本書は、コーヒーの「起源」から、現代社会における消費まで幅広く論じたもの。
本書では、時代や地域によって変わるコーヒーの様々な役割が語られます。あるときは中世イスラム教神秘主義における神人合一の補助として…。またあるときは、市民たちに革命への機運をもたらす、ヨーロッパ近代社会における「理性」への一助として…。また別のあるときには、現代における先進国と「第三世界」の非対称的な関係を形成した一因として…。コーヒーがどのような役割を果たしたのか明らかにされます。
もちろん他のレビュアーが指摘しているとおり、コーヒーがヨーロッパの植民地主義や市民革命あるいはナチズムと直接的な因果関係にあった、と示唆しているかのような本書の文章は誤解をまねきかねません。しかしながら、そのように実証的な厳密性を棚上げすることは、一見バラバラに見えるかのような世界史における出来事をひとつの視点から線としてつなぐうえでは、すなわちコーヒーを主人公にすえて世界史という「物語」を語るうえでは、やむをえないように思われます(そもそも、そこまで「まじめ」な本ではありません)。
「世界」をひとつの有機的な全体として捉えるために、著者にとってコーヒーほどふさわしい題材はなかったのでしょう。だからこそコーヒーという具体的事物の来歴を物語ることで、一見するとコーヒーとはまったく無関係に見える「世界」を物語ろうとしたはず。つまり本書では、コーヒーにまつわるエピソードが積み重ねられることで、世界史をひとつの「物語」として読むことが意図されています。
本書はそうした物語的思考によって巧みに紡がれた好著です。純粋に読み物として刺激的だし、無類におもしろい。肩肘はらずに読めるエッセイとしてオススメです。
以下は目次。
1章. スーフィズムのコーヒー
アラビア・フェリックス-幸福なアラビア
コーヒーの誕生
メッカ事件
コーヒーの家
2章. コーヒー文明の発生的性格
アラビア・モカ
カイロの豪商
レヴァント商人
オランダ商人
3章. コーヒー・ハウスと市民社会
コーヒー・ハウスと公共性
自由で醒めた国民
市民英会話教室
煮立てた煤の敗退
4章. 黒い革命
ルイ十四世と国際情勢
コーヒー外交
カフェ・オ・レ
コーヒーの出現
幸福なマルティニク
「ニグロの汗」
役者お目見え
厳冬のパリ
アジテーション・カフェ盛衰記
黒いお神酒
5.章 ナポレオンと大陸封鎖
ナポレオン
フリードリッヒ大王と代用コーヒー
コーヒーと砂糖の世界史的意義
ベルリンのコンディトライ・カフェ
ブラジルの産声
6章. ドイツ東アフリカ植民地
植民地を求めて
ドイツ産コーヒー・プランテーション
東アフリカの賃金労働者
マジ・マジ反乱
ヴァルター・ラーテナウ
キリマンジャロとモカコーヒーの栽培
7章. 現代国家とコーヒー
近代戦争とコーヒー
黒い革命・ドイツ版
狂気・暗殺・焦熱地獄
終章. 黒い洪水
第二次世界大戦
黒い奔流
出立の合図
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
¥902¥902 税込
発送元: Amazon.co.jp 販売者: Amazon.co.jp
¥902¥902 税込
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
¥92¥92 税込
ポイント: 1pt
(1%)
配送料 ¥256 6月10日-11日にお届け
発送元: 『もったいない本舗』 ※通常24時間以内出荷。※商品状態保証。法能店 販売者: 『もったいない本舗』 ※通常24時間以内出荷。※商品状態保証。法能店
¥92¥92 税込
ポイント: 1pt
(1%)
配送料 ¥256 6月10日-11日にお届け
発送元: 『もったいない本舗』 ※通常24時間以内出荷。※商品状態保証。法能店
販売者: 『もったいない本舗』 ※通常24時間以内出荷。※商品状態保証。法能店
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
コ-ヒ-が廻り世界史が廻る: 近代市民社会の黒い血液 (中公新書 1095) 新書 – 1992/10/1
臼井 隆一郎
(著)
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥902","priceAmount":902.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"902","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"wAmJj3XKiMFMl%2B%2BLENDa%2BsD1vWBaEPC3ZVY3W41842axaHqOh%2BN3JqLhcW0s6JIZXaFZv0ddUTwnNmuUe%2FMjQWkYxUUVLOknndvs19PwO1Cx6V40d2E%2BWotjO1U8NoxD","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥92","priceAmount":92.