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歴史を動かしたプレゼン (新潮新書 365) 新書 – 2010/5/1

5つ星のうち3.3 22

商品の説明

著者について

林寧彦(はやしやすひこ) 1953(昭和28)年倉敷市生まれ。早稲田大学政経学部卒。博報堂に入社後、広告キャンペーンやテレビCMの企画提案を担当し、2003年独立。著書に『CMプランナーの仕事術』等。陶芸家(日本工芸会正会員)としても活躍中。

About this Title

まえがき

 言葉で人を動かすことは難しい。
 まずは私が動かされなかった例から。
「あと3000万円売り上げがあれば、会社からゴルフ会員権がもらえるんです。お仕事ください!」
 広告会社に勤務しているとき、CM制作会社のプロデューサーから実際に言われた言葉である。顔見知りではあったが、仕事は一度もしたことがなかった。私はなんとも言えない違和感を覚えた。会員権をもらったらゴルフ接待しますよ、という意味かもしれないが、すでに私はゴルフをやめて何年も経っている。彼がゴルフ会員権をもらっても、私にはなんの意味もない。
 もしかしたら高等戦術で、ふつうなら決して口にしない個人報酬のことまで打ち明けるような真っ正直な人間であることをアピールしようとしているのか?あるいは、もう少しで会社から会員権がもらえるほどバリバリ仕事をこなしているヤリ手です、と言うためのウルトラ変化球か。屈託のない笑顔の向こうに他意はなさそうだった。自分の得になるから仕事の発注をお願いしますという、なんともストレートな「営業」だった。
 自分の得になることを説いて、相手を動かすのは難しい。彼の言っていることは、八百屋さんが「この大根を買ってくれたら、私が得するんだよね。だから、買ってくださいよ」と言うようなものである。これで買う客はいない。まともな八百屋さんなら、客の得になることをアピールする。「この大根、この値段で売ったら大損だよ、持ってけドロボー!」これは客にとって「お買い得」であることを訴えている。そのほか、「どれほど美味しいか」「体にいいか」といった情報を与えることで、購買意欲をそそることに専念する。相手の得になることを説いてはじめて、文字どおり「説得」のレベルに届く。でも、「説得」して相手が買う気になるか、といえばこれまた難しいところである。
 このように相手のこころを動かし、その気にさせるための説明や提案を、現代ではプレゼンテーション、略してプレゼンという。もともとはアメリカの広告業界で生まれた言葉で、クライアント企業に対して広告会社が行なう「広告計画の提案」のことだった。1950年代にマーケティング用語などとともに日本に入ってきたと言われている。
 そして現在では、「プレゼン」は広告業界から流出して、広く一般に使われるようになった。オリンピック招致では「プレゼンの出来」が取り沙汰されたし、裁判員制度による裁判の様子を、マスコミは「検察官、弁護士のプレゼン合戦のようだった」と伝えた。マニフェスト選挙は、有権者を相手にした各政党による競合プレゼンさながらである。
 毎日の仕事や生活の中でも、「プレゼン」は身近な言葉として使われるようになってきた。取引先に自社の新商品を売り込むのも「プレゼン」。就活や婚活で「プレゼンしてください」と言われたら、「自己アピールをしてください」という意味である。
 では、「プレゼン」とは何なのか?改めて聞かれたら、どう答えるだろうか。「人前で話したり、発表したり、提案したりすること?」そんな反応が一般的だろう。確かにそれらは「プレゼン」の一部なのだが、もっとも大切な部分がごっそり抜け落ちている。
 プレゼンは喋り終わった時点で終わりではない。プレゼンは、実際に相手を動かすことを目的としたコミュニケーションだ。つまり、プレゼンが目的を果たして完結するのは、相手のこころを動かし、期待通りの行動を起こさせることに成功したときである。では、どのようなときに人は動くのか。広告会社で伝説となっている例を挙げてみよう。

