マイノリティに関して好意的(あるいは同情的)に、解釈した項が多く、
感触は、なんとも言えない感じでした。
NCLB法からジョン・アダムズまで、幅広く取り扱っていますが、
中立的とは言えない説明が多いので、反対意見もあわせて読むと、
先入観がつかずに済むと思います。
個人的な意見では、全体の意見が既得権者に対して、冷たすぎると感じましたが、
執筆者の多くが、移民組であることを考えると当然かも知れません。
アメリカにおける意見の多様さの端緒を垣間見ることが出来る本ですが、
キーワード集としては不適当な程に意見の偏りを感じました。
しかし、アメリカについて、漠然としたイメージしかないのであれば、読む価値があると思います。
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現代アメリカのキーワード (中公新書 1857) 新書 – 2006/8/1
- ISBN-104121018575
- ISBN-13978-4121018571
- 出版社中央公論新社
- 発売日2006/8/1
- 言語日本語
- 本の長さ412ページ
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登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2006/8/1)
- 発売日 : 2006/8/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 412ページ
- ISBN-10 : 4121018575
- ISBN-13 : 978-4121018571
- Amazon 売れ筋ランキング: - 753,020位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 216位アメリカ・中南米の地理・地域研究
- - 2,677位中公新書
- - 11,360位世界史 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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矢口祐人(やぐち ゆうじん)
1966年北海道生まれ
ゴーシエン大学(Goshen College)卒業。ウィリアム・アンド・メアリ大学大学院(College of William and Mary)アメリカ研究科修士課程・博士課程修了(Ph.D.)。カリフォルニア州立大学サンタクルズ校客員研究員(2001年)、ホノルル東西センター客員研究員(2002年)。2011年、『憧れのハワイ』でヨゼフ・ロゲンドルフ賞受賞。
北海道大学言語文化部助教授を経て、現在、東京大学大学院総合文化研究科教授・同国際交流センター長。英語とアメリカ研究、英語学位プログラムPEAK関連の授業を担当。主な研究テーマはアメリカ文化史、日米文化論、ミュージアム論、ハワイを中心にした観光文化論。
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年11月17日に日本でレビュー済み
著者自身が初めに書いているように本書はかなり左に偏った内容である。よってタイトル通りこれが「現代アメリカ」だとは言えない。ただ「こういう意見もある」と割り切って読めばアメリカの多くの問題を浮き彫りにしており、優れた入門書だと言える。
本書で提言されるアメリカの諸問題は2つに集約できる。市場主義と暴力だ。1つは極端な市場原理主義によって引き起こされる貧困や不平等感だ。農業や健康保険、治安維持までもが市場に委ねられた結果、保護されるべき社会的弱者がさらに搾取されるという構造が出来上がっている。
もう1つは理想主義と市場主義が入り混じった結果生まれた巨大な暴力だ。ブッシュ政権下で話題になったグァンタナモやカトリーナの問題は、異端者を排除して問題を片付けようとするアメリカの構造的問題が表面化した結果だ。
日本のニュースでは断片的な情報でしか語られないが、アメリカの諸問題は宗教や差別などいくつかのキーワードに集約される。読んでいるうちに自然にアメリカが見えてくる良書だ。
本書で提言されるアメリカの諸問題は2つに集約できる。市場主義と暴力だ。1つは極端な市場原理主義によって引き起こされる貧困や不平等感だ。農業や健康保険、治安維持までもが市場に委ねられた結果、保護されるべき社会的弱者がさらに搾取されるという構造が出来上がっている。