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"92","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"wAmJj3XKiMFMl%2B%2BLENDa%2BsD1vWBaEPC3r2v7SEhN8tDOwxmfa9TsjPJGqi5YAQGOr2FmHfFHC1aaVKhD%2FKCND0UQvcY%2BScQkJYlVedUaXIW6PXzM39QS%2B6TjqOPzFVzBmSFOuVlhX5JI2QedJYmQzjVIEDjK1UJmDVcCcPzhYoSQq80kheduEQ%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
- 本の長さ237ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日1992/10/1
- ISBN-104121010957
- ISBN-13978-4121010957
よく一緒に購入されている商品
対象商品: コ-ヒ-が廻り世界史が廻る: 近代市民社会の黒い血液 (中公新書 1095)
¥902¥902
最短で6月9日 日曜日のお届け予定です
残り7点(入荷予定あり)
¥858¥858
最短で6月9日 日曜日のお届け予定です
残り12点(入荷予定あり)
総額:
当社の価格を見るには、これら商品をカートに追加してください。
ポイントの合計:
pt
もう一度お試しください
追加されました
一緒に購入する商品を選択してください。
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (1992/10/1)
- 発売日 : 1992/10/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 237ページ
- ISBN-10 : 4121010957
- ISBN-13 : 978-4121010957
- Amazon 売れ筋ランキング: - 55,144位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 92位世界史一般の本
- - 264位中公新書
- - 6,461位科学・テクノロジー (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2015年4月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2023年8月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
15世紀にコーヒーがイスラム世界に出現して以降のコーヒーの普及・社会への浸透を欧州を中心とした世界の歴史を踏まえて解説。コーヒーを通して各国や市民の歴史を見るユニークな世界史。
2017年1月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
コーヒーの話をさながら、ところどころ世界史の説明が入ってくるという感じ。
文体が少し高尚なため、またときどき著者の解釈を交えながら小説のような語り口になるので、読みづらいと思いました。
参考文献のリストがあり、主にドイツ語文献と英語文献ですが参考になります。
文体が少し高尚なため、またときどき著者の解釈を交えながら小説のような語り口になるので、読みづらいと思いました。
参考文献のリストがあり、主にドイツ語文献と英語文献ですが参考になります。
2014年3月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
コーヒーをとりまく視点から、こんなにも世界史が語られ、学校で習ったのとは違う世界史に引き込まれました。最後にナチスの話に行きつき、著者の思いが見えた気がします。
2020年11月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
スーーっと沁み入ってくる内容ではない。
理由は明快、著者の文章が下手糞だからだ。
この著者がコーヒーに対して述べる言葉は、実は そのまま著者自身に当てはまる。
即ち、「率直な物言いをしない」し、「言い草は思わせぶりで、まわりくどい」のだ。
独り善がりで的外れな修飾語や比喩表現は無駄に難解で、
読者の困惑を想像して楽しんでいるだけなのではないか、とさえ思えてくる。
また歴史を語るのであれば、時系列順に事項を並べて述べるのが常套である。
しかし、この本では時系列を無視した順序で語るので、読者の脳は苦労を浪費させられる。
バラバラのジグソーパズルを眺めさせられている気分になってしまう。
例として、イギリスのコーヒー・ハウスの記述を大雑把に追ってみると、
1652 ロンドンに初のコーヒー・ハウス
1683 ロンドンのコーヒー・ハウス増加
1714 更に増加
1690 この頃、株式取引所ができた
