非常に面白い話がたくさん載っている. のがこの本の一番楽しいところであろう.
しかしこの本の最大の魅力は, 思考の放棄をするなと強く訴えかけているところにある.
たぶん生物進化とハンディキャップ原理を読んでいなければ感動して涙していたことであろう. (生物進化とハンディキャップ原理は私の大切な指針になっている.) その点では, この本から得られるであろうカタルシスが少々目減りしてしまったことを悲しまずにはおれない. よく構成されて, どんどんその思考を追いたくなること請け合いである.
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すごい進化 - 「一見すると不合理」の謎を解く (中公新書 2433) 新書 – 2017/5/19
鈴木 紀之
(著)
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購入オプションとあわせ買い
スズメバチにうまく擬態しきれないアブ、他種のメスに求愛してしまうテントウムシのオス。一見不合理に見える生き物たちのふるまいは、進化の限界を意味しているのか。それとも、意外な合理性が隠されているのだろうか。1970年代に生物学に革新をもたらした「ハンディキャップ理論」「赤の女王仮説」から、教科書には載っていない最新仮説までたっぷり紹介。わたしたちの直感を裏切る進化の秘密に迫る!
【目次】序章にかえて――進化はどれほどすごいのか
第一章 進化の捉え方
1 適応と制約のせめぎ合い
2 適応をめぐる歴史と哲学
第二章 見せかけの制約
1 産みの苦しみをいかに和らげるか
2 昆虫と植物の共進化
第三章 合理的な不合理――あるテントウムシの不思議
1 蓼食う虫も適応か
2 禁断の恋―異種のメスを選ぶオス
3 不治の病―あえて抵抗しない戦略
第四章 適応の真価――非効率で不完全な進化
1 無駄こそ信頼の証―ハンディキャップ理論
2 役立たずなオス―性が存在する理由
3 ハチに似ていないアブ―不完全な擬態
終 章 不合理だから、おもしろい
【目次】序章にかえて――進化はどれほどすごいのか
第一章 進化の捉え方
1 適応と制約のせめぎ合い
2 適応をめぐる歴史と哲学
第二章 見せかけの制約
1 産みの苦しみをいかに和らげるか
2 昆虫と植物の共進化
第三章 合理的な不合理――あるテントウムシの不思議
1 蓼食う虫も適応か
2 禁断の恋―異種のメスを選ぶオス
3 不治の病―あえて抵抗しない戦略
第四章 適応の真価――非効率で不完全な進化
1 無駄こそ信頼の証―ハンディキャップ理論
2 役立たずなオス―性が存在する理由
3 ハチに似ていないアブ―不完全な擬態
終 章 不合理だから、おもしろい
- 本の長さ245ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2017/5/19
- 寸法11 x 1.3 x 17.4 cm
- ISBN-104121024338
- ISBN-13978-4121024336
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商品の説明
著者について
1984年神奈川県横浜市生まれ.2007年京都大学農学部資源生物科学科卒業,12年京都大学大学院農学研究科応用生物科学専攻博士課程修了(農学博 士).09年ウガンダのマケレレ大学に短期留学.日本学術振興会特別研究員(東北大学東北アジア研究センター),宮城学院女子大学非常勤講師, 立正大学地球環境科学部環境システム学科助教などを経て,16年2月より,米カリフォルニア大学バークレー校環境科学政策マネジメント研究科に 日本学術振興会海外特別研究員として在籍.専門は進化生態学,昆虫学.
登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2017/5/19)
- 発売日 : 2017/5/19
- 言語 : 日本語
- 新書 : 245ページ
- ISBN-10 : 4121024338
- ISBN-13 : 978-4121024336
- 寸法 : 11 x 1.3 x 17.4 cm
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著者について
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1984年神奈川県横浜市生まれ. 2007年京都大学農学部資源生物科学科卒業, 12年京都大学大学院農学研究科応用生物科学専攻博士課程修了(農学博士). 09年ウガンダのマケレレ大学に短期留学. 日本学術振興会特別研究員(東北大学東北アジア研究センター), 立正大学地球環境科学部 助教, 日本学術振興会海外特別研究員(米カリフォルニア大学バークレー校)などを経て, 18年より高知大学農林海洋科学部 准教授. 専門は進化生態学, 昆虫学.
