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宝石の裏側 (新潮新書 195) 新書 – 2006/12/14
内藤 幹弘
(著)
輝きあるところには影がある。「ブランド品の原価は三〇〇円」
「エメラルドはサラダ油に漬けて着色する」「ダイヤモンドには放射線照射」
「通信販売には要注意」等々、宝飾品業界に三〇年以上身を置く著者が知られざ
る業界の裏側を明かす。そこから見えてくる日本の宝飾品文化の貧しさとは--。
至高の逸品を手に入れるのに必要なのは、大金ではありません。宝飾品について
の正しい知識なのです。
「エメラルドはサラダ油に漬けて着色する」「ダイヤモンドには放射線照射」
「通信販売には要注意」等々、宝飾品業界に三〇年以上身を置く著者が知られざ
る業界の裏側を明かす。そこから見えてくる日本の宝飾品文化の貧しさとは--。
至高の逸品を手に入れるのに必要なのは、大金ではありません。宝飾品について
の正しい知識なのです。
- 本の長さ191ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2006/12/14
- ISBN-104106101955
- ISBN-13978-4106101953
商品の説明
抜粋
まえがき
宝飾品は人類の歴史が始まって以来、権力の象徴として、あるいは呪術や占い
の道具として使われてきました。長い間限られた人たちに独占されていた宝飾品
ですが、二十一世紀の日本では誰もが宝飾品の楽しみを享受できるようになりま
した。
巷にこれほど宝飾品が氾濫している時代はかつてなかったでしょう。
銀座の目抜き通りには有名ブランドの旗艦店が進出し、一千万円を超える宝飾
品がショーウィンドウに並べられている一方、百貨店や大型スーパー、ディスカ
ウントショップでもサンダル履きで気軽に宝飾品が買えるようになりました。種
類も実に豊富になり、見つけることができないのは親指にするリングぐらいだ
と言われるほどです。
日本は確かに"ジュエリー大国"の仲間入りをしました。戦後の驚異的な経済発
展が日本を"ジュエリー大国"に押し上げたのです。宝飾品に使われる金やダイヤ
モンドの輸入量は世界で三本の指に入っています。
しかし、この国の宝飾文化は欧米諸国に追いついたかというと、残念ながらそ
うではありません。市場にあふれているのは大量生産された宝飾品がほとんど
で、装う人を高めてくれるような個性的な宝飾品を身につけている女性はめった
に見かけません。ジュエリー大国になったといっても、巨大市場になったという
だけのことなのです。
多くの女性はきっとこんな経験をしたことがあるでしょう。店頭で気に入って
買ったけれど、冷静になってみると何でこんな物を買ってしまったのかと嫌な思
いだけが残ってしまった。いわゆる衝動買いというやつです。そんな後悔の種に
なるような代物はタンスの奥にほったらかしにされ、ついにはしまっておいた場
所まで忘れてしまった。
こういう話を耳にすると、三十年以上宝飾店を営んできた私としては悲しい
気持ちになってしまいます。
「死蔵」という言葉がありますが、タンスや宝石箱の中に眠ったままで、日の目
を見ることのない宝飾品は死んだも同然です。永い間地殻の中に眠っていた原石
(ジェムストーン)が採掘され、人間の手によって研磨が施されて貴石(プレ
シャスストーン)となり、職人の技術によって作り上げられる宝飾品。自
然の恵みと人類の英知が結びついて生まれた宝飾品が、持ち主に忘れ去られてま
た長い眠りについてしまうのでは何の意味もありません。
日本の宝飾事情を貧しくした第一の原因は、買い手側の宝飾品に対する理解不
足があげられるでしょう。しかし、売り手側にも問題がなかったわけではありま
せん。同業者として、むしろ私は売り手の方こそ罪が深いと感じています。
八〇年代以降、宝飾品は大量生産、大量消費の時代になりました。当然売り手
の側の販売競争は激しさを増し、二重価格による価格操作、キャッチセールス紛
いの折り込みチラシ、有名タレントを起用したテレビショッピングなど、消
費者の目を惑わす方向へエスカレートしていきました。行きすぎた価格破壊は品
質破壊を招き、ついにはディスカウント店や量販店だけでなく、百貨店までもが
粗悪な商品を客寄せの道具に使うようになってしまったのです。
このように大量に流通している宝飾品はもはやジュエリーではなく、雑貨品
(ファンシーグッズ)としか言いようがありません。
