プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
¥902¥902 税込
発送元: Amazon.co.jp 販売者: Amazon.co.jp
¥350¥350 税込
配送料 ¥257 6月13日-15日にお届け
発送元: はなひ堂 販売者: はなひ堂
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
批評理論入門: 『フランケンシュタイン』解剖講義 (中公新書 1790) 新書 – 2005/3/25
購入オプションとあわせ買い
- ISBN-104121017900
- ISBN-13978-4121017901
- 出版社中央公論新社
- 発売日2005/3/25
- 言語日本語
- 本の長さ258ページ
よく一緒に購入されている商品
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2005/3/25)
- 発売日 : 2005/3/25
- 言語 : 日本語
- 新書 : 258ページ
- ISBN-10 : 4121017900
- ISBN-13 : 978-4121017901
- Amazon 売れ筋ランキング: - 10,858位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 32位中公新書
- - 39位英米文学研究
- - 3,651位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
1958年、大阪府生まれ。1982年、京都大学文学部文学科卒業(独文学専攻)。英文学に転向後、神戸大学大学院文化学研究科博士課程単位取得退学(1991)。学術博士(1994)。京都大学大学院人間・環境学研究科教授を経て、現在、京都大学国際高等教育院 副教育院長、名誉教授。日本ジョージ・エリオット協会会長。2016-2019年、文部科学省科学官。英文学、イギリス小説を研究。1996年、第4回福原賞受賞。著書に、『批評理論入門ー「フランケンシュタイン」解剖講義』(中公新書)、『小説読解入門ー「ミドルマーチ」教養講義』(中公新書)、『シンデレラはどこへ行ったのか―少女小説と『ジェイン・エア」』(岩波新書)、『ミステリーの人間学ー英国古典探偵小説を読む』(岩波新書)、『深読みジェイン・オースティンー恋愛心理を解剖する』(NHKブックス)、『謎解き「嵐が丘」』(松籟社)、『一人称小説とは何かー異界の「私」の物語』(ミネルヴァ書房)、『視線は人を殺すかー小説論11講』(ミネルヴァ書房)、『十九世紀イギリス小説の技法』(英宝社)ほか。翻訳書に、ジョージ・エリオット『ミドルマーチ』1~4(光文社古典新訳文庫)、ジェイン・オースティン『説得』(光文社古典新訳文庫)ほか。NHK Eテレ「100分de名著」の『フランケンシュタイン』『高慢と偏見』『シャーロック・ホームズ スペシャル』にゲスト講師として出演。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
若い人には自由に表現してほしい。彼らがクリエイティブに勤しむとき、教養は必須ではありません。
しかし、例えばオリンピックの開会式を創造する、というようなレベルのクリエイターであれば当然身につけておかなければ恥ずかしい教養というものがあります。
その教養こそ、廣野由美子著「批評理論入門」(2005)です。
ある程度の年齢のクリエイターならば、批評に耐え得る作品(もちろんポジティブなあるいはネガティブな評価があってよい)を作るべきです。しかしそれらを意図していなかったという言い訳は通用しないのです。ではどういう種類の批評があるのでしょうか。
廣野さんが書いていますが、この本のベースになっているのは前半はデイヴィッド・ロッジの「小説の技巧」(1992)、後半はFrankenstein (Case Studies in Contemporary Criticism) -Mary Shelley & Johanna M. Smith- です。こういう本が存在することでわかるように「批評」は学問の一分野として一般的なもので、教養として必須です。後半で列挙された批評理論の数々は、現代において専門でない人でも知っておくべき評価の手法をほぼ網羅していると考えます。すなわち、
1. 道徳的批評:批評する時点での道徳の規範に即しているのかという視点で作品を評価する。
2. 伝記的批評:その作品が作者の人生の投影であろうという視点で評価する。
3. ジャンル批評:形式あるいは内容により作品を分類し論じる。
4. 読者反応批評:作品の「行間」から読者がどう感じるか、という視点で評価する。
5. 脱構築批評:テクスト中の二項対立、その転覆や解体、あるいは概念のパロディ化に注目して評価する。
6. 精神分析批評:作者のクリエイティブな衝動をフロイト的に批評するのが原点だが、男性中心の考え方であり、ユング的、神話的、ラカン的解釈などへ派生していった。
