ヨーロッパの近世~近代史について書かれた本を見ると、
ビスマルクという人物をよく見かけるので、改めて勉強しようと購入しました。
(中学の歴史の授業では、ほとんど名前と鉄血演説しか出ないですし・・・)
【1章・人格形成】
幼少期から結婚、政治の表舞台に出る前の話が紹介されます。
学生時代はヤンチャしていた時期もあったようですが、ユンカーとしての
経営手腕は高かったようですし、高める為の勉強にも励んだようです。
ただ、他のユンカーからの疎外感・孤立感もあったとのことですが、
これがビスマルクを「昔は良かった」が口癖の老害保守主義者にしなかった
要因にも思えました。
【2章・保守主義と改革主義】
貴族代表ということで、代議士をしていた時期の話です。
機関誌を発行したり、ユンカー議会を開いたりと近代的な手法を
積極的に活用したとのこと。
また、この時期のビスマルクはあくまでプロイセンとしての発展を考えていた
とのことなので、レーベンスラウム構想のヒトラーとの違いを感じました。
48ページからの「原理原則に流されてはいけない」というのは、
今日の政治においても重要ではないかと思いました。
ビスマルク個人を見ても、3章以降で紹介される柔軟な対外政策をみると、
現実的に利益を出すための「術」が見えてきます。
【3章・対等な外交を希求】
フランクフルトでの外交官時代、オーストリアへの対抗意識を軸にした
行動が紹介されます。意地張りから、多数派工作までいろいろやったようです。
ただ本書を読む限りでは、敵対心は持っていたものの、求めていたのは
あくまで「対等」であって、上に立って見下したい、隙あらば金や領土を
むしり取りたい、といった卑屈でセコい感情は感じらせたせんでした。
その後もあちこちに飛ばされたようですが、コネを作ったり、
親しい友人が出来たりと公私ともに充実していたようです。
【4章・鉄血演説も普墺戦争も平和の手段】
中学時代の歴史の教科書では、前後関係をスルーして鉄血演説が強調されて
いましたが、本人の意思とはずれがあったようです。
(後年、ビスマルク本人も同じ手段を使いますが)
その後も憲法や予算を上手く纏めることが出来なかったので一層危険。
しかし、デンマークの問題でうまく立ち回り、大義名分を得て戦争に
勝利しました。
そして普墺関係では、戦争も和平もどちらも準備をしていたようです。
この辺り、戦争屋ではなく、プロイセンの平和と発展を目指した
政治家であるという印象が強くなります。
戦後も、オーストリアには不必要な屈辱を与えないように注意を払いました。
能力がほぼ互角の場合、メンツを潰した代償を警戒してのことでしょう。
日露戦争時の日本はこれに学びましたが、第一次世界大戦時の英仏は、
これにまったく学びませんでしたね・・・
【5章・民意への迎合】
北ドイツ連邦をまとめたものの、前途多難だった時期です。
やはりドイツとしてはまだ纏まりに欠けていて、頭を抱えていたようです。
普仏戦争(独仏戦争)に至る政治手腕は、国民を扇動する意味では成功ですが、
フランスが起こると解っていても、アルザス・ロレーヌ地方の割譲を
講和条約に盛り込まなければいけないのが個人の限界を感じます。
【6章・内政の不振】
外国に対しては、戦争に三連勝と華々しい成果を上げるビスマルクも
内政では様々な階級の人々の意見を取り入れるというのが苦手だったようです。
憲法が改正を、一部地域の独断でなされないようにしたのは成果ですが。
「負の統合」も失敗続きで、この件では自分の経験にすら学べていなかった
ようです・・・。某K国じゃあるまいし、普通に殖産興業とか富国強兵みたいな
プラスのプロパガンダによる統合を十分目指せたと思うのですが。
【7章・伝統の維持と反射神経】
内政ではイマイチでも、外交では色々な国の状況や地政学を把握しつつ、
相手をけん制しながら条約を結んでいく手法はさすがと言えましょう。
複雑なので、レビューに数行に纏めることはできませんが・・・
ただ、あくまで戦争は最後の手段というのは貫かれていると感じました。
【8章・ヒーローはいかにして創られるか】
引退後の話なので派手なエピソードはありません。
ただ、ビスマルクを支持する人々は一定数いて、
なおかつ第二次世界大戦まで一層強くなっていく様子が紹介されます。
政治や大衆のプロパガンダとして利用されている感じにも見えます。
本書を通じて感じるのは、確かに非凡な才能を持った政治家ではあるが、
それでも祖国や平和の為に最大限の努力をした人間である、
と感じられました。
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥2,000以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
新品:
¥946¥946 税込
ポイント: 29pt
(3%)
無料お届け日:
3月21日 木曜日
発送元: Amazon.co.jp 販売者: Amazon.co.jp
新品:
¥946¥946 税込
ポイント: 29pt
(3%)
無料お届け日:
3月21日 木曜日
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
中古品: ¥369
中古品:
¥369