オモチャのような代物でわが身を飾っているご婦人が、どうしてこんなにも多
いのか。目を覆いたくなるような状況です。
この本には、長年宝飾店を営んできた中で見たこと、考えたことを、できるだ
け包み隠さず記すようにしました。
ブランド品の原価が数百円ということや、多くの宝石が人工的に着色されてい
ること、また通信販売のカラクリなどを知ってショックを受けられる方もいらっ
しゃるかもしれません。また同業者の中には、「余計なことを言うな」と怒られ
る方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、私はこの本を業界の裏事情を暴露したいがために書いたわけではあり
ません。むしろ逆です。宝石は、その価値について正しく知ることができれば他
では得られない喜びを与えてくれます。
電化製品や自動車は購入して時間が経過するにつれて価値が下がっていきます
が、宝飾品は時間の流れとともに価値が増していき、つけている人を光り輝かす
かけがえのないものになっていくのです。
少しでも皆様の宝飾品についての理解が深まれば、著者としては本望です。
そして、この本があなただけの、至高の宝飾品に出会うための水先案内になれ
れば幸いです。
宝飾品は人類の歴史が始まって以来、権力の象徴として、あるいは呪術や占い
の道具として使われてきました。長い間限られた人たちに独占されていた宝飾品
ですが、二十一世紀の日本では誰もが宝飾品の楽しみを享受できるようになりま
した。
巷にこれほど宝飾品が氾濫している時代はかつてなかったでしょう。
銀座の目抜き通りには有名ブランドの旗艦店が進出し、一千万円を超える宝飾
品がショーウィンドウに並べられている一方、百貨店や大型スーパー、ディスカ
ウントショップでもサンダル履きで気軽に宝飾品が買えるようになりました。種
類も実に豊富になり、見つけることができないのは親指にするリングぐらいだ
と言われるほどです。
日本は確かに"ジュエリー大国"の仲間入りをしました。戦後の驚異的な経済発
展が日本を"ジュエリー大国"に押し上げたのです。宝飾品に使われる金やダイヤ
モンドの輸入量は世界で三本の指に入っています。
しかし、この国の宝飾文化は欧米諸国に追いついたかというと、残念ながらそ
うではありません。市場にあふれているのは大量生産された宝飾品がほとんど
で、装う人を高めてくれるような個性的な宝飾品を身につけている女性はめった
に見かけません。ジュエリー大国になったといっても、巨大市場になったという
だけのことなのです。
多くの女性はきっとこんな経験をしたことがあるでしょう。店頭で気に入って
買ったけれど、冷静になってみると何でこんな物を買ってしまったのかと嫌な思
いだけが残ってしまった。いわゆる衝動買いというやつです。そんな後悔の種に
なるような代物はタンスの奥にほったらかしにされ、ついにはしまっておいた場
所まで忘れてしまった。
こういう話を耳にすると、三十年以上宝飾店を営んできた私としては悲しい
気持ちになってしまいます。
「死蔵」という言葉がありますが、タンスや宝石箱の中に眠ったままで、日の目
を見ることのない宝飾品は死んだも同然です。永い間地殻の中に眠っていた原石
(ジェムストーン)が採掘され、人間の手によって研磨が施されて貴石(プレ
シャスストーン)となり、職人の技術によって作り上げられる宝飾品。自
然の恵みと人類の英知が結びついて生まれた宝飾品が、持ち主に忘れ去られてま
た長い眠りについてしまうのでは何の意味もありません。
日本の宝飾事情を貧しくした第一の原因は、買い手側の宝飾品に対する理解不
足があげられるでしょう。しかし、売り手側にも問題がなかったわけではありま
せん。同業者として、むしろ私は売り手の方こそ罪が深いと感じています。
八〇年代以降、宝飾品は大量生産、大量消費の時代になりました。当然売り手
の側の販売競争は激しさを増し、二重価格による価格操作、キャッチセールス紛
いの折り込みチラシ、有名タレントを起用したテレビショッピングなど、消
費者の目を惑わす方向へエスカレートしていきました。行きすぎた価格破壊は品
質破壊を招き、ついにはディスカウント店や量販店だけでなく、百貨店までもが
粗悪な商品を客寄せの道具に使うようになってしまったのです。
このように大量に流通している宝飾品はもはやジュエリーではなく、雑貨品
(ファンシーグッズ)としか言いようがありません。
オモチャのような代物でわが身を飾っているご婦人が、どうしてこんなにも多