 その1。老舗の和菓子メーカーの会議室には、会長以下役員が勢ぞろいしていた。主要商品をめぐる広告会社3社による競合プレゼン。トップバッターはスタッフを一新して臨んだH社。クリエイティブの責任者が口火を切った。「御社の和菓子とかけて、わが社のプレゼンと解きます!」「そのこころは!?」会長が身を乗り出す。「そのこころは......、案(餡)がいい!」膝を打った会長は叫んだ。「おたくに決めた!!」
 まだ一案の広告プランも説明していないのに、担当する広告会社が決まってしまった。別室で順番を待っていた競合他社は会議室にすら入れなかったという。

 その2。居酒屋で企画を思いついたプランナーは、店の箸袋にCMのストーリー(絵コンテ)を描いた。翌朝、大手家電メーカーの宣伝課長を訪ねた。「こんなの思いついたんですけど、やりまへんか」「おもろいな、やろう!」「企画書とか、要りますか?」「そんなもん要らん、これでじゅうぶん分かるわ」
 
 イメージ映像を見せたり、パワーポイントを使ったりするともなく、箸袋に描いた絵をボソボソと話して、制作費と放送料を合わせると数億円の仕事を決める猛者がいるという事例である。だが、彼はズボラで箸袋に描いた絵でプレゼンしたわけではない。それを見ただけでプランの良さが見抜け、社内を根回しできる力量のあるキーマンが家電メーカーにいてくれればこその「箸袋プレゼン」である。さらにプレゼンする側から言えば、企画内容によほどの自信がなければ、箸袋ひとつでプレゼンできるものではない。

 いずれのプレゼンも、相手の得になることを説く「説得」をしていない。しかし相手は動いた。そもそも説得が必要になる場面というのは、提案したプランがダメなのだ。「わかった、みなまで言うな。自分がほしかったのは、まさにそれだ!」と、「得るべきものが胸の中に納まる」とき。そう、「説得」ではなく「納得」したときに人は動く。
 大人数の会議でも同じことだ。キーマンは「説得」では動かない。パワーポイントを使うプレゼンが主流になりつつあるようだが、広告会社のクリエイティブ部門が行なうプレゼンは、いまもA3の企画書が基本である。余白をたっぷり取った用紙に大きめの文字を打った企画書3~4枚、それに具体的な広告プランが4~5案というのが主流である。理由は、紙を使ったプレゼンのほうが成功率が高いことを経験で知っているから。
 パワーポイントは、大人数を前に講義形式の「説得」を行なうにはとても適していると思う。だがキーマンを納得させて、動かすための道具ではない。プレゼンに関する本で、いきなりパワーポイントの使い方が書かれているものを見かけるが、プレゼンの本質を誤解されそうで残念に思うことが多い。
 日常生活でしばしば耳にするようになった「プレゼン」だが、広告業界に身を置く者としては「おいおい、それはプレゼンではなく、ただの発表だろう」とツッコミを入れたくなる場面に出会うことが多くなった。「人前で喋れば、なんでもプレゼン」という時代に、「これぞプレゼンのお手本!」と言える見事なプレゼンを紹介したいと思ったのが本書執筆の動機である。
 この本には、歴史上の有名人たちが登場するが、主役は彼らではない。彼らによって行われたプレゼンこそが主役である。
「そのプレゼンはなぜ成功したのか」、つまり「彼らはどのようにして相手を納得させ、動かしたのか」。私の興味はずっとそこにあった。読み物という形をとったが、プレゼン上達のための具体的なアドバイスも散りばめたつもりである。
 あなたの前にいる人を動かし、あなたの周囲の人たちを動かすセンスとコツを、彼らのプレゼンから見つけてもらえたらうれしい。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 新潮社 (2010/5/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2010/5/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 新書 ‏ : ‎ 191ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4106103656
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4106103650
  • カスタマーレビュー:
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林 寧彦
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