誕生日というとHAPPYという形容詞が枕詞のように付されるが、この短編集の主人公たちが迎えることになる誕生日は、ほろ苦く、あるいはとても苦く、あるいは絶望的ですらある。従って、この短編集はハッピーバースデーストーリーズではない。
もしあなたが誕生日にまつわる短編集を編むとしたら、このような作品たちを選ぶだろうか。
村上氏は、誕生日にまつわる甘い連想を裏切り、ハッピーバースデー、ハッピーエンドで終わる作品をチョイスするのではなく、誰も選ばないような苦く哀しい、しかし味わい深く、心動かされるバースデーストーリーズをセレクトし1冊の本にまとめた。
セレクトショップのバイヤーにたとえるなら最高の目利きというほかない。
村上氏は優れた書き手であると同時に、(当たり前だろうが)優れた読み手でもあることを思い知らされた。
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バースデイ・ストーリーズ 単行本 – 2002/12/7
レイモンド・カーヴァー
(著),
ポール・セロー
(著),
ラッセル・バンクス
(著),
デニス・ジョンソン
(著),
ウィリアム・トレヴァー
(著),
ダニエル・ライオンズ
(著),
リンダ・セクソン
(著),
デイヴィッド・フォスター・ウォレス
(著),
イーサン・ケイニン
(著),
アンドレア・リー
(著),
村上 春樹
(著)
&
8
その他
- 本の長さ242ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2002/12/7
- ISBN-104120033414
- ISBN-13978-4120033414
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商品の説明
商品説明
「誕生日」をモチーフにした英米文学の短編小説を、村上春樹が選出し、翻訳、編集したアンソロジー。レイモンド・カーヴァーやポール・セローといった、村上ファンには馴染みの深い作家から、イーサン・ケイニンやデイヴィッド・フォスター・ウォレスなどの新進気鋭の作家作品まで、「この十年くらいのあいだに発表された、活きのいい」(「訳者あとがき」より)佳品10編が並んでいる。さらに、村上自身による書き下ろし短編「バースデイ・ガール」も収録。村上作品や現代英米文学の入門書としても最適な1冊となっている。
かつて役者を志し、現在は暖房設備の部品を販売している「私」は、雪の降るある夜、いきつけのレストランで、家族とともに食事を楽しむ1人の老婦人を目にする。店主によると、今日は彼女の80歳の誕生日だという。レストランを出ようと彼女の側を通り過ぎたとき、ふいに彼女は私の袖口をつかみ、私の名前を口にする…。(ラッセル・バンクス「ムーア人」)
誕生日に友人を撃ち殺してしまう青年(デニス・ジョンソン「ダンダン」)、夫へのプレゼントに、高級娼婦を手配する妻(アンドレア・リー「バースデイ・プレゼント」)、20歳の誕生日に不思議な老人と出会う女の子(村上春樹「バースデイ・ガール」)。さまざまな人々の、さまざまな誕生日の1日を切り取った11編の物語は、読み手自身の、かけがえのない誕生日の思い出をよみがえらせてくれる。もちろん、短編小説のおもしろさと奥深さをも、存分に味わうことのできる本書は、読者に向けて編まれた、村上春樹からのとっておきのプレゼントである。(中島正敏)
内容(「MARC」データベースより)
「誕生日」を題材にしたテーマ、収録作品の質、作家の顔ぶれ、いずれの点でも魅力的なアンソロジー。村上春樹が選んだ英米の短篇を集めた「誕生日」をめぐる11の物語。村上春樹書下ろし最新作「バースデイ・ガール」も収録。
登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2002/12/7)
- 発売日 : 2002/12/7
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 242ページ
- ISBN-10 : 4120033414
- ISBN-13 : 978-4120033414
- Amazon 売れ筋ランキング: - 157,067位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年6月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
手頃なサイズで、通勤の電車で読みました。
内容も面白くて、村上さんの作品のチョイス、名訳に感動です。
内容も面白くて、村上さんの作品のチョイス、名訳に感動です。
2003年1月22日に日本でレビュー済み
編者である村上春樹の名前に惹かれてこの本を手にする人も
