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気骨の判決: 東條英機と闘った裁判官 (新潮新書 275) 新書 – 2008/8/1
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- ISBN-104106102757
- ISBN-13978-4106102752
- 出版社新潮社
- 発売日2008/8/1
- 言語日本語
- 本の長さ204ページ
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商品の説明
出版社からのコメント
感動のノンフィクション!
抜粋
まえがき
国会議員を選ぶ選挙で、政党が存在しない。
その代わりに、事実上政府が定員と同数の候補者を推薦する。
もちろん気に入らなければ、その人に投票しなければいい。しかし、推薦候補者の選挙費用は国が出し、選挙運動は警察、都道府県、市町村、さらには自治会レベルで後押しされている。地域によっては推薦候補者に投票しないと非国民と呼ばれてしまい、配給を止めるぞと脅される。さらに、誰に一票を投じたか調査される所まである。
どこかの独裁国家の話ではない。
日本で実際にあった選挙である。昭和十七年の衆議院議員選挙がそうだった。
主導したのは、当時の東條英機内閣であった。東條は「翼賛政治体制協議会」という組織を作らせ、要請を受けたこの"翼協"が、候補者の推薦を行う形をとっている。
当時の全国推薦候補者名簿が、国会図書館に残されている。推薦候補の半数以上は現職で、新人は地方議員、陸海軍関係者、官僚OB、それに財界人などが並ぶ。いずれも政府に従い、一致協力して議会の運営にあたると判断された人たちである。
共産党はとうに非合法化されて事実上壊滅していたし、そのほかの政党も自主解散していた。有権者にとって、どの政党の候補を選ぶか、という選択肢はない。その代わりが《推薦候補》か《非推薦候補》かを選ぶものであった。
推薦を受けなかった候補者は、別に過激思想の持ち主でもない。
時局に非協力的だとされた政治家は、鳩山一郎、尾崎行雄、三木武夫、斉藤隆夫、大野伴睦、片山哲、さらには二階堂進もいる。後の首相だけでなく、その後の所属政党も自民、社会、民社と幅広い。共通してるのは、いずれも日本の戦後政治を担った人材だということだ。
その多くが非推薦の烙印を押され、選挙活動で自治体や警察から様々な妨害を受ける。ある者は無実の罪で起訴され、ある者はろくに演説会を開くことができず、多くが落選した。何とか当選して議場にたどり着くことができた議員も、ほとんどが軍部に逆らうことはできず、口を閉ざすしかなかった。
後に翼賛選挙と呼ばれるこの選挙では、推薦候補の八割が当選し、議場は圧倒的な数の推薦議員で占められた。
当時の内閣はなぜ、こんな強引な手段を取る必要があったのだろう。それは、軍部に対する議会の批判を封じてしまいたい、という思いがあったからだとされる。軍の方針に議会が異を唱えることで政策決定に時間がかかれば、戦争遂行上多大な支障があるというのだった。
百パーセントではないけれども、圧倒的多数の推薦候補者が議席を得たことで、東條内閣の目論見はある程度達成される。
戦時中の議会は、数の上では内閣の提出する法案を、否決することが不可能となった。一部の議員がなお貴重な抵抗を続けたが、戦争の泥沼へと邁進する政府に議会が歯止めをかける機能は、事実上失われたと言っていい。
三権分立のうち「行政」と「立法」が、いわば一体となってしまったのである。
そんな戦争も末期となる昭和二十年三月。
突如、この翼賛選挙を無効だとする判決が言い渡された。それも、三権の残る一つ、「司法」の最高機関であり、戦後の最高裁判所にあたる大審院での判決だった。
言い渡したのは、当時の大審院第三民事部の裁判長、吉田久である。
判決文の舌鋒は、極めて鋭い。
----不法選挙運動は、組織的かつ全般的に行われた
----推薦候補者の当選を期するために選挙運動をなすことは、憲法および選挙法の精神に照らし、大いに疑の存する所
仮にこれが大審院の判決でなく、一般の公刊物であれば、間違いなく出版が許されなかっただろう。判決は戦時中も議会政治を維持しようと苦闘していた人々から、高く賞賛された。現実に無効とされた選挙区では、戦争末期にもかかわらず、衆議院議員選挙がやり直されている。
様々な圧力を受けながら、勇気ある判決を言い渡した大審院判事の吉田久だが、言い渡しのわずか四日後、あたかも追われるように職を去る。
そして判決の原本は、まもなく行方不明となったのである。
