殺人者を精神鑑定しても鑑定結果が正しいかどうか誰にも分からない
という事が分かる。 もっともらしい理屈は後付け出来るが鑑定者によって
内容が全く異なる鑑定結果になる時点で科学ではないでしょう。
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精神鑑定の事件史: 犯罪は何を語るか (中公新書 1389) 新書 – 1997/11/1
中谷 陽二
(著)
第14回(1998年) 講談社科学出版賞受賞
- ISBN-104121013891
- ISBN-13978-4121013897
- 出版社中央公論新社
- 発売日1997/11/1
- 言語日本語
- 本の長さ248ページ
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
1.レーガン大統領を撃った男 2.演技する犯罪者 3.ロシア皇太子襲撃事件のなぞ 4.大量殺人犯とガウプ教授の奇妙な関係 5.哲学者アルチュセールはなぜ妻を殺したか
登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (1997/11/1)
- 発売日 : 1997/11/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 248ページ
- ISBN-10 : 4121013891
- ISBN-13 : 978-4121013897
- Amazon 売れ筋ランキング: - 730,513位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2011年11月1日に日本でレビュー済み
国内外で起きた過去の著名な事件のうち精神鑑定が行われた事例を、司法精神医学の専門家である著者がピックアップし、再検討した読み物。たぶん、次の2つの主題を扱っている。まず、(1)ある精神疾患がどのようにして事件に結びついたのかという犯罪心理学的な分析であり、もう一つは、(2)精神鑑定の意義や歴史などの制度的な側面のコンパクトな解説。
(1)については、レーガン大統領の暗殺未遂事件(1981年)を皮切りに、『24人のビリー・ミリガン』で有名になったミリガン事件(1977年)や、日本で旧刑法が施行されて間もない時期に起きた、ロシア皇太子が襲撃された大津事件(明治24/1891年)、30名にのぼる死者を出した大量殺人事件として小説や映画の題材にされた津山事件(昭和13/1938年)、精神医学史上で有名な9人の死者を出した南ドイツの一教師ワーグナーによる大量殺人(1913年)、フランスの哲学者ルイ・アルチュセールが夢うつつで妻を絞殺した事件(1980年)などが取り上げられている。
二章の「演技する犯罪者」では、夢遊病殺人が扱われる。夢遊病殺人は、本人がほとんど無意識なまま、身近な家族が犠牲になっていたので、何とも言えない不安感に襲われる。五章で取り上げられている、アルチュセールが妻を絞殺した事件も、この夢遊病殺人の一種だろう。
しかし、より驚かされたのは、同じ二章で扱われた多重人格の事例。二章の後半では、ベストセラーになったダニエル・キイス『24人のビリー・ミリガン』の事件が取り上げられており、著者がキイスの著書を詳しく検討した結果、ミリガンの病態に疑問が呈される。それによれば、ミリガンの病態は、治療者とのやりとりのなかで生起した「医原性」の現象の可能性が否定できないという。このような患者と治療者/被疑者と鑑定人との関係性については、四章で取り上げられる大量殺人犯ワーグナーと高名な精神医学者ガウプ教授との関係でも取り上げられる。これらの事例は、精神医療が、微妙な人間関係のなかで行われる行為であることを教えてくれるとともに、精神鑑定という行為の難しさをも提起しているように思われた。
以上のように、本書は各章で扱う事件について、公にされている情報をもとに事件当時の犯人の精神状態を再構成し、再検討している。そのため、精神鑑定という仕事の一端を垣間見ることができたんじゃないかと思う。
また、(2)として挙げたように、本書は、欧米の精神異常抗弁のルールや日本の精神病と犯罪の関係史をところどころで簡潔に紹介してくれている。もちろん本書の記述は非常に簡便なものだし、10年以上前の本なので、十分とは言えない。それでも、名前を聞いたことがあるだけの「精神鑑定」に、具体的なイメージを与えてくれる好著だと思う。
