ゴシップ史観による幕末史シリーズの第二段となります。
今回は開港、地震、風水害、安政の大獄、コレラ、桜田門外の
変、富士女人解禁、御金蔵破りと、既存の価値観が転倒する激
動期の始まりです。
その激動期を著者は、週刊誌の連載とはいえ、同時代の週刊誌の
記事のように、下世話な話もテンポ良く示していくことで、現実
感を強く感じさせてくれます。
大きな時代のうねりを記述することに、著者の主眼はあると思
いますが、その中から有名無名の多くの登場人物たちの横顔が
垣間見え、著者の人物評価が判断できるのも、楽しいところで
す。
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井伊直弼の首: 幕末バトル・ロワイヤル (新潮新書 252) 新書 – 2008/2/1
野口 武彦
(著)
- 本の長さ251ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2008/2/1
- ISBN-104106102528
- ISBN-13978-4106102523
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2008/2/1)
- 発売日 : 2008/2/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 251ページ
- ISBN-10 : 4106102528
- ISBN-13 : 978-4106102523
- Amazon 売れ筋ランキング: - 131,573位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2008年5月6日に日本でレビュー済み
歴史には様々な一面がある。
教科書に記載されるような、重大な事柄から、ゴシップ的なものまで様々だ。
ひとつの事柄でも、たとえば「桜田門外の変」は、どの教科書にも紹介されてい
るだろうが、「井伊大老の首はどうなったのか」について触れている教科書はな
いだろう。
本書では、主に教科書には出てこないが、幕末期に起こった、紛れもない史実を
いろいろと紹介している。
では、井伊大老の首は一体どこへ行ったのか?。
これは読んでからのお楽しみだが、当時桜田門外の変を目撃した杵築藩士の談話を
紹介している。
大老の首が落とされる音の描写など、目撃者ならではの臨場感あふれる逸話だ。
その他、慶喜が将軍世司となった裏話、幕末期に起こった天災などおよ40数話を
紹介している。
各章は、2−3分で読める話ばかりなので、通勤時間などちょっとした空き時間に
読むにはちょうど良い。
教科書に記載されるような、重大な事柄から、ゴシップ的なものまで様々だ。
ひとつの事柄でも、たとえば「桜田門外の変」は、どの教科書にも紹介されてい
るだろうが、「井伊大老の首はどうなったのか」について触れている教科書はな
いだろう。
本書では、主に教科書には出てこないが、幕末期に起こった、紛れもない史実を
いろいろと紹介している。
では、井伊大老の首は一体どこへ行ったのか?。
これは読んでからのお楽しみだが、当時桜田門外の変を目撃した杵築藩士の談話を
紹介している。
大老の首が落とされる音の描写など、目撃者ならではの臨場感あふれる逸話だ。
その他、慶喜が将軍世司となった裏話、幕末期に起こった天災などおよ40数話を
紹介している。
各章は、2−3分で読める話ばかりなので、通勤時間などちょっとした空き時間に
読むにはちょうど良い。
2013年1月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日米修好通商条約の勅許問題と安政の大獄を軸にキーマン井伊直弼を中心とした幕末史であるが著者の視点は複層的で視野も広い。1854年の安政東南海地震や1855年の安政江戸地震、火薬製造の水車小屋の大爆発も取り上げ、災害史も入っている。また、岩瀬忠震や川路聖謨ら俊秀の官僚の動きとともに条約勅許を巡る朝廷内の鳴動も詳しい。孝明天皇や公家たちに幕府から懐柔の裏金工作が行われたことも意外だった。吉田松陰についても思想史家の観点から『講孟余話』を読み込み、松陰が「天朝の命」を至上命令としていたことを明らかにしている。さらに江戸城の御金蔵破りまで説き及び庶民の暮らしにまで目配りの行き届いたまことに間然する所が無い新書である。
2008年3月14日に日本でレビュー済み
安政の大獄を行った井伊直弼の暗殺シーンは、まるで見てきたようなライブ感のある筆致。
ここだけでも、読む価値があります。
暗殺事件後の幕府の対応がやはり、政治体制の末期的な感じを強くさせるには充分です。
クビのない男が2か月も政権の中枢にあった!ということが幕府の機能停止状態を示しています。
体面ばかりを取繕った結果なのでしょうが…。
吉田松陰の処刑に至るまでの件も非常にリアル。
この特異なキャラクタの行動、気持ちの変化なども非常に興味深く描かれています。
ここだけでも、読む価値があります。
暗殺事件後の幕府の対応がやはり、政治体制の末期的な感じを強くさせるには充分です。
クビのない男が2か月も政権の中枢にあった!ということが幕府の機能停止状態を示しています。
体面ばかりを取繕った結果なのでしょうが…。
吉田松陰の処刑に至るまでの件も非常にリアル。
この特異なキャラクタの行動、気持ちの変化なども非常に興味深く描かれています。
2009年1月29日に日本でレビュー済み
先行レビューにも触れられている通り、桜田門外の変の顛末は大変な臨場感。さまざまな目撃証言が縫い合わされているに違いないが、それにしても血腥い暗殺現場の一部始終を執拗に描き上げる著者の筆に、ある種の過剰さも感じた。
とりわけ「凄い!」と思ったのは事件の直後、「まだ息のある重傷者が恐ろしい唸り声を発し」、「死骸がごろごろして」、「血みどろの泥濘」と化した雪の現場で伊井家の家来たちが取り片付けに奔走している只中、紀州徳川家の登城行列が近づいてくる場面。「先頭が現場に差し掛かっても誰も制止しない。伊井家は傘で死骸と流血の跡を蔽い、紀州家の供侍は笠で目隠しをし、視線をまっすぐ前方に据え、『何事も見ていない』という顔を繕って早足でその場を歩み抜けた」(p178)。
ここ、映画で観たい!
