内容は新書程度のわかりやすい形にまとめられているものの、しかしその本質を理解するにはかなりの教養が必要とされると思われる。ということで私は楽しく読めたものの、内容をしっかり理解したかといわれると微妙です。
ただ、こうした本の上っ面だけ捉えて(山崎氏自身「〜ではないだろうか」的な微妙な表現を多用しすぎな感もあるが)完結してしまうようでは寂しいと思う。ある程度装飾やデザインについての予備知識を得てから読まれることをお勧めしたい。あるいは、この本を参考に自学すれば実りのあるものになるのではないだろうか。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
装飾とデザイン 単行本 – 2007/6/1
山崎 正和
(著)
- 本の長さ299ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2007/6/1
- ISBN-104120038378
- ISBN-13978-4120038372
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2007/6/1)
- 発売日 : 2007/6/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 299ページ
- ISBN-10 : 4120038378
- ISBN-13 : 978-4120038372
- Amazon 売れ筋ランキング: - 257,550位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 17,578位アート・建築・デザイン (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
星5つ中3.7つ
5つのうち3.7つ
全体的な星の数と星別のパーセンテージの内訳を計算するにあたり、単純平均は使用されていません。当システムでは、レビューがどの程度新しいか、レビュー担当者がAmazonで購入したかどうかなど、特定の要素をより重視しています。 詳細はこちら
8グローバルレーティング
虚偽のレビューは一切容認しません
私たちの目標は、すべてのレビューを信頼性の高い、有益なものにすることです。だからこそ、私たちはテクノロジーと人間の調査員の両方を活用して、お客様が偽のレビューを見る前にブロックしています。 詳細はこちら
コミュニティガイドラインに違反するAmazonアカウントはブロックされます。また、レビューを購入した出品者をブロックし、そのようなレビューを投稿した当事者に対して法的措置を取ります。 報告方法について学ぶ
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2016年3月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
文明論かと云われればこれは文明論ではない。文化論に近いし、人類論と云う方が適当だろう。「先史人」という語を使用できる評論家はなかなかいない。
ただ、大上段に立った推定や推量のようなこともそれこそ装飾的な修飾語、韻を踏んだ表現に交えて断定が多く、独り合点、手前勝手、独断、臆見は方々にちりばめられている。勿論、適切な適度な解説、説明になっている部分もあるにはあるだろうが、造形、工芸、芸術、デザイン等々の概念自体を問うている、断定を試行しつつ問いながら問い続けて終わっているのだから、そういうものとして読まねばならない。
私自身のテーマに還ると、これでは神/悪魔の解明は覚束ない。寧ろ、その抑制や阻止に先走ったくらいの内容であり、博識者の感想文の域を出るものではない。
ただ、大上段に立った推定や推量のようなこともそれこそ装飾的な修飾語、韻を踏んだ表現に交えて断定が多く、独り合点、手前勝手、独断、臆見は方々にちりばめられている。勿論、適切な適度な解説、説明になっている部分もあるにはあるだろうが、造形、工芸、芸術、デザイン等々の概念自体を問うている、断定を試行しつつ問いながら問い続けて終わっているのだから、そういうものとして読まねばならない。
私自身のテーマに還ると、これでは神/悪魔の解明は覚束ない。寧ろ、その抑制や阻止に先走ったくらいの内容であり、博識者の感想文の域を出るものではない。
2016年11月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
思ったより綺麗です。ずっと見て欲しかったです。図書館から繰り返し借りて、とても面倒から、やっぱり買ってよかったです!
2022年12月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
〇 人類が先史以来、どのようにしてモノを形造ってきたかという造形史を語る評論。著者の議論の仕方はいつものとおりで、混沌のなかから核となる概念とそれに対抗する概念をザクッとつかみ出して、それを対比しながら話を進める。本書では書名にもなっているように、もの本来の使途に適した形を示す「デザイン」と、それに付け加えられる「装飾」がそれである。造形史となれば他にもいろいろな要素があるのだろうけれど、潔くこの二つに絞って二項対立のかたちを作っているために議論がとても見通しがよくなっている。
〇 造形史をデザインと装飾の相克の歴史と捉えるならば、そのあとの展開は予想がつきやすい。長い人類の歴史のなかで、デザインは分業と大量生産に進み、機能を追求して、たとえばコルビュジエの簡明な建築に至る。これに対して、装飾は職人による一品生産に進み、装飾の過剰が工芸と美術を生んだりしながら、たとえばガウディの建築に至る、ということになる。
〇 わたしが特に面白いと思ったのは、この長大な歴史のごく始まりの部分、先史人がいかにしてモノを意識するに至ったかという記述だ。狩りをする先史人は、獲物を認めると同時にしめたという感触のなかで、無意識のまま身体の自動的な動きとして手近にある棒を取って動物に打ちかかったのではないか、そして棒が短くて狩りに失敗したときにはじめて手中の棒を客体として眺め何が悪かったのかと考えたのであろうと言う。これは自他の区別もない無分節の世界に生きていた人間が、世界の分節化を始める瞬間についての実に説得力ある描写であると思う。「言語が世界を分節する」ということはよく耳にして何となくわかったような気でいたが、本書で生々しい感触とともに体得できたような気がする。
〇 もうひとつ面白いと思ったのは、表現はすべて約束事のなかで行われているという考え方だ。人はものごとをありのままに見る力を持っているというのは素朴な誤解であって、天才がいかにその個性を表現したとしても、それは例えばリアリズムというパラダイムのなかでリアリズムの約束事にしたがって行っているに過ぎない。。本当の革命は、このパラダイムが変わるときを言うのであり、そのようなことは人類の歴史上そう頻繁には起きていない、と言う。天才の個性が美術の歴史を変えるのだとぼんやり思い込んでいたわたしはハッとさせられた。
〇 造形史をデザインと装飾の相克の歴史と捉えるならば、そのあとの展開は予想がつきやすい。長い人類の歴史のなかで、デザインは分業と大量生産に進み、機能を追求して、たとえばコルビュジエの簡明な建築に至る。これに対して、装飾は職人による一品生産に進み、装飾の過剰が工芸と美術を生んだりしながら、たとえばガウディの建築に至る、ということになる。
〇 わたしが特に面白いと思ったのは、この長大な歴史のごく始まりの部分、先史人がいかにしてモノを意識するに至ったかという記述だ。狩りをする先史人は、獲物を認めると同時にしめたという感触のなかで、無意識のまま身体の自動的な動きとして手近にある棒を取って動物に打ちかかったのではないか、そして棒が短くて狩りに失敗したときにはじめて手中の棒を客体として眺め何が悪かったのかと考えたのであろうと言う。これは自他の区別もない無分節の世界に生きていた人間が、世界の分節化を始める瞬間についての実に説得力ある描写であると思う。「言語が世界を分節する」ということはよく耳にして何となくわかったような気でいたが、本書で生々しい感触とともに体得できたような気がする。
〇 もうひとつ面白いと思ったのは、表現はすべて約束事のなかで行われているという考え方だ。人はものごとをありのままに見る力を持っているというのは素朴な誤解であって、天才がいかにその個性を表現したとしても、それは例えばリアリズムというパラダイムのなかでリアリズムの約束事にしたがって行っているに過ぎない。。本当の革命は、このパラダイムが変わるときを言うのであり、そのようなことは人類の歴史上そう頻繁には起きていない、と言う。天才の個性が美術の歴史を変えるのだとぼんやり思い込んでいたわたしはハッとさせられた。