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年12月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者は、自然淘汰は、「できる限り諦めない」という立場の学者である。
なので、終章のその逆である「収斂進化」が面白い。
収斂進化とは、別々のグループに属する生物の集団であっても、似た環境に晒されていると似たような形質が進化することを指す。
これは、近年のテクノロジーの進歩によってその、ブラックボックスが明らかになった。
結論から言えば、遺伝子や発生メカニズムが同様のものと異なるものがある。
異なるパターンとは、完全なる収斂進化である。それは、突然変異によるものであり環境等の制約の存在を示唆しない。
少々、風変りの例がある。
昆虫が成長にとって不適な生物を食べたり、共生のパートナーを乗り換えたり、他種への求愛もある。
最後の例は、生殖隔離の強化によってエラーは解消するだろうと思われていたが、近縁種のDNA配列の一部が混じっていることが分った。なので、その説は消えた。
ホモ・サピエンスにもネアンデルタールのDNAが数%混じっている。
「学」であるから「運」は、排除されているが、私たちが、「生まれる」のが選択できないのは、どう説明するのだろう。
つまり、自由意志も幻想である。
小さな選択も「運」で説明可能である。そもそも、大事とは、向こうからやって来るものなのであろう。
「進化」の大本そのものも、そう考えた方が異和感がない。科学の論理で説明できるものでもなかろう。つまり、「運」と「業」である。自然科学が手に負えない処に大事はある。
「適応」とは、便利な用語であるが真の説明にはならない。何んにでも通用するご都合主義に他ならない。
現在の進化論の主流とは、そのようなものである。
但し、人は「科学」という装いで思考停止してしまう。
なので、終章のその逆である「収斂進化」が面白い。
収斂進化とは、別々のグループに属する生物の集団であっても、似た環境に晒されていると似たような形質が進化することを指す。
これは、近年のテクノロジーの進歩によってその、ブラックボックスが明らかになった。
結論から言えば、遺伝子や発生メカニズムが同様のものと異なるものがある。
異なるパターンとは、完全なる収斂進化である。それは、突然変異によるものであり環境等の制約の存在を示唆しない。
少々、風変りの例がある。
昆虫が成長にとって不適な生物を食べたり、共生のパートナーを乗り換えたり、他種への求愛もある。
最後の例は、生殖隔離の強化によってエラーは解消するだろうと思われていたが、近縁種のDNA配列の一部が混じっていることが分った。なので、その説は消えた。
ホモ・サピエンスにもネアンデルタールのDNAが数%混じっている。
「学」であるから「運」は、排除されているが、私たちが、「生まれる」のが選択できないのは、どう説明するのだろう。
つまり、自由意志も幻想である。
小さな選択も「運」で説明可能である。そもそも、大事とは、向こうからやって来るものなのであろう。
「進化」の大本そのものも、そう考えた方が異和感がない。科学の論理で説明できるものでもなかろう。つまり、「運」と「業」である。自然科学が手に負えない処に大事はある。
「適応」とは、便利な用語であるが真の説明にはならない。何んにでも通用するご都合主義に他ならない。
現在の進化論の主流とは、そのようなものである。
但し、人は「科学」という装いで思考停止してしまう。
2018年7月28日に日本でレビュー済み
鈴木紀之著 『すごい進化』
最も、興味がわいたのは、クジャクのメスはオスを相当、審査した上で選ぶということだった。人間以上にすごい脳を持っているのではないか。
1 「クジャクのオスは美しい羽を広げてメスにアピール。メスは具体的にどのように判断しているのか。
オスの羽にある目玉模様の数が求愛のコミュニケーションに重要。目玉模様が魅力的オスをアピールをするためのシグナル。
しかし、目玉模様の数は一次審査だった。オスの目玉模様は少ない個体で120個。多い個体で160個。目玉模様がある標準の145個より少ないオスはメスから選ばれず。だからといって、目玉模様の数が多いほど、メスにもてるわけではない。
メスはオスの目玉模様をまじまじと観察。まさか紙と鉛筆で数え上げるわけにはいかない。
