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サルファ剤、忘れられた奇跡 - 世界を変えたナチスの薬と医師ゲルハルト・ドーマクの物語 単行本 – 2013/3/8

4.7 5つ星のうち4.7 19個の評価

世界初の抗菌薬として彗星の如く現れ短期間で忘れ去られたサルファ剤。医薬開発の豊富な逸話から近代社会の発展を浮彫りにする。
それは細菌感染に無力だった人類が初めて手にした“効く"薬。
顕微鏡下の地道な探究が、戦場の様相を、医師の役割を、医薬品開発の仕組みを根底から変えた――企業の戦略、研究者・国家間のせめぎ合い、栄光と悲運……「最も偉大な医学の勝利」をめぐる知られざる歴史のドラマ。
「皮肉なことに、第二次世界大戦中のアメリカを救った薬は、ヒトラーが権力を握った年にドイツの研究室で生まれた。(中略)世界最大の奇跡とされたサルファ剤の栄光の時代は短かった。一九三〇年代半ばに世界の舞台に登場し、大きな興奮を巻き起こしたあと、十年後にほとんど消えた。しかし、その短い間に、この薬はあらゆるものを変えてしまった。(本文より)


<目次>

はじめに
プロローグ――ハワイ真珠湾

第1部 探求
1章 戦場の現実
2章 ご老体と第一次大戦
3章 虚無と使命と
4章 就職と結婚
5章 世界最大の化学工場
6章 産業界とアカデミア
7章 バイエル大帝国のチームワーク
8章 最も恐るべき、ありふれた細菌
9章 産科病棟の疫病
10章 細菌を殺す真紅の色素

第2部 医学を変える奇跡
11章 パナケイア目覚める
12章 抑えられぬ興奮
13章 赤い車の白いエンジン
14章 フランスチームのダンス
15章 ホワイトハウスの実験
16章 サルファ・ゴールドラッシュ

第3部 光と影

17章 危険なレシピ
18章 新しいFDA
19章 サルファ剤ゲーム
20章 検閲と連行
21章 第二次大戦
22章 それぞれの終戦
23章 ストックホルムへ

エピローグ――束の間の栄光と偉大な影響
訳者あとがき
索引

調べるほどにドーマクは私の中で魅力的な人間となっていったが、人物以上に興味深いのは、現在の医学で当然と考えていることに、彼の発見が大きく関係、影響していることである。我々は科学の時代にいる。これはその元になった時代の物語なのだ。(「はじめに」より))
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 中央公論新社 (2013/3/8)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2013/3/8
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 364ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4120044793
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4120044793
  • カスタマーレビュー:
    4.7 5つ星のうち4.7 19個の評価

カスタマーレビュー

星5つ中4.7つ
5つのうち4.7つ
19グローバルレーティング

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上位レビュー、対象国: 日本

2021年3月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ペニシリンやその発見者(A,フレミング ノーベル医学生理学賞受賞)は多くの理系民なら、発見のエピソードも含めて知っていても、サルファ剤って何ソレ、開発の経緯はおろか名前すら聞いたことが無い人多いか?

旧岡山医専出身の秦博士(勤勉だったそうで。日本人ノーベル賞にノミネートされたこともあり、一寸でも実名で日本人が出るのは嬉しい)、その師匠の巨人エールリッヒの時代前後から始まる、知られざる長いストーリーがあるのです。

サルファ剤、表舞台から消えてしまいましたが、一度発症してしまった細菌感染症に、人類がほぼ無力だった時代を変えた、初めての「魔法の弾丸」だったのです。

残念ながらその少し後に実用化された、抗生物質の影に隠れてしまった。今でも細々と使われているのですが・・。

その開発に至った時代を小説化した本なのですが、メチャクチャ面白い。
サルファ剤の遺産は、現在に至る医薬品開発に色々な形で影響を及ぼしています。

第一に。泣く子も黙る医薬品許認可のご本尊、米FDAの生みの親。
現代では医薬品を市販される前に、安全性と有効性に関する厳しい審査を行うことがごく当たり前と思うけれど、実は第2次世界大戦勃発迄はチョーいい加減だった。厳しい法律精度ができる切っ掛けがサルファ剤(のまがい物による大規模薬害事件)だったのですね。読んで初めて知りました。