もう1つは理想主義と市場主義が入り混じった結果生まれた巨大な暴力だ。ブッシュ政権下で話題になったグァンタナモやカトリーナの問題は、異端者を排除して問題を片付けようとするアメリカの構造的問題が表面化した結果だ。
日本のニュースでは断片的な情報でしか語られないが、アメリカの諸問題は宗教や差別などいくつかのキーワードに集約される。読んでいるうちに自然にアメリカが見えてくる良書だ。
2006年11月5日に日本でレビュー済み
アメリカ社会において大学教師や学位を持った研究者たちの役割は、社会を護るために絶えず反体制的なスタンスを維持しなければならない、という不文律がある。これは旅行者的視点では全く見えてこない。今年なくなった聖書学者ヤーロスラフ・ペリカンの著書「大学とは何かに」(邦訳あり)には最初に書かれている。これは空念仏ではなく、アメリカで暮して大学教師や大学生や院生などと政治的な議論をしてみると実感できる事実である。本書はその視点で書かれているために、編者たちが前書きである種の偏りを感じるであろうという断り書きが付されている。30年前の学生紛争以降、大学の社会的役割の中からリベラリズムが消滅した日本とは雲泥の差である。日本の高等教育論は所詮輸入学問的範疇を超えられないのか、という逆説すら感じさせる。
グローバリズムはただの標語ではなく、国際政治を含めてアメリカを中心とした政治経済で発生している世界共通現象を指すとも言える。それは現在進行中のイラク戦争、北朝鮮問題、いづれにしろ世界の多極化として捉えるなり認識基盤も様々であろうが、その背後にはアメリカの政治経済のみならず文化や社会の動きが多数ある。その根源を移民国家アメリカ合衆国での社会現象を分析することで再把握しようとする試みともいえるのが、本書に選ばれた81のテーマで書かれたエッセイである。エッセイはアメリカ人の著者が多数執筆しているので、日本的なステレオタイプを排することに成功している。またエッセイごとに最新の参考文献をインターネットの情報資源とともに紹介するなど値段に較べると使える情報を満載した1冊で、数年前に出た「事典現代アメリカ」に引けを取らない緻密な編集といえよう。
地域研究は傍観者の視点ではなく、在住者の視点でかかれない限り、社会的な意味は希薄になる。それを長年のアメリカ研究を通して書かれた好著である。索引も実に充実している、短いが読み応えのあるエッセイが多い、熟読に値する。
中間選挙最終日まで後2日のニューヨークにて。
グローバリズムはただの標語ではなく、国際政治を含めてアメリカを中心とした政治経済で発生している世界共通現象を指すとも言える。それは現在進行中のイラク戦争、北朝鮮問題、いづれにしろ世界の多極化として捉えるなり認識基盤も様々であろうが、その背後にはアメリカの政治経済のみならず文化や社会の動きが多数ある。その根源を移民国家アメリカ合衆国での社会現象を分析することで再把握しようとする試みともいえるのが、本書に選ばれた81のテーマで書かれたエッセイである。エッセイはアメリカ人の著者が多数執筆しているので、日本的なステレオタイプを排することに成功している。またエッセイごとに最新の参考文献をインターネットの情報資源とともに紹介するなど値段に較べると使える情報を満載した1冊で、数年前に出た「事典現代アメリカ」に引けを取らない緻密な編集といえよう。
地域研究は傍観者の視点ではなく、在住者の視点でかかれない限り、社会的な意味は希薄になる。それを長年のアメリカ研究を通して書かれた好著である。索引も実に充実している、短いが読み応えのあるエッセイが多い、熟読に値する。
中間選挙最終日まで後2日のニューヨークにて。
2009年4月7日に日本でレビュー済み
日本人が執筆した項目と翻訳された項目ではその文章の作りがまったく違います。ここに日本人の思考とアメリカ人の思考の違いを簡潔に見ることができます。また項目によって日本人の興味を広く引くものもあればそうでないものもあります。ここにも日本人とアメリカ人の感覚の違いを見ることができるでしょう。気になるのは取り上げられた項目がどれもこれも文化系の話題ばかりということで、唯一自然科学系といってよいES細胞の話題も倫理的側面から述べられている始末です。「文化=ローカル」ですからアメリカを際だたせるのには役立つのかもしれませんが、せめてチョムスキーや核融合やナショナルジオグラフィックなど自然科学系の話題を3割程度は入れてもよかったんじゃないでしょうか・・・
2006年9月21日に日本でレビュー済み
