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物語タイの歴史: 微笑みの国の真実 (中公新書 1913) 新書 – 2007/9/1
柿崎 一郎
(著)
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- 本の長さ310ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2007/9/1
- ISBN-10412101913X
- ISBN-13978-4121019134
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対象商品: 物語タイの歴史: 微笑みの国の真実 (中公新書 1913)
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登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2007/9/1)
- 発売日 : 2007/9/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 310ページ
- ISBN-10 : 412101913X
- ISBN-13 : 978-4121019134
- Amazon 売れ筋ランキング: - 32,662位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2023年3月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
国内と世界についての本。簡単に読みやすく、過剰にこじつけの様な言い回しはなく、大人で本の読めないわたしでも楽しんで読める。
2023年1月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
古代、中世は内容が薄いと感じる。ページ的にも、近現代史が全体の2/3。マンダラと言う概念を多用するものの説明不足か。ただタイの教科書から参考、転用したと思われる図録が多いのは大変参考になった。
2014年3月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
記述が教科書的で単調でしたが、わかり易い内容でした。タイを理解するための入門書として最適です。
2016年5月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
現在、日本の仲良し三大国家は明らかにタイ、台湾、米国の3っですが(東日本大震災時の日赤への義捐金20億円以上はこれら3国家、GDP比を考慮するとタイ、台湾が突出している)、タイについては話題に上がるわりにはわかりやすいやや本格的な歴史書が少なくて困っていました。本書は、タイの発祥から現代まで丁寧に順を追って“事実”中心に記述してあり、教科書的な感じは確かに否めないですが、後半(第三章あたり)から日本も深く関係するだけに記述に多少の躍動感があります。前半の内容は、タイについて何かしら特別の興味・特別の関係をもっている人でなければ、正直眠たくなるような内容なので、あえて前半を飛ばして後半を先に読んでもいいかもしれません。
著者自身も膨大な資料から“事実”を集めてきただけ?の歴史書にやや引け目をもっているせいか(そんな引け目はまったく不要ですが)、古代の記述においては“マンダラ(曼荼羅)”型国家という概念を持ち出し、19世紀においては定番ともいえる列強の帝国主義への対応という概念で説明しています。タイはムアンタイという言葉からわかるように、村(バーン)が多数集まり、そこから最有力の都市国家群がムアンを名乗る歴史を持ち、国境は漠然としたものしか存在しないのが普通でした。熱帯雨林を背景とし、複数のムアンを統一した王が中央に存在し、周辺の弱小ムアンに行くにつれ、王の権威が弱くなり、消滅する姿が曼荼羅そっくりなので、マンダラ国家と呼んでいるようです(本書41頁)。これを具体的に想像するには多少タイ現地での生活体験を必要とします。雨季・乾季がきちんとあり、遠方に行くとすぐジャングルという瘴癘(しょうれい)の地、酷暑の風土の中で、人間が少しでも長く生き延びていくには気負った努力?を放棄し、暑さに対しまずグターっ、べったりという“ナマケモノ型”適応こそ最善であり、国境を定める等という“過剰意識”はむしろ罪悪どころか発想すらしないのが伝統的なタイ人であったようです(こんな風土に日本軍がやってきたのだから地元ではさぞ奇異に映ったでしょう)。しかし、それでもタイの権力者・支配層は西洋列強並みに大タイ主義(一種の領土拡張主義)に一時期とらわれ、その時期は日本と足並みを確かに一応合わせるときがあったのです。この辺の記述はわかりやすく、タイの巧みな外交姿勢にも学ぶべき点が多く、本書の醍醐味となっています。
ただ本書だけではどうしても通り一遍のつまらない歴史理解になりやすいので読み手側としては、僭越ながら次のような諸点に留意すると一層面白くなるかもしれません。
(1)タイは商業国家:
タイ族はベトナム人・ミャンマー人の祖先同様、現在の中国から南下・西進してきた人達であり、千年以上前から文字と原始的な官僚制度をもった漢民族に圧迫されたり、ときには部分的に統合併呑されたりしてきた。漢民族との決定的な違いは文字(漢字)があるかどうかであり、漢字による支配を嫌がり、他民族に支配されるくらいならば移動を好んだ。どちらも農業は中心であったが、漢民族やモンゴル人のような軍事と優れた統治制度はタイ族には最初から欠如しているというか、興味がまったくないというか存在せず、南下移動していく過程で商業にも深くなじみ、自由(もともとタイという言葉の原義)の重要性も体得していったようである。本書では一切触れていないが、タイ族において支配階層は商業を独占する傾向があり、軍事よりも商業を優先しやすく、農業と商業の重みは同じのように見える。一方日本は脱工業化+工業・商業国家であり、タイはある程度工業化を目指していても最終目標としているわけではないし、その必要性を感じていないようである(タイ人は基本的に農業と商業で十分に生活していくことができることを彼ら自身が知っている、華僑だけが営利追求型の資本主義を実行し、それ以外は欲求自足型)
(2)タイ人の合理性の源泉はどこからか?
