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松本清張あらかると 単行本 – 1997/12/1
阿刀田 高
(著)
- 本の長さ395ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日1997/12/1
- ISBN-104120027341
- ISBN-13978-4120027345
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
アリバイ崩し、動機の追求、タイトルのつけ方、書き出しの巧みさ…。熱烈なファンを自任する著者が、独自のアプローチで松本清張の世界に迫る文学エッセイ。映像化作品リストも収録。
登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (1997/12/1)
- 発売日 : 1997/12/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 395ページ
- ISBN-10 : 4120027341
- ISBN-13 : 978-4120027345
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,067,930位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 143,339位ノンフィクション (本)
- - 251,533位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1935(昭和10)年、東京生れ。早稲田大学文学部卒。
国立国会図書館に勤務しながら執筆活動を続け、1978年『冷蔵庫より愛をこめて』でデビュー。1979年「来訪者」で日本推理作家協会賞、短編集『ナポレオン狂』で直木賞、1995(平成7)年『新トロイア物語』で吉川英治文学賞を受賞。
他に『花あらし』『シェイクスピアを楽しむために』『チェーホフを楽しむために』『佐保姫伝説』『プルタークの物語』など著書多数。
カスタマーレビュー
星5つ中4.8つ
5つのうち4.8つ
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年5月31日に日本でレビュー済み
阿刀田高は中央公論の依頼で「松本清張小説セレクション」(全36巻)を
編んだことがある。その時の各巻の末尾に添えられた阿刀田のエッセー風の
短い解説をあつめたものが当書である。清張ファンの必読書。
松本清張は評価の定まった大御所だから、おべんちゃらはいやらしい、
ボロクソにも書けない、ネタバレはまずい・・解説を書くにもいろいろ難しかった
だろうけれど、この本の興味深いところは、読者の視点というよりも、同業者
(作家)としての視点から解説していること。つまり、小説を紡ぐ立場で、
○ おれだったらこう書くんだけどな とか
○ ここはずいぶんと苦労されているな とか
○ この部分は手抜き工事だな とか
そういうなまなましい解説である。
もちろん阿刀田は清張の熱烈なファンであるが、彼の目を通して、清張の眼の
付け所、うまいところ、工夫のあと、タイトルの付け方、伏線の張り方、多人数の
登場人物を描き分ける術をるる説明されると、なるほどなあと感心する。
話は作家としての裏事情、例えばいろんなアイデアの振り分け方にも及ぶ。
つまり、これは極上のアイデアだからいつもお世話になっている雑誌XXXに書こう
とか、このアイデアはふくらませて長編のほうに持っていこうとか、これは平凡
だから締め切りのせまった週刊XXXに持っていこうとか。
こういう舞台裏は読者のなかなかうかがい知ることができないところである。
編集者として清張に伴走した藤井康栄、宮田毬栄姉妹との鼎談も、作家の
おもてに表れないすがたを垣間見させてくれておもしろい。女性観について、
阿刀田 清純なきれいさと、かげのあるきれいさと、どちらがお好みでした?
