プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
¥2,450¥2,450 税込
発送元: Amazon 販売者: タイマーズ書店
¥1¥1 税込
配送料 ¥320 6月10日-11日にお届け
発送元: エコdeリユース店 販売者: エコdeリユース店
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
千の扉 (単行本) 単行本 – 2017/10/5
購入オプションとあわせ買い
二人が住むのは、一俊の祖父・日野勝男が借りている部屋だ。勝男は骨折して入院、千歳に人探しを頼む。いるのかいないのか分からない男を探して、巨大な団地の中を千歳はさまよい歩く。はたして尋ね人は見つかるのか、そして千歳と一俊、二人の距離は縮まるのか……。
三千戸もの都営団地を舞台に、四十五年間ここに住む勝男、その娘の圭子、一俊、友人の中村直人・枝里きょうだい、団地内にある喫茶店「カトレア」を営むあゆみ、千歳が団地で知り合った女子中学生・メイ。それぞれの登場人物の記憶と、土地の記憶が交錯する。
- 本の長さ272ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2017/10/5
- 寸法13.7 x 2.1 x 19.7 cm
- ISBN-104120050114
- ISBN-13978-4120050114
よく一緒に購入されている商品
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
商品の説明
メディア掲載レビューほか
千の扉
夫の祖父が足を骨折して療養する間、留守宅である都営団地に住む39歳の女性「千歳」の目線で語られる物語だ。
終戦の年に15歳だった祖父勝男は、団地の造成から見てきた。老いを迎えた勝男から、ある人捜しを依頼された千歳は、35棟もある団地内を探索し始める……。
陰の主人公は勝男だ。恋は実らずとも、喜怒哀楽を共にし家族のつながりを築いてきた「昭和」を丁寧に描く。冒頭のシーンが後半、ジグソーパズルのピースのようにはまっていく展開も見事だ。書名には、扉で区切られた数多の暮らしと、主人公の心の扉の両方の意味を込めたのだろう。ところどころ段落と段落の間に挟まれる2行分の空白が暗転効果をなし、一度しか登場しない匿名の人物たちにも心を惹かれる。この世界にとどまりたくなる力のある小説だ。
評者:朝山実
(週刊朝日 掲載)著者について
登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2017/10/5)
- 発売日 : 2017/10/5
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 272ページ
- ISBN-10 : 4120050114
- ISBN-13 : 978-4120050114
- 寸法 : 13.7 x 2.1 x 19.7 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 327,325位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 90,741位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
1973年、大阪府生まれ。大阪府立大学卒業。
99年「レッド、イエロー、オレンジ、オレンジ、ブルー」(文藝別冊)でデビュー。
2007年『その街の今は』で芸術選奨文部科学大臣新人賞・織田作之助賞大賞、10年『寝ても覚めても』で野間文芸新人賞、14年『春の庭』で芥川龍之介賞を受賞。
著書に『きょうのできごと』(行定勲監督により映画化)、『次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?』、『主題歌』、『星のしるし』、『週末カミング』、『ビリジアン』、『わたしがいなかった街で』、『千の扉』『公園へ行かないか? 火曜日に』『よう知らんけど日記』など。『寝ても覚めても』が映画化され、2018年9月1日公開、カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式招待作品。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
いろいろな謎が潜んでいて食いつきは良かったのですが、どうもこの少し古めかしい時代背景には最後までなじめませんでした。
50代・60代以上の世代の方にはノスタルジックに感じるのかもしれませんが、私には違和感しかなかったです。
いくつもの別の世界が乗っかっている。
誰も、自分の世界しか生きていないが、共通の地図を使っているから
同じ街だと思っている。
別の時代の街も、別の暮らしがある街も、自分が知っているところと
同じだと思っている。
自分が見た街ではない時間の街を、すぐ近くにいる別の誰かが見た街を、
直接見ることはできないのに。
たとえ同じ場所にいても見ることができないのだと、思い知ることしか
できないのに。
見ることができないからこそ、わたしはどうしても見てみたくなる。
知りたいと思う。”
(P.247)
“同じ部屋の中で、自分以外に動いているものがいる。
自分の意思とは関係なく、勝手に動いている人がいる。
この小さな空間に、誰かがいる。
面倒だが、それが誰かと生きていくということなんだろう、と千歳は思った。”
(p.248)
“蛇行した遊歩道を上りきったところで、千歳は振り返った。
坂の向こうに広がる家、ビル、マンション、低い建物、高い建物。
木。コンクリート。鉄。ガラス。
それらはすべて、誰かがいる場所だった。
働くだけの場所、眠るだけの場所、誰かが誰かと話している場所。
今は誰もいないが、誰かがいたことがある場所。
誰かがいるために作ったのに、その誰かが来ないままの場所。
見える限りの街は、誰かのための場所で埋め尽くされていた。”
(p.250)
------------------------------------------------------------------
ゆっくり、ゆっくり少しずつ、ひと月半かけて読んだ。
お風呂の中で読み終わって、びしゃびしゃになるのもかまわず思わずぎゅうっと
抱きしめた。
この本の中にはさまざまな人の人生の、ほんのひとかけらがひとかけらのまま
散りばめられている。
それはまるで人の表情のようで、ふっとさびしそうな横顔がかすめたと思ったら、
もう見えなくなってしまう。
ほんの一瞬、見えるだけの“他人”の人生。
この本では、主人公の千歳の人生も、一俊の人生も、そして勝男の人生も、
枝里の人生も、圭子の人生も、メイの人生も、
同じ重量をもっている。
誰もがそれぞれの人生を与えられた同じ時間の中で生きていて、
それはその人だけが持つ皮膚の中で起こる衝動や感情やためらいと共に
誰にも見られることなく―もしかしたら本人にすら―空気の中で呼吸と共に揺らいでいる。
つねに、どんなときでも。
たとえその揺らぎがその本人の胸をどれほど苦しくさせるものであったとしても。
解決策などないし、正解などないし、
待っていれば、求めれば、誰かが示してくれるたしかな答えなどないけれど、
人は歩けるほうへ歩いていくのだろう、
ここなら生きていける、ここでなら、と、時には縋るような気持ちにすらなりながら、
それでも笑うことを、誰かの助けになろうとすることを、人を思うことを、
自分と付き合っていくことを、諦めてしまわずに、
やっぱりひとりで生きていきたくはない、と。
柴崎さんの小説からはいつも、人間が営む生活への、そこから否応なく滲み出てきてしまう
においのようなもの―たとえば夕方、長屋から漏れてくる夕飯のにおいみたいな―への、
愛情、を感じます。
散歩道で見つけた綺麗な落ち葉を、思わず手にとり、こわれないように、葉のさきが崩れたり
しないように、大切に、両手で包み込みつづけるような、
“いとおしさ”を、決して手離すことなく、手のひらの中であたためつづけている、
そんな温度を一貫して、感じます。
人が生きていることって、
―こんなにも言葉が溢れ、ものが溢れ、雑音が溢れ、舞い上がる埃の溢れるこの世界の中なのに―、
人が生きてる、人が人と生きていくって、すごいことだよ、
人って、いいよ
そんな言葉を掛けてもらえた気がする、
思わず目をぎゅっと瞑って、1冊のあいだに一緒に過ごさせてもらえた時間をいとおしむ、
読後感でした。
ありがとうございました。
読み進めれば進めるほど、断片的な出来事の散りばめに気がちる。と言うか、主人公が探している人に興味が持てなかったりして最後まで読めなかった。
昭和を生きる人々の物の考え方、捉え方の描写は楽しく読めた。