戦後になって、弁護士の元にあった判決文の写し書きは見つかったが、判決原本が不明であるがゆえに、のちに最高裁判所が編纂した『大審院民事判例集』にも、判決は掲載されなかった。この判例集には、判決があった事実すら記されていない。今もなお、現役の法曹関係者の中で、この判決を読んだことがある者はほとんどいない。
このため、吉田の業績は「幻の判決」と呼ばれることになる。
軍部の暴走が続き、議会がこれを阻止する力を事実上奪われた時代。同時に国民にとって、もっとも重要な権利であるはずの選挙権までが、妨害にさらされていた。その「翼賛選挙」とはどのようなものだったのか。そして、戦時中にもかかわらず、政府を厳しく批判し、国民の権利だけでなく司法の独立をも守った大審院判事、吉田久。彼はどのような人物であり、なぜ、国家に逆らう判決を書くことができたのか。
そして「幻」とされた判決原本は、いったいどうなったのだろうか----。
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2008/8/1)
- 発売日 : 2008/8/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 204ページ
- ISBN-10 : 4106102757
- ISBN-13 : 978-4106102752
- Amazon 売れ筋ランキング: - 221,815位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について

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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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あまり知られていない、戦前の大審院や、法曹界の実情が分かる点でも、大変興味深い本です。
現在は議会制民主主義のはずだが、形だけで司法の判断は無視されているのだなあと無念です。
そして裁判官たちが武器もないのに義勇軍を組織させられる中、吉田は妻に「もう、帰ってこられないかもしれない」と言い残して判決を伝えに行くシーンでは感動しました。無効判決のために彼は裁判所を追われるわけですが、その判決を鳩山一郎など心ある人たちが戦後も覚えていたことや、判決のおかげで戦後の吉田の活躍に繋がったことなど、新書なのにノンフィクションとして泣ける作品になっています。
貴族院議員として面識もなかったはずの吉田を国会でたたえた大河内輝耕や、判決直前、密かに吉田を支持した大審院長、辞職した吉田を助けようと部屋を訪ねてくる後輩裁判官など脇役の配置も絶妙で、構成がよくできているのも感心しました。
他の方も書いていますが、良書だと思います。特に裁判官をめざす法学部生に読んでもらうとよいのではないでしょうか。
「売れる本」というだけの発想ではなく、「出版する意義のある本」という
発想が非常に大切だと思っています。商業主義との両立が難しいところですが、
「出版する意義のある本」を出版していれば、「あそこの本は面白いぞ!」というイメージができるのではないでしょうか?
商業主義との両立ということで考えれば例えば、3冊出版する場合、1冊は「採算無視」の本にするとか、
そのような、ルールを決めていかれるといいのかもしれません。
明治憲法下では選挙無効訴訟は大審院での一審制であるため、大審院判事らが出張して証人尋問を行った。鹿児島2区の選挙無効訴訟を担当した大審院第三民事部の吉田久ら判事5人は鹿児島県知事を含む計187名を職権で喚問して尋問が行われた。
翼賛選挙の選挙無効訴訟は鹿児島2区も含め計5選挙区あったが、4選挙区では選挙有効とした一方で、大審院第三民事部の吉田久ら判事5人は1945年3月に鹿児島2区の選挙は官憲による組織的選挙干渉があったとして選挙無効判決を出した。
戦時中に大審院が国政選挙の無効判決を出している一方で、本書が出た2008年8月時点で戦後の最高裁が国政選挙の一票の格差について2回の違憲判決・3回の違憲疑い判決を出しているものの無効判決は一度も出していない。このことから、国政選挙に関する選挙無効訴訟について戦時中の大審院を持ち上げて戦後の最高裁を批判する声もあろう。ただし、戦時中に国政選挙の無効判決を出した吉田久大審院判事が戦後に貴族院議員として参議院議員選挙法の立案という形で参議院議員選挙制度に関与するにあたって、46都道府県(当時、沖縄県は施政権停止中)の地方区で定数2~8人(改選数1~4人)と一票の格差が2倍以上になることが前提の選挙制度に関与していることはある意味で皮肉と言えようか(なお、憲法14条の平等権の観点から選挙における一票の格差問題が日本の裁判所で提起されるようになったのはこれから10年以上経過した1960年代に入ってから)。