コロナ下に世界を、異国の地バンコクで過ごしている。タイに持ってきた小林秀雄のいくつか
の本を散読しているところだ。本書は「私の人生観」が面白かった。
「みる」という言葉には色々な漢字がある。「見る」「看る」「観る」「診る」等。「みる」というと眼球
の運動だけではなく、むしろ心の動きを含めた総合的な動きであることが漢字を通じて分かって
くる。「私の人生観」とは、そんな「みる」という言葉の掘り下げを巡る一巻の冒険譚とも言える
のかもしれない。
小林は宮本武蔵を通じて「観」というものから本書を起こしている。「観」というものの起源を仏教
においている一方、宮本武蔵が到達した「観」については仏教修行の上での獲得ではないと
していると読んだ。
むしろ、宮本が鍛錬したのは剣をどう使えばよいのかという極めて実用的な話であり、それを
現実的に追及している為には「観」というものを得ざるを得なかったと小林は言っているように
思える。
つまりは職人芸である。「手仕事をする者はいつも目の前にある物について心を砕いている」
という一文がそれに当たるのではないか。
「着眼大局着手小局」という言葉を思い出した。もともとは「まず全体を把握した上で、
小さい課題を見つけ出してそこから進めるべし」という理解だった。しかし、実はもう一歩進めると
「小さい事を正しくやるには、全体が解らないと、小さいとは言えども失敗する」というように
理解すべきではないか。その為には全体を解るための「観」が必要ではないか。そんな風に
思うようになってきた。その思いつきが「私の人生観」という本に共鳴していたとしたら僕の
小さな幸せである。
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小林秀雄全作品 (17) 単行本 – 2004/2/1
小林 秀雄
(著)
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- 本の長さ257ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2004/2/1
- ISBN-104106435578
- ISBN-13978-4106435577
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
小林秀雄の全作品を網羅し、計約730篇を発表年月順に配列した第6次小林秀雄全集。本文はすべて新字体・新かなづかい。全作品に、人名・書名・難語等を解説する脚注付き。第17巻は、昭和24・25年の対談・作品を収録。
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2004/2/1)
- 発売日 : 2004/2/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 257ページ
- ISBN-10 : 4106435578
- ISBN-13 : 978-4106435577
- Amazon 売れ筋ランキング: - 519,986位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 244位個人全集の全集・選書
- カスタマーレビュー:
著者について
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1902‐1983。東京生れ。東京帝大仏文科卒。1929(昭和4)年、「様々なる意匠」が「改造」誌の懸賞評論二席入選。戦中は「無常という事」以 下、古典に関する随想を手がけ、終戦の翌年「モオツァルト」を発表。’67年、文化勲章受章。連載11年に及ぶ晩年の大作『本居宣長』(’77年刊)で日 本文学大賞受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 人間の建設 (ISBN-13: 978-4101007083)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年4月25日に日本でレビュー済み
2015年10月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読み手は、それぞれですから、この本の内容に全て賛同する必要もないし、賛同できなかったからといって無駄な買い物とも思いません。
著者は、読者の好みに合う合わないを超えて、一つのしっかりとした見識を示しておられます
