リー・クアン・ユーの強力な指導力によりシンガポールが目覚ましく成長したことを知っていてもそれ以上は知らなかったため、本書でその指導力の裏面にあたる独裁制度についても知ることができ、政治について考えさせられた。
政府批判の言論を厳しく取り締まるシンガポールにおいても、カジノの導入には多くの国民を巻き込んだ議論があり、反対も強い中でのマリーナ・ベイ・サンズ(ラスベガス・サンズが運営)の開設であったことは興味深かった。
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物語 シンガポールの歴史 (中公新書 2208) 新書 – 2013/3/22
岩崎 育夫
(著)
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- 本の長さ262ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2013/3/22
- 寸法11.1 x 1.3 x 17.4 cm
- ISBN-104121022084
- ISBN-13978-4121022080
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登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2013/3/22)
- 発売日 : 2013/3/22
- 言語 : 日本語
- 新書 : 262ページ
- ISBN-10 : 4121022084
- ISBN-13 : 978-4121022080
- 寸法 : 11.1 x 1.3 x 17.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 108,885位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2021年7月3日に日本でレビュー済み
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シンガポールの成り立ちを知ることができる一冊。
2024年4月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
シンガポールの歴史を体系的・俯瞰的に解説した新書。
中公新書っぽく文体は固く学術的に見えるが、文章が簡潔明瞭で本質を突いている。
戦時中の現・三菱UFJ銀行による50万ドル事件強制徴収事件など、今になって知ることも多かった。
それにしてもシンガポールは国というより一つの都市であり、ゲーティッドシティ兼タックスヘイブン、株式会社シンガポールという方がしっくりくるのだなと思わされる。超・学歴社会で中学受験でほぼすべてが決まるのも特徴的だ。おおよそ知能は小学生で決まっているので、それ以降の教育費はかけても無駄という判断らしい。こんなユニークな国もないだろう。
シンガポールの歴史を学びたい人はぜひ本書を取ることをおススメしたい。
中公新書っぽく文体は固く学術的に見えるが、文章が簡潔明瞭で本質を突いている。
戦時中の現・三菱UFJ銀行による50万ドル事件強制徴収事件など、今になって知ることも多かった。
それにしてもシンガポールは国というより一つの都市であり、ゲーティッドシティ兼タックスヘイブン、株式会社シンガポールという方がしっくりくるのだなと思わされる。超・学歴社会で中学受験でほぼすべてが決まるのも特徴的だ。おおよそ知能は小学生で決まっているので、それ以降の教育費はかけても無駄という判断らしい。こんなユニークな国もないだろう。
シンガポールの歴史を学びたい人はぜひ本書を取ることをおススメしたい。
2024年6月3日に日本でレビュー済み
2007年に一人当たりGDPで日本を抜いて、2023年は91,100ドルと世界5位の先進国になったシンガポールについて知りたく本書を手に取りました(2023年の日本の一人当たりGDPは、33,950ドルで世界34位)。本書は特に政治と経済について詳しく、期待通りでした。
東京23区とほぼ等しい国土に、592万人の人口を抱えるシンガポールは、元々はマレーシアの一部の島でした。19世紀初頭の住民は150人程度で少なく、1819年から英国の植民地となり、1942~1945年は日本が占領し、1963年にマレーシアの州としてイギリスから独立しました。更に、1965年にマレーシアから分離独立を強いられました。
マレーシアはリー・クアンユー(中国系4世)元首相率いる人民行動党が造り上げた経済発展至上主義の他民族国家(中国系、マレー系、インド系、etc)であることがわかりました。以下に本書から学んだ経済発展の要因を大まかに記載します。
(1)小学校4年生終了時に全国統一テストが実施され、3つの能力別クラスに別れ、小学校卒業時と中学卒業時にも行われ、高校進学の可否や職業の選択肢が決まる。更に能力が優れた者に対しては英才教育を行う。また一部の公務員候補エリートには、米国や英国の一流大学への国費留学制度がある。
(2)英語教育が積極的に進められ、言語は英語と民族語(マレー語、北京語、タミル語)の2カ国語制度である。このため、欧米や日本などの先進国の金融機関が進出しやすく、世界有数の金融センターになった(イギリスの法制度が取引の標準であることと、地理的にニューヨークとロンドンの中間に位置していることから、24時間取引が可能なことも有利に働いた)。
(3)外国からの投資環境(政治の安定、効率的な行政、有利な法律、インフラ)を整え、欧米や日本から(軽工業ではなく)重化学工業の企業を多数誘致し、貿易立国になった。1979年からは、労働集約型産業を近隣諸国に移転させ、ハイテク企業の誘致を積極的に行った。
(4)成長が見込める中国(蘇州)、インド(バンガロール)に積極的に投資を行った。この際、北京語とタミル語を話せるシンガポール人が活躍した。
(5)労働力不足を補うために大量の移民を受け入れた。同時に高度技能人材を優遇する政策を実施した。人口に占める外国人の割合は30%超。
(6)カジノや教育・医療サービスにも投資して、更に経済発展を図った。
