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スターリン - 「非道の独裁者」の実像 (中公新書) 新書 – 2014/7/24

4.2 5つ星のうち4.2 73個の評価

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「非道の独裁者」はなぜ今もロシアで支持されるのか。生い立ちから、ソ連を率いてヒトラーやアメリカと争うまで、その生涯をたどる。
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 中央公論新社 (2014/7/24)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2014/7/24
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 新書 ‏ : ‎ 318ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4121022742
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4121022745
  • 寸法 ‏ : ‎ 11.2 x 1.5 x 17.4 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.2 5つ星のうち4.2 73個の評価

著者について

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横手 慎二
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カスタマーレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

2023年4月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
スターリンについてはいろいろな言説が飛び交い、わからない部分も多いが、この本は最新の研究を通じてスターリン研究の"今"を描いている。今まで聞いたことがなかった話が出てくる(特に幼少期)ので、従来のスターリン像をアップデートするのにも最適だし、スターリンについてよく知らない人にも読みやすいのでおすすめ。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年7月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この人物について、西側の人間が抱くイメージは、概ね良くない。
しかし、ロシア国内では「この人物がいなければ、ナチスドイツと戦い抜き勝利することはなかった」「工業化に成功し、疲弊した国家を立て直すことは出来なかった」という肯定的な評価もある。
本書は、ソ連崩壊後公開された資料から功罪両面を併せて公平な視点で論じている。
また、「帝政末期のロシア及びジョージア」や「ソヴィエト」時代の社会情勢も詳細に述べ、時代背景も理解出来る。
この人物を知らずしてソヴィエトを知ることは出来ない。
この人物とソヴィエトとは、不可分であることがよく分かる一冊である!
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2021年12月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
最近、書評などでも話題になっている本であり、呉智英に薦められたこともあって、読んでみた。

ソ連崩壊後に公開された最新の資料なども駆使して、旧来とは別のスターリン象の新たな構成を試みる、という触れ込みだが・・・・。

新たな資料は使われているものの、ぼくにとってスターリン象が変わったということはない。

旧来の一部の論者が言うような、幼少時からの個人的なコンプレックスと猜疑心だけで、党内で影響力を持つようになり、やがて独裁者になっていくというのでは、やはり彼が党内で支持を得ていくプロセスは説明できない。
こうした場合、その論拠とされるのは最晩年のレーニンが、政治局メンバーに対して、「スターリンはあまりにも粗暴すぎる」と批判したことを根拠に挙げるのだが、本書では横手は、それは高々、政治局内部での振る舞いとしての粗暴さであって、それ以降のクラークの撲滅や粛清、対ナチスドイツの初期で見られた残忍性と同一視するのは無理があると指摘する。

まあ、このあたりは同意できるが、しかしそれとて、新しい見解とは言えない。
また、一国社会主義論がトロツキーの世界革命論に勝利していくプロセスは、当時のヨーロッパ革命の退潮との関連で考えれば、理論的にはともかく政治的には当然のことであり、少なくとも某党派は30年以上前からそれを指摘していたw

また、30年代初頭の急速な工業化の原資が農民からの収奪によるものであったが、しかし、急速な工業化は社会主義の前提であり、かつナチスドイツとの戦争を切迫したものと感じていた当時の彼らにとってみれば避けて通れないものであったことも、目新しい見解ではない。

というわけで、歴史のおさらいではあるものの、刺激を受けたとは言えない本書であった。

ただ、改めて感じるのは、独裁者と呼ばれる政治家の中で、例えば毛沢東は、様々な誤りや粗暴性が明らかになっているものの、その一方で魅力もあった人格であったことは疑いえない。

