信長が父・信秀の跡を継いで織田家の総領となって以降、本能寺の変で横死するまでの合戦の記録を綴る。
彼は戦国の動乱の中にあって、家督を相続してからは尾張の国の身内を次々と倒して国内を統一する。
「うつけ」と蔑まれてきた信長だが幼少時から家を継げない次男坊・三男坊を集めて自身の側近として戦闘の訓練を施していた。
要は「親衛隊」の育成に努めていたのである。彼等は初期の信長の戦いにおいて多大な貢献を果たす。
ようやく尾張の国を統一したら今度は美濃の斎藤氏・駿河の今川氏と干戈を交える。
「桶狭間の戦い」は信長の生涯唯一ともいうべき奇襲戦であった。結果は大勝利。
けれど、以後二度と少軍による奇襲は行わなかった。
流浪の将軍・足利義昭を上洛させたことで京への道が開けた。
以後、天下布武の名の下に京を押さえて畿内周辺の平定に乗り出すのである。
四方を敵に囲まれていた信長は常に戦っていなければならず、季節を問わず戦える専業の武士団を必要としたのは当然。
信長本人は一か所にそうそう長くは留まれないので長期戦になる城攻めはそもそもしたくない。
ひとつの敵を倒したら、次の敵のいる場所へ移動せねばならず、その間に京都の都に帰り、
天皇や公家や将軍にも挨拶して回っていたのだから席の温まる暇など無かったであろう。
しかし、ひとつの戦いに動員する兵は常に数万人レベルであり、各勢力も単独では対抗することは困難であった。
それを悟っての将軍・足利義昭との仲が悪くなってからの「信長包囲網」であったのだろうが、
各勢力の連携が悪く、特に越前の朝倉氏は肝心な場面での優柔不断ぶりを味方のはずの本願寺や浅井長政や武田信玄からも呆れられている。
信長を最も苦しめたのは石山本願寺を中心とする一向宗の門徒たちであり、
伊勢長島・加賀・越前を中心として各地で蜂起して死をも恐れぬ戦いぶりに手を焼かされる。
織田軍の強さの秘密としては以下の点を挙げたい。
・信長の行動力と決断力の早さに全軍が引っ張られていた。
信長は敵と戦うと決めたら僅かな供回りだけで本拠地から出陣して、
後から慌てて配下の武将たちが追い付いて来て体制が整うという場面が少なくなかった。
・道を広げたり川に橋を掛けたりして軍勢の移動がスムーズに出来るようにした。経済的な面での物流を重視したということもあったのだが、それ以上に軍勢の移動の早さに貢献した。
・貿易都市の「堺」や交通の要所である摂津や草津を押さえていたので莫大な収入があった。新兵器の鉄砲を多数配備できたのも要は経済力に富んでいたからである。
・身分に囚われない信長は優秀な人間を次々と抜擢し、無能な人間は追放・粛清したため部下は必死に働き成果を上げた。尤も、それ故に裏切りに出る人間が多かったという負の面もあったのだが。
・生涯を通して「常に討って出て戦っていた」ため、居城を敵に攻められた経験が無かった。最後、本能寺に攻められたのが唯一の例外か。
・基本は圧倒的な大軍で敵を殲滅するスタイルだった。少軍での奇襲攻撃は「桶狭間のみ」である。
・身内を駆使した外交戦略。政略結婚を多用し、強敵である武田信玄・上杉謙信には徹底してへりくだり戦いを避けた。その結果、最大の強敵とも言えた両者とは直接対決なくして終わった。
信長の死後、跡を継ぐ形で天下人となった豊臣秀吉・徳川家康はいずれも信長の味方の中から出た者であり、
織田軍団の一員として各地を転戦する中で「信長の戦いのセオリー」を吸収し消化して自らの血肉に変えていったのである。
基本は「神速の行動力」「素早い決断」「敵の何倍もの兵力で圧倒」
かくて戦えば勝つ「常勝軍団」は形成されていき、応仁の乱以降120年余りに渡って続いた動乱の世を終結させた。
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織田信長合戦全録: 桶狭間から本能寺まで (中公新書 1625) 新書 – 2002/1/25
谷口 克広
(著)
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- 本の長さ301ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2002/1/25
- ISBN-104121016254
- ISBN-13978-4121016256
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登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2002/1/25)
- 発売日 : 2002/1/25
- 言語 : 日本語
- 新書 : 301ページ
- ISBN-10 : 4121016254
- ISBN-13 : 978-4121016256
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2017年10月31日に日本でレビュー済み
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2022年12月24日に日本でレビュー済み
戦下手の戦好き。信長を表すにはこの一言に尽きる。常時戦を起こしそれを持続させる莫大な戦費、信長の経済力がそれを成させた。だが信長自身が作り出したものは少ない。ほとんどが先祖代々の遺産や名も無き庶民のたゆまぬ努力が生み出したものの搾取によって成り立っている。そして南欧勢力、宣教師の軍事援助。日本征服の意図を知りながらその援助を脳天気に受けていたとすれば救いがたい。