タイには潮州系、福建系等のいわゆる南方系の華僑が多数いるために誤解されやすいが、華僑=中国寄りというわけではなく、先祖が中国大陸の混乱を避けて海路で逃げてきただけに中国共産党への反発が記憶の深いところに生きている。本当かどうかは不明だが海路という逃げ道がない北方系の中国人は大陸に居残り、そのまま共産党の支配下に入った。近年北方系の(北京官話を話す)中国人も商用・観光で多数タイに来る機会も多くなったようだが、必ずしもタイ人は歓迎しているわけでもない。そもそも共産党系の中国人は王制への敬意を欠く。バンコクはとくにそうであるが、タイ民族と華僑との融合が上手に進み、線引きは全く意味がないほどになっている。とはいえ、やはり伝統的には政治はタイ人が、経済は華僑系が握っていることが多く、この辺の考察・議論等は残念ながら本書では一切なされいない。富裕な上層階級が華僑であることはよく知られているが、その相続制度、人口動態(少子化が進んでいるかと危惧されるが)、税制度等は一切詳しく知られていないのである。一般外国人は褐色か白色か肌の色で現地タイ人と華僑を区別することが多いが(露骨に区別すると人種差別主義者となる)、最大の違いはタイ人においては平等相続、純粋な華僑においては長子相続が普通ということであり、日本人同様華僑は教育投資を惜しまない。25%、50%、75%華僑という人達が沢山いるので(一つの目安として100%華僑は土葬、それ以外の華僑は火葬という風習がある)、この図式的理解は意味がないようでも、背景として平等相続にはインド文化の影響が、長子相続には中国文化の影響があるため、タイ人の精神を知るには避けて通れない面である。日本人は近代の合理的思考は英米人から受けたが、タイ人は仏教・ヒンズー教を含め、インド文化の影響(とくに宗教儀式面)が強く、タイ語そのものが政治・経済等の抽象語についてはすべてパーリサンスクリットであり、日本の知識人・官僚層におけるまさしく漢字の役割をパーリサンスクリットが果たしている。本書の著者はむしろ語学畑の人にもかかわらず、こうしたことには一切触れず、律儀に歴史の事実だけに焦点を絞っている。
(3)デモクラシーの真髄を知る調整・均衡役としての陸軍:
本書ではタイの近代史において軍人が果たした積極的な側面についてかなり詳細に記述があるが(とくに236頁、“軍―最大の政治勢力”)、日本人・米国人も含め外国人全般が一番犯しやすい過ちは、”タイの陸軍=デモクラシーの否定者”というレッテル貼りである。タイでは陸軍の将校というのは文武両面における完全なエリートで、かつては欧米の文化をいち早く吸収・学習した人達であり、タイの政変・動乱のたびに国王の名のもとに一番重大かつ微妙な?介入(クーデタ)を行うのはタイの軍隊である。といってその介入は永続的なものではなく(政権を任せられること自体が陸軍にとっては余計な負担?タイ人はフランス人よりは勤勉だが、日本人ほど勤勉・忍耐強くない)、むしろ上層部がデモクラシーの真髄(長所・短所)を本当に知っていなければできないものである。南米のクーデタとも全然違うし(負け組を処刑することはなく、せいぜい国外追放)、欧米の言うクーデタとも違うし、この点で歴代の日本政府がタイ政治の動乱のたびに、遠のく欧米とは異なり、タイに対して一歩近い距離を置いているのは賢明な方針と言わざるをえない。本書では、日本における"軍隊=悪"の刷り込みがあるためにタイの陸軍上層部の微妙な役割が逆にわかりにくくなっている。タイの軍隊はいわば王制を存続させる軍隊(さらに王制の下での民主制を存続させる軍隊)であり、他国攻撃や自国民圧政の軍隊ではない。勿論、タイ国民にも軍隊が嫌いな人々はいるにはいるが、王制存続という点で妥協している。それにタイ人は面倒くさがり屋かつ個人主義的で、軍隊であろうとそれほど熱心に他人に介入しない。軍事行動も面倒くさくない範囲だけで遂行される。結局、ポリュビオスの政体循環史観を持ち出すまでなく、王制<=>僭主制<=>民主制のあたかも僭主制部分だけを一時的に国王の権威のもとにタイの陸軍が行っているだけであり、それを行わないとタイの国是である王制、農業、商業等が危機に陥るからである。欧米は民主主義を様々の理念、シビリアンコントロール等のもとに運営するが、タイは独自に陸軍の協力も得てタイ人なりに民主主義を運営している。