著者は、読者の好みに合う合わないを超えて、一つのしっかりとした見識を示しておられます
2010年6月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
遥か昔だが、高校時代に推薦図書として「私の人生観」と「モオツァルト」を文庫で読んだことがある。当時は二冊ともまったく理解できなかったので、いつかリベンジしなければと思っていた。歳をとってから、特にこの十年ほど文化や歴史にだいぶ傾倒し、そこそこの基礎知識を蓄えたつもりなので「もう読めるだろう」と思っていたところ、昨年ひょんなことから新たに「モオツァルト」の文庫を買い込み読んでみたら、理解できた(ように思えた)。その後小林秀雄のことはしばらく忘れていたが、本作を図書館で見かけたので調べると文庫がなくなっており、ややショックであった。
そこで文庫が絶版となった原因を自分なりに考えると、以下の二つに思い当たる。
・「モオツァルト」より難しい。
本作も「モオツァルト」も、文化や歴史にそこそこの造詣がないと読み切れない。全集と異なり作品集には注が付いているが、それでも本作は「モオツァルト」より深い教養が要求され、難易度が高いように思える(ゆとり教育の世代では到底太刀打ちできるとは思えず、推薦図書に上げられるどころか、絶版もやむなしか)。
・講演形式のため、やや分かりづらい。
小林本人もいっているとおり、話すことと書くことはまったく別物である。「はにするかがにするかで、二日も三日も考えることがある」とも述べ、自分が書いたもの以外が活字になることを極端に嫌った。例えば、自分が知らないところで勝手に活字になる可能性がある場合、具体的には講演などが無断で録音されているのを見つけたときには、その場で帰ってしまうこともあったそうな。講演をどうしても活字にするという場合には、彼自身が十分に手を入れた後、出版という形をとったそうである。とはいっても、やはり初めから十二分に練ったものには遠く、分かりにくい面があるのは否めない。
そこで文庫が絶版となった原因を自分なりに考えると、以下の二つに思い当たる。
・「モオツァルト」より難しい。
本作も「モオツァルト」も、文化や歴史にそこそこの造詣がないと読み切れない。全集と異なり作品集には注が付いているが、それでも本作は「モオツァルト」より深い教養が要求され、難易度が高いように思える(ゆとり教育の世代では到底太刀打ちできるとは思えず、推薦図書に上げられるどころか、絶版もやむなしか)。
・講演形式のため、やや分かりづらい。
小林本人もいっているとおり、話すことと書くことはまったく別物である。「はにするかがにするかで、二日も三日も考えることがある」とも述べ、自分が書いたもの以外が活字になることを極端に嫌った。例えば、自分が知らないところで勝手に活字になる可能性がある場合、具体的には講演などが無断で録音されているのを見つけたときには、その場で帰ってしまうこともあったそうな。講演をどうしても活字にするという場合には、彼自身が十分に手を入れた後、出版という形をとったそうである。とはいっても、やはり初めから十二分に練ったものには遠く、分かりにくい面があるのは否めない。
2013年7月4日に日本でレビュー済み
昔、学生時代に読んでチンプンカンプンだったが、最近2度ほど読み返したら何となくわかってきた。読書百遍
何とやらは本当だった。「モオツァルト」は当時でもわかり易く、その流れるような文章は内容共に衝撃的だった。
そこからファンになったが、本作は最も歯ごたえのある難しい部類に属する。しかし根気強く読めば有用な事が沢山
出てくる愛読書にしたい一冊だ。
これは講演に加筆したものということだが、こんなものを聴いて1回で理解できた人たちなのだから相当ハイブロウ
な方たちだったのだろう。
ここでは大まかに言って、実践すること、行為すること、すべての文化に貫道するリアリズムについての考察と
重要性が色々なジャンルの例を取り上げながら、滔々と語られている。
現代の最も危惧すべき状態は知識や思想を弄び、投げ合うことで満足してしまう事だという。知識、思想、真理、
観念等はあくまでもモノを作り出すための道具であって、その仕事と一体でなければならないと言うことだ。
人類はモノを作り出すことで平たく言えばドキドキ感を発見し、そのドキドキ感を再体験したいが為にまたモノを
作る。その繰り返しが歴史になると言うのだ。
思想はそのドキドキを解明する為に、及びモノを作る際の利便性の為にあるもので、そこから離れては何の意味も
