芥川賞受賞後初の書き下ろし、という事だが、芥川賞作家の作品が一定の文章力レベルをクリアしているのではないのだな、と感じた。
大道氏の他の作品を読んでいないので、不当な批判をするべきではないのは十分承知しながらあえて言わせていただくなら、この作品集は、個々の文体が変わりすぎ、若者的表現を使おうとしているのだけど、それが使いきれていなかったり、簡単な表現をひらがなだけで羅列するので読みにくい。それでいて難しい表現には漢字をつかっているのでとってもアンバランス。
文章の統一のなさ、同じ作品内の文体の変化、唐突な語り部の変更などあまり読みやすい作家ではない。
はっきりいって読んでいてかなりきつかった。
10代の少女たちの生活を書きながら、作者とは世代のギャップがありすぎなのではないだろうか?というより、あえて若者に媚を売るような小説を書こうとしなくてはいいのでは、そこまで感じた。
しかし私は大道氏のほかの小説を読んでいない。他の作品を読んだら彼女に対する評価や印象も変わるかもしらない。
あくまでもこの作品集のみで評価させてもらう。
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ミルク 単行本 – 2004/9/1
大道 珠貴
(著)
「早くしないと、十六のスリリングな夏はあっというまに終わるぞ」。仲良し女子高生四人組の友情と性の交錯を描く表題作ほか、イマドキの少年少女の生をリアルに描く全7編の書き下ろし短編小説集。
- 本の長さ228ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2004/9/1
- ISBN-104120035689
- ISBN-13978-4120035685
登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2004/9/1)
- 発売日 : 2004/9/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 228ページ
- ISBN-10 : 4120035689
- ISBN-13 : 978-4120035685
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上位レビュー、対象国: 日本
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2005年2月14日に日本でレビュー済み
“きれい事で人間、生きていけないよ。子供には子供の、大人には大人の狡さや弱さがあって、心の沼みたいなものを抱えているじゃないか。その沼であっぷあっぷしながらでも、やっていけるのが不思議だよねぇ。”これまでの大道さんの作品からは、そんな印象を受けてきた。だから、どんなにだらしない女や家族が登場しても、どこか大道さんの人間を見つめる目に感じるところがあった。
ところが、『ミルク』はどうも馴染めなかった。リアルであることと、真実を描くこととは違う。多くの人を頷かせるだけの普遍的な本質を捕まえていない限り、いくら本当のことを描いてもそれはただの写実や事実にしか過ぎない。
ここに描かれた女子高生たちの日常や心理は、ある意味とてもリアルなのだろう。こんな子たちもいるだろう。
でも、作者自身がこの7篇に登場する女の子たちに、共感も理解も本当にはしていないような感を受けた。
私は本の中では何が起ころうといいと基本的に思っている。ただ「!!!」と感じることが書かれてあって欲しいのだ。作家自身が「これだ!」という思いで書いた一文に出会いたい。残念ながらこの作品で、私には大道さんのその思いを見つけることはできなかった。
そして、とても不思議に感じたのは各章のタイトルの頁にある大道さん自身による小さなイラスト。この内容でこんなにかわいいイラストを添えて、ちっとも合ってないよと変な気持ちになった。読みながら違和感を感じるのはそんな点にもあったのかもしれない。
ところが、『ミルク』はどうも馴染めなかった。リアルであることと、真実を描くこととは違う。多くの人を頷かせるだけの普遍的な本質を捕まえていない限り、いくら本当のことを描いてもそれはただの写実や事実にしか過ぎない。
ここに描かれた女子高生たちの日常や心理は、ある意味とてもリアルなのだろう。こんな子たちもいるだろう。