2019年8月31日追記:
タイとの明らかな相違点:
タイの風物に初めて接しているとき、必ず「昔の日本、そっくり」と感じる瞬間がある。日本にいるタイ人も、日本で自国に似た物を見出すことが多いが、こちらは殺風景な建物、たまに日本の街頭で見られる乱雑な店先、ボロボロの中古家屋等を見た瞬間である。こうして双方が身近に感じている。仏教という点でも梵語系の単語は日タイで共通しており、タイが小乗であっても考え方が似ている面が非常に多い。しかし、現実ではタイと日本で完全に異なる要素もあり、社会主義的な政策の受け入れがその一つである。米国以外、先進国はすべて医療・教育・失業対策等の面で高い水準の効率的な政策を実行しているが、タイでは相続税の負担が軽いためか(相続税の制度はあるにはあるが形式だけのようである:未確認)、公共・福祉面での財源が確保できないでいる。在タイの外国人がそれを一番実感するのが洪水対策であり、また日常の下水道設備である。タイに限らないが、中国大陸、東南アジア、恐らくロシアも含めて、都市のホテル以外は汚物を流したくても流せにくいというトイレ設備に大きな問題がある。下水道行政に財源も、人材も回っていない(日本では戦後しばらく社会主義活動の盛り上がりもあり、行政に左翼系の人材が多数回った模様)。
タイをもはや開発途上国と呼ぶ人はまれであろうが、中進国と考える人は今でも多い。ただこの言葉も中流層に限定して比較すればタイの方がトイレをのぞく衣食住すべての面で明らかに生活水準が高く、日本の中流層・下流層の貧困化ぶりが激しい。所得千万円以上の上流層でさえ、タイと購買力換算と生活の質で比較すれば、現在では日本が劣り始めている。経済学的な定義でなく、簡易な購買力換算では、バンコクで50バーツの食事は50x3.2円=約160円ではなく、そのまま10倍して500円と考えれば、タイと日本の生活感覚はほぼ同一のものとなり、タイの物価が3分の1というのはむしろ誤りである。日本人がそれに優越感を感じるとしたら我々の惨めさがにじみ出ているようなものである。億円単位の巨額の取引等に直接関与する人間だけが(それも勤務時間中だけ)物価3分の1理論を使うべきであり、日本の一般人はタイの現地価格x10倍=日本円という換算方式の方がタイで精神的に安定した充実の生活が送れる。
タイ語におけるパーリ・サンスクリット語系の重要性:
普通のタイ人の場合はそれほどでもないが、タイの文系エリート校卒のタイ人の場合、必ずといってよいほど使う用語がパーリ・サンスクリット系かどうか意識しているようである。これは表音文字・屈折語であっても(タイ語そのものは中国語のように孤立語)、日本の漢字のような重みを持っており、タイ人の抽象的な思考方法の中核となっている。漢字がずらりと並ぶ文章が難解・面倒なように、サンスクリット系の単語が並ぶタイ語文章も一般のタイ人には難解な印象を与えるのだろうと容易に推測される。タイの比較的長い歴史の前半部分は漢民族と接触していても文字をあえて持とうとしなかったが、クメール文字を途中で採用し、さらにインドの先進的な宗教文化もよく受容し、現在のタイが形成されてきた。これは抽象的過ぎる話かもしれないが、日本企業が現地に進出し、新しいモノ・新しい考えを導入するときにパーリ・サンスクリット系から造語すべきか、口語のタイ語から造語すべきか、あるいは外来語(たいてい英語)をそのまま使うかで3つの選択肢が生じることになる。普通は外来語をそのまま使うことが意外に多く、口語のタイ語から新しく言葉を作るときは語源に遡り関連語を付けるといったように完全にドイツ語風のやり方をとるのでわかりやすい(その分単語が長くなる)。
