オッペンハイマーについて書かれた本は何冊も有るが、本書はオッペンハイマーを焦点として原水爆の開発史に焦点を絞って(著者の専攻は国際関係学)、推進派反対派、それぞれの代表格のスタンスをコンパンクトに纏めてくれている。分量も値段も然程ではないので、最初に読む本としては適当だろう。但し科学者としてのオッペンハイマーの業績については殆ど触れられていないので、政治的なゴタゴタに余り関心の無い向きにはお薦めしない(副題以上のことは期待しないこと)。
本書からオッペンハイマーの姿勢の複雑さを端的に表した箇所を紹介しよう。「(オッペンハイマーは)原爆投下に賛意を示しながら、ソ連との協調関係の醸成を主張した。原子力の国際管理案を提示しながら、アメリカの核兵器体系を充実させた。水爆開発には反対したが、戦術核の拡充を進めた。」本書では、これらが彼自身にとっては決して矛盾ではなかったとして、何とかその言動に整合性を持たせようとしている。その分析に納得するかどうかは見てのお立ち会い。冷戦時代の冷静さを失ったアメリカ覇権主義の愚行に付き合わざるを得なかった科学者の苦闘を御覧あれ。
何れにしろ、科学の世界から政治の世界へと首を突っ込んでしまったが為に面倒な立場に追い込まれ、妥協と失望を強いられることになってしまった彼の姿は、核=原子力と云う魔の力を手にしてしまった人類の苦渋を象徴している様にも映る。今だに地球を何度も焼き尽くせるだけの戦術核が存在し、「原子力」と云う言葉で核の脅威を誤魔化そうとする御用学者や国際機関が跋扈している現在、そんな世界の成り立ちのルーツの一端を知っておくことは決して無駄ではないだろう。
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オッペンハイマ-: 原爆の父はなぜ水爆開発に反対したか (中公新書 1256) 新書 – 1995/8/1
中沢 志保
(著)
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- 本の長さ262ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日1995/8/1
- ISBN-104121012569
- ISBN-13978-4121012562
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- 出版社 : 中央公論新社 (1995/8/1)
- 発売日 : 1995/8/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 262ページ
- ISBN-10 : 4121012569
- ISBN-13 : 978-4121012562
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2014年1月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
水爆に知識がなくても読めます!原子力に頼って生活している私たちには読んだ方がいい一冊でしょう。わかりやすいが、気楽に読めるわけではありません。大事なことを記録してありますので。オススメです!
2004年12月13日に日本でレビュー済み
たしかに難しい----というか自分の場合は何がわかりにくかったかというと、登場人物の名前や組織です。
私はけっして外国人のカタカナ名前は苦手ではないのですが、にしても、いろいろな人物が登場しますし、所属する研究機関や大学名もさまざまですし、組織が複雑で誰が誰やら。
ページを何度もめくり返して行ったり来たり。
初心者には主要人物名一覧が欲しかったです。
組織図なんかもあったらなお良かったのかも・・・・。
でも全体としては面白く読めました。面白いというと、題材が題材だけに語弊があるかもしれませんが。
興味深かったし、へええ、と思った、ということです。
世界の第一級の学者たちが関わった開発だったのですね。本当に。エンリコ・フェルミさんとか出てきますよ。
