新潮創刊100年記念として、荒川洋治編集長により編まれた38の短編集である。それへの筒井康隆、堀江敏幸両氏の批評対談と、名長編として40作家の長編批評が併載され、とても参考になる。そんな中より、私好みのもの5編ばかりを記してみる。
芥川龍之介「蜜柑」 小娘と汽車に乗り合わせた私。その娘が起こす出来事により、疲れ果てた暗い精神状態が、一時慰められる。
中戸川吉二「寝押」 どんなに貧窮していても、身なりだけは正していたいという、友に対する反発心、しかしある夜の出来事で見過ごすことに・・・。
島木健作「黒猫」 野良猫なのに堂々として私を感心させた黒猫は、殺される時も立派だった。
三島由紀夫「雨のなかの噴水」 あの壮絶なことの後、難しそうでもあり敬遠していた作家の文章を初めて読む。少女との別れの後、雨の中で噴水を見る少年の気持ちが、細やかで詩的。
三浦哲郎「みそっかす」 食中毒で苦しむ妻。深夜段々酷くなるが、なんとなくぐずついていた時、察知した娘達の素早い対応に、自嘲気味の彼であった。 以上が、特に心に残った。
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名短篇 (SHINCHO MOOK 新潮別冊) ムック – 2004/12/1
荒川 洋治
(編集)
新潮創刊一○○周年記念通巻一二○○号記念
- 本の長さ467ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2004/12/1
- ISBN-10410790136X
- ISBN-13978-4107901361
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2004/12/1)
- 発売日 : 2004/12/1
- 言語 : 日本語
- ムック : 467ページ
- ISBN-10 : 410790136X
- ISBN-13 : 978-4107901361
- Amazon 売れ筋ランキング: - 812,428位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2004年12月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
雑誌「新潮」に掲載された作品から選ばれたアンソロジー。
近年の作品も含まれていますが、見所は森鴎外を初めとする近代文学。
文庫本などと違い、正仮名で掲載されていて、
より当時の雰囲気を楽しめます。
(惜しいのは漢字が新字になっていること。)
後半に納められている筒井康隆さんと堀江敏幸さんの対談では、
丁寧にも一作品ずつレビューがなされていますので、
先にこちらを読んでから気になる作品を紐解くこともできます。
ハードカバーではなく、新潮のような体裁ですのでご注意ください。
近年の作品も含まれていますが、見所は森鴎外を初めとする近代文学。
文庫本などと違い、正仮名で掲載されていて、
より当時の雰囲気を楽しめます。
(惜しいのは漢字が新字になっていること。)
後半に納められている筒井康隆さんと堀江敏幸さんの対談では、
丁寧にも一作品ずつレビューがなされていますので、
先にこちらを読んでから気になる作品を紐解くこともできます。
ハードカバーではなく、新潮のような体裁ですのでご注意ください。
2005年10月13日に日本でレビュー済み
まず、人選の勝利といえる企画。
通常であれば、漱石、鷗外にはじまる著名な作品をあつめるところ、荒川洋治という現代を代表する日本文学(とくに、もはやほろびつつあるある種の純文学)の読み手が埋もれた名作を発掘、編集することで、他にはない選集が完成している。
どの作品を読んでも、荒川洋治が考える「文学とはなにか」という強いメッセージが、しかし静かに伝わってくる。
筒井康隆と堀江敏幸の、作品の感想を語りあう対談よりも、編者荒川洋治による作品ごとの選定経緯の解説を増やせば、より輪郭のはっきりした名選集となったと思うが。
ただ、それにしても名品揃いで、お買い得な一冊です。
通常であれば、漱石、鷗外にはじまる著名な作品をあつめるところ、荒川洋治という現代を代表する日本文学(とくに、もはやほろびつつあるある種の純文学)の読み手が埋もれた名作を発掘、編集することで、他にはない選集が完成している。
どの作品を読んでも、荒川洋治が考える「文学とはなにか」という強いメッセージが、しかし静かに伝わってくる。
筒井康隆と堀江敏幸の、作品の感想を語りあう対談よりも、編者荒川洋治による作品ごとの選定経緯の解説を増やせば、より輪郭のはっきりした名選集となったと思うが。
ただ、それにしても名品揃いで、お買い得な一冊です。
2023年4月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
名作が、こんなに。荒川さんに感謝。カバーに図書館用シート貼って、繰り返し読める。