日本と比較すると、漢字が影響力を持つ以前に日本語ではすでに万葉集、古今集、源氏物語等のような広大なひらがな文化の蓄積があるが、タイ語でもパーリ・サンスクリット以前にタイ語特有の文学があったかどうかは不勉強にしてわからない。
著者自身も膨大な資料から“事実”を集めてきただけ?の歴史書にやや引け目をもっているせいか(そんな引け目はまったく不要ですが)、古代の記述においては“マンダラ(曼荼羅)”型国家という概念を持ち出し、19世紀においては定番ともいえる列強の帝国主義への対応という概念で説明しています。タイはムアンタイという言葉からわかるように、村(バーン)が多数集まり、そこから最有力の都市国家群がムアンを名乗る歴史を持ち、国境は漠然としたものしか存在しないのが普通でした。熱帯雨林を背景とし、複数のムアンを統一した王が中央に存在し、周辺の弱小ムアンに行くにつれ、王の権威が弱くなり、消滅する姿が曼荼羅そっくりなので、マンダラ国家と呼んでいるようです(本書41頁)。これを具体的に想像するには多少タイ現地での生活体験を必要とします。雨季・乾季がきちんとあり、遠方に行くとすぐジャングルという瘴癘(しょうれい)の地、酷暑の風土の中で、人間が少しでも長く生き延びていくには気負った努力?を放棄し、暑さに対しまずグターっ、べったりという“ナマケモノ型”適応こそ最善であり、国境を定める等という“過剰意識”はむしろ罪悪どころか発想すらしないのが伝統的なタイ人であったようです(こんな風土に日本軍がやってきたのだから地元ではさぞ奇異に映ったでしょう)。しかし、それでもタイの権力者・支配層は西洋列強並みに大タイ主義(一種の領土拡張主義)に一時期とらわれ、その時期は日本と足並みを確かに一応合わせるときがあったのです。この辺の記述はわかりやすく、タイの巧みな外交姿勢にも学ぶべき点が多く、本書の醍醐味となっています。
ただ本書だけではどうしても通り一遍のつまらない歴史理解になりやすいので読み手側としては、僭越ながら次のような諸点に留意すると一層面白くなるかもしれません。
(1)タイは商業国家:
タイ族はベトナム人・ミャンマー人の祖先同様、現在の中国から南下・西進してきた人達であり、千年以上前から文字と原始的な官僚制度をもった漢民族に圧迫されたり、ときには部分的に統合併呑されたりしてきた。漢民族との決定的な違いは文字(漢字)があるかどうかであり、漢字による支配を嫌がり、他民族に支配されるくらいならば移動を好んだ。どちらも農業は中心であったが、漢民族やモンゴル人のような軍事と優れた統治制度はタイ族には最初から欠如しているというか、興味がまったくないというか存在せず、南下移動していく過程で商業にも深くなじみ、自由(もともとタイという言葉の原義)の重要性も体得していったようである。本書では一切触れていないが、タイ族において支配階層は商業を独占する傾向があり、軍事よりも商業を優先しやすく、農業と商業の重みは同じのように見える。一方日本は脱工業化+工業・商業国家であり、タイはある程度工業化を目指していても最終目標としているわけではないし、その必要性を感じていないようである(タイ人は基本的に農業と商業で十分に生活していくことができることを彼ら自身が知っている、華僑だけが営利追求型の資本主義を実行し、それ以外は欲求自足型)
(2)タイ人の合理性の源泉はどこからか?