宮田 私などには清純好みみたいに見せていらっしゃいました。だから
いろんな面があると思うんです。私には、父親的な感じで接して
くださったから、知らない面がたくさんあると思います。後から、
芸者さんも好きだったと聞いて、なるほどね、と思ったりしました。
私たち編集者には、女性に関するなまな感じは絶対見せようとは
されなかったですね。きれいごとですまされました。・・
清張の家族のことも忖度してちょっと口ごもった言い方をしている。
瀬戸内寂聴『奇縁まんだら』には、清張には赤坂の花街におんな
(とびきりの美女)がいたと書いている。清張にとっては悪縁のおんなで、
彼女のおかげで清張は悪女を小説に描けるようになったと終生感謝していたとか。
Amazonで購入
阿刀田高は中央公論の依頼で「松本清張小説セレクション」(全36巻)を
編んだことがある。その時の各巻の末尾に添えられた阿刀田のエッセー風の
短い解説をあつめたものが当書である。清張ファンの必読書。
松本清張は評価の定まった大御所だから、おべんちゃらはいやらしい、
ボロクソにも書けない、ネタバレはまずい・・解説を書くにもいろいろ難しかった
だろうけれど、この本の興味深いところは、読者の視点というよりも、同業者
(作家)としての視点から解説していること。つまり、小説を紡ぐ立場で、
○ おれだったらこう書くんだけどな とか
○ ここはずいぶんと苦労されているな とか
○ この部分は手抜き工事だな とか
そういうなまなましい解説である。
もちろん阿刀田は清張の熱烈なファンであるが、彼の目を通して、清張の眼の
付け所、うまいところ、工夫のあと、タイトルの付け方、伏線の張り方、多人数の
登場人物を描き分ける術をるる説明されると、なるほどなあと感心する。
話は作家としての裏事情、例えばいろんなアイデアの振り分け方にも及ぶ。
つまり、これは極上のアイデアだからいつもお世話になっている雑誌XXXに書こう
とか、このアイデアはふくらませて長編のほうに持っていこうとか、これは平凡
だから締め切りのせまった週刊XXXに持っていこうとか。
こういう舞台裏は読者のなかなかうかがい知ることができないところである。
編集者として清張に伴走した藤井康栄、宮田毬栄姉妹との鼎談も、作家の
おもてに表れないすがたを垣間見させてくれておもしろい。女性観について、
阿刀田 清純なきれいさと、かげのあるきれいさと、どちらがお好みでした?
宮田 私などには清純好みみたいに見せていらっしゃいました。だから
いろんな面があると思うんです。私には、父親的な感じで接して
くださったから、知らない面がたくさんあると思います。後から、
芸者さんも好きだったと聞いて、なるほどね、と思ったりしました。
私たち編集者には、女性に関するなまな感じは絶対見せようとは
されなかったですね。きれいごとですまされました。・・
清張の家族のことも忖度してちょっと口ごもった言い方をしている。
瀬戸内寂聴『奇縁まんだら』には、清張には赤坂の花街におんな
(とびきりの美女)がいたと書いている。清張にとっては悪縁のおんなで、
彼女のおかげで清張は悪女を小説に描けるようになったと終生感謝していたとか。
2008年7月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
冒頭にあるように、本作は作者が〈松本清張小説セレクション〉全36卷の編集にあたって、その巻末にエッセー風の解説をつけたものを纏めたものです。従って、ここで語られている内容は、松本清張のほぼ全作品に及んでいます。
更に、36のエッセーがすべて違った切り口で書かれており、その内容は単に松本清張本人に限定されることなく、推理小説を書くこと、もっと言えば小説を書くことの本質まで迫っており、非常に興味深い作品になっています。その結果、松本清張の全貌を知る手がかりの書であると同時に、推理小説の解説書でもある訳です。
面白かったのは、かつて松本清張の担当だった姉妹と作者との対談で、ここには松本清張の知られざる「個人」が見えてきます。
女性の表現についてや、ユーモアの表現のない作品ばかりであることなど、言われてみれば、と言うことが沢山あって楽しく読むことが出来ました。
更に、36のエッセーがすべて違った切り口で書かれており、その内容は単に松本清張本人に限定されることなく、推理小説を書くこと、もっと言えば小説を書くことの本質まで迫っており、非常に興味深い作品になっています。その結果、松本清張の全貌を知る手がかりの書であると同時に、推理小説の解説書でもある訳です。