そこで、新たなシグナルとして、鳴き声が追加された可能性がある。目玉模様の数という一次審査を突破したオスは、甲高い声を響かせることがメスに対する重要なアピールだった。」
次に、チョウのオスはメスに交尾できれば、得という考えで、すでに交尾したメスの周りを飛び回る。メスにとって迷惑そのもの。進化学でもセクシャルハラスメントと呼ぶのは面白い。
2「モンキチョウやアゲハチョウは、よく一匹のオスがメスの周りにまとわりつく。
たいていは、メスはすでに交尾しており、受精に必要な量の精子を体内に蓄えている。
しかし、オスは交尾できるかもしれないと思い、メスにちょっかいを出す。このオスの行動はメスには迷惑。オスがメスにもたらすこの行動を、進化学の専門用語で「セクシャルハラスメント」と呼ぶ。オスは不要どころか、繁殖の邪魔になる。」
三つ目に、テントウムシはアブラムシをエサにするが、テントウムシの子供に与えたいが、他の生き物に食われるかもしれない。
そのため、テントウムシは卵を産んだ時に、孵化する卵と孵化しない卵の二通りを用意する。テントウムシは子供の面倒を見ないが、運よく生まれた子供には孵化しない卵を用意して後にする。なかなかの頭脳プレイヤーだ。
3「アブラムシは幼虫のエサを期待するには心もとない。テントウムシの母親は、孵化した幼虫がハンティングしやすいように、アブラムシのコロニー(群れ)の近くに卵を産む。しかし、産卵から孵化の間に他のテントウムシや肉食性昆虫がアブラムシを食べるかもしれない。このように近くのコロニーが失われた時は、幼虫は共食いをする。多くの昆虫同様に、テントウムシの母親は産卵後、子(卵)から離れる。その後も面倒を見ず。しかし、母親は不測の事態に備えて、わが子に「お弁当」を持たせる。テントウムシの孵化しない卵は、母からの幼虫への追加投資なのです。」
四番目に、昆虫はある植物の上に寄生し、食べ物にするが、かなり以前は、自由に植物を選んでいた。それができなくなった。時代が進むにつれて、植物は食べられたくない、昆虫は食べたいの欲望でせめぎ合いが続く。軍拡競争と名付けたのは名文句だと思う。
4「アメリカの生物学者のエーリックとレーブンは論文で、軍拡競争にもとづいた仮説を提示。
植物は昆虫に食べられないように「毒」となる化学物質を葉に貯めこむ。すると、昆虫は、その化学物質を体内でうまく解毒できるメカニズムを進化させる。植物も負けていません。今度は、別の種類の化学物質を作り上げて、昆虫の食害から葉を守る。このように、両者のせめぎ合いが続く。異なる種類が影響を及ぼし合い進化することを「共進化」という。共進化の中で、植物と昆虫は敵対的で、時間がたつにつれて、エスカレートするので、軍拡競争と呼ばれている。
特定のペアで軍拡競争が進むと、昆虫は別の植物を食べられなくなる。軍拡競争によって、スペシャリストとなった状況を「進化の袋小路」と表現。共進化の歴史が現在のエサ選びを規定してしまったのです。」
5「ダーウィンは、外来植物に注目して、近縁な種類どうしは同じ環境で暮らしにくいと気づいた。
近縁な種類がすでに生育している場合、新たに持ち込まれた植物は定着しにくい。近縁な種類の存在が帰化に対する生物的なバリアになっている。今日では、「ダーウィンの帰化仮説」と呼ばれている。」
六番目に、重大事故が起こる前には、軽い事故が何度か発生しているという。その軽い事故が起こった時にいかに反省できるかが指導者、経営者の仕事となる。
6「ハインリッヒの法則とは、現場における
一件の重大な事故の背景に、数十件の軽微な事故が発生している。さらに、事故とは言えないが異常な出来事(いわゆるヒヤリ・ハット)が何百件も起きている。それぞれの事故が発生する回数はピラミッド型になっている。」
7「DNAの配列が解析できるようになり、近縁種の一部のDNA配列が混ざっていることがあった。その原因は、近縁種との交尾を経て世代を繰り返すうちに、近縁種のDNAが浸透して取り込まれた。
ホモサピエンスとネアンデルタール人とは別種ですが、同じヒト属に分類。互いに近縁な種類。およそ五万年前、両者はヨーロッパや中東で同じ時代を過ごした。
眠りから覚めた古代のDNAは、ホモサピエンスの中にネアンデルタール人のDNAが数パーセント含まれている。ホモサピエンスとネアンデルタールが過去に交雑したことを示唆している。」
八番目に、最近、やたらと暑い。実際、36度と人間の体温より暑くなると、外に出るきがしなくなる。熱帯で生きている人は当然、温帯で生きている人より、動いたり、頭を働かせたくない理由がしみじみとわかった。