製薬が洗練された巨大科学技術産業になったのも
現在進行形で問題になっている多剤耐性菌問題も
医師がよく使う“科学的な根拠に基づく治療”に熱心になったのも
 (謙虚さを忘れ、高給取りになったのも)
実はサルファ剤開発がきっかけだったりするのです。

主人公G.ドーマクの人生は波乱に富んでいます。痺れますね。

生きた時代が違うし、研究を志す出会いの場になった第1次大戦では、九死に一生を得るような辛い経験もしているし、研究が軌道に乗るまでにも随分苦労をされています。ナチ時代にはノーベル賞を辞退させられているし、同じ様に生きたいとは思わないでしょうけれど。

学者として成功した1人であることは間違い無いでしょう。
「青雲の志」を貫いた人生だったのではと。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2020年8月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
還暦医師です。必要あり購入しました。サルファ剤の開発の歴史とドーマクについて詳述されています。サスペンス小説のような面白さがありますが史実です。欧米のサイエンス物の書き手のレベルは非常に高いと感じました。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2017年1月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
代替医療に関わる人って、化学物質に比較して、自然治癒力がいかに素晴らしいか、万能か、といったことを強調するきらいがありますが・・・。

そんなノンキなこと、言ってられるのは、抗生物質さまの存在があってこそ!と思い知らされました。

こちら、サイエンス・メディカルライターのトーマスヘイガーが、後に、ノーベル賞を受賞することになる天才的化学者ゲルハルト・ドーマクの人生と研究の軌跡をたどりながら、サルファ剤、抗生物質の誕生した背景を科学的な視点で追った一冊です。

1924年、と言えば、まだ今日から100年も経っていないのですが・・・

アメリカ大統領の子息、10代の健全な若者が、テニスした際の足の血豆が元で、全米が見守る中、5日後に亡くなりました。

世界的名医が集まり、当時の最先端の治療が施されたのにも関わらず!

原因は、連鎖球菌による感染症だそうです。

連鎖球菌といえば、今では、幼児たちがよくかかる、取るに足らない細菌、という認識ですよね。

100年前までは、多くの生命を奪った“悪夢”だったそうです。

戦場では、負傷兵の傷口から、成功したかに見える手術後の縫合部から、ガス壊疽となったらもう打つ手がなかったそうです。このあたり第一次世界大戦の描写は、壮絶です。

サルファ剤の登場により、こうした状況が著しく改善されたのは、パールハーバー(真珠湾攻撃)からだそうです。こういう側面から世界史を見たことがなかったので、ある意味、新鮮です。

戦場だけでなく、産婦を襲う産褥熱も凄まじかったようです。同じ女性としては、やるせない感いっぱいです。

19世紀までは、原因がわからなかったので、亡くなった産婦の解剖をした医師や学生が、骨盤内の臓器をポケットに入れて持ち歩き、そのまま手も洗わず、素手で別の患者の出産に立ち会ったり!

衛生観念が発達してなかったようですね、このあたり、日本ではどうだったのでしょうね。

そんなわけで、医師や学生のいる病棟に多発し、助産婦の担当する病棟、または自宅出産では産褥熱発生率が比較にならないほど、少なかったとか。

1920年代になると、細菌が原因ということはわかってきたものの、それに太刀打ちする術がない、という状態だったそうです。

こうした死を意味する恐ろしい病に、多く連鎖球菌が関っているそうです。

連鎖球菌だけでなく、結核、肺炎、髄膜炎、猩紅熱、丹毒、などなど。

この本では、そうした停滞していた医学界を切り開いたサルファ剤の開発、そしてその後の抗生物質の登場などを、さまざまな研究者や製薬会社の思惑などをからめ、巧みに描かれていきます。