持たない。モノとは一般の日用品から芸術作品、果ては思想に至るまでモノであると著者は言う。スポーツや芸能
などの行為における技術もそれと同義であるようだ。
また仏教の例では、釈迦は真理(truth)より真如(reality)を重視したと述べている。真理によって現実を縛る
のではなく、現実の体験を純化させ真理と同化させる事がrealityだと言う。体験の方が重要なのだ。
さらに空即是色の「空」についても触れており、又ドキドキを持ち出すが、これこそが「空」だと言う。心の中での
或る物に対しての有機的な反応、いわばリアリティーである。理屈や知識、カテゴリーによる理解や束縛を離れることで、
現実そのものと共感、共鳴することができるとする修練の事でもある。これは同時に「観」という事でもあるらしい。
その他にも宮本武蔵は徹底した合理主義、実用主義者であったとか、政治家は天下の整理屋に徹すべきでイデオロギー
はそのための潤滑油にすぎないとか興味深いエピソードが沢山書かれているので是非一度読まれてはいかがだろうか。
何とやらは本当だった。「モオツァルト」は当時でもわかり易く、その流れるような文章は内容共に衝撃的だった。
そこからファンになったが、本作は最も歯ごたえのある難しい部類に属する。しかし根気強く読めば有用な事が沢山
出てくる愛読書にしたい一冊だ。
これは講演に加筆したものということだが、こんなものを聴いて1回で理解できた人たちなのだから相当ハイブロウ
な方たちだったのだろう。
ここでは大まかに言って、実践すること、行為すること、すべての文化に貫道するリアリズムについての考察と
重要性が色々なジャンルの例を取り上げながら、滔々と語られている。
現代の最も危惧すべき状態は知識や思想を弄び、投げ合うことで満足してしまう事だという。知識、思想、真理、
観念等はあくまでもモノを作り出すための道具であって、その仕事と一体でなければならないと言うことだ。
人類はモノを作り出すことで平たく言えばドキドキ感を発見し、そのドキドキ感を再体験したいが為にまたモノを
作る。その繰り返しが歴史になると言うのだ。
思想はそのドキドキを解明する為に、及びモノを作る際の利便性の為にあるもので、そこから離れては何の意味も
持たない。モノとは一般の日用品から芸術作品、果ては思想に至るまでモノであると著者は言う。スポーツや芸能
などの行為における技術もそれと同義であるようだ。
また仏教の例では、釈迦は真理(truth)より真如(reality)を重視したと述べている。真理によって現実を縛る
のではなく、現実の体験を純化させ真理と同化させる事がrealityだと言う。体験の方が重要なのだ。
さらに空即是色の「空」についても触れており、又ドキドキを持ち出すが、これこそが「空」だと言う。心の中での
或る物に対しての有機的な反応、いわばリアリティーである。理屈や知識、カテゴリーによる理解や束縛を離れることで、
現実そのものと共感、共鳴することができるとする修練の事でもある。これは同時に「観」という事でもあるらしい。
その他にも宮本武蔵は徹底した合理主義、実用主義者であったとか、政治家は天下の整理屋に徹すべきでイデオロギー
はそのための潤滑油にすぎないとか興味深いエピソードが沢山書かれているので是非一度読まれてはいかがだろうか。
2005年12月16日に日本でレビュー済み
小林の「私の人生観」は「観」という言葉をめぐっての、仏教をはじめとする、さまざまなエピソードと思索に満ちている。その核心は見ることとと考えることが一つであるような生き方が、すぐれた芸術家や思想家には見られるということだろう。
明恵、釈迦、武蔵、ベルクソンなどの思想や生き方が、小林の言表によって、無類の説得力をおびている。そこに一貫するのは、現代文明への根本的な反省の必要性である。「生」に対する有機的な感覚を喪失した我々のあり方への批評である。講演体ということもあって、他の代表作からは低く見られがちであるが、この作品は小林の残した文章の中でも、非常に重要なものである。何よりも、自分の人生観の試金石になってくれるのだ。
明恵、釈迦、武蔵、ベルクソンなどの思想や生き方が、小林の言表によって、無類の説得力をおびている。そこに一貫するのは、現代文明への根本的な反省の必要性である。「生」に対する有機的な感覚を喪失した我々のあり方への批評である。講演体ということもあって、他の代表作からは低く見られがちであるが、この作品は小林の残した文章の中でも、非常に重要なものである。何よりも、自分の人生観の試金石になってくれるのだ。