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
ビスマルク - ドイツ帝国を築いた政治外交術 (中公新書 2304) 新書 – 2015/1/23
飯田 洋介
(著)
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥946","priceAmount":946.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"946","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"eTfdel%2BJRCdsd8z5h0UyJ4XODYa%2F529D6kbp5bWgtwUJSSwkI8ceiwzfLHNUyzSgqDXJd%2BNApvysozX8Se6VflE6CrI9QXPE2jTEOwa2HHm%2FuqnQ0Ufx20ufcUDbEs1DDaZolHLRsDI%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥369","priceAmount":369.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"369","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"eTfdel%2BJRCdsd8z5h0UyJ4XODYa%2F529Dvr5y7%2Bv6Osa3eutM55kvw7nM3UMLbEY2SmxjU%2FBGm%2FhmTAJsrd6p3R4M%2BKhc8FkECNqeM59QCZd0XLJqwm%2BdydZvm%2BQfiYC6zYobFTSYj7ITZ5KPlnTal5CTFbL9hRepW7wibH%2BChGo6%2FhVQ5skLTA%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
「鉄血宰相」「誠実なる仲買人」「白色革命家」――数多の異名をもつ19世紀の大政治家。その実像と類い稀な政治外交術の真髄に迫る。
- 本の長さ254ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2015/1/23
- 寸法11.1 x 1.2 x 17.3 cm
- ISBN-104121023048
- ISBN-13978-4121023049
よく一緒に購入されている商品

対象商品: ビスマルク - ドイツ帝国を築いた政治外交術 (中公新書 2304)
¥946¥946
最短で3月21日 木曜日のお届け予定です
残り10点(入荷予定あり)
¥902¥902
最短で3月21日 木曜日のお届け予定です
残り4点(入荷予定あり)
¥836¥836
最短で3月21日 木曜日のお届け予定です
残り18点(入荷予定あり)
総額:
当社の価格を見るには、これら商品をカートに追加してください。
ポイントの合計:
pt
もう一度お試しください
追加されました
一緒に購入する商品を選択してください。
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2015/1/23)
- 発売日 : 2015/1/23
- 言語 : 日本語
- 新書 : 254ページ
- ISBN-10 : 4121023048
- ISBN-13 : 978-4121023049
- 寸法 : 11.1 x 1.2 x 17.3 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 165,592位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 824位中公新書
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2017年8月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2015年1月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
プロイセン(ドイツ)の国益と君主制を守る事を第一とし、とりわけ外交でその手腕を振るったビスマルクですが、本書内でクンストと表現される「術」は外交面だけでなく内政面でも発揮されます。といっても全てが成功したわけではなく、時には妥協や譲歩も強いられるのですが、共通しているのは目的を達成する為に、敵を二つ以上作らず、敵の敵を取り込む努力をしている事です。この努力は、ドイツ統一をする際には大いに役立ったと言っても過言ではありません。
ただ、自我が強すぎるせいか皇帝とも対立する事もあったというお茶目な一面も持ち合わせています。
ただ、自我が強すぎるせいか皇帝とも対立する事もあったというお茶目な一面も持ち合わせています。
2015年1月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
今年はビスマルク生誕200周年にあたる。本書はまだ30代の、ビスマルク研究一筋の著者によって書かれた、新書版初のビスマルク伝である。
