「死んでいるはずの少女が、写真に写っていた」、という冒頭の謎は、充分に魅力的だ。例によって著者独特の、「時空を越えて事件を解決する」云々の話かと思ったら、どうしてどうして、ちゃんとした?本格ミステリである。最近読んだ著者の作品の中では、ダントツの出来栄え。
この小説がどうして、「2010年ミステリ・ベスト10」に選ばれなかったのか? 内容の骨子は、「書かれた小説が、関係者の運命を翻弄する」、というお話だが、この小説自体が、翻弄される運命にあったのか、と勘ぐりたくなる。ミステリ・ベスト10なんて、小さい小さい、と思わせるほど、著者の近作の中では傑作である。
ラストがほろ苦く、余韻が残る。
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幻視時代 単行本 – 2010/10/1
西澤 保彦
(著)
- 本の長さ266ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2010/10/1
- ISBN-10412004159X
- ISBN-13978-4120041594
登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2010/10/1)
- 発売日 : 2010/10/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 266ページ
- ISBN-10 : 412004159X
- ISBN-13 : 978-4120041594
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年10月2日に日本でレビュー済み
主人公、矢渡利悠人が高校三年生の時に
同級生でありながらデビューしていた女の子、風祭飛鳥。
彼女は自宅で包丁を突き立てられた遺体で発見される。
容疑者には皆にアリバイがある。
しかし、彼女には自殺する理由はない。
はたして犯人は・・・?
二十二年後ついに真相が明らかになる。
という内容です。
主人公等の当時の様子から書いてあります。
ただ、二十二年も経過していますので現在までの描写だけでも
ページ数をとられています。
西澤保彦氏の作品にはお馴染みの食べながら、飲みながらの
推理合戦は残念ながら後半からでした。
千明匠シリーズのような推理合戦を期待すると
ガッカリしてしまう人もいるかもしれません。
ですが西澤保彦氏らしい作品であると思いました。
同級生でありながらデビューしていた女の子、風祭飛鳥。
彼女は自宅で包丁を突き立てられた遺体で発見される。
容疑者には皆にアリバイがある。
しかし、彼女には自殺する理由はない。
はたして犯人は・・・?
二十二年後ついに真相が明らかになる。
という内容です。
主人公等の当時の様子から書いてあります。
ただ、二十二年も経過していますので現在までの描写だけでも
ページ数をとられています。
西澤保彦氏の作品にはお馴染みの食べながら、飲みながらの
推理合戦は残念ながら後半からでした。
千明匠シリーズのような推理合戦を期待すると
ガッカリしてしまう人もいるかもしれません。
ですが西澤保彦氏らしい作品であると思いました。
2020年8月3日に日本でレビュー済み
高校の文芸部に属する主人公矢渡利悠人は小説執筆に打ち込む同学年の風祭飛鳥に惹かれていく。飛鳥は文芸誌の新人賞に輝き一躍時の人になるが、第3作発表の前に無残にも包丁で刺され家も放火されてしまう。これを引きずったまま20数年後、独身のまま評論家となった主人公の前に写真の中の幽霊として飛鳥は姿を現す。悠人と悠人の後輩でミステリー作家となった生浦蔵之介と編集者の3人で飛鳥の死の真相を論じ合う。ああでもないこうでもないと何人かで論じ合うのは西澤保彦の小説の得意とするところだ。この中で、悠人の死んだ母の未発表の小説が鍵を握っていることが分かり、驚愕の結論を導き出す。うーん、飛鳥の行動には納得できないところもないでもない。しかし、こうなると何というか、悠人の人生は悲しい。これからどうやって生きていくのか。
2011年11月18日に日本でレビュー済み
彼女はアヤカシ?
あらすじ
文芸評論家の矢渡利悠はある一枚の写真の前に釘付けとなった。
18年前の大地震直後のその画面には、
死んだはずの一人の少女が写っていた。
少女の名は風祭飛鳥。悠人の同級生であり、淡い初恋の相手…。
心霊写真なのか?いや、飛鳥が生きているのか!?
22年の時を超え、辿り着いた迷宮入り事件の全貌とは!?
感想
主人公の矢渡たちが繰り広げる饒舌な推理合戦は
ホラーサイドとミステリサイドの間を
ふわふわ漂って、読んでいてとてもスリリング。
でも、その楽しい推理合戦から浮かび上がってくる真相(?)は
あまり楽しくないところに着地します。
若さの内側にくっついている弱さ(と言うよりは、いたしかたなさ)
によって登場人物たちの行動が少しづつ
正しくない方向にずれていくのですが
その一つ一つの行動を見ると自業自得と言いきれないのに
どんぴしゃにヒドイ結末にハマってしまうそのさまは
登場人物たちが何か未知なるものに操られているようで
読んでいて不気味な感覚に陥ります。
そしてそれを際立たせる序盤に出てくるさりげない一言が巧妙。
推理自体にオチが付いているのに
それだけでは終わらせないところが小憎いです。
読んでからの一言
表紙が中身と全然関係なくて素敵だ。
あらすじ
文芸評論家の矢渡利悠はある一枚の写真の前に釘付けとなった。
18年前の大地震直後のその画面には、
死んだはずの一人の少女が写っていた。
少女の名は風祭飛鳥。悠人の同級生であり、淡い初恋の相手…。
心霊写真なのか?いや、飛鳥が生きているのか!?