オッペンハイマーという人の生い立ちや人となり、マンハッタン計画の当時の様子などは興味深かったです。
原爆は罪だけど条件付で賛成、みたいなのや、水爆は反対、みたいなのは矛盾しているようですが、「彼なりの考え方ではある」と思えました。
私個人的には、核兵器や核管理についての彼の考え方には賛成しませんが、それ以外の人間としてのオッピー(オッペンハイマーの愛称)は愛すべき人物だったのだなと思います。
優秀で素晴らしいと思うし。
私は核兵器反対ですが、しかし、危険な国家であるナチス-ドイツが先に核爆弾を製造するかもしれない危機にあり、政府から重要な役目に大抜擢され、突貫工事で新兵器を作っていて、計画遂行に忙殺されて目標意外に考える余裕がない、開発を成功させることが必須--------のだとしたら、あまり彼を責められないと、自分は考えます。
そりゃあ一生懸命造っちゃうでしょう、原爆。
対日投下反対者もいたのですが、少数派だし、なにしろ政府高官たちが現場の科学者以上に協力に投下推進していましたから、大きな流れは止めようもない。
組織って怖いわあ。
アメリカが正しかったとか間違っていたとか単純に言うのではなく、本書のような「落とした側」の裏事情の歴史的調査・客観的考察をすることは、戦争や国家、核の将来などを考える上で必要だと思います。
やっているのは我々と同じ「人間」なのですし。
私はけっして外国人のカタカナ名前は苦手ではないのですが、にしても、いろいろな人物が登場しますし、所属する研究機関や大学名もさまざまですし、組織が複雑で誰が誰やら。
ページを何度もめくり返して行ったり来たり。
初心者には主要人物名一覧が欲しかったです。
組織図なんかもあったらなお良かったのかも・・・・。
でも全体としては面白く読めました。面白いというと、題材が題材だけに語弊があるかもしれませんが。
興味深かったし、へええ、と思った、ということです。
世界の第一級の学者たちが関わった開発だったのですね。本当に。エンリコ・フェルミさんとか出てきますよ。
オッペンハイマーという人の生い立ちや人となり、マンハッタン計画の当時の様子などは興味深かったです。
原爆は罪だけど条件付で賛成、みたいなのや、水爆は反対、みたいなのは矛盾しているようですが、「彼なりの考え方ではある」と思えました。
私個人的には、核兵器や核管理についての彼の考え方には賛成しませんが、それ以外の人間としてのオッピー(オッペンハイマーの愛称)は愛すべき人物だったのだなと思います。
優秀で素晴らしいと思うし。
私は核兵器反対ですが、しかし、危険な国家であるナチス-ドイツが先に核爆弾を製造するかもしれない危機にあり、政府から重要な役目に大抜擢され、突貫工事で新兵器を作っていて、計画遂行に忙殺されて目標意外に考える余裕がない、開発を成功させることが必須--------のだとしたら、あまり彼を責められないと、自分は考えます。
そりゃあ一生懸命造っちゃうでしょう、原爆。
対日投下反対者もいたのですが、少数派だし、なにしろ政府高官たちが現場の科学者以上に協力に投下推進していましたから、大きな流れは止めようもない。
組織って怖いわあ。
アメリカが正しかったとか間違っていたとか単純に言うのではなく、本書のような「落とした側」の裏事情の歴史的調査・客観的考察をすることは、戦争や国家、核の将来などを考える上で必要だと思います。
やっているのは我々と同じ「人間」なのですし。
2012年12月24日に日本でレビュー済み
ロスアラモス研究所の所長になって以降、具体的に何をしたのか
ほとんど書いてない。彼自身の証言はなく彼の周辺にいた人が彼に
ついて語ったものしか取り上げられてないので結局のところどうだった
のか曖昧なままになってしまっています。
ほとんど書いてない。彼自身の証言はなく彼の周辺にいた人が彼に
ついて語ったものしか取り上げられてないので結局のところどうだった
のか曖昧なままになってしまっています。
2022年5月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