日本史上最大の愚物であり、生きていれば日本をスペインに売り渡したであろうことは想像に難くない。
光秀の英断と、日本を統一した秀吉が日本を守ったのだ。
日本史上最大の愚物であり、生きていれば日本をスペインに売り渡したであろうことは想像に難くない。
光秀の英断と、日本を統一した秀吉が日本を守ったのだ。
2015年11月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
織田信長の関わった全ての合戦について、著者が信頼できると
判断した資料に基づき、記述した本です。
戦国時代に関しては、残された資料が多くあるだけに、信頼度
の精査が鍵を握ります。
その点での著者の判断の正しさが、本書を今後の信長の合戦もの
の基礎資料とするでしょう。
内容は、各合戦をテーマ毎に分け、その中で順を追って説明さ
れますので、テーマを超えた時系列は前後することがあります。
そこで如何に信長が、同時多方面作戦に直面していたかが判り
ます。
また、信頼度の高い資料に基づく合戦全録としたことで、小さ
な戦もフォローされているので、その全体像からも、これまで
に見えなかったことに、気付かされます。
まずは、佐久間信盛、丹羽長秀、宇喜多直家などの武将の見方
が変わりました。
そして、桶狭間の戦い、天下布武、信玄の西征、長篠の戦い、
本能寺の変などにおける、著者の見解も重要であると考えま
す。
判断した資料に基づき、記述した本です。
戦国時代に関しては、残された資料が多くあるだけに、信頼度
の精査が鍵を握ります。
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内容は、各合戦をテーマ毎に分け、その中で順を追って説明さ
れますので、テーマを超えた時系列は前後することがあります。
そこで如何に信長が、同時多方面作戦に直面していたかが判り
ます。
また、信頼度の高い資料に基づく合戦全録としたことで、小さ
な戦もフォローされているので、その全体像からも、これまで
に見えなかったことに、気付かされます。
まずは、佐久間信盛、丹羽長秀、宇喜多直家などの武将の見方
が変わりました。
そして、桶狭間の戦い、天下布武、信玄の西征、長篠の戦い、
本能寺の変などにおける、著者の見解も重要であると考えま
す。
2016年12月20日に日本でレビュー済み
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先週、谷汲山華厳寺(岐阜,大垣市)、近江八幡、伊勢神宮をぐるりと巡って来ました。この本を読んでおくとああこの地は(地名は)信長の時代に、あの地方武士豪族が対抗したところであるかなとの想像が湧き楽しめました。
2015年2月26日に日本でレビュー済み
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秀吉の品の無さー武将は育ちも大切。何としてもやり切れないのが光秀如きに殺されたこと。戦国時代ただ一人、夢を与えてくれた武将であった。これが信長の最大の魅力ではないだろうか。
2015年12月20日に日本でレビュー済み
ずいぶん前、タイトルに惹かれて購入したがようやく読了。著者自身も述べている
ように史料価値としては高いのかもしれないが、読み物としては楽しめない。こちら
に歴史知識が不足していることが原因だろうが、書き手が具体的事実に振り回され
ているとも読める。
さて、この本で改めて感じたのは、信長の人生とは自業自得としか言いようがない
ということだ。人間の愚かさを学ばせてもらった。
ように史料価値としては高いのかもしれないが、読み物としては楽しめない。こちら
に歴史知識が不足していることが原因だろうが、書き手が具体的事実に振り回され
ているとも読める。
さて、この本で改めて感じたのは、信長の人生とは自業自得としか言いようがない
ということだ。人間の愚かさを学ばせてもらった。
2013年10月5日に日本でレビュー済み
特に信長の革新性が好きなので購入しました。読後感は信長史を復習した感じです。
2008年5月12日に日本でレビュー済み
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基本的に叩き台は「信長公記」であるが、それを補う様に他書からの引用も多く説得力はある。小テーマを掲げ解説しているので、ある程度歴史の流れを知らないと前後不覚になる恐れが感じられるが、内容は充実しており、この内容、頁数は、この価格では”買い”で簡単な信長辞典としても使える。しかし、諸手をあげて賞賛もできない。「信長公記」に記載がなく、他書にも記述がないと、その出来事が無かったかの如く扱われたり、「信長公記」だけが他書と逆の記載があっても、絶対に他書の解釈になることはなく、「まあ話し半分」的解釈になってしまう。また、自分は作家向きでないと思っているのか、まだその時期でないと判断しているのか分からないが、信長を題材にした小説を書きたがっている様子が散見される。著者の信長論文大成ではあるものの、著者が信長崇拝者であることを忘れずに目を通してほしい。星5つでも良いが腑に落ちな解釈が散見されるので、辛口ではあるが星4つとした。