アメリカの現在をみつめる上で鍵となる言葉を81集めて概説した横組みの一冊です。
頁数は370超と、中公新書としては比較的厚手のつくりです。
取り上げているキーワードは、「アラスカ油田開発」「キリスト教右派」「移民政策」「マキラドーラ(メキシコの保税加工工場)」「知的設計論(進化論に対抗する保守的な生物学の考え方)」といった政治経済にまつわる言葉や、「ローレンス・サマーズ(ハーバード大学長)」「T.D.ジェークス(「メガ・チャーチ」の指導者)」といった日本では耳なじみがなくともアメリカでは著名な人物など、多岐に渡ります。
なかには日本のメディアでも耳にすることのある「ミシェル・ウィー」「マーサ・スチュワート」といった人々の名前もキーワードとして取り上げられていますが、もちろん単なるプロフィール紹介に終わることなく、それぞれの人物の現代アメリカにおける文化的・社会的な意味合いについてなかなか示唆的な記述がされています。
たとえば、「ミシェル・ウィー」や「ヤオ・ミン」といったおなじみのスポーツ選手については、アメリカ社会において「アジア系はスポーツが苦手」というステレオタイプを打破する存在としても意義深いことを指摘しています。
「マーサ・スチュワート」の項では「9.11以降の保守化するアメリカで『あるべき家族像』をめぐる攻防がますます混沌とするなか、スチュワートが相変わらずの人気を誇るのは、せめて理想の家庭像だけでもはっきりと描いてみせる人物をアメリカ社会が必要としているからではないだろうか」と書きます。
このほかにも「SUV車」の項ではこの車を自動車産業界の思惑やアメリカの石油依存体質とからめて論じるなど、見るべき点が多いと感じる一冊でした。
頁数は370超と、中公新書としては比較的厚手のつくりです。
取り上げているキーワードは、「アラスカ油田開発」「キリスト教右派」「移民政策」「マキラドーラ(メキシコの保税加工工場)」「知的設計論(進化論に対抗する保守的な生物学の考え方)」といった政治経済にまつわる言葉や、「ローレンス・サマーズ(ハーバード大学長)」「T.D.ジェークス(「メガ・チャーチ」の指導者)」といった日本では耳なじみがなくともアメリカでは著名な人物など、多岐に渡ります。
なかには日本のメディアでも耳にすることのある「ミシェル・ウィー」「マーサ・スチュワート」といった人々の名前もキーワードとして取り上げられていますが、もちろん単なるプロフィール紹介に終わることなく、それぞれの人物の現代アメリカにおける文化的・社会的な意味合いについてなかなか示唆的な記述がされています。
たとえば、「ミシェル・ウィー」や「ヤオ・ミン」といったおなじみのスポーツ選手については、アメリカ社会において「アジア系はスポーツが苦手」というステレオタイプを打破する存在としても意義深いことを指摘しています。
「マーサ・スチュワート」の項では「9.11以降の保守化するアメリカで『あるべき家族像』をめぐる攻防がますます混沌とするなか、スチュワートが相変わらずの人気を誇るのは、せめて理想の家庭像だけでもはっきりと描いてみせる人物をアメリカ社会が必要としているからではないだろうか」と書きます。
このほかにも「SUV車」の項ではこの車を自動車産業界の思惑やアメリカの石油依存体質とからめて論じるなど、見るべき点が多いと感じる一冊でした。
2006年11月22日に日本でレビュー済み
これ、事典の体裁を採ってるけど読み物として充実してる。読み応えがある。この本読む人は「まえがき」に丁寧に目を通すべし。この本のスタンス、特徴が要領よくまとめられている。アメリカって国を客観を装って評すことなんか出来ないってことで、執筆者達のおおまかなポジション(政治的左派)を明確にしている点が実に潔い。読む側も、「そういう視点から見ているのだな」というのがわかり、飲み込みが早くなる。
これの日本版作っても面白いな、と思ってINDEXを眺めるとき、日本版からは外されるだろうキーワードが「セックス&ジェンダー」「マイノリティ&人種」「宗教」だろう。そして通読すると、この3つのキーワードがまさにアメリカという国を形作っていることがわかるのだ。
そして、アメリカって「超」が付く位、民主主義と資本主義の国だってこともよくわかる。
81のキーワードを、自分が知っていた事柄、知らなかった事柄という軸と、日本に影響のある事柄、あまりない事柄という軸で四象限にしてみると面白いかもしれない。ほら、意外に知らないけど影響あることってあるんだよなぁ、○○とか××とか...