7. フェミニズム批評:作者としての女性、あるいは作品内の女性について論じる。
8. ジェンダー批評:男女の性のくくりに縛られずに作品に描かれる人物関係について論じる。
9. マルクス主義批評:その作品を物としてとらえ、背景にある政治、経済、社会について論じる。
10. 文化批評:その作品が知識人、あるいは市民に与えた文化的影響を論じる。
11. ポストコロニアル批評:植民地がどう描かれているか、あるいは植民地化されていた国や人々がどう作品を描いたか、という視点で評価する。
12. 新歴史主義:背景としての単なる歴史、ではなくジャレドダイヤモンドのように歴史を大きな社会学として考え作品との関わりを議論する手法。
13. 文体論的批評:テクストの要素を科学的に分析して評価する。
14. 透明な批評:作品が現実であるかのように中に入り込んで論じる手法。
です。何か作品を作ればこれらの視点で批評を受けるのが現代です。そしてこの視点で「発表時点ですでに古い」「間違った既成概念」と指摘されれば、作品の価値は言わずもがなでしょう。
例えば「差別」は、フェミニズム批評、ジェンダー批評、ポストコロニアル批評などを軸に議論されるでしょう。その表現が差別的であるかどうか、についても多様な解釈がありえますから、多くのスタッフの意見を公平に参考にしなければ容易に間違える可能性があります。
ピクサー社における会議「ブレイントラスト」は、多くのスタッフからの忌憚ない意見を集めるものとして有名ですが、結果としてこれら14の視点を網羅するだろうと考えられます。主に監督に対する批評となるわけですが、監督は精神的にダメージを受けつつ批評を乗り越え完成度を高めるためにさらに努力します。その結果作られた作品は世界的に評価を受けています。この会議こそがピクサー映画の質を高めているとされます。(それでも利益相反COIにより、作品の質の低下はおきます。14の視点にもう一つ付け加えるとすればCOIであり、小説では起きにくい問題ですがそれ以外の作品ではしばしば生じる問題です)
ピクサーに限らずクリエイティブなブレインストーミングを行う場合、柔軟な視点を持つ人々が発言しやすい場を作るという事がまず基本です。その上で批評を行えば少なくとも発表即中止というような稚拙なアイディアは駆逐されるはずなのに、この国では稚拙な表現がメディアに散見されますし、悪い表現を擁護しようとする教養のない大人もまだまだ多い。
「批評理論入門」は小説の読み方の本ですが、逆側から眺めればクリエイターが揉まれるべき荒波を書いた本としても極めて価値が高いという事がわかります。興味のある方は手に取ってみてください。
小説「フランケンシュタイン」を題材に小説の技法と批評理論が概説されます。「フランケンシュタイン」は多義的な読み解き方ができる格好の事例だということが明示されます。
批評理論では脱構築批評の項が参考になりました。構造主義とポスト構造主義の違いが分からなかったからです。
専門ではなかったのですが、これを読み、基礎を掴むことが出来ました。
何から読めばいいかわからないという人は、まずはこれから読むことをおすすめします。
ちなみに、フランケンシュタインの物語を知らなくても全く問題ありません。
個人的には主宰する読書会を、より充実させたいと本書を手にとりました。
さて、そんな本書は英文学、イギリス小説の研究者である著者が京都大学の英米文芸表象論で行った講義をベースに、また、デイヴィッド・ロッジの『小説の技巧』、ヨハンナ・M・スミス編『フランケンシュタイン』を基底にしつつ。前半の『小説技法編』では【小説はいかなるテクニックを使って書かれているか】を明示、後半の『批評理論編』では、読者反応批評、精神分析批評、フェミニズム批評、マルクス主義批評、文化批評、ジェンダー批評等といった有力な作品分析の方法論で『フランケンシュタイン』を題材に【多方面から平易に解説している】わけですが。
まず、前提として『フランケンシュタイン』を既読であることが求められる本書ですが。著者自ら『可能な限り、フランケンシュタインに関する論文を読んだ』と書いているだけあって、作品に含まれている様々な要素を知ることができて、新鮮で楽しかった。
また、前述したように。主宰している読書会をより充実した場にすべく、主観的な感想を言いあう集まりから【文学批評の場】にすべく勉強しているのですが。本書の解説はとてもわかりやすく理解が進みました。
メアリ・シェリーの『フランケンシュタイン』を既に読まれた方、また文学批評を学ぶ補助線としてオススメ。
私はストーリーとプロットの違いすら知らなかったので、とても新鮮。特に前半、『フランケンシュタイン』に用いられている技法を読み解くところで何度か「鮮やか!」と感嘆する。
通読すると「批評理論という方法論を持つことによって、自分の狭い先入観を突破し、作品の解釈の可能性を拡大することができる(p.ii)」ことが実感できる。文学批評を馬鹿にしちゃいけないな。