いのか。目を覆いたくなるような状況です。
この本には、長年宝飾店を営んできた中で見たこと、考えたことを、できるだ
け包み隠さず記すようにしました。
ブランド品の原価が数百円ということや、多くの宝石が人工的に着色されてい
ること、また通信販売のカラクリなどを知ってショックを受けられる方もいらっ
しゃるかもしれません。また同業者の中には、「余計なことを言うな」と怒られ
る方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、私はこの本を業界の裏事情を暴露したいがために書いたわけではあり
ません。むしろ逆です。宝石は、その価値について正しく知ることができれば他
では得られない喜びを与えてくれます。
電化製品や自動車は購入して時間が経過するにつれて価値が下がっていきます
が、宝飾品は時間の流れとともに価値が増していき、つけている人を光り輝かす
かけがえのないものになっていくのです。
少しでも皆様の宝飾品についての理解が深まれば、著者としては本望です。
そして、この本があなただけの、至高の宝飾品に出会うための水先案内になれ
れば幸いです。
著者について
1940(昭和15)年静岡県清水市生まれ。日本ルーテ
ル学院神学大学卒業。法政大学大学院修士課程修了。1975年宝飾工房「弥馬
屋」を設立。その後、宝飾品の国内卸業、海外輸出業に携わり、現在はオリジナ
ル創作ジュエリーの製作・販売に専念している。
ル学院神学大学卒業。法政大学大学院修士課程修了。1975年宝飾工房「弥馬
屋」を設立。その後、宝飾品の国内卸業、海外輸出業に携わり、現在はオリジナ
ル創作ジュエリーの製作・販売に専念している。
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2006/12/14)
- 発売日 : 2006/12/14
- 言語 : 日本語
- 新書 : 191ページ
- ISBN-10 : 4106101955
- ISBN-13 : 978-4106101953
- Amazon 売れ筋ランキング: - 498,998位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,007位新潮新書
- - 33,177位アート・建築・デザイン (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2006年12月9日に日本でレビュー済み
普通のジュエリー本とはちょっと視点が違えてあるのでおもしろい。ジュエリー本は大抵、ダイヤの相場がどうとか、安く買う方法がどうの、という内容だがこの本はそういったジュエリーの値段には一切焦点をあてず、ジュエリーを所有することのすばらしさを語っている。同時にジュエリーを購入するときの女性の心理をパターン分けしていて、それぞれのパターンで人生論を語っているところが気に入った。わたしにも当てはまるところが有り、なるほどと気恥ずかしくなった。
2011年8月29日に日本でレビュー済み
ジュエラーとして業界の内側から、
宝飾品販売のメーカーと小売店の持つ、それぞれの問題点を指摘し、改善を促し、
顧客やエンドユーザーをも啓蒙している本といえる。
第1、2章で、宝石の加工に関する記述の真偽よりも、「消費者のため」の加工であれ、
情報は開示されなければならない、とする姿勢を示し、
本書は一環して、この姿勢に貫かれている。
本書は、以下に該当する人に読んでほしい。
・お得感によって、テレショップでアクセサリーを購入する人
・展示会に招待され、見栄で購入してしまう人
・旅先の特産品として、つい購入してしまう人
・ベスト○×賞と称して、宝飾品を贈られる有名人に羨望の眼差しを向けてしまう人
・夫に黙って、またはイミテーションと偽って購入する妻
・レディメイドの指輪に違和感を感じる人
読了後は、個人差はあれど、多少は「考えて」購入するようになるであろう。
最終章最終節で紹介されている、ジュエラーY氏が印象的だ。
駅から遠い裏通りで、無名を良しとし、顧客のために宝飾品を作り続けている氏の態度に
学ぶべき業者も客も多いのではないか。
宝飾品販売のメーカーと小売店の持つ、それぞれの問題点を指摘し、改善を促し、
顧客やエンドユーザーをも啓蒙している本といえる。
第1、2章で、宝石の加工に関する記述の真偽よりも、「消費者のため」の加工であれ、
情報は開示されなければならない、とする姿勢を示し、