多いのではないかと思う。
最終話「バースデイガール」。この短編は村上春樹にとって
海辺のカフカよりも新しい作品であるが、
とても質の高い短編だと思う。
特別に幸せでもなく普通の生活をすごす女の子が
少しだけ不思議な状況の中で、
誕生日に偶然一つの願いを叶えてくれる機会を得る。
その願いは果たして届くのだろうか。
読み終わった後、きっと読者にも彼女の願いが届くはずだ。
編者である村上春樹自身の作以外にも
すてきな短編がそろえられている。
編集をする際、
自己の作品よりも
他の作家の作品を選ぶときにこそ
センスが問われるのかもしれない。
その意味でも、
大切な人の誕生日に贈る価値も、
贈られる価値もある本である。
時には本をプレゼントするのも悪くないのではないかと思わせてくれる
珠玉の短編集である。
多いのではないかと思う。
最終話「バースデイガール」。この短編は村上春樹にとって
海辺のカフカよりも新しい作品であるが、
とても質の高い短編だと思う。
特別に幸せでもなく普通の生活をすごす女の子が
少しだけ不思議な状況の中で、
誕生日に偶然一つの願いを叶えてくれる機会を得る。
その願いは果たして届くのだろうか。
読み終わった後、きっと読者にも彼女の願いが届くはずだ。
編者である村上春樹自身の作以外にも
すてきな短編がそろえられている。
編集をする際、
自己の作品よりも
他の作家の作品を選ぶときにこそ
センスが問われるのかもしれない。
その意味でも、
大切な人の誕生日に贈る価値も、
贈られる価値もある本である。
時には本をプレゼントするのも悪くないのではないかと思わせてくれる
珠玉の短編集である。
2015年8月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
う~ん、期待してたのとは違ったけれど、それなりに楽しめました。
外国文学(翻訳)を読んだのは久しぶりだったので、やはり村上春樹氏の訳とはいえ、
内容に違和感を覚えるものが多く、なじめませんでした。
外国文学(翻訳)を読んだのは久しぶりだったので、やはり村上春樹氏の訳とはいえ、
内容に違和感を覚えるものが多く、なじめませんでした。
2003年4月4日に日本でレビュー済み
誕生日。
皆さんはどんな光景を思い浮かべますか?
家族全員でバースデーケーキを囲んで、プレゼントを渡して、明るい表情
で「ハッピーバースデートゥーユー」を歌う。。。
この短編集には、そんな幸せな(平凡な?)話は一つもありません。
仲間を殺してしまう話、確執によって息子が帰ってこない
老夫婦の話など、幸せじゃない(というか不幸な)話や、
思春期の男の子がプールに飛びこむまでのスーパーミク
ロな描写など、風変わりな話ばかり。
でも、全ての話の底流に深い愛が流れていて、僕はそこに救われました。
それぞれの作家のみずみずしい感性を味わえる、珠玉の短編集です。^^
皆さんはどんな光景を思い浮かべますか?
家族全員でバースデーケーキを囲んで、プレゼントを渡して、明るい表情
で「ハッピーバースデートゥーユー」を歌う。。。
この短編集には、そんな幸せな(平凡な?)話は一つもありません。
仲間を殺してしまう話、確執によって息子が帰ってこない
老夫婦の話など、幸せじゃない(というか不幸な)話や、
思春期の男の子がプールに飛びこむまでのスーパーミク
ロな描写など、風変わりな話ばかり。
でも、全ての話の底流に深い愛が流れていて、僕はそこに救われました。
それぞれの作家のみずみずしい感性を味わえる、珠玉の短編集です。^^
2002年12月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
誕生日のアンソロジー。こういう形でまとめられるとは思わなかった。
色々考えさせられる内容です。
「風呂」は名作だけれど、救いにはなっていない。
でも、「バースデイ・ケーキ」も残酷さより悲しみが浮き出てくる。
優しさよりも悲しさよりも、儚さが身に染みてくる作品でした。
色々考えさせられる内容です。
「風呂」は名作だけれど、救いにはなっていない。
でも、「バースデイ・ケーキ」も残酷さより悲しみが浮き出てくる。
優しさよりも悲しさよりも、儚さが身に染みてくる作品でした。
2023年8月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
春樹ワールドに入り込めず、不満が残る作品でした。長編を読むことにします。
2002年12月12日に日本でレビュー済み
「あの夏、ブルー・リヴァーで」のイーサン ケイニン (Ethan Canin)に惹かれたのですが、他の著作も短編小説の良さをじっくり噛み締めることができます。あなたは「あのひとの特別な日」に何を贈りますか?どう過ごしますか?大切だからこそ、せつない贈り物ってあるんですね。。。