本書『パリの秘密』は、2003年から三年間、東京新聞に連載された記事をまとめたものであると、著者あとがきで知った。
著者は、この連載中は年に三、四回はパリに足を運んで、現場感覚を失わないようにつとめたそうである。
年に三、四回もパリに取材で行った費用は、東京新聞が?それとも自腹で?などと評者は思い煩ってしまったのです。
が、十九世紀のパリについて描かせたら右に出る人などいない鹿島さんならではの心意気を感じてしまったのは評者だけではないだろう。
本書中のエッセイは、とにかく短いが中身が濃い話ばかりである。
パリ観光ガイドブックとして本書を手にした人は、多分期待外れになってしまっただろうと思う。
評者は、氏のパリについての書籍をかなり読んできたが、「パリに居座るゲニウス・ロキ(地霊)」を、「秘密」として捉えて歩き回って書いたエッセイはそんなに多くないような記憶である(『パリ時間旅行』、『パリ五段活用 時間の迷宮都市を歩く』などは、多少本書の内容と似ているが)。
特に建物のファサード(正面壁)に、「なんだ、これは!?」というような壁面装飾についてのエッセイが興味を惹くが、氏の好きなパサージュや古書店などのエッセイも何話か読ませてくれた。
各エッセイはじめのページに、奥さまの岸リューリさんが描いたスケッチもページを繰る楽しさを味わせてくれたし、ページ10まで読んできたところで、紙面の左下の輪回し少女に気が付き「これひょっとして」と、ページをパラパラしてみたら、やはり紙動画になっていた。
なかなか洒落た趣向だと感心してしまったのです。
「エッフェル塔」、「オペラ座のミツバチ」、「セーヌ河岸の古本屋」、などなど既知のことを書いたエッセイもあったが、えっ!ふ~ん!と感心しながら読んだエッセイが多く、興味津々で読みおえた本でした。
パリ博士(おたく)ならではのパリの秘密エッセイ集を、パリ好きに是非お勧めしたい一冊だと思いながら興味深く読了しました。
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パリの秘密 単行本 – 2006/10/1
鹿島 茂
(著)
エッフェル塔、モンマルトルの丘から名もなき通りの片隅まで……数百年の時を経てなお、パリに満ちる「秘密」の香り。夢の名残を追って現代と過去を行き来する、瀟洒なエッセイ集。
- 本の長さ224ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2006/10/1
- ISBN-104120037738
- ISBN-13978-4120037733
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登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2006/10/1)
- 発売日 : 2006/10/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 224ページ
- ISBN-10 : 4120037738
- ISBN-13 : 978-4120037733
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年2月10日に日本でレビュー済み
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2021年7月5日に日本でレビュー済み
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ある程度パリに詳しい人向けのエッセイだと思います。各テーマは3ページと短いので、気軽に読め、「へえー」と思わされるような歴史や秘密に溢れています。近年のパリはちょっとうるさすぎる都市になってしまったので、この本で良き時代の気分に浸る方がロマンチックかもしれません。
2016年1月20日に日本でレビュー済み
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面白く読みやすかったので鹿島茂の他のも読んでみたいと思った。
2015年8月23日に日本でレビュー済み
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鹿島先生の本をかたっぱしから読みましたが、これが一番おもしろかった。ふつうのガイドブックにはこんなネタ載ってないというものばかりで楽しかったです。
2019年11月14日に日本でレビュー済み
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鹿島氏の興味深いことが書かれていることが多く、かといって専門的になり過ぎないバランスがうまく読みやすいので、好んで何冊も読んでいます。
本作はパリの土地、建物にまつわるこぼれ話、雑学的なエピソードを数多く紹介しています。一つ一つを紹介する分量は少ないので、特定の建物について深く知りたいという人はお勧めできません。しかし、多く紹介されている分
、「ここに行ったことがある」、「この近くの場所を知っている」といった経験を持つ読者も多くいるのではないでしょうか。
私自身はパリで過ごしたことはほとんど無いので、行く機会が今後あったら本書を片手に建物を探しても良いかもしれません。
本作はパリの土地、建物にまつわるこぼれ話、雑学的なエピソードを数多く紹介しています。一つ一つを紹介する分量は少ないので、特定の建物について深く知りたいという人はお勧めできません。しかし、多く紹介されている分
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私自身はパリで過ごしたことはほとんど無いので、行く機会が今後あったら本書を片手に建物を探しても良いかもしれません。
2014年1月1日に日本でレビュー済み
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世界の憧れでパリ、パリのカフェでこの本を読みたいな、パリは世界の首都だと思います。
2012年12月1日に日本でレビュー済み
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さすがの知識と愛情を感じる、最近お軽薄な安直紹介書とは違うパリを愛する人向け。
2007年5月20日に日本でレビュー済み
鹿島氏もかなりパリ狂な人だ。
19世紀のフランスを専門にしている鹿島氏なので、19世紀を主体にした建物への思い入れある描写が多い。加えて映画への傾斜もけっこうページを割いている。
パリの街を形成してる文化に陶酔してるパリ狂のエッセイは、ほほう鹿島氏はパリのそこがお気に入りですかぁなどど、けっこう愉しめて読ませてもらった。
19世紀のフランスを専門にしている鹿島氏なので、19世紀を主体にした建物への思い入れある描写が多い。加えて映画への傾斜もけっこうページを割いている。
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