こうした重い歴史を知ると、いかに私たちの肉体は、細菌に対して脆弱で無力なのか、思い知らされました。

“自然治癒力”などというものは、細菌に対抗できる抗生物質の存在があってこそ、初めて口にすることのできる曖昧なものなのかもしれません。

抗生物質、なにかと悪者にされがちですが、何事も大きな視点で謙虚に見る姿勢が大切かと思いました。
11人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2013年11月14日に日本でレビュー済み
内容的には面白そうなのですが、3章目あたりまでやっと読みましたが、だんだんイライラしてきました。
訳がこなれてないです。原文はこうだろうな〜と思えるような稚拙な訳出しの仕方などがあり残念な本です。
訳者のプロフィールを読んでちょっとびっくり。結構翻訳本があるんですね。
小林力さん翻訳の他の本のレビューにも同様(訳がこなれてないとの)のレビューがあったので、やっぱり・・・と納得しました。
図書館で借りた本で良かった(笑)
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2016年3月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「サルファ剤」は、戦記モノが好きな人は良く見聞きする、衛生兵が振りかけてるあの粉のこと。でもそれが何か分からないままだった。この本も最初は戦記モノと思って読みだしたのだが、実際はサルファ剤が開発される前とその後、つまり第一次大戦から第二次大戦終了までの短い期間の医学史、それも医学が劇的に変わる「奇跡」を書いた本であると言っていい。だだ単行本にしては、とにかく字が小さくて量が多い。読み終わるのにたいそう時間がかかった。しかしそれは悪い事ではない。物語の前半と後半の劇的な変化、いや時代の変化は、このくらいの字の大きさと量でないと描くことが出来ない。そしてこの変化がこの本の一番面白いところであり、長い物語を最後まで飽きさせず読ませる所以であろう。十分すぎる読み応え。これは、じっくり腰を据えて本を読みたいと言う方に、是非お勧めする本である。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2013年9月14日に日本でレビュー済み
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思い出すべき医薬の歴史の教訓である。この薬剤とナチスとは関係がないので、この表題は
誤解を与える。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2013年12月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
抗生剤の歴史、どのような偶然が重なって、どう発見されたか、わかりやすく解説されていた。これだけだとただの教科書だけど、戦時中を生きた一人の科学者を通して、当時の激動の社会、科学者達の熱い心が描かれていて物語としてもすごく面白かった。昔の人はすごかったと思ったり、今となんらかわらんなと思ったり、やっぱりいがみ合うんやなと思ったり。
事実を誇張することなく、等身大の彼らの姿が描かれている。医師、看護師、薬剤師にはこれを最初に読むことで、勉強、研究が面白くなりそうな本です。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2013年4月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
現在,あまり使われていない抗菌剤であるサルファ剤に関する物語である.サルファ剤が,感染症に苦しむ多くの患者さんへの福音であった事は,よく知られている.しかし,本書を読むまで,どうして,サルファ剤が広く使われるようになったか,知らなかった.本書,冒頭に真珠湾攻撃の際にハワイに偶々いた医師が行った治療行為が記してある.とても興味深かった.エールリッヒのサルバルサンの発見,染料の発見,工業化,企業化による莫大な利益,そう言うモノが整って,初めて,サルファ剤が発見されたことが解る.そして,フランスの研究者の素晴らしく,そしてとてもエレガントな発見があり,サルファ剤は飛躍的に広まる事になる.この発見はセレンディピティである.ドイツ人の精密で気が遠くなるような実験とは違う.物語は,さらに続く,興奮に次ぐ,興奮で一気読みしてしまった.サルファ剤が発見される以前,一部の例外を除いて,人類は感染症に無力であった.そう思うと,サルファ剤,ペニシリンが発見された以降に生まれた人類とそれ以前の人類は,少なくとも感染症に関しては,(発見以降に産まれた)我々は幸せである.しかし,今,耐性菌や,様々なウイルス,プリオン等,感染の問題は,今なお解決しない.感染は本当に難しい問題だと解る.サルファ剤が,かたちを変えてリバイバルするかもしれないと読みながら思った.化学,医学,微生物に関心がある方におすすめですが,一般の方にも是非読んで欲しい.翻訳もこなれて,実に読みやすかった.
注:211頁,フラン人はフランス人の間違い?校訂ミスかな?
22人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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