感想を三言でいうと、よくまとまった本、大変面白い本、誠実な本である。
構成
まえがき(約7頁)・・本書の問題意識、目指す所
第一章(約24頁)・・生誕から結婚(32歳)まで
第二章(約27頁)・・政治家デビュー(議員選出)から外交官就任(36歳)まで
第三章(約36頁)・・外交官時代。プロイセン首相就任(47歳)まで
第四章(約34頁)・・プロイセン首相時代。普墺戦争に勝利し、北ドイツ連邦成立(52歳)に至るまで
第五章(約23頁)・・普仏戦争に勝利し、ドイツ統一(56歳)が達成されるまで
第六章(約26頁)・・ドイツ帝国宰相ビスマルクの国内政治。
第七章(約33頁)・・ビスマルクの外交政策。仏、露、墺、英、独の微妙な国家関係の中で、「急場しのぎ」の対応を繰り返しつつも、ドイツ帝国の安全保障システムを構築維持しようと奮闘するビスマルク。
第八章(約36頁)・・罷免引退(74歳)から死(83歳)まで。及び死後。
あとがき(約5頁)・・まとめ。
私的感想
●日本語で読める一番大部なアイクのビスマルク伝の八分の一以下の分量だが、生誕から死、死後まで、よくまとまっている。文章はわかりやすく、かつ無駄がない。
●薄い本なのに、各所で、先行研究、最新研究で、論点になっている点、その論点のついての、複数の見解及び、著者の見解が上げられているので、読者も研究に参加しているような気分になれる。大変面白い。
●あとがきによれば、本書は、ビスマルクを弁護して著しく称揚することもしなければ、徒に批判して弾劾することもせず、実証的かつ公平に論じたものである。その通り、誠実な本であると思う。
●著者が強調しているのは、ビスマルクの二面性である。すなわち、ビスマルクは思想的には生粋の保守反動ユンカーであったが,プロイセン国家の指導者としては、「国家エゴイズム」に立脚せざるをえず、その実現のためには、原理原則に固執することなく、現実的対応が必要で、それが革新的要素を帯びることもあったとする。そして、ビスマルクの目的はユンカー利益実現のためのプロシア覇権の確立であり、ドイツ・ナショナリズムという心情的なものではなかったのだが、それをうまく利用する形で、ドイツ統一を達成したとする。そして、「外からの刺激」(事件による国家関係の状況変化等)に対応し、またはそれを利用して繰り出す政治的「術」は天才的であったとする。妥当な見解と思う。
●しかし、本書で読み物として一番面白いのは、引退後のビスマルクを書いた第八章と思う。著者もビスマルクも緊張感から解放されたようにのびのびと書かれている。
●私が一番好きなのは、第七章の最後である。ここでは、第一次大戦に至る道がビスマルク時代に用意されていたかどうかについて、肯定する二つの主張(一方はビスマルクを加害者とし、一方は被害者とする)が紹介され、著者は、それらを容認しつつも、一種のビスマルク神話(買いかぶり、誇大視)であって、ビスマルク退陣から第一次大戦までは24年もあったと弁護する。結局、著者は、ビスマルクが大好きなようである。
物足りない点
●第六章のカトリック弾圧、社会主義者弾圧、社会保険政策導入の部分が、論点が示されることなく、薄い感じがした
感想を三言でいうと、よくまとまった本、大変面白い本、誠実な本である。
構成
まえがき(約7頁)・・本書の問題意識、目指す所
第一章(約24頁)・・生誕から結婚(32歳)まで
第二章(約27頁)・・政治家デビュー(議員選出)から外交官就任(36歳)まで
第三章(約36頁)・・外交官時代。プロイセン首相就任(47歳)まで
第四章(約34頁)・・プロイセン首相時代。普墺戦争に勝利し、北ドイツ連邦成立(52歳)に至るまで
第五章(約23頁)・・普仏戦争に勝利し、ドイツ統一(56歳)が達成されるまで
第六章(約26頁)・・ドイツ帝国宰相ビスマルクの国内政治。
第七章(約33頁)・・ビスマルクの外交政策。仏、露、墺、英、独の微妙な国家関係の中で、「急場しのぎ」の対応を繰り返しつつも、ドイツ帝国の安全保障システムを構築維持しようと奮闘するビスマルク。
第八章(約36頁)・・罷免引退(74歳)から死(83歳)まで。及び死後。
あとがき(約5頁)・・まとめ。
私的感想
●日本語で読める一番大部なアイクのビスマルク伝の八分の一以下の分量だが、生誕から死、死後まで、よくまとまっている。文章はわかりやすく、かつ無駄がない。
●薄い本なのに、各所で、先行研究、最新研究で、論点になっている点、その論点のついての、複数の見解及び、著者の見解が上げられているので、読者も研究に参加しているような気分になれる。大変面白い。
●あとがきによれば、本書は、ビスマルクを弁護して著しく称揚することもしなければ、徒に批判して弾劾することもせず、実証的かつ公平に論じたものである。その通り、誠実な本であると思う。
●著者が強調しているのは、ビスマルクの二面性である。すなわち、ビスマルクは思想的には生粋の保守反動ユンカーであったが,プロイセン国家の指導者としては、「国家エゴイズム」に立脚せざるをえず、その実現のためには、原理原則に固執することなく、現実的対応が必要で、それが革新的要素を帯びることもあったとする。そして、ビスマルクの目的はユンカー利益実現のためのプロシア覇権の確立であり、ドイツ・ナショナリズムという心情的なものではなかったのだが、それをうまく利用する形で、ドイツ統一を達成したとする。そして、「外からの刺激」(事件による国家関係の状況変化等)に対応し、またはそれを利用して繰り出す政治的「術」は天才的であったとする。妥当な見解と思う。