東京23区とほぼ等しい国土に、592万人の人口を抱えるシンガポールは、元々はマレーシアの一部の島でした。19世紀初頭の住民は150人程度で少なく、1819年から英国の植民地となり、1942~1945年は日本が占領し、1963年にマレーシアの州としてイギリスから独立しました。更に、1965年にマレーシアから分離独立を強いられました。
マレーシアはリー・クアンユー(中国系4世)元首相率いる人民行動党が造り上げた経済発展至上主義の他民族国家(中国系、マレー系、インド系、etc)であることがわかりました。以下に本書から学んだ経済発展の要因を大まかに記載します。
(1)小学校4年生終了時に全国統一テストが実施され、3つの能力別クラスに別れ、小学校卒業時と中学卒業時にも行われ、高校進学の可否や職業の選択肢が決まる。更に能力が優れた者に対しては英才教育を行う。また一部の公務員候補エリートには、米国や英国の一流大学への国費留学制度がある。
(2)英語教育が積極的に進められ、言語は英語と民族語(マレー語、北京語、タミル語)の2カ国語制度である。このため、欧米や日本などの先進国の金融機関が進出しやすく、世界有数の金融センターになった(イギリスの法制度が取引の標準であることと、地理的にニューヨークとロンドンの中間に位置していることから、24時間取引が可能なことも有利に働いた)。
(3)外国からの投資環境(政治の安定、効率的な行政、有利な法律、インフラ)を整え、欧米や日本から(軽工業ではなく)重化学工業の企業を多数誘致し、貿易立国になった。1979年からは、労働集約型産業を近隣諸国に移転させ、ハイテク企業の誘致を積極的に行った。
(4)成長が見込める中国(蘇州)、インド(バンガロール)に積極的に投資を行った。この際、北京語とタミル語を話せるシンガポール人が活躍した。
(5)労働力不足を補うために大量の移民を受け入れた。同時に高度技能人材を優遇する政策を実施した。人口に占める外国人の割合は30%超。
(6)カジノや教育・医療サービスにも投資して、更に経済発展を図った。
2021年5月26日に日本でレビュー済み
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シンガポールの国ができていく歴史を特に政治経済の立場からわかりやすく記述した作品。
シンガポールで仕事をする前に国の根幹にある部分や日本がどのように関わっていたのかを知ることができてよかった。
シンガポールで仕事をする前に国の根幹にある部分や日本がどのように関わっていたのかを知ることができてよかった。
2023年11月14日に日本でレビュー済み
★3.3/2023年112冊目/11月3冊目/『物語 シンガポールの歴史』(中公新書/中央公論新社)/岩崎 育夫/P.262/2013年/860円+税 #読書 #読書2023 #読了 #読了2023
なぜシンガポールが、金融業をはじめ経済発展できたのか知ることができて勉強になった。多民族国家から、イギリスによる支配を経て、約4年間の日本支配に屈せず「国家奨学金制度を通じて調達した有能な開発官僚のもとで、開発戦略、産業インフラの整備、外国企業の誘致、労働者の賃金管理、政府系企業による生産活動への参入など、あらゆる分野に政府が関与」し、強みを磨いたことが奏功した。経済一本槍でこれたのは政府の強い実行力の賜物だ。今後も近隣国との水資源や軍事的な問題も継続して対応しなければならない。
なぜシンガポールが、金融業をはじめ経済発展できたのか知ることができて勉強になった。多民族国家から、イギリスによる支配を経て、約4年間の日本支配に屈せず「国家奨学金制度を通じて調達した有能な開発官僚のもとで、開発戦略、産業インフラの整備、外国企業の誘致、労働者の賃金管理、政府系企業による生産活動への参入など、あらゆる分野に政府が関与」し、強みを磨いたことが奏功した。経済一本槍でこれたのは政府の強い実行力の賜物だ。今後も近隣国との水資源や軍事的な問題も継続して対応しなければならない。
2021年4月4日に日本でレビュー済み
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シンガポールは1819年にラッフルズが英国の植民地化をした時から始まり、戦後リー・クアンユーが「建国者」として形作ったと言う成り立ちが良く分かる。通常国家は社会を基盤にして形作られるがシンガポールは特異な国で国家が社会を創った、と言うのは印象的であった。リーと言う超プラグマティズムな指導者の元、国家の成り立ち上、経済を優先せざるを得ず、そのために国、国民が方向を一つとし、政府も人民行動党が建国以来唯一の最大与党として率いる。シンガポールを知る良い本である。
2016年7月2日に日本でレビュー済み
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200年前は東京23区位の大きさのほぼ無人島のジャングル。
植民地からその後、他民族が権力を手中に収め、何の資源もない島が経済大国になる。
そのプロセスはSFに出て来るような未来型管理国家。
小学校から試験による学歴フィルター、政敵を認めない一党独裁、そのシステムを支持する裕福な国民。
筆者があとがきで「社会文化や国民の意識には触れられなかった」と言う様に、
政治経済システムが異質とも言うくらい合理的で管理的で、そして経済的にはほぼ負け知らずの爆勝ち状態なので、
約250ページくらいではその爆勝ちの簡単な分析しかできない。
つまり読者は、シンガポールの経済的爆勝ちのプロセスを簡単に知る事ができます。
植民地からその後、他民族が権力を手中に収め、何の資源もない島が経済大国になる。
そのプロセスはSFに出て来るような未来型管理国家。
小学校から試験による学歴フィルター、政敵を認めない一党独裁、そのシステムを支持する裕福な国民。
筆者があとがきで「社会文化や国民の意識には触れられなかった」と言う様に、
政治経済システムが異質とも言うくらい合理的で管理的で、そして経済的にはほぼ負け知らずの爆勝ち状態なので、
約250ページくらいではその爆勝ちの簡単な分析しかできない。
つまり読者は、シンガポールの経済的爆勝ちのプロセスを簡単に知る事ができます。