タイには潮州系、福建系等のいわゆる南方系の華僑が多数いるために誤解されやすいが、華僑=中国寄りというわけではなく、先祖が中国大陸の混乱を避けて海路で逃げてきただけに中国共産党への反発が記憶の深いところに生きている。本当かどうかは不明だが海路という逃げ道がない北方系の中国人は大陸に居残り、そのまま共産党の支配下に入った。近年北方系の(北京官話を話す)中国人も商用・観光で多数タイに来る機会も多くなったようだが、必ずしもタイ人は歓迎しているわけでもない。そもそも共産党系の中国人は王制への敬意を欠く。バンコクはとくにそうであるが、タイ民族と華僑との融合が上手に進み、線引きは全く意味がないほどになっている。とはいえ、やはり伝統的には政治はタイ人が、経済は華僑系が握っていることが多く、この辺の考察・議論等は残念ながら本書では一切なされいない。富裕な上層階級が華僑であることはよく知られているが、その相続制度、人口動態(少子化が進んでいるかと危惧されるが)、税制度等は一切詳しく知られていないのである。一般外国人は褐色か白色か肌の色で現地タイ人と華僑を区別することが多いが(露骨に区別すると人種差別主義者となる)、最大の違いはタイ人においては平等相続、純粋な華僑においては長子相続が普通ということであり、日本人同様華僑は教育投資を惜しまない。25%、50%、75%華僑という人達が沢山いるので(一つの目安として100%華僑は土葬、それ以外の華僑は火葬という風習がある)、この図式的理解は意味がないようでも、背景として平等相続にはインド文化の影響が、長子相続には中国文化の影響があるため、タイ人の精神を知るには避けて通れない面である。日本人は近代の合理的思考は英米人から受けたが、タイ人は仏教・ヒンズー教を含め、インド文化の影響(とくに宗教儀式面)が強く、タイ語そのものが政治・経済等の抽象語についてはすべてパーリサンスクリットであり、日本の知識人・官僚層におけるまさしく漢字の役割をパーリサンスクリットが果たしている。本書の著者はむしろ語学畑の人にもかかわらず、こうしたことには一切触れず、律儀に歴史の事実だけに焦点を絞っている。
(3)デモクラシーの真髄を知る調整・均衡役としての陸軍:
本書ではタイの近代史において軍人が果たした積極的な側面についてかなり詳細に記述があるが(とくに236頁、“軍―最大の政治勢力”)、日本人・米国人も含め外国人全般が一番犯しやすい過ちは、”タイの陸軍=デモクラシーの否定者”というレッテル貼りである。タイでは陸軍の将校というのは文武両面における完全なエリートで、かつては欧米の文化をいち早く吸収・学習した人達であり、タイの政変・動乱のたびに国王の名のもとに一番重大かつ微妙な?介入(クーデタ)を行うのはタイの軍隊である。といってその介入は永続的なものではなく(政権を任せられること自体が陸軍にとっては余計な負担?タイ人はフランス人よりは勤勉だが、日本人ほど勤勉・忍耐強くない)、むしろ上層部がデモクラシーの真髄(長所・短所)を本当に知っていなければできないものである。南米のクーデタとも全然違うし(負け組を処刑することはなく、せいぜい国外追放)、欧米の言うクーデタとも違うし、この点で歴代の日本政府がタイ政治の動乱のたびに、遠のく欧米とは異なり、タイに対して一歩近い距離を置いているのは賢明な方針と言わざるをえない。本書では、日本における"軍隊=悪"の刷り込みがあるためにタイの陸軍上層部の微妙な役割が逆にわかりにくくなっている。タイの軍隊はいわば王制を存続させる軍隊(さらに王制の下での民主制を存続させる軍隊)であり、他国攻撃や自国民圧政の軍隊ではない。