昭和天皇に関する著書を初めて読んだ。一生をまとめて一冊で扱う本書のような天皇論を読まなかったら、昭和天皇を理解できなかったであろう。皇太子の時代にイギリス等を見聞された経験が昭和天皇の國際協調派の基本体験になったようだ。ドイツなどと三国同盟を結んだことには批判的であった。松岡の国際連盟脱退も反対だった。満州の傀儡政権の動きに対しても強い批判を持っていたようだ。昭和天皇の時代に入ると、ますます日本は太平洋戦争に向かっていくが、昭和天皇は、周囲とは異なり、一人、国際協調派として、孤独な立場になっていく。明治天皇の時代には元老が周囲にいて、しっかりした相談役がいた。しかし、最後の元老であった西園寺は、年を取りすぎ、新しい元老を追加することなく、昭和天皇は、身近にいい相談役をもてなかったようだ。いろんな相手に意見や希望を漏らしたりするが、昭和天皇の孤独は解決されない。マカーサー将軍が戦後、昭和天皇を理解してくれたのは救いだった。晩年になっても、やはり、昭和天皇は、国際的状況をもっともよく理解した一人であったにもかかわらず、意見交流に制限をかけられた立場のせいで、存分には意見は言えず、実力は発揮できない状況のなかで苦労されたようだ。勿論、そういう風に意見の言えない立場に戦後はますます置かれていったからでもあるが。。
勿論、参照文献リストを見るだけで、本書の凄みは十分にわかるだろうが。。。いづれにしろ、この書は必読の一冊だ。新聞などで、断片的意見をいくら読んでも、歴史的位置づけはわからないだろう。この本も個々の観察や分析には異論もありうるだろうから、読了して、ただちに次の伊藤之雄氏による昭和天皇論を注文した。今から読んで比較してみたい。
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昭和天皇: 「理性の君主」の孤独 (中公新書 2105) 新書 – 2011/4/1
古川 隆久
(著)
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- 本の長さ428ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2011/4/1
- ISBN-104121021053
- ISBN-13978-4121021052
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登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2011/4/1)
- 発売日 : 2011/4/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 428ページ
- ISBN-10 : 4121021053
- ISBN-13 : 978-4121021052
- Amazon 売れ筋ランキング: - 200,537位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2019年2月16日に日本でレビュー済み
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2019年10月7日に日本でレビュー済み
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やはり一次資料をベースにすすめる態度が大変好感が持てます。解釈は、個人の問題ぞな。そういうことで、この本は、若い人にも読んでほしいです。かくこ
2018年6月5日に日本でレビュー済み
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内容はガチガチで読んでいてダレてくる。
面白いエピソードもないので、、まっ天皇は神様扱いなさるので、人間味を出すのは駄目でしょうね。
面白いエピソードもないので、、まっ天皇は神様扱いなさるので、人間味を出すのは駄目でしょうね。
2015年1月6日に日本でレビュー済み
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膨大な数の一次資料に、偏りのない客観的な記述、ほどよい文量と時系列に沿った章構成。
戦前期は昭和天皇の生い立ちや政治思想の形成過程について述べられ、戦中期は大日本帝国の君主としての戦争への関与のありかたや、理想的な政治の挫折が主に描かれる。
戦後期になると主に昭和天皇が自身の戦争責任に対してどのように向き合っていったのかが中心となる。
これを読めば、正月によくやっている皇室特集番組への理解もある程度深まるのでは。
日本という国を知るためのひとつのツールとしておすすめします。
戦前期は昭和天皇の生い立ちや政治思想の形成過程について述べられ、戦中期は大日本帝国の君主としての戦争への関与のありかたや、理想的な政治の挫折が主に描かれる。
戦後期になると主に昭和天皇が自身の戦争責任に対してどのように向き合っていったのかが中心となる。
これを読めば、正月によくやっている皇室特集番組への理解もある程度深まるのでは。
日本という国を知るためのひとつのツールとしておすすめします。
2014年9月14日に日本でレビュー済み
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昭和天皇に関する本として、最も詳しい本です。第二次世界大戦および太平洋戦争の背景やいきさつがよくわかりました。
2023年7月22日に日本でレビュー済み
昭和天皇が目指した立憲君主制、国際協調、人柄や思想がよくわかる。
非常に苦労されながら生きていた事もよく把握できた。非常に聡明な方。
非常に苦労されながら生きていた事もよく把握できた。非常に聡明な方。
2014年4月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
なんでもこの著者のお師匠さんは、有名な団体のお偉いさんだという。