歴史上最悪の独裁者であったヒトラーにしても、当時のドイツ国民が熱狂し魅了されてしまうほどに、悪魔的な魅力があったこともしかりである。

対して、スターリンはある点では優秀な政治家ではあったが、本書によっても、もちろんアイザック・ドイッチャーの『スターリン』でも、何を読んでも、人格的魅力を感じることができない。
権力を確立した党の書記局を牛耳ることで独裁的権力を掌握したスターリンと、大衆に向かって直接演説することで権力を得た独裁者との違いのようなものを、改めて感じたのであった。
14人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2016年10月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書の内容に関しては他のレビューアーの方が詳しく書いているので、私は読後感を語らせていただきます。
私の少年時代にはテレビなんてものはありませんでしたので、スターリンの姿を見るのは映画館で見るニュース映画くらいしかありませんでした。
ニュース映画の映像に出てくるスターリンは鼻下に有名な「スターリンひげ」を蓄え、陸軍軍人の制帽と重々しい外套を着てクレムリン宮殿のバルコニーに立っていました。恐ろしかったのは、一緒にバルコニーに立っていた高官がしばらくすると姿を消して、次の高官が一緒に立っている、またしばらくすると同じようなことが起こっていました。新聞報道によれば、スターリンの側近が次々と粛清(死刑)されているとのことでした。
スターリンの死は新聞の一面トップにでかでかと報じられました。見出し後は「巨星墜つ」だったと思います。

そんなスターリンのベールに包まれた実像を本書は明らかにしてくれたと思います。
なんの変哲もない少年時代、長ずるにしたがって左翼思想に染まり学校がもてあますような問題児になったようです。
ソ連共産党時代も40歳代までは競争相手を蹴落とすのに熱心でしたが、まだまだ頭角を現すほどにはなっていませんでした。
たぶんスターリンがソ連という国の実権を握るのは50代以降のことなのでしょう。
マルクス・レーニン主義の思想に染まって、資本主義国は発展するにつれて革命や戦争を通じて自壊に陥ると考えていました。
第一次大戦で西側諸国が国力をすり減らしているのを見て、ソ連は西欧諸国の自壊に備えて工業力の伸長を国策にせねばならない。そのためには農民は犠牲になってもやむを得ないとの考え方で、五か年計画、集団農場などの政策を打ち出し、日本の戦国時代の悪徳代官のように農民を搾取し飢餓においやりました。その結果数百万単位の農民が餓死したというのですから、恐ろしい男です。

しかし、この工業化政策のおかげでソ連は第二次大戦の対独戦争に勝利することが出来ました。
当面の敵、ドイツに勝利したソ連の次なる敵は資本主義大国のアメリカでした。
このころになると、私もリアルタイムでニュース映画や新聞報道でスターリンの動静をしることができるようになりました。
スターリンは74~75歳で亡くなりましたが(実際の生年月日不明)、亡くなる直前は権力が脅かされるのではないかと考え、次から次へと側近の粛清にからります。
最後は耄碌の末、別荘で一人でなくなりました。

このスターリンの生涯を通じるキーワードは本書の副題にも」あるように「非情の独裁者」でした。
その大量殺戮の実態はヒトラーのユダヤ人虐殺にも匹敵するものと思います。
たちがわるいのは、その殺戮の相手が自国民だったということです。
本書は、そんなスターリンの一生を最新の資料に基づいて興味深く提供してくれます。
24人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2015年10月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ガリマール新評伝シリーズ「チャーチル」を読み,気になって購入。

スターリンと言えば,
「NOと言えば粛清,返事をしなければ粛清,YESと言うのが遅れれば粛清」
と,何かで読んだ記憶が強烈である。
本書を読む前は,冗談のように冷酷で残忍な,
非道の指導者というイメージであった。

本書ではその生い立ちから,死去後のソ連に及ぼす影響までをじっくりと記述する。
特に導入部分の問いかけが良い。
スターリンは,現在のロシアでも一定の人気があるという。
ヒトラーまではいかずとも,それに近いイメージを持っていた私にとっては少なからず驚きであった。
そこに強い興味をそそられた。

内容は,基本的にはスターリンに擁護的である。
本書の内容をふまえれば,それは彼の負の側面があまりにも強烈であったこと,
さらにはその後の冷戦構造の形成により,
その能力が適切に評価される土台に乗らなかったためであると感じる。

一方で,「擁護し,再評価するに値しない」という評価もあろう。
簡単に言えば,己が認めた命しか命と認めなかった所業は悪魔的である。
時代の経過とともに直接の関係者が少なくなり,
あわせて様々な情報が公開されてきた現代であるからこそ,
こうした取組みが可能になったのであろう。

なお,構成上やむをえないのかもしれないが,
記述について,時系列がしばしば前後してやや混乱した。
また,ありがちなケースだが,馴染のないロシア名と複雑な組織構造に翻弄され,
人間関係や組織関係を把握するのに苦労した。
図表などが駆使されていれば,理解がより容易になったと感じる。

総合的には,本書は中立的な立場からスターリンの再評価を試みた良書であると感じる。
以上をふまえて星4つ。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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