260年続いた徳川幕府が終焉を迎えつつある元治2年(1865年)、平均年齢20歳前後の若き15人の薩摩藩留学生が、海外渡航という国禁を犯しイギリスへと旅立った。
この本で目にしたのは、好奇心一杯の真っ直ぐな心をもつ眩しい若者達の姿でした。
自分よりはるかに優れた科学を持つ外国人に対して決して劣等感を感じたり、卑屈になったりはしません。また、国の危機を救うため悲痛な思いで日本を発った彼らですが、実際に旅が始まると、初めてみる世界を前にその好奇心を隠そうとはしない。初めて食べるパイナップルに無邪気に喜び、外国人の挨拶である接吻に仰天し、初めてみる珍妙な動物「ラクダ」に夢中になってしまったり。
そしてロンドンへ到着してしばらくたった頃、彼らは驚くべき知らせを耳にします。なんと、彼らより一年も前に長州藩の密航留学生がロンドンへ渡っており、現在もユニバーシティ・カレッジで勉学中だというのです。日本では関係の最悪な薩長両藩に属する彼らですが、遠い異国の地で互いに交流を重ねる様子はとても微笑ましいものがあります。
またある日、彼らはロンドン郊外の製鉄工場へ見学へ行くのですが、その時の様子が当時の「タイムズ」紙で紹介されています。これを読むと、彼らが西欧の先進的な機械を前に目を輝かしている様子が目に浮かぶようです。
黎明期の若い日本と日本人の姿は、現代を生きる私にはとても眩しく感じました。
この本の最後には、帰国後彼らがどのような人生を歩んだのかが紹介されています。人生の同じ時期に同じように異国を体験し、帰国後はそれぞれに日本の近代化に多大な貢献をした彼らですが、その最期は劇的なほど様々でした。
そこに、人というものの多様さと人生の不思議さを感じました。
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薩摩藩英国留学生 (中公新書) 新書 – 1974/1/1
犬塚 孝明
(著)
- 本の長さ182ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日1974/1/1
- ISBN-104121003756
- ISBN-13978-4121003751
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登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (1974/1/1)
- 発売日 : 1974/1/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 182ページ
- ISBN-10 : 4121003756
- ISBN-13 : 978-4121003751
- Amazon 売れ筋ランキング: - 931,622位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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