本書は一環して、この姿勢に貫かれている。
本書は、以下に該当する人に読んでほしい。
・お得感によって、テレショップでアクセサリーを購入する人
・展示会に招待され、見栄で購入してしまう人
・旅先の特産品として、つい購入してしまう人
・ベスト○×賞と称して、宝飾品を贈られる有名人に羨望の眼差しを向けてしまう人
・夫に黙って、またはイミテーションと偽って購入する妻
・レディメイドの指輪に違和感を感じる人
読了後は、個人差はあれど、多少は「考えて」購入するようになるであろう。
最終章最終節で紹介されている、ジュエラーY氏が印象的だ。
駅から遠い裏通りで、無名を良しとし、顧客のために宝飾品を作り続けている氏の態度に
学ぶべき業者も客も多いのではないか。
2008年6月15日に日本でレビュー済み
啓蒙したかったのか、単に本を買ってもらいたかったのか
あるいはいやいや書かされたのか?判断に苦しみました。
文章が物書きのプロでないためかなり稚拙なせいもあるのでしょうが、
日本に宝飾品に対する愛と文化を養いたいのであれば裏側話の進め方は
うまくなく、また深くありませんでした。30分かからず読み終わりましたね。
勢いで買ってしまう(主に)女性達に”ちょっと待って、宝飾品を愛して”、
財布だけ開けてればいい(主に)男性達に”女性の方をちゃんと見て”と訴えたい
にしては、...ご自身のエピソード披露だけで止まっているだけでして、う〜ん。
これだと雑学好きで冷静な消費者にとっては”知ってるよ””想像がつくよ”で
終わってしまいます。また、同じ新潮新書なせいか”人は見た目が9割”と
同類の読後の脱力を感じてしまいました。そもそもこのタイトルで同じニオイ
がしました。あれほどではありませんが正直”なぁんだ”で終わってしまう。
宝石加工の件の情報に関しては他の方のレビューにお任せするとして、
著者が望む宝飾文化を養うことのすばらしさと現実の対比を上手にできたら
少し株を上げられたかもしれませんね。
あるいはいやいや書かされたのか?判断に苦しみました。
文章が物書きのプロでないためかなり稚拙なせいもあるのでしょうが、
日本に宝飾品に対する愛と文化を養いたいのであれば裏側話の進め方は
うまくなく、また深くありませんでした。30分かからず読み終わりましたね。
勢いで買ってしまう(主に)女性達に”ちょっと待って、宝飾品を愛して”、
財布だけ開けてればいい(主に)男性達に”女性の方をちゃんと見て”と訴えたい
にしては、...ご自身のエピソード披露だけで止まっているだけでして、う〜ん。
これだと雑学好きで冷静な消費者にとっては”知ってるよ””想像がつくよ”で
終わってしまいます。また、同じ新潮新書なせいか”人は見た目が9割”と
同類の読後の脱力を感じてしまいました。そもそもこのタイトルで同じニオイ
がしました。あれほどではありませんが正直”なぁんだ”で終わってしまう。
宝石加工の件の情報に関しては他の方のレビューにお任せするとして、
著者が望む宝飾文化を養うことのすばらしさと現実の対比を上手にできたら
少し株を上げられたかもしれませんね。
2015年3月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
でもジュエリーとパワーストーンの違いは最低限必要かな。もっと専門的な本だったら良いのに。
2016年4月3日に日本でレビュー済み
ティ●ニーのオープンハートの原価は数百円、エメラルドはサラダ油で着色しているとか、そういうキッチュなものも書いてありますが、メインは日本人の宝飾品に対する考え方について、著者がモノ申したい内容。
宝飾品は一生モノだから、大切な“ストーリー”を持たせて買ってほしい、贈られてほしい、というのが著者の一番言いたいメッセージかな。
ディスカウントされていたから買ったとか、買ったことを秘密にしたり(周りにはダミーだと言って本物を買ったり)、他人と比べたり。宝飾品というのは、それぞれ人生において大切な“ストーリー”があるからこそ、他の身につけるものとは一線を画している必要があるという。
まぁ確かに洋服でも、悩んだ挙句に買ったり、セール品を買ったり、プレミア価格で買った物ってあまり愛着がわかない。買うのに抽選に参加したり、朝早く起きて買えたものだったりすると、手放すのが惜しいし、他のものとはまた思い入れが違ったりする。そういった「思い入れ」が特に重要なのが宝飾品だ、ということは伝わりました。(そもそも自分にとってむやみやたらに買えるものではありませんが。本書に載っている人は宝飾品をポンポン買う人ばかりで、そこが違和感がありました)
