性的暴行を受けた女性の中には、同じ経験を自ら繰り返す人がいます。
別件で再びレイプされたり、性的に奔放になり過ぎたり、水商売に就いたり。
お気を悪くされた人がいたら申し訳ありません。
自分はそういった方々を揶揄しているわけではありませんし、例外の人達も沢山いると思います。
ただ本書の黒江はそういうタイプなのだろうと思いました。
物語後半で黒江は、自分は母親との間に信頼関係を築けなかったから、母と同性である女性全般と上手く交流できないことを悟るのですが、それは父親についても同様です。
父親の性的虐待に加えてレイプ未遂が刷り込まれているため、男性との間に性的関係を結びつけやすいメンタリティなのでしょうか。そして女性には心を開けない。
両親からまともに愛されなかった彼女が、『私だけの神様』という形で庇護してくれる存在を第三者に求めたのは無理もないことに思えます。
この『神様』というのは、世界の負の側面から自分を守ってくれる存在、自分だけを愛してくれる存在であり、父親と母親の代替えであることは想像に難くありません。
けれど、まだ中学生の彌生君にそれを求めるのは酷ですし、暴力と女性の匂いが絶えない羽場先輩は彼女の求める『神様』にはなり得ませんでした。
加えて黒江は上記のメンタリティ故、大人になった彌生君とも当然セックスを行い、父親と性交しているかのような錯覚を覚えて破局してしまいます。
そもそも他人に実の親以上の包容力を求めること自体が破綻を招く要因なのですが、彼女はこれらすべてを無自覚に行っているので、本人にはどうしようもないのです。
島本理央さんの女性主人公は大抵心に傷を抱えています。
けれど人は心の傷が深すぎたり、傷ついた精神のまま成長すると、事情を知らない第三者に不快を与える人格障害的なパーソナリティになる場合があります。
そういう意味で、黒江はこれまでの主人公の集大成のように感じます。
それ以外では、仁さんの存在が良かったですね。
島本作品には、『過去に受けた傷から立ち直れず、主人公を負の側に巻き込む年上男性』と、『傷ついた主人公をのびやかに受け止める年下男性』の2種類のタイプが登場します。(例外や本物のクズもいますが)
読者間では包容力のある年下タイプが人気のようですが、
「彼らは生まれ持った陽性の人格で行動してるだけで、年上タイプのように人生観を覆す痛手を受けたらどうなるのだろう」という疑問が私はずっとありました。
仁さんはまさしくそれだったのかもしれません。
島本理央さんの十周年記念作品。自分的には読んでよかったです。
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アンダスタンド・メイビー 下 単行本 – 2010/12/1
島本 理生
(著)
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- 本の長さ333ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2010/12/1
- ISBN-104120041689
- ISBN-13978-4120041686
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登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2010/12/1)
- 発売日 : 2010/12/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 333ページ
- ISBN-10 : 4120041689
- ISBN-13 : 978-4120041686
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,232,067位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年8月9日に日本でレビュー済み
島本理生さんのエンターテイメント挑戦作にして、初の(上・下巻)に跨がる長編書き下ろし作品。内容は、少女が大人になっていく過程を瑞々しく描いている。幼少期ある犯罪に巻き込まれ、無意識下でそれは、人生に大きく影響を及ぼしていた。主人公黒江は、無我夢中で駆け抜けていくような内容だ。直木賞候補にノミネートされていた作品でもあり、作者がデビューし、主だった作風の純文学とは一味違った雰囲気なのですが、描写はやはり島本節炸裂で、どの人物も鮮明に思い描ける気がした。
実写化したら、同居人の浦賀仁さんは、やっぱり斎藤工さんですかね〜? 黒江ちゃんは、『あまちゃん』の能年ちゃんがぴったりかも!?
実写化したら、同居人の浦賀仁さんは、やっぱり斎藤工さんですかね〜? 黒江ちゃんは、『あまちゃん』の能年ちゃんがぴったりかも!?
2011年9月19日に日本でレビュー済み
黒江はとても愚かで欲しがりやさんの女の子だ。
そんな彼女が中学から成人するまでの人生、出来事を綴ったものがこの小説だ。
では、なぜに彼女は目に余るくらい愚かで、欲しがり屋さんなのだろう。
それがこの話の肝になっているようだ。
子供は生まれてから大人になるまでに、両親や周りの大人たちに庇護され、愛しまれなければ
立派な大人になれないそうだ。
それが足りないとなると黒江のような欲しがり屋さんになってしまう。
またその愛情が醜くゆがんでいると黒江みたいに愚かになってしまう。
といったような説明じみたくだりがあるが、それは無くてもよいような気がする。
昨今はスポイルされた子供達の存在はだいたい周知のことであるゆえ、原因などを書き添えてしまうと
じつに通り一遍な話になってしまうのではないかと思った。
それが無くたって、彼女の数年間の紆余曲折だけでも十分の読み応えのある話になりそうなのに。。
蛇足だが、話の中に食事風景が多い。
そしてやたらと冷蔵庫からジュースやコーラを出してくる。。
これが昨今の若者の食事風景なのか。
食欲旺盛に食べる描写にあってもその食べ物が旨そうに伝わってこない。
黒江が料理上手だという描写があまりうまく伝わってこない。