これの日本版作っても面白いな、と思ってINDEXを眺めるとき、日本版からは外されるだろうキーワードが「セックス&ジェンダー」「マイノリティ&人種」「宗教」だろう。そして通読すると、この3つのキーワードがまさにアメリカという国を形作っていることがわかるのだ。
そして、アメリカって「超」が付く位、民主主義と資本主義の国だってこともよくわかる。
81のキーワードを、自分が知っていた事柄、知らなかった事柄という軸と、日本に影響のある事柄、あまりない事柄という軸で四象限にしてみると面白いかもしれない。ほら、意外に知らないけど影響あることってあるんだよなぁ、○○とか××とか...
2006年9月11日に日本でレビュー済み
現代アメリカ(9.11同時多発テロ以降)を理解するためのキーワード81項目をとりあげている。例えば、ジョージ・W・ブッシュ、フィランソロピー、アラン・グリーンスパン、アブグレーブ・スキャンダル、グアンタナモ、ミシェル・ウィー、マーサ・スチュワート、セックス&ザ・シティなどなど。
それぞれの項目は3〜7ページ程度なので、気軽に好きな順番で読める。(全体的にサブカルチャー関連はページ数が少なく、政治関連は多い。)
分野別インデックスもついていて興味あるテーマをまとめて読みたいときにも便利。
まえがきで編著者がことわっているように、ややリベラル寄りな内容である。
それぞれの項目は3〜7ページ程度なので、気軽に好きな順番で読める。(全体的にサブカルチャー関連はページ数が少なく、政治関連は多い。)
分野別インデックスもついていて興味あるテーマをまとめて読みたいときにも便利。
まえがきで編著者がことわっているように、ややリベラル寄りな内容である。
2006年9月3日に日本でレビュー済み
毎月大量にアメリカ本が出ているが、本書を読んで、当たり前ながら、米国nについて知らないことばかりだと実感した。米国本が大量に出ていると言っても、それは政治や経済、映画など限られた国際的な部分だけで、テレビや芸術、国内政策などは余り興味の対象にならない。また、人種や同性愛が、おそらく日本で考えられている以上に神経質な問題だということも知られていない。9・11以降の米国をテーマにしたと言う本書は、米国の全体像をつかむことは困難かも知れないが、全体像に近づくために必要な、多くの断片を与えてくれるだろう。
本書を読んで、常盤新平や池澤夏樹らが22年前、本書と同じように米国のキーワードを集めて出版した現代新書の「アメリカ情報コレクション」を思い出した。まだベトナム後遺症が残る時期だったとはいえ、「コレクション」に50年代のアメリカ黄金期の光跡を感じさせる明るいキーワードが多かったのに対し、本書には9・11後に大きな影響を与えているマイナスの要素のキーワードかプラマイ両面あるキーワードが多い。著者らのキーワード選択もあるだろうが、それ以上に明から暗へという米国の変化のせいなのかも知れない。
余談だが、本のデザインも中公新書と思えない程きれいに作られている。キーワードはABC順で、ページの端が16のカテゴリーで色分けされており、読者が辞書的に読むことも可能と、利便性も高い。
本書を読んで、常盤新平や池澤夏樹らが22年前、本書と同じように米国のキーワードを集めて出版した現代新書の「アメリカ情報コレクション」を思い出した。まだベトナム後遺症が残る時期だったとはいえ、「コレクション」に50年代のアメリカ黄金期の光跡を感じさせる明るいキーワードが多かったのに対し、本書には9・11後に大きな影響を与えているマイナスの要素のキーワードかプラマイ両面あるキーワードが多い。著者らのキーワード選択もあるだろうが、それ以上に明から暗へという米国の変化のせいなのかも知れない。
余談だが、本のデザインも中公新書と思えない程きれいに作られている。キーワードはABC順で、ページの端が16のカテゴリーで色分けされており、読者が辞書的に読むことも可能と、利便性も高い。