障は?

お江与、春日局、桂昌院、絵島、お美代、天璋院、皇女和宮......。
大奥を彩った女性たちの有名なエピソードも紹介しながら、誤解も多い大奥の
「奥の奥」を丁寧に解説。

これ1冊、2時間でわかる!
ありそうでなかった、コンパクトな大奥入門

抜粋

序 章 大奥をのぞき見た人びと

村の庄屋の大奥観光

幕府の命運ももはや風前のともしびと化した慶応元(一八六五)年四月二十
五日、近江国堅田村の庄屋(といっても百姓ではなく、貸船業を営む町
人)錦織五兵衛と連れの三人は、高野平八という老人の案内で、江戸城の西丸と
二丸を見物に出かけた。
堅田村に課された助郷役の免除を嘆願するために江戸に滞在していた五兵衛
は、二年前の火事で焼失した西丸と二丸が再建されたのを機会に(本丸はついに
再建されないまま明治維新を迎えることになる)、落成した新殿舎を見物したら
と誘われたのだ。
五兵衛が書きとめた『東武日記』の存在を知ったのは、氏家幹人氏の著書『江
戸の女の底力』による。「容易に信じがたい話ですが」と著者が驚きをこめて紹
介しているように、いかに幕府の権威が失墜していたとはいえ、庶民がそんな
に易々と江戸城内に入りこめるものだろうか。
ところが、五兵衛たちは高野老人から手わたされた「御印鑑」なるものを腰に
ぶらさげて、まず外桜田門に向かった。桜田門に到着すると、さっそく黒皮の袋
から「御印鑑」をとりだして高野老人が番所の役人にさしだす。きびしく吟味さ
れ、人数などを記録されたのちに通された。
これほど威力のある「御印鑑」とはいったい何なのか。彼らがさしだしたのは
檜の横札で、そこには七、八人の役人の名前が書きこまれ、焼印が押されてい
た。お城への通行手形を得るために、しかるべき筋に賄賂を贈っていたのだろう
か。着物をあつらえた呉服屋の紹介で高野平八なる老人と面識をもったのだが、
虎ノ門内に大きな屋敷を構えたこの老人の正体は五兵衛にもよくわからないよう
すである。
いよいよ城内に足を踏みいれた五兵衛たちは、恐縮しながらも興味津々な面持
ちで北の方に向かい、竹川門でまた検問されたのち、西の方に三町ばかり行く
と、紅葉山の東照宮が左の方角に見えた。紅葉山と蓮池濠を隔てた向かい側に本
丸がある。右に本丸、左に吹上御庭を仰ぎみながら、竹橋門、平川門、梅林門な
どを通って、新装なった二丸御殿の壮麗なたたずまいをとっくりと見物する。

しかし、驚くのはこのあとである。五兵衛たちはあろうことか、七つ口か
ら(おそらく二丸の)大奥に入っていった。添番や伊賀者の詰める番所があり、
とりわけ警備も厳重なはずなのに、大の男が四人も束になって堂々と......。し
かも、七つ口には十人ほどの女中衆がたむろしていたにもかかわらず、見とがめ
られることもなかったというのだから、まるで狐につままれたような話である。
七つ口は、男の役人が詰める広敷向と大奥女中が住まう長局向との境にある。
御台所に御目見できない下級女中の宿下がりや、大奥女中に雇われた部屋方(使
用人)と呼ばれる下女が外出の際に利用する出入口で、夕方七つ(午後四時)に
なると閉め、翌朝の五つ(午前八時)にならないと開かなかったことからこ
の名称でよばれた。鑑札をうけた用達商人はここまで入ることを許され、丸太の
高い手すり越しに部屋方から注文をうけた。五兵衛たちを案内した高野老人は、
大奥出入りの用達商人だったのかもしれないが、もしそうだとしても、彼らが七
つ口を通りぬけることができた理由は謎のままである。
みな麻裏草履をはいて昇殿しているので、五兵衛たちも恐縮しながら履物をは
いたまま(上履きにはきかえたとは書かれていないので、下履きのまま?)奥女
中たちの部屋がある長局向へと進んだ。
この記述から、御殿で上草履をはいていたことがわかる。大奥に関した文献の
中で、女中が上草履をはくと書かれているのは、林美一氏の『時代風俗考証事
典』だけである。映画やテレビドラマの大奥シーンでは、大奥女中がみな白足袋
で御殿内を歩きまわっているが、これは誤りで、有名な中臈尾上が局の岩藤か
ら草履で打たれる「加賀見山旧錦絵」の名場面も、上草履をはいているからこそ
できる芝居なのだと納得できる。
長局は各部屋ごとに三、四人ずつ名前を書いた張紙がしてあり、総二階になっ
ていて、それぞれ湯殿が二カ所ずつあるとくわしく記しているところをみると、
長局の内部まで見学したことがわかる。

これはいったいどういうことなのか。五兵衛の日記を読み進むうちに、謎の一
端がとけた。そのくだりを日記からぬきだしてみる。

右御部屋ノ御障子ヲ高野老人押開キ入リテ見レバ、向フ御座敷ニ御老君ノ御女中
両人アリ。右高野氏風呂敷ノ中ニ携タル小釜一ツ差出シ御届ケ申上ル。則右ノ御
老女ヨリ外御部屋并御殿向キ拝見ヲ免シ玉ヲ。難有恐レ入リテ御座舗始メ御二階
ニ至ル迄処々拝見ス。

ある部屋の障子を高野老人が押し開いて中に入ると、そこには二人の老女(御
年寄)がいた。高野老人が風呂敷に包んで携えてきた小釜を取りだしてさしあげ
ると、五兵衛たちに御殿内を自由に拝見してよろしいと、許可を与えたというの
だ。
高野老人がさしだした小釜は注文の品物なのか、それとも賄賂なのか、謎はす
べてとけたわけではないが、少なくとも大奥の最高権力者である御年寄の許可を
得て、大奥観光が実現したことだけは明らかである。
この日記を解題している熊倉功夫氏も、「幕末という時代がいかに人びとの
好奇心を強める要素をそそぎこむ時代だったとはいえ、一介の農民(町人という
べきだが)が堂々と西ノ丸、二ノ丸の奥深く見学に歩けたとは、想像を絶する事
実である」とのべ、「その手続きをみると通行証を腰にぶらさげるなど、かなり
見物がシステム化されているふしも見え、ある程度一般的に城中見物は許容され
ていたとみてよいであろう」と指摘している。

それにしても、将軍以外の男性は立ち入ることができない男子禁制の女人国と
いう大奥のイメージは根底から覆ってしまった。これは幕末にかぎった特殊な事
例なのだろうか。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 新潮社 (2006/11/16)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2006/11/16
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 新書 ‏ : ‎ 208ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4106101912
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4106101915
  • カスタマーレビュー:
    3.5 5つ星のうち3.5 5個の評価

著者について

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鈴木 由紀子
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