また、「世の政治家は、(伊井暗殺を巡る)次の残酷なジョークを読んで、日本の民衆の怖ろしさを心に刻むべし。日頃はお上にぺこぺこ頭を下げているが、失墜した権力者に対してはどんなに容赦なく本心を剥き出すか」と書かれた、そのジョークは直接ご確認ください。確かに「この笑いには一片の同情もない」(p183)。
ただ、あとがきで著者が「現代日本が本当に必要としているのは、井伊直弼のように、あえて泥をかぶるのを辞さない政治家なのではあるまいか」(p232)ってのはドーかな。本書の記述に従っても、伊井ってそういう「決然たる政治家」ではなかったんじゃないでしょうか?
読ませる。
とりわけ「凄い!」と思ったのは事件の直後、「まだ息のある重傷者が恐ろしい唸り声を発し」、「死骸がごろごろして」、「血みどろの泥濘」と化した雪の現場で伊井家の家来たちが取り片付けに奔走している只中、紀州徳川家の登城行列が近づいてくる場面。「先頭が現場に差し掛かっても誰も制止しない。伊井家は傘で死骸と流血の跡を蔽い、紀州家の供侍は笠で目隠しをし、視線をまっすぐ前方に据え、『何事も見ていない』という顔を繕って早足でその場を歩み抜けた」(p178)。
ここ、映画で観たい!
また、「世の政治家は、(伊井暗殺を巡る)次の残酷なジョークを読んで、日本の民衆の怖ろしさを心に刻むべし。日頃はお上にぺこぺこ頭を下げているが、失墜した権力者に対してはどんなに容赦なく本心を剥き出すか」と書かれた、そのジョークは直接ご確認ください。確かに「この笑いには一片の同情もない」(p183)。
ただ、あとがきで著者が「現代日本が本当に必要としているのは、井伊直弼のように、あえて泥をかぶるのを辞さない政治家なのではあるまいか」(p232)ってのはドーかな。本書の記述に従っても、伊井ってそういう「決然たる政治家」ではなかったんじゃないでしょうか?
読ませる。
2008年4月25日に日本でレビュー済み
本書が秀逸なのは、文字通り井伊直弼は桜田門外の変で打ち取られ、首だけになってその歴史的使命を果たしたという、著者の歴史観が、「井伊直弼の首」と言うタイトルにいみじくも凝縮されているからです。
読み終えた後、私はこの本の描く幕末のスタート時期が今の日本の世相や政局に気持ち悪いほどよく似ているな〜と思いました。
読み終えた後、私はこの本の描く幕末のスタート時期が今の日本の世相や政局に気持ち悪いほどよく似ているな〜と思いました。
2009年4月21日に日本でレビュー済み
開国以来、ますます混迷を深める幕末史が前巻に引き続いて生き生きと描かれる。
特定の政治的立場によらず、しかし緻密な調査とバッサリとした史観から描写される活劇はぐいぐいと引き込まれる。
また、筆者なりにいろいろと歴史的教訓を得ようとしているようである。とにかく続刊が楽しみである。
特定の政治的立場によらず、しかし緻密な調査とバッサリとした史観から描写される活劇はぐいぐいと引き込まれる。
また、筆者なりにいろいろと歴史的教訓を得ようとしているようである。とにかく続刊が楽しみである。
2008年5月3日に日本でレビュー済み
週刊新潮の人気連載を新書化した二冊目の本。堅苦しい歴史書でもなく、かといってお気軽な小説や講談風でもない。公文書や史書の記述に裏付けれた幕末の世相が、小気味よい文体でいきいきと綴られた良質の歴史エンターテインメント。これまで様々なタイプの幕末物を読んできたが、そのどれにも当てはまらない不思議な臨場感が全編を覆っている。
ひとえにそれは、教科書には記述されない庶民の生き様や暮らしの息吹が、適度な粗さの網目で掬い取られているからであろう。歴史には「表」と「裏」がある、とはよく言われるが、同時に「日向」と「日陰」があるのだという事を改めて感じさせてくれる本。
ひとえにそれは、教科書には記述されない庶民の生き様や暮らしの息吹が、適度な粗さの網目で掬い取られているからであろう。歴史には「表」と「裏」がある、とはよく言われるが、同時に「日向」と「日陰」があるのだという事を改めて感じさせてくれる本。