面白かったのは、かつて松本清張の担当だった姉妹と作者との対談で、ここには松本清張の知られざる「個人」が見えてきます。
女性の表現についてや、ユーモアの表現のない作品ばかりであることなど、言われてみれば、と言うことが沢山あって楽しく読むことが出来ました。
2010年2月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
松本清張のファンで、小説家をめざす者にとっては、勉強になることばかり。小説家をめざさない人でも、松本清張ファンの人には、読み応えのある本である。私もこの本に紹介されている著書を全部読んでいるわけではないので、読んでない本を読んでみたくなる。著者が作家で、作家の目を通して見た松本清張像も、興味深い。また、編集者たちの目から見た松本清張を、編集者との対談を通して紹介しているのは、人間松本清張を知る上で、大いに参考になる。作者の知識の豊富さが、この本の魅力である。
2014年8月19日に日本でレビュー済み
実作者としても清張作品を読み続けてきた阿刀田さんならではの清張作品論。
中公の「松本清張小説セレクション」への連載解説をまとめた単行本のいくつかの章(映像作品リストの章など)を差し替えたのが本文庫。清張賞賛一辺倒でないのが良い。批判したり、苦言を呈する章もある。
清張作品が100%傑作揃いでないのは明かだが、文豪視されてからは批判しにくい雰囲気もある。清張作品の魅力を達意の文章で語る阿刀田さんが、一方では実作者ならではの事情も交えて清張作品の瑕疵も語る。「うん、確かにそれは言えるなぁ」という的を得た批判なので、不快感を感じさせない。
清張ファンかつ阿刀田ファンにとっては宝物というべき一冊だと思う。
中公の「松本清張小説セレクション」への連載解説をまとめた単行本のいくつかの章(映像作品リストの章など)を差し替えたのが本文庫。清張賞賛一辺倒でないのが良い。批判したり、苦言を呈する章もある。
清張作品が100%傑作揃いでないのは明かだが、文豪視されてからは批判しにくい雰囲気もある。清張作品の魅力を達意の文章で語る阿刀田さんが、一方では実作者ならではの事情も交えて清張作品の瑕疵も語る。「うん、確かにそれは言えるなぁ」という的を得た批判なので、不快感を感じさせない。
清張ファンかつ阿刀田ファンにとっては宝物というべき一冊だと思う。
2012年12月14日に日本でレビュー済み
本書は「松本清張セレクション」の解説をまとめたものである。
したがって、本文中で解説されているのはその「〜セレクション」に収載されたものに限定される。
「点と線」、「砂の器」、「ゼロの焦点」等、代表作は網羅されているが、時代小説はどうしても分量の関係から収載が見送られている。
したがって著者の清張時代作品への言及は、「彩色江戸〜」等の短編に限られている。
このあたりが残念である。
また、清張のノンフィクション、すなわち「日本の黒い霧」や「昭和史発掘」等も収載されていないため、これらについても述べられてはいない。
本書での各作品の解説が、同業者の視点からの実に生々しく、また切り口の鋭いものであるだけに、「西街道談綺」、「天保図録」、「黒革の手帳」、「わるいやつら」、「古代史疑」等に関する著者の解説を、本書と同様のテンションで読んでみたいというのが、正直なところである。
他のレビュアーが述べているように、編集者姉妹と著者との対談は、女性編集者の視点からの清張像という点で、実に面白く、また興味深いものだった。
本書を読んで、あらためて未読の清張作品を読みたくなった。
したがって、本文中で解説されているのはその「〜セレクション」に収載されたものに限定される。
「点と線」、「砂の器」、「ゼロの焦点」等、代表作は網羅されているが、時代小説はどうしても分量の関係から収載が見送られている。
したがって著者の清張時代作品への言及は、「彩色江戸〜」等の短編に限られている。
このあたりが残念である。
また、清張のノンフィクション、すなわち「日本の黒い霧」や「昭和史発掘」等も収載されていないため、これらについても述べられてはいない。
本書での各作品の解説が、同業者の視点からの実に生々しく、また切り口の鋭いものであるだけに、「西街道談綺」、「天保図録」、「黒革の手帳」、「わるいやつら」、「古代史疑」等に関する著者の解説を、本書と同様のテンションで読んでみたいというのが、正直なところである。
他のレビュアーが述べているように、編集者姉妹と著者との対談は、女性編集者の視点からの清張像という点で、実に面白く、また興味深いものだった。
本書を読んで、あらためて未読の清張作品を読みたくなった。