でも、作者自身がこの7篇に登場する女の子たちに、共感も理解も本当にはしていないような感を受けた。
私は本の中では何が起ころうといいと基本的に思っている。ただ「!!!」と感じることが書かれてあって欲しいのだ。作家自身が「これだ!」という思いで書いた一文に出会いたい。残念ながらこの作品で、私には大道さんのその思いを見つけることはできなかった。
そして、とても不思議に感じたのは各章のタイトルの頁にある大道さん自身による小さなイラスト。この内容でこんなにかわいいイラストを添えて、ちっとも合ってないよと変な気持ちになった。読みながら違和感を感じるのはそんな点にもあったのかもしれない。
2004年11月1日に日本でレビュー済み
大道さんの小説は、文章のキレの良さや観察眼の鋭さが好きで読んでいます。いつもはのめりこんで読んでしまうのですが、今回の「ミルク」はちょっと…。
主人公は、ダメ男を好きになってしまう女の子達、彼氏の勝手な性欲に抗う気も無い女子高生、手癖の悪い女の子、妹の彼氏を寝取って平気な姉、などなど…どこかリアルではあるけれど「見たくないものばっか」というのが正直な感想です。いわゆる「今時言葉」で女子高生が一人称で語る文章は、何かに迎合しているような印象を受けました。
読みやすい文章の短編ばかりだったのに、のめり込めず読み進むのに随分と時間がかかってしまいました。けれど、こういう女の子達の心情と、最近の信じられないような犯罪を引き起こしている若者の心情は重なるところがあるのかもしれない…とも感じましたが。
いずれにしても、リアルではあるけれどエンターテインメントとしては失敗という感想です。
主人公は、ダメ男を好きになってしまう女の子達、彼氏の勝手な性欲に抗う気も無い女子高生、手癖の悪い女の子、妹の彼氏を寝取って平気な姉、などなど…どこかリアルではあるけれど「見たくないものばっか」というのが正直な感想です。いわゆる「今時言葉」で女子高生が一人称で語る文章は、何かに迎合しているような印象を受けました。
読みやすい文章の短編ばかりだったのに、のめり込めず読み進むのに随分と時間がかかってしまいました。けれど、こういう女の子達の心情と、最近の信じられないような犯罪を引き起こしている若者の心情は重なるところがあるのかもしれない…とも感じましたが。
いずれにしても、リアルではあるけれどエンターテインメントとしては失敗という感想です。
2010年12月18日に日本でレビュー済み
この本に登場する主人公たちと似たりよったりの年齢なので、とても共感してしまう。
共感といっても、自分がそのようだというのではなく、「こうありたい」や「こうなってはだめだ」というような感情をもたらされるという意味において。
大道さんは似た雰囲気の話が多いので、もう読まなくていいかと思っていたが、それでも今回ふとした描写にはっとさせられてしまった。
いつも微妙ないやあな感じがとても上手く描れていて、更にそこで開き直る主人公に辟易させられることが多い。
自分はそれでも、ただきれいで泣けるお話を描かれるよりはいい、と思う。
他者/家族/自分自身のすべてに対して妙に冷めた目線を持っている主人公たちから発せられた感情や考えに、逆に妙な切実さや愛おしさを感じる。
ただ「共感」という尺度で読んでいるため、小説として評価できないという人がいても反論できないかもしれない。
あと、とてもファンシーとは言えない内容なのに、大道さん自らによるファンシーなイラストは確かに謎です。
共感といっても、自分がそのようだというのではなく、「こうありたい」や「こうなってはだめだ」というような感情をもたらされるという意味において。
大道さんは似た雰囲気の話が多いので、もう読まなくていいかと思っていたが、それでも今回ふとした描写にはっとさせられてしまった。
いつも微妙ないやあな感じがとても上手く描れていて、更にそこで開き直る主人公に辟易させられることが多い。
自分はそれでも、ただきれいで泣けるお話を描かれるよりはいい、と思う。
他者/家族/自分自身のすべてに対して妙に冷めた目線を持っている主人公たちから発せられた感情や考えに、逆に妙な切実さや愛おしさを感じる。
ただ「共感」という尺度で読んでいるため、小説として評価できないという人がいても反論できないかもしれない。
あと、とてもファンシーとは言えない内容なのに、大道さん自らによるファンシーなイラストは確かに謎です。