勿論、タイ国民にも軍隊が嫌いな人々はいるにはいるが、王制存続という点で妥協している。それにタイ人は面倒くさがり屋かつ個人主義的で、軍隊であろうとそれほど熱心に他人に介入しない。軍事行動も面倒くさくない範囲だけで遂行される。結局、ポリュビオスの政体循環史観を持ち出すまでなく、王制<=>僭主制<=>民主制のあたかも僭主制部分だけを一時的に国王の権威のもとにタイの陸軍が行っているだけであり、それを行わないとタイの国是である王制、農業、商業等が危機に陥るからである。欧米は民主主義を様々の理念、シビリアンコントロール等のもとに運営するが、タイは独自に陸軍の協力も得てタイ人なりに民主主義を運営している。
2019年8月31日追記:
タイとの明らかな相違点:
タイの風物に初めて接しているとき、必ず「昔の日本、そっくり」と感じる瞬間がある。日本にいるタイ人も、日本で自国に似た物を見出すことが多いが、こちらは殺風景な建物、たまに日本の街頭で見られる乱雑な店先、ボロボロの中古家屋等を見た瞬間である。こうして双方が身近に感じている。仏教という点でも梵語系の単語は日タイで共通しており、タイが小乗であっても考え方が似ている面が非常に多い。しかし、現実ではタイと日本で完全に異なる要素もあり、社会主義的な政策の受け入れがその一つである。米国以外、先進国はすべて医療・教育・失業対策等の面で高い水準の効率的な政策を実行しているが、タイでは相続税の負担が軽いためか(相続税の制度はあるにはあるが形式だけのようである:未確認)、公共・福祉面での財源が確保できないでいる。在タイの外国人がそれを一番実感するのが洪水対策であり、また日常の下水道設備である。タイに限らないが、中国大陸、東南アジア、恐らくロシアも含めて、都市のホテル以外は汚物を流したくても流せにくいというトイレ設備に大きな問題がある。下水道行政に財源も、人材も回っていない(日本では戦後しばらく社会主義活動の盛り上がりもあり、行政に左翼系の人材が多数回った模様)。
タイをもはや開発途上国と呼ぶ人はまれであろうが、中進国と考える人は今でも多い。ただこの言葉も中流層に限定して比較すればタイの方がトイレをのぞく衣食住すべての面で明らかに生活水準が高く、日本の中流層・下流層の貧困化ぶりが激しい。所得千万円以上の上流層でさえ、タイと購買力換算と生活の質で比較すれば、現在では日本が劣り始めている。経済学的な定義でなく、簡易な購買力換算では、バンコクで50バーツの食事は50x3.2円=約160円ではなく、そのまま10倍して500円と考えれば、タイと日本の生活感覚はほぼ同一のものとなり、タイの物価が3分の1というのはむしろ誤りである。日本人がそれに優越感を感じるとしたら我々の惨めさがにじみ出ているようなものである。億円単位の巨額の取引等に直接関与する人間だけが(それも勤務時間中だけ)物価3分の1理論を使うべきであり、日本の一般人はタイの現地価格x10倍=日本円という換算方式の方がタイで精神的に安定した充実の生活が送れる。
タイ語におけるパーリ・サンスクリット語系の重要性:
普通のタイ人の場合はそれほどでもないが、タイの文系エリート校卒のタイ人の場合、必ずといってよいほど使う用語がパーリ・サンスクリット系かどうか意識しているようである。これは表音文字・屈折語であっても(タイ語そのものは中国語のように孤立語)、日本の漢字のような重みを持っており、タイ人の抽象的な思考方法の中核となっている。漢字がずらりと並ぶ文章が難解・面倒なように、サンスクリット系の単語が並ぶタイ語文章も一般のタイ人には難解な印象を与えるのだろうと容易に推測される。