●しかし、本書で読み物として一番面白いのは、引退後のビスマルクを書いた第八章と思う。著者もビスマルクも緊張感から解放されたようにのびのびと書かれている。
●私が一番好きなのは、第七章の最後である。ここでは、第一次大戦に至る道がビスマルク時代に用意されていたかどうかについて、肯定する二つの主張(一方はビスマルクを加害者とし、一方は被害者とする)が紹介され、著者は、それらを容認しつつも、一種のビスマルク神話(買いかぶり、誇大視)であって、ビスマルク退陣から第一次大戦までは24年もあったと弁護する。結局、著者は、ビスマルクが大好きなようである。
物足りない点
●第六章のカトリック弾圧、社会主義者弾圧、社会保険政策導入の部分が、論点が示されることなく、薄い感じがした
2015年12月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ドイツ帝国の形成と、ビスマルクの業績を要領よくまとめてある。
2015年12月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ビスマルクの業績と当時の欧州各国の動きも簡潔で分かりやすく説明されていました。 英語で書かれた本を何冊か読みましたが、本の厚さ、薄さに関係なく一番納得できました。
2015年4月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
分かりやすくて大へんさんこうになりましたありがとございました!!これからもよろしくお願いいたします
2015年4月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
19世紀後期ヨーロッパのイギリス、フランス、イタリア、オーストリア、ロシアなどとの複雑な国際関係の中で、外交力によって弱小国ドイツを大国にした功績は見事である。その複雑で分りにくいことを分るように書いた著者もまた見事で、今までになかったビスマルク伝である。
しかし、これはあくまでも19世紀のことであって、当然ながら今の時代には通用しないと思う。
しかし、これはあくまでも19世紀のことであって、当然ながら今の時代には通用しないと思う。
2015年2月21日に日本でレビュー済み
ビスマルクと言えば、鉄血宰相という「世界史的知識」があるだけで、
コワモテの老練な政治家というイメージでした。
それはやはりビスマルクの普及的評伝などがあまりなく、
近代政治家として有名ながら縁遠い存在であったためかもしれません。
本書では「世界史」以来の読者にも簡潔で分かりやすく記述され、
ビスマルクの全体像をきちんと示してくれています。
まさに新書として使命をしっかりと果たしてくれています。
また、本書の著者は1977年生まれという新進研究者であり、
先行研究も落ち着いて踏まえてくれているのが素晴らしいと思います。
内容は、ビスマルクの学生時代から、代議士、外交官、
プロイセン首相・・・と当時の役割ごとに分かりやすく
説明されています。
印象に残ったのは、ビスマルクの評価から一歩引き、
事実を中心に説明している記述です。
これにより、ビスマルクが当時の政治状況に
意外に翻弄されつつ、独特の判断力という技術で
乗り越えてきたことが浮かび上がってきます。
複雑に絡み合うヨーロッパの国家関係の中
(秘密議定書などは当たり前の中)
ドイツの存立を平和的に維持していこうという
ビスマルクの政治的感覚が新鮮に映り、
また、特定の関係(良好・不良に関わらず)が
外交的自由を奪ってしまうという視点にも
改めて気づかされました。
近代史や政治学を学ぶ人はもちろん、
ゲーム理論を意識するビジネスマンにも
おすすめの良書です。
コワモテの老練な政治家というイメージでした。
それはやはりビスマルクの普及的評伝などがあまりなく、
近代政治家として有名ながら縁遠い存在であったためかもしれません。
本書では「世界史」以来の読者にも簡潔で分かりやすく記述され、
ビスマルクの全体像をきちんと示してくれています。
まさに新書として使命をしっかりと果たしてくれています。
また、本書の著者は1977年生まれという新進研究者であり、
先行研究も落ち着いて踏まえてくれているのが素晴らしいと思います。
内容は、ビスマルクの学生時代から、代議士、外交官、
プロイセン首相・・・と当時の役割ごとに分かりやすく
説明されています。
印象に残ったのは、ビスマルクの評価から一歩引き、
事実を中心に説明している記述です。
これにより、ビスマルクが当時の政治状況に
意外に翻弄されつつ、独特の判断力という技術で
乗り越えてきたことが浮かび上がってきます。
複雑に絡み合うヨーロッパの国家関係の中
(秘密議定書などは当たり前の中)
ドイツの存立を平和的に維持していこうという
ビスマルクの政治的感覚が新鮮に映り、
また、特定の関係(良好・不良に関わらず)が
外交的自由を奪ってしまうという視点にも
改めて気づかされました。
近代史や政治学を学ぶ人はもちろん、
ゲーム理論を意識するビジネスマンにも
おすすめの良書です。