───賢い買い手になろうと思うのならば、買った時点で、いくらで購入したか忘れてしまうべきです。宝飾品としての価値を認めて購入したからには、やれ高かっただの安かっただのと価格の詮索をするべきではありません。宝飾品の価値が自由に活動を始め、その価値をパワーに変えて着用する人に力を授けられるようにするには、価値に引きずられていては駄目なのです。(p.24)
著者:内藤幹弘(日本ルーテル神学大学卒、宝飾工房「弥馬屋」設立)
発行:2006.12.20 発行
読了:2016年23冊(3月8冊)★3.3
宝飾品は一生モノだから、大切な“ストーリー”を持たせて買ってほしい、贈られてほしい、というのが著者の一番言いたいメッセージかな。
ディスカウントされていたから買ったとか、買ったことを秘密にしたり(周りにはダミーだと言って本物を買ったり)、他人と比べたり。宝飾品というのは、それぞれ人生において大切な“ストーリー”があるからこそ、他の身につけるものとは一線を画している必要があるという。
まぁ確かに洋服でも、悩んだ挙句に買ったり、セール品を買ったり、プレミア価格で買った物ってあまり愛着がわかない。買うのに抽選に参加したり、朝早く起きて買えたものだったりすると、手放すのが惜しいし、他のものとはまた思い入れが違ったりする。そういった「思い入れ」が特に重要なのが宝飾品だ、ということは伝わりました。(そもそも自分にとってむやみやたらに買えるものではありませんが。本書に載っている人は宝飾品をポンポン買う人ばかりで、そこが違和感がありました)
───賢い買い手になろうと思うのならば、買った時点で、いくらで購入したか忘れてしまうべきです。宝飾品としての価値を認めて購入したからには、やれ高かっただの安かっただのと価格の詮索をするべきではありません。宝飾品の価値が自由に活動を始め、その価値をパワーに変えて着用する人に力を授けられるようにするには、価値に引きずられていては駄目なのです。(p.24)
著者:内藤幹弘(日本ルーテル神学大学卒、宝飾工房「弥馬屋」設立)
発行:2006.12.20 発行
読了:2016年23冊(3月8冊)★3.3
2007年12月23日に日本でレビュー済み
失礼ながら本の内容と共に、他のレビュアーの方の意見も大変面白かった。
『業界の常識』『普通の知識』『より広い視点』の差と言えるだろうか。
内容は宝石の製造技術についてと、購入の際のポイントのようなもの。
価格にはさほどページを割かず、製造技術や販売方法、販売時のトラブルの内容や、宝石に対する対応方法についてなど記されている。
全体的に、どちらかといえば技術書というより雑学知識本の系譜に属するであろう。
まず問題点ではあるが、他のレビュアーの方も記しているが、多少資料が古いようだ。鑑別書の内容も変更されているようだし、技術の中には業界では当たり前だとしているレビュアーの方もおられる。その批判はこの業界にいるのであれば当然だろう。
その一方、それはあくまでも「日本の常識」である。私は雑誌の記事で『中国で買った宝石を水に落したら色が落ちてしまった』と言う投稿記事を読んだ記憶がある。日本では古いかもしれないが、決して役に立たない知識ではない。
また、良心的な店ばかりではなく、最初から顧客を騙そうとする詐欺師が世の中にいることも残念ながら事実である。そういった“詐欺師の手法”への啓蒙として読めばこの本はかなり面白い。
「そんな事は業界では常識」とか「それは知っていて当たり前」ではない。『そう言う事がある』かどうかが問題なのだ。この本の記述は、単純な宝石購入のポイントではなく、より広い視点で見れば決して無駄にならないと私は思う。
なお、私は男であるが、女性に宝石を贈る時の心がけなどには苦笑交じりで反省させられた。男だからこそ宝石を見ておく必要がある、と言うのは一面の事実ではあろう。
どうせ贈るなら贈る方も贈られた方も満足したい物。今度は注意して宝石店に足を運んでみようと思う。
『業界の常識』『普通の知識』『より広い視点』の差と言えるだろうか。
内容は宝石の製造技術についてと、購入の際のポイントのようなもの。
価格にはさほどページを割かず、製造技術や販売方法、販売時のトラブルの内容や、宝石に対する対応方法についてなど記されている。
全体的に、どちらかといえば技術書というより雑学知識本の系譜に属するであろう。