(1)については、レーガン大統領の暗殺未遂事件(1981年)を皮切りに、『24人のビリー・ミリガン』で有名になったミリガン事件(1977年)や、日本で旧刑法が施行されて間もない時期に起きた、ロシア皇太子が襲撃された大津事件(明治24/1891年)、30名にのぼる死者を出した大量殺人事件として小説や映画の題材にされた津山事件(昭和13/1938年)、精神医学史上で有名な9人の死者を出した南ドイツの一教師ワーグナーによる大量殺人(1913年)、フランスの哲学者ルイ・アルチュセールが夢うつつで妻を絞殺した事件(1980年)などが取り上げられている。
二章の「演技する犯罪者」では、夢遊病殺人が扱われる。夢遊病殺人は、本人がほとんど無意識なまま、身近な家族が犠牲になっていたので、何とも言えない不安感に襲われる。五章で取り上げられている、アルチュセールが妻を絞殺した事件も、この夢遊病殺人の一種だろう。
しかし、より驚かされたのは、同じ二章で扱われた多重人格の事例。二章の後半では、ベストセラーになったダニエル・キイス『24人のビリー・ミリガン』の事件が取り上げられており、著者がキイスの著書を詳しく検討した結果、ミリガンの病態に疑問が呈される。それによれば、ミリガンの病態は、治療者とのやりとりのなかで生起した「医原性」の現象の可能性が否定できないという。このような患者と治療者/被疑者と鑑定人との関係性については、四章で取り上げられる大量殺人犯ワーグナーと高名な精神医学者ガウプ教授との関係でも取り上げられる。これらの事例は、精神医療が、微妙な人間関係のなかで行われる行為であることを教えてくれるとともに、精神鑑定という行為の難しさをも提起しているように思われた。
以上のように、本書は各章で扱う事件について、公にされている情報をもとに事件当時の犯人の精神状態を再構成し、再検討している。そのため、精神鑑定という仕事の一端を垣間見ることができたんじゃないかと思う。
また、(2)として挙げたように、本書は、欧米の精神異常抗弁のルールや日本の精神病と犯罪の関係史をところどころで簡潔に紹介してくれている。もちろん本書の記述は非常に簡便なものだし、10年以上前の本なので、十分とは言えない。それでも、名前を聞いたことがあるだけの「精神鑑定」に、具体的なイメージを与えてくれる好著だと思う。
2010年5月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
現在、筑波大学におられる中谷先生。1月の京都でのご発表でも、鑑定からは容易に読み取れない隠れた病者のストーリーを強調しておられた。欧州の伝統に依拠する構造主義的な物語観だと思った。確かに、精神病の症例は物語記述と近い。そこに病者の無意識の作為がどこまで影響しているか、その作為が鑑定者である精神科医に感染することはないか。おそらく、この小さな入門書が示しているのはそのような思索の方向だと思う。これを詐病と言うけれども、誰一人、医者であっても、この病の感染からは免れないわけである。では、歴史家はどうだろうか。
様々な物語枠が提示されている。医者の診断はそうした文化的・時代的な枠組みを横切って病名をつけなければならない。精神鑑定は複雑な要素を含むが、その結果はさらに重大であるので、簡単な決定論は表明出来ない。科学的「説明」の限界が試される場所だと思う。
様々な物語枠が提示されている。医者の診断はそうした文化的・時代的な枠組みを横切って病名をつけなければならない。精神鑑定は複雑な要素を含むが、その結果はさらに重大であるので、簡単な決定論は表明出来ない。科学的「説明」の限界が試される場所だと思う。
2006年7月22日に日本でレビュー済み
精神鑑定というものを社会史的側面も含めながら考察した労作。
1章はジョディ・フォスターの気をひく為にレーガン大統領を狙撃した男。
2章は演技する犯罪者。
3章はロシア皇太子襲撃事件。
4章は津山事件を含む大量殺人。
5章はマルクス主義哲学者アルチュセールの妻の殺害である。
どれも非常に興味深いトピックスでありながら著者は慎重に資料を選びながら、
序章でみられるような明確な定義によって筆をすすめる。
深く精神病、精神鑑定を考えたい人にお勧めの1冊である。
1章はジョディ・フォスターの気をひく為にレーガン大統領を狙撃した男。
2章は演技する犯罪者。
3章はロシア皇太子襲撃事件。
4章は津山事件を含む大量殺人。
5章はマルクス主義哲学者アルチュセールの妻の殺害である。
どれも非常に興味深いトピックスでありながら著者は慎重に資料を選びながら、
序章でみられるような明確な定義によって筆をすすめる。
深く精神病、精神鑑定を考えたい人にお勧めの1冊である。