食事や料理の描写を多く取り込みそれを表現しようとしているのだろうが、効果が見られない。
それは家庭料理を弁当を、サンドウィッチを、イタリアンレストランのパスタを、甘ったるいソフトドリンクと共に描かれているからだ。
これは完全に個人的な感想に過ぎず、瑣末なことだろうが。
全体に割りに焦点がぼやけている描写が目立ち、厳しくコーナーを突く表現が少ないような気がした。
せめて大切な男女関係のシーンは焦点をこれでもかというくらいぴったりと合わせ、生々しく描いてほしいと感じた。
そうでなければ、黒江の経験した屈辱的な痛みや心が壊れるほどの恐怖が伝わらない。
まあ読み手が鈍感で主人公のそれを共感出来ないだけかもしらんんが。。
そんな彼女が中学から成人するまでの人生、出来事を綴ったものがこの小説だ。
では、なぜに彼女は目に余るくらい愚かで、欲しがり屋さんなのだろう。
それがこの話の肝になっているようだ。
子供は生まれてから大人になるまでに、両親や周りの大人たちに庇護され、愛しまれなければ
立派な大人になれないそうだ。
それが足りないとなると黒江のような欲しがり屋さんになってしまう。
またその愛情が醜くゆがんでいると黒江みたいに愚かになってしまう。
といったような説明じみたくだりがあるが、それは無くてもよいような気がする。
昨今はスポイルされた子供達の存在はだいたい周知のことであるゆえ、原因などを書き添えてしまうと
じつに通り一遍な話になってしまうのではないかと思った。
それが無くたって、彼女の数年間の紆余曲折だけでも十分の読み応えのある話になりそうなのに。。
蛇足だが、話の中に食事風景が多い。
そしてやたらと冷蔵庫からジュースやコーラを出してくる。。
これが昨今の若者の食事風景なのか。
食欲旺盛に食べる描写にあってもその食べ物が旨そうに伝わってこない。
黒江が料理上手だという描写があまりうまく伝わってこない。
食事や料理の描写を多く取り込みそれを表現しようとしているのだろうが、効果が見られない。
それは家庭料理を弁当を、サンドウィッチを、イタリアンレストランのパスタを、甘ったるいソフトドリンクと共に描かれているからだ。
これは完全に個人的な感想に過ぎず、瑣末なことだろうが。
全体に割りに焦点がぼやけている描写が目立ち、厳しくコーナーを突く表現が少ないような気がした。
せめて大切な男女関係のシーンは焦点をこれでもかというくらいぴったりと合わせ、生々しく描いてほしいと感じた。
そうでなければ、黒江の経験した屈辱的な痛みや心が壊れるほどの恐怖が伝わらない。
まあ読み手が鈍感で主人公のそれを共感出来ないだけかもしらんんが。。
2020年12月2日に日本でレビュー済み
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とても面白い
2011年8月31日に日本でレビュー済み
――私の身体はたぶん、
ずっと前に荒らされて死んでいた、
廃墟みたいだった。
父親から送られてきた幼少期の写真によって、決定的な崩壊を歩むことになった主人公が、写真へと救いを見出す物語、だと感じました。
長崎出身なので、下巻で主人公がモデル(と、忘れたころに師匠)と旅する長崎の町の描写や、中でも教会内部の描写が非常に鮮やかに映し出され、彼女がステンドグラスに手を伸ばした写真さえも目に見えるようでした。
ステンドグラスは、光を通して神を見る装置です。
彼女はずっと、神に手を伸ばし続けていたのでしょう。救いを求めて。
一般的な『傷』よりも主人公が受けたものは深く歪なものですが、彼女が全てを師匠に告白し、向き合うために過去の人物に会いに行く場面から、少しずつ光が差して来たように感じました。
百年後とまでは行かなくとも、主人公はきっと師匠の下に帰ると思います。
ずっと前に荒らされて死んでいた、
廃墟みたいだった。
父親から送られてきた幼少期の写真によって、決定的な崩壊を歩むことになった主人公が、写真へと救いを見出す物語、だと感じました。
長崎出身なので、下巻で主人公がモデル(と、忘れたころに師匠)と旅する長崎の町の描写や、中でも教会内部の描写が非常に鮮やかに映し出され、彼女がステンドグラスに手を伸ばした写真さえも目に見えるようでした。
ステンドグラスは、光を通して神を見る装置です。
彼女はずっと、神に手を伸ばし続けていたのでしょう。救いを求めて。
一般的な『傷』よりも主人公が受けたものは深く歪なものですが、彼女が全てを師匠に告白し、向き合うために過去の人物に会いに行く場面から、少しずつ光が差して来たように感じました。
百年後とまでは行かなくとも、主人公はきっと師匠の下に帰ると思います。
2020年6月14日に日本でレビュー済み
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個人的にはあまり好きではなかった。
女性視点の日常の非日常という感じ。
REDで作者を知って、そちらも女性視点での物語だったが都合が良い展開と押しつけのような感情だった。
自分が男だから共感できないのか?と思い、決めつけるのは良くないと本作を購入し読んではみたものの
女性視点のご都合主義。小説なんだしもちろん悪い事だけではない。
そこに自分を重ねる人もいるだろうし、自分だったらと投影する方もいらっしゃると思う。
ただ単に自分がはまらなかっただけ。正直なところ、男性向きの作者ではないかと感じる。
女性視点の日常の非日常という感じ。
REDで作者を知って、そちらも女性視点での物語だったが都合が良い展開と押しつけのような感情だった。
自分が男だから共感できないのか?と思い、決めつけるのは良くないと本作を購入し読んではみたものの
女性視点のご都合主義。小説なんだしもちろん悪い事だけではない。
そこに自分を重ねる人もいるだろうし、自分だったらと投影する方もいらっしゃると思う。
ただ単に自分がはまらなかっただけ。正直なところ、男性向きの作者ではないかと感じる。
2015年5月30日に日本でレビュー済み
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上巻はすこし重めですが、下巻は未来を感じる内容になっており「私も頑張らなくては!」と前向きな気持ちになれるでしょう。