自分は、その団体の趣旨に与する者ではないが、この著書は第1次資料に基づいており、一定の信頼をおいていいと思う。
(ちなみに、自分は若かりし頃には若干「左」よりの思想を持っていた)
本書は読んで損のない類のものであると思うが、一定の予備知識が必要かもしれない。
自分は、その団体の趣旨に与する者ではないが、この著書は第1次資料に基づいており、一定の信頼をおいていいと思う。
(ちなみに、自分は若かりし頃には若干「左」よりの思想を持っていた)
本書は読んで損のない類のものであると思うが、一定の予備知識が必要かもしれない。
2015年9月17日に日本でレビュー済み
昭和天皇ほど国民によく知られていながら、同時に政治性の強い論評にまみれ、学術的な研究の難しかった人物もなかなかいない。
本書は、昭和天皇に関する近年の史料状況の発掘を踏まえつつ、学術的に昭和天皇を描き出そうという大胆な試みが行われている。
本書は、昭和天皇の幼少期、思想形成過程から丹念に追っていく。
東宮御学問所における学問は、イメージされるよりも学説に沿ったリベラルなものが多かったことが指摘されている。
憲法学内部では主流であった天皇機関説に親和的な学説にもここで触れており、昭和天皇はこの立場をとることとなる。
これは摂政就任時に天孫降臨神話を否定し、開かれた立憲民主制を謳いあげた姿勢にも表れている。
政治思想は、立憲君主制と国際協調・平和主義を是とするリベラルなもので、徳治主義を基調としていた。
その後、天皇就任以降、昭和天皇は政務に積極的にかかわろうとする。
田中首相叱責は有名だが、これは田中内閣への不信が頂点に達し、これ以上の放置は政党政治崩壊を招くという危機感からの行動であった。
しかし、立憲君主制・天皇機関説の立場から君主の政治介入は控えるべきという信条の昭和天皇と、天皇絶対権力を口実にいいようにする軍部等の暗躍の状況は、天皇の威光を利用しつつ天皇の意志は全く反映されない政治状況へと突入していく。
昭和天皇は中国主権尊重、満州国非承認、国際連盟脱退反対、日中戦争前の中国権益放棄を主張しており、イギリスやアメリカに強い親近感を抱くという、非常にリベラルで大局的な視野を持っていたが、実際の歴史は知ってのとおりである。
戦後の天皇は、日本国憲法の誕生を喜ぶなど、やはりリベラルに非常に近い思想的立場をとっている。
一方で、防衛二法への好意的コメント、黒い霧事件での叱責などの内奏による政治関与や、沖縄への米軍駐留継続希望、中国への戦争責任謝罪や韓国への植民地支配謝罪など、明らかに天皇の政治権限を踏み越えた行為も見られる。
これらには、徳治主義の立場から現在の政治家の力量不足を憂い、教育しなおしたいという昭和天皇の意志を見ることも出来る。
細かいところでの「昭和天皇はこうすれば問題を防ぎえた」という批判もたまに挟まるが、確かにその通りかもしれないが結果論の面も強くいささか辛辣だなぁと感じるところはあった。
また、後半生の戦後についてはかなり本書では駆け足で進んでしまっていて、こちらについてももっと重厚に知りたいなと思ったが、戦前の内容の必要性と新書という分量を考えるとこれが限界かなとも思った。
いろいろとエピソードも書かれていて、例えば軍国主義が進行して不眠でやつれる昭和天皇が、娯楽や家族団欒ではなく儒学御聴講を希望した話(p165)など、昭和天皇の人格性が垣間見えたりもして、その辺りは非常に面白い。
全体として昭和天皇の実像をコンパクトに伝えてくれる良書だと思う。
本書は、昭和天皇に関する近年の史料状況の発掘を踏まえつつ、学術的に昭和天皇を描き出そうという大胆な試みが行われている。
本書は、昭和天皇の幼少期、思想形成過程から丹念に追っていく。
東宮御学問所における学問は、イメージされるよりも学説に沿ったリベラルなものが多かったことが指摘されている。
憲法学内部では主流であった天皇機関説に親和的な学説にもここで触れており、昭和天皇はこの立場をとることとなる。
これは摂政就任時に天孫降臨神話を否定し、開かれた立憲民主制を謳いあげた姿勢にも表れている。
政治思想は、立憲君主制と国際協調・平和主義を是とするリベラルなもので、徳治主義を基調としていた。
その後、天皇就任以降、昭和天皇は政務に積極的にかかわろうとする。
田中首相叱責は有名だが、これは田中内閣への不信が頂点に達し、これ以上の放置は政党政治崩壊を招くという危機感からの行動であった。
しかし、立憲君主制・天皇機関説の立場から君主の政治介入は控えるべきという信条の昭和天皇と、天皇絶対権力を口実にいいようにする軍部等の暗躍の状況は、天皇の威光を利用しつつ天皇の意志は全く反映されない政治状況へと突入していく。
昭和天皇は中国主権尊重、満州国非承認、国際連盟脱退反対、日中戦争前の中国権益放棄を主張しており、イギリスやアメリカに強い親近感を抱くという、非常にリベラルで大局的な視野を持っていたが、実際の歴史は知ってのとおりである。
戦後の天皇は、日本国憲法の誕生を喜ぶなど、やはりリベラルに非常に近い思想的立場をとっている。
一方で、防衛二法への好意的コメント、黒い霧事件での叱責などの内奏による政治関与や、沖縄への米軍駐留継続希望、中国への戦争責任謝罪や韓国への植民地支配謝罪など、明らかに天皇の政治権限を踏み越えた行為も見られる。
これらには、徳治主義の立場から現在の政治家の力量不足を憂い、教育しなおしたいという昭和天皇の意志を見ることも出来る。
細かいところでの「昭和天皇はこうすれば問題を防ぎえた」という批判もたまに挟まるが、確かにその通りかもしれないが結果論の面も強くいささか辛辣だなぁと感じるところはあった。
また、後半生の戦後についてはかなり本書では駆け足で進んでしまっていて、こちらについてももっと重厚に知りたいなと思ったが、戦前の内容の必要性と新書という分量を考えるとこれが限界かなとも思った。
いろいろとエピソードも書かれていて、例えば軍国主義が進行して不眠でやつれる昭和天皇が、娯楽や家族団欒ではなく儒学御聴講を希望した話(p165)など、昭和天皇の人格性が垣間見えたりもして、その辺りは非常に面白い。
全体として昭和天皇の実像をコンパクトに伝えてくれる良書だと思う。