タイの比較的長い歴史の前半部分は漢民族と接触していても文字をあえて持とうとしなかったが、クメール文字を途中で採用し、さらにインドの先進的な宗教文化もよく受容し、現在のタイが形成されてきた。これは抽象的過ぎる話かもしれないが、日本企業が現地に進出し、新しいモノ・新しい考えを導入するときにパーリ・サンスクリット系から造語すべきか、口語のタイ語から造語すべきか、あるいは外来語(たいてい英語)をそのまま使うかで3つの選択肢が生じることになる。普通は外来語をそのまま使うことが意外に多く、口語のタイ語から新しく言葉を作るときは語源に遡り関連語を付けるといったように完全にドイツ語風のやり方をとるのでわかりやすい(その分単語が長くなる)。
日本と比較すると、漢字が影響力を持つ以前に日本語ではすでに万葉集、古今集、源氏物語等のような広大なひらがな文化の蓄積があるが、タイ語でもパーリ・サンスクリット以前にタイ語特有の文学があったかどうかは不勉強にしてわからない。
2020年9月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
初版2007年、当時の著者さんは、タイ歴史の専門家ではなかったそうです。
タイ文化専門のようですが、東京外語大(および同大学院)の出身なので、社会学というよりは翻訳などを中心に据えた立ち位置だったのかもしれません。
また、編集者も新書部門に赴任して最初の1冊とのことでした。
そのせいか、特に最初の100ページは緩慢な記述に感じました。
「もう年表にしてくれ」と何度か呟いたほどです。
しかし、そもそも何故専門家でもない人が執筆を担当したのか。
実は、日本にはタイの歴史の概説書もなく、研究家も少ないようで、著者さんが学生時代も資料がなくて困ったそうです。
そこで、タイ文化に精通した著者さんが執筆を引き受けて状況を改善したそうです。
専門家が少ないのは意外な事実でした。
なぜなら、私自身がタイに興味を持ったのは、アジアで独立を保ったタイの外交は、特に戦争の反省的な意味から日本のそれと何が違うのか、学ぶべきところはあると思ったからです。
それを研究したり、まとめている人がいなかったと言うのは不思議に思ったのです。
タイの外交がうまいと言われるならば、その礎となる考え方、文化、歴史があるのは当然のこと。
本書の中からもそれらが読み取れ、まさに読み応えのある1冊でした。
タイ文化専門のようですが、東京外語大(および同大学院)の出身なので、社会学というよりは翻訳などを中心に据えた立ち位置だったのかもしれません。
また、編集者も新書部門に赴任して最初の1冊とのことでした。
そのせいか、特に最初の100ページは緩慢な記述に感じました。
「もう年表にしてくれ」と何度か呟いたほどです。
しかし、そもそも何故専門家でもない人が執筆を担当したのか。
実は、日本にはタイの歴史の概説書もなく、研究家も少ないようで、著者さんが学生時代も資料がなくて困ったそうです。
そこで、タイ文化に精通した著者さんが執筆を引き受けて状況を改善したそうです。
専門家が少ないのは意外な事実でした。
なぜなら、私自身がタイに興味を持ったのは、アジアで独立を保ったタイの外交は、特に戦争の反省的な意味から日本のそれと何が違うのか、学ぶべきところはあると思ったからです。
それを研究したり、まとめている人がいなかったと言うのは不思議に思ったのです。
タイの外交がうまいと言われるならば、その礎となる考え方、文化、歴史があるのは当然のこと。
本書の中からもそれらが読み取れ、まさに読み応えのある1冊でした。
2018年6月24日に日本でレビュー済み