1697 ジョナサン・コーヒー・ハウスが証券仲買人を雇用
1688 ロイドのコーヒー・ハウスが移転
1697 『ロイド・ニュース』刊行
1675 コーヒー・ハウスの閉鎖を命じる
1739 コーヒー・ハウス減少
1674 『コーヒーに反対する女性の請願』
1717 イギリス初のティー・ハウス
他の章の記述順序も似たり寄ったりである。
項目抜粋では正確な記述を伝えることは出来ないが、
分かりにくさの一端は垣間見えるのではないだろうか。
下手糞で読解に疲弊させられる本について、最終的な責任は、当然、著者にある。
しかしながら、著者の暴走にブレーキをかけられなかった編集者の責任も小さくはないのではないか。
残念ではあるが、私は この本をお勧めはしない。
コーヒーの歴史をザックリと理解したいのなら、講談社現代新書『珈琲の世界史』の方を手にするべきだ。
『珈琲の世界史』に書かれていない知識も求めるのであれば、この本も手にすればいい。
理由は明快、著者の文章が下手糞だからだ。
この著者がコーヒーに対して述べる言葉は、実は そのまま著者自身に当てはまる。
即ち、「率直な物言いをしない」し、「言い草は思わせぶりで、まわりくどい」のだ。
独り善がりで的外れな修飾語や比喩表現は無駄に難解で、
読者の困惑を想像して楽しんでいるだけなのではないか、とさえ思えてくる。
また歴史を語るのであれば、時系列順に事項を並べて述べるのが常套である。
しかし、この本では時系列を無視した順序で語るので、読者の脳は苦労を浪費させられる。
バラバラのジグソーパズルを眺めさせられている気分になってしまう。
例として、イギリスのコーヒー・ハウスの記述を大雑把に追ってみると、
1652 ロンドンに初のコーヒー・ハウス
1683 ロンドンのコーヒー・ハウス増加
1714 更に増加
1690 この頃、株式取引所ができた
1697 ジョナサン・コーヒー・ハウスが証券仲買人を雇用
1688 ロイドのコーヒー・ハウスが移転
1697 『ロイド・ニュース』刊行
1675 コーヒー・ハウスの閉鎖を命じる
1739 コーヒー・ハウス減少
1674 『コーヒーに反対する女性の請願』
1717 イギリス初のティー・ハウス
他の章の記述順序も似たり寄ったりである。
項目抜粋では正確な記述を伝えることは出来ないが、
分かりにくさの一端は垣間見えるのではないだろうか。
下手糞で読解に疲弊させられる本について、最終的な責任は、当然、著者にある。
しかしながら、著者の暴走にブレーキをかけられなかった編集者の責任も小さくはないのではないか。
残念ではあるが、私は この本をお勧めはしない。
コーヒーの歴史をザックリと理解したいのなら、講談社現代新書『珈琲の世界史』の方を手にするべきだ。
『珈琲の世界史』に書かれていない知識も求めるのであれば、この本も手にすればいい。
2017年6月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
いわゆる世界システム論的なテーマに則った内容。砂糖やチョコレート、茶など似たテーマの本は多いが、文章の軽妙さ、ウィットの効いた表現は読み手をグイと惹きつける。時代と地域を縦横無尽に飛び回り、次々と歴史の山場をくぐり抜ける様は、あたかも遊園地のローラーコースターのようである。
2023年1月5日に日本でレビュー済み
コーヒー好きかつ世界史好きの私としては、とても引き込まれる内容でした。
確かに他の方のレビューにある通り、知性的ではあるけれど難解な表現も多く、読みやすいとは言えない箇所が多くあります。また、一部に史実と異なる可能性がある記述があるようにも見受けられます。
ただ、良い歴史物語は読む人を歴史の現場に連れて行ってくれる魅力があると私は思います。そして、本書はそのような力がある本でした。コーヒーを軸とした歴史を楽しみたい、世界史好きの方におすすめしたい本です。
より正確性なコーヒーの歴史を一通り知りたい、というコーヒー好きの方には『珈琲の世界史(旦部博之著)』のほうが良いかもしれません。
完読が難しいと感じる方にも、第一章 スーフィズムのコーヒー、第二章 コーヒー文明の発生的正確、第七章 現代国家とコーヒーはぜひとも読んで頂きたいと思います。きっと他書にはない発見があることでしょう。
確かに他の方のレビューにある通り、知性的ではあるけれど難解な表現も多く、読みやすいとは言えない箇所が多くあります。また、一部に史実と異なる可能性がある記述があるようにも見受けられます。
ただ、良い歴史物語は読む人を歴史の現場に連れて行ってくれる魅力があると私は思います。そして、本書はそのような力がある本でした。コーヒーを軸とした歴史を楽しみたい、世界史好きの方におすすめしたい本です。
より正確性なコーヒーの歴史を一通り知りたい、というコーヒー好きの方には『珈琲の世界史(旦部博之著)』のほうが良いかもしれません。
完読が難しいと感じる方にも、第一章 スーフィズムのコーヒー、第二章 コーヒー文明の発生的正確、第七章 現代国家とコーヒーはぜひとも読んで頂きたいと思います。きっと他書にはない発見があることでしょう。