22年の時を超え、辿り着いた迷宮入り事件の全貌とは!?
感想
主人公の矢渡たちが繰り広げる饒舌な推理合戦は
ホラーサイドとミステリサイドの間を
ふわふわ漂って、読んでいてとてもスリリング。
でも、その楽しい推理合戦から浮かび上がってくる真相(?)は
あまり楽しくないところに着地します。
若さの内側にくっついている弱さ(と言うよりは、いたしかたなさ)
によって登場人物たちの行動が少しづつ
正しくない方向にずれていくのですが
その一つ一つの行動を見ると自業自得と言いきれないのに
どんぴしゃにヒドイ結末にハマってしまうそのさまは
登場人物たちが何か未知なるものに操られているようで
読んでいて不気味な感覚に陥ります。
そしてそれを際立たせる序盤に出てくるさりげない一言が巧妙。
推理自体にオチが付いているのに
それだけでは終わらせないところが小憎いです。
読んでからの一言
表紙が中身と全然関係なくて素敵だ。
2010年12月9日に日本でレビュー済み
これには素直に感心した。
数ある著者の作品中でも五指に入る出来ではないだろうか。
謎の提示も魅力的だし、普通ならありえないであろう話をギリギリのところでうまく着地させている。
ラスト近くで展開される仮説の積み重ねもスリリングかつ説得力にも富んでいる。
出版時期に恵まれなかったのか、今年度の各種ランキングからもほとんど無視された結果になったが、
個人的には今年度作品のベストといってもいい。
唯一の難点はタイトルか。
単なるダジャレだし、あんまり内容とも関係がない。(いや、そりゃちょっとは関係あるが)
もともと非凡なタイトルセンスを持つ著者にしてはもう少しましなタイトルがなかったのか、それだけが唯一の不満である。
数ある著者の作品中でも五指に入る出来ではないだろうか。
謎の提示も魅力的だし、普通ならありえないであろう話をギリギリのところでうまく着地させている。
ラスト近くで展開される仮説の積み重ねもスリリングかつ説得力にも富んでいる。
出版時期に恵まれなかったのか、今年度の各種ランキングからもほとんど無視された結果になったが、
個人的には今年度作品のベストといってもいい。
唯一の難点はタイトルか。
単なるダジャレだし、あんまり内容とも関係がない。(いや、そりゃちょっとは関係あるが)
もともと非凡なタイトルセンスを持つ著者にしてはもう少しましなタイトルがなかったのか、それだけが唯一の不満である。
2011年1月16日に日本でレビュー済み
様々なミステリーを操る奇才西澤保彦氏による書き下ろし作品です。
22年前、18年前、現在の3つの時間軸でそれぞれの事件が交わっていくというプロットの妙が秀逸です。1枚の写真から、紆余曲折を経て、主人公が時空を超えた真実を解明するという流れは、読者を一気に作中に引き込みます。
さすが西澤氏、上手いです。プロットもリーダビリティもトリックも、そして解決もハイレベルです。とくに真相究明においては、主人公を含む3人が知恵と推理を出し合って、様々な仮説を検証し、否定し、さらなる仮説を検証していくというループが何十回と繰り返された末に、真実に繋がります。この辺りに手抜きが全く無いのがミステリー好きにはたまりません。
手放しで喝采を送りたいところですが、唯一写真の少女の謎についてだけが少し無理が感じられ、実はこれは本書で最初のキーとなる部分であるだけに、残念でした。いっそ、ここは無くてもよかったのではとも思いました。
というわけで星を一つ減らしましたが、十分に楽しめる作品であったと思います。なお、時代設定が私と同世代というのも加点要素ではあります。
22年前、18年前、現在の3つの時間軸でそれぞれの事件が交わっていくというプロットの妙が秀逸です。1枚の写真から、紆余曲折を経て、主人公が時空を超えた真実を解明するという流れは、読者を一気に作中に引き込みます。
さすが西澤氏、上手いです。プロットもリーダビリティもトリックも、そして解決もハイレベルです。とくに真相究明においては、主人公を含む3人が知恵と推理を出し合って、様々な仮説を検証し、否定し、さらなる仮説を検証していくというループが何十回と繰り返された末に、真実に繋がります。この辺りに手抜きが全く無いのがミステリー好きにはたまりません。
手放しで喝采を送りたいところですが、唯一写真の少女の謎についてだけが少し無理が感じられ、実はこれは本書で最初のキーとなる部分であるだけに、残念でした。いっそ、ここは無くてもよかったのではとも思いました。
というわけで星を一つ減らしましたが、十分に楽しめる作品であったと思います。なお、時代設定が私と同世代というのも加点要素ではあります。
2010年12月15日に日本でレビュー済み
一枚の写真に写ったいるはずのない少女をめぐる話。
はたしてSFなのか、ミステリなのか、青春回顧録なのかぎりぎりまで読者を翻弄するので飽きさせない。
終盤にかけて一気に物語が完結に向うが、それすらも正しいのか否か想像の幅が広がります。
期待以上におもしろかったです。
はたしてSFなのか、ミステリなのか、青春回顧録なのかぎりぎりまで読者を翻弄するので飽きさせない。
終盤にかけて一気に物語が完結に向うが、それすらも正しいのか否か想像の幅が広がります。
期待以上におもしろかったです。