まず、核分裂が確認され、大きなエネルギーを得る可能性が確認され、世界の科学者に情報が広がる。これを応用・利用すれば、核爆弾が出来ると科学者は思う。
当時は、第二次世界大戦中で、オッペンハイマーやアインシュタインなどナイスに迫害された科学者が、ナチス・ドイツが核兵器を持つと大変という事で、アメリカ大統領に早期の開発を進言する。
それを受けて、核兵器開発のマッハッタン計画が作成され、ロスアラモス研究所の所長にオッペンハイマーが付き、それに陣頭指揮を執る。
それが完成し、広島、長崎に落とされた。オッペンハイマーは核爆弾を陣頭指揮し、どこに落とすかの委員会にも出て、原爆を落とすことに貢献する。
ここで、オッペンハイマーは核爆弾の威力と残酷さを知り、「私の手は血で汚れている」と初めて、自分のやってきたことの恐ろしさにきずく。科学者とはこういうものかと思う。
同時に、一部門で水爆の研究もされていて、ソ連が原爆開発に成功4年遅れで成功する。
ここからがまた、科学者のサガか、オッペンハイマーは原爆の高性能化に賛成しながら、一方で水爆に反対する。しかし、研究は容認する。「第一に核兵器は人類すべてにかかわる危機なのだという共通認識が必要だ」と講演しながら、「国際管理」を唱え、推進しようと努力しているが、核兵器のさらなる高性能化を容認するという、私には理解しがたい対応をしている。しかも、水爆には反対する。私には五十歩百歩にしか思えない。
案の定、核兵器競争が始まり、科学者も水爆などもっと殺傷力の大きい兵器を作るという勢力に負け、すべての役職から追放される。悲しいかな、世界には強いことに惹かれ、どんな残忍なことでもするトップクラスの人間は現実に結構いるのであって、利用されることは目に見えているのに、人工的な核分裂を利用したエネルギーは制御不能ななり、したがって、核分裂を利用することに反対するという事にならzない。科学者の哀しいサガと言うしかないのか、オッペンハイマーもその危険性を骨の髄まで感じているのに、以前として、原爆の推進をしていった姿は、どう理解したらよいのだろうか。
この本は、そういう一人の優秀な科学者の姿を、垣間見せてくれる一書であろう。
当時は、第二次世界大戦中で、オッペンハイマーやアインシュタインなどナイスに迫害された科学者が、ナチス・ドイツが核兵器を持つと大変という事で、アメリカ大統領に早期の開発を進言する。
それを受けて、核兵器開発のマッハッタン計画が作成され、ロスアラモス研究所の所長にオッペンハイマーが付き、それに陣頭指揮を執る。
それが完成し、広島、長崎に落とされた。オッペンハイマーは核爆弾を陣頭指揮し、どこに落とすかの委員会にも出て、原爆を落とすことに貢献する。
ここで、オッペンハイマーは核爆弾の威力と残酷さを知り、「私の手は血で汚れている」と初めて、自分のやってきたことの恐ろしさにきずく。科学者とはこういうものかと思う。
同時に、一部門で水爆の研究もされていて、ソ連が原爆開発に成功4年遅れで成功する。
ここからがまた、科学者のサガか、オッペンハイマーは原爆の高性能化に賛成しながら、一方で水爆に反対する。しかし、研究は容認する。「第一に核兵器は人類すべてにかかわる危機なのだという共通認識が必要だ」と講演しながら、「国際管理」を唱え、推進しようと努力しているが、核兵器のさらなる高性能化を容認するという、私には理解しがたい対応をしている。しかも、水爆には反対する。私には五十歩百歩にしか思えない。
案の定、核兵器競争が始まり、科学者も水爆などもっと殺傷力の大きい兵器を作るという勢力に負け、すべての役職から追放される。悲しいかな、世界には強いことに惹かれ、どんな残忍なことでもするトップクラスの人間は現実に結構いるのであって、利用されることは目に見えているのに、人工的な核分裂を利用したエネルギーは制御不能ななり、したがって、核分裂を利用することに反対するという事にならzない。科学者の哀しいサガと言うしかないのか、オッペンハイマーもその危険性を骨の髄まで感じているのに、以前として、原爆の推進をしていった姿は、どう理解したらよいのだろうか。
この本は、そういう一人の優秀な科学者の姿を、垣間見せてくれる一書であろう。