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タイに旅行に行くので、すこしでも勉強しておきたいと思って購入。
「物語」とあるが、内容はストーリー仕立てではない。しかし非常に読みやすく、行きの飛行機の中ですんなりと読めた。世界史には興味がなかったが、ここから勉強してみようかなと思えるくらい、おもしろく発見に満ちた読書体験となった。
「物語」とあるが、内容はストーリー仕立てではない。しかし非常に読みやすく、行きの飛行機の中ですんなりと読めた。世界史には興味がなかったが、ここから勉強してみようかなと思えるくらい、おもしろく発見に満ちた読書体験となった。
2019年10月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
中学生時代をタイで過ごしたという、タイ地域研究者によるタイの通史。
今後仕事で訪問する機会が多くなりそうなので、基礎知識を得る為に購入した。
著者自身「あとがき」に書いている通り、日本にはタイの通史が記載された本は少ない。なので、タイの民族がどこから来たのか、スコータイ朝やアユッタヤー朝などのマンダラ型国家(国王の権力が中心部から離れるに従い弱くなり消えて行く)の興亡、更には現在のラッタナコーシン朝が成立してから、二度の世界大戦を「世渡り上手」にも戦勝国として戦い抜き、戦後の経済発展や、数度のクーデタにも代表されるような政治的混乱を経て、タックシン政権が崩壊するまでを一冊で、分かりやすく描いてくれている本書はとてもありがたい存在。
この本を読む事で、タイの歴史の概要が理解出来た。特に、
・タイと周辺国(特にラーオ/カンボジア/ベトナム)との関係性(合わせて「ヴェトナムの歴史」「ビルマの歴史」も読むと尚良く分かる)
・国王が多くの国民から尊敬を集めている理由(1958年に政権を握ったサリット首相の方針による)
・何故、クーデターが何度も発生してしまうのか(今では政権に不満がたまると国民が期待するようになっている)
等について、よく理解出来た。
今後仕事で訪問する機会が多くなりそうなので、基礎知識を得る為に購入した。
著者自身「あとがき」に書いている通り、日本にはタイの通史が記載された本は少ない。なので、タイの民族がどこから来たのか、スコータイ朝やアユッタヤー朝などのマンダラ型国家(国王の権力が中心部から離れるに従い弱くなり消えて行く)の興亡、更には現在のラッタナコーシン朝が成立してから、二度の世界大戦を「世渡り上手」にも戦勝国として戦い抜き、戦後の経済発展や、数度のクーデタにも代表されるような政治的混乱を経て、タックシン政権が崩壊するまでを一冊で、分かりやすく描いてくれている本書はとてもありがたい存在。
この本を読む事で、タイの歴史の概要が理解出来た。特に、
・タイと周辺国(特にラーオ/カンボジア/ベトナム)との関係性(合わせて「ヴェトナムの歴史」「ビルマの歴史」も読むと尚良く分かる)
・国王が多くの国民から尊敬を集めている理由(1958年に政権を握ったサリット首相の方針による)
・何故、クーデターが何度も発生してしまうのか(今では政権に不満がたまると国民が期待するようになっている)
等について、よく理解出来た。
2016年12月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
遠くの書店で見かけたのですが、近所の書店には置いていなかったので、助かりました。大変良い状態で、納品も素早く、満足です。ただ、同時注文の品と同梱でなかったのは意外でした。