まず問題点ではあるが、他のレビュアーの方も記しているが、多少資料が古いようだ。鑑別書の内容も変更されているようだし、技術の中には業界では当たり前だとしているレビュアーの方もおられる。その批判はこの業界にいるのであれば当然だろう。
その一方、それはあくまでも「日本の常識」である。私は雑誌の記事で『中国で買った宝石を水に落したら色が落ちてしまった』と言う投稿記事を読んだ記憶がある。日本では古いかもしれないが、決して役に立たない知識ではない。
また、良心的な店ばかりではなく、最初から顧客を騙そうとする詐欺師が世の中にいることも残念ながら事実である。そういった“詐欺師の手法”への啓蒙として読めばこの本はかなり面白い。
「そんな事は業界では常識」とか「それは知っていて当たり前」ではない。『そう言う事がある』かどうかが問題なのだ。この本の記述は、単純な宝石購入のポイントではなく、より広い視点で見れば決して無駄にならないと私は思う。
なお、私は男であるが、女性に宝石を贈る時の心がけなどには苦笑交じりで反省させられた。男だからこそ宝石を見ておく必要がある、と言うのは一面の事実ではあろう。
どうせ贈るなら贈る方も贈られた方も満足したい物。今度は注意して宝石店に足を運んでみようと思う。
2006年12月25日に日本でレビュー済み
エメラルドはサラダ油で着色するいうが含浸は着色ではない。エメラルドは含浸しなければ商品価値が無いのだから、著者が何を問題視しているのか理解できない。コランダムの加熱処理も当然必要なことである。
顧客を満足させる仕事こそが社会的に存在意義のある仕事である。しかるに宝石の処理は顧客を満足させるためである。したがって宝石の処理は、それが許容範囲内のものであるかぎり、消費者自身のためである。私はそのように信じている。
著者は宝石業界の人であるのにこの業界があたかも悪の巣窟であるような書き方をして業界全体のイメージを悪くしており、同じ宝石業者として非常に腹立たしい。悪い業者の告発がこの本の意図であるのなら、コランダムの通常の加熱処理を書き立てて何になるのか。表面拡散やベリリウムによる処理、意図的な鉛ガラス充填等を問題にすべきではないのか。そしてこの本が主に一般消費者向けであることを考えれば、エンドユーザーの啓蒙にこそ、さらに多くのページを割くべきであると思う。
顧客を満足させる仕事こそが社会的に存在意義のある仕事である。しかるに宝石の処理は顧客を満足させるためである。したがって宝石の処理は、それが許容範囲内のものであるかぎり、消費者自身のためである。私はそのように信じている。
著者は宝石業界の人であるのにこの業界があたかも悪の巣窟であるような書き方をして業界全体のイメージを悪くしており、同じ宝石業者として非常に腹立たしい。悪い業者の告発がこの本の意図であるのなら、コランダムの通常の加熱処理を書き立てて何になるのか。表面拡散やベリリウムによる処理、意図的な鉛ガラス充填等を問題にすべきではないのか。そしてこの本が主に一般消費者向けであることを考えれば、エンドユーザーの啓蒙にこそ、さらに多くのページを割くべきであると思う。
2007年1月25日に日本でレビュー済み
前半の記述には、きちんと資料にあたっていないで書いた部分があまりにも多く見られます。読者を惹きつけて本を買わせるためにいい加減なことを書くと、著者の品格も疑われてしまいます。
特に宝石に施された処理については、1994年6月以前の資料を基にしているのか、業界は情報開示が足りないと憤慨されておりますが、現在ではすべての宝石について鑑別書には処理の有無ばかりでなく、内容がきちんと表記されています。
帯に書かれている「エメラルドはサラダ油で着色されていた」など宝石の処理に対する基本的知識不足があきらかで、よくこの程度の知識で宝石店を経営しているなと思いますし、恥ずかしくもなく執筆したなというのが正直な感想です。
こんないい加減な本を出版していると、新潮新書は週刊新潮並みの内容かと全体の評判が悪くなりますよ。
特に宝石に施された処理については、1994年6月以前の資料を基にしているのか、業界は情報開示が足りないと憤慨されておりますが、現在ではすべての宝石について鑑別書には処理の有無ばかりでなく、内容がきちんと表記されています。
帯に書かれている「エメラルドはサラダ油で着色されていた」など宝石の処理に対する基本的知識不足があきらかで、よくこの程度の知識で宝石店を経営しているなと思いますし、恥ずかしくもなく執筆したなというのが正直な感想です。
こんないい加減な本を出版していると、新潮新書は週刊新潮並みの内容かと全体の評判が悪くなりますよ。