8「ジャレド・ダイヤモンドは『銃・病原菌・鉄』の中で、「なぜ、ヨーロッパの白人はいろいろ発明して豊かになったが、パプアニューギニアや他の途上国はそうならないのか」と疑問を呈する。
ダイヤモンドは、ヨーロッパの人々が暮らしてきた地理環境が文明の発展に有利だった、と指摘。」
9 「マラリア原虫は単細胞の生物で、ハマダラカという蚊によって人へと媒介。人の幹細胞についたマラリア原虫は無性生殖で増え続ける。その後、赤血球へ侵入。高熱が出、死に至るケースあり。今でも、年間40万人の死者。アフリカ。アジア・太平洋諸島・中南米の熱帯で流行。
しかし、特別に抵抗性を持った人々がいる。
鎌状赤血球血症の患者です。マラリア原虫は、鎌状になった赤血球に侵入できない。ある病気(マラリア)に対して有利になるために別の病気(貧血症)が維持されている。
マラリアが流行していない地域では鎌状の赤血球はデメリットのみ。抵抗性が進化してほとんど分布せず。
一方、古くからマラリアが流行している地域では、高い割合で、鎌状赤血球貧血症が維持。」
最も、興味がわいたのは、クジャクのメスはオスを相当、審査した上で選ぶということだった。人間以上にすごい脳を持っているのではないか。
1 「クジャクのオスは美しい羽を広げてメスにアピール。メスは具体的にどのように判断しているのか。
オスの羽にある目玉模様の数が求愛のコミュニケーションに重要。目玉模様が魅力的オスをアピールをするためのシグナル。
しかし、目玉模様の数は一次審査だった。オスの目玉模様は少ない個体で120個。多い個体で160個。目玉模様がある標準の145個より少ないオスはメスから選ばれず。だからといって、目玉模様の数が多いほど、メスにもてるわけではない。
メスはオスの目玉模様をまじまじと観察。まさか紙と鉛筆で数え上げるわけにはいかない。
そこで、新たなシグナルとして、鳴き声が追加された可能性がある。目玉模様の数という一次審査を突破したオスは、甲高い声を響かせることがメスに対する重要なアピールだった。」
次に、チョウのオスはメスに交尾できれば、得という考えで、すでに交尾したメスの周りを飛び回る。メスにとって迷惑そのもの。進化学でもセクシャルハラスメントと呼ぶのは面白い。
2「モンキチョウやアゲハチョウは、よく一匹のオスがメスの周りにまとわりつく。
たいていは、メスはすでに交尾しており、受精に必要な量の精子を体内に蓄えている。
しかし、オスは交尾できるかもしれないと思い、メスにちょっかいを出す。このオスの行動はメスには迷惑。オスがメスにもたらすこの行動を、進化学の専門用語で「セクシャルハラスメント」と呼ぶ。オスは不要どころか、繁殖の邪魔になる。」
三つ目に、テントウムシはアブラムシをエサにするが、テントウムシの子供に与えたいが、他の生き物に食われるかもしれない。
そのため、テントウムシは卵を産んだ時に、孵化する卵と孵化しない卵の二通りを用意する。テントウムシは子供の面倒を見ないが、運よく生まれた子供には孵化しない卵を用意して後にする。なかなかの頭脳プレイヤーだ。
3「アブラムシは幼虫のエサを期待するには心もとない。テントウムシの母親は、孵化した幼虫がハンティングしやすいように、アブラムシのコロニー(群れ)の近くに卵を産む。しかし、産卵から孵化の間に他のテントウムシや肉食性昆虫がアブラムシを食べるかもしれない。このように近くのコロニーが失われた時は、幼虫は共食いをする。多くの昆虫同様に、テントウムシの母親は産卵後、子(卵)から離れる。その後も面倒を見ず。しかし、母親は不測の事態に備えて、わが子に「お弁当」を持たせる。テントウムシの孵化しない卵は、母からの幼虫への追加投資なのです。」
四番目に、昆虫はある植物の上に寄生し、食べ物にするが、かなり以前は、自由に植物を選んでいた。それができなくなった。時代が進むにつれて、植物は食べられたくない、昆虫は食べたいの欲望でせめぎ合いが続く。軍拡競争と名付けたのは名文句だと思う。
4「アメリカの生物学者のエーリックとレーブンは論文で、軍拡競争にもとづいた仮説を提示。
植物は昆虫に食べられないように「毒」となる化学物質を葉に貯めこむ。すると、昆虫は、その化学物質を体内でうまく解毒できるメカニズムを進化させる。植物も負けていません。今度は、別の種類の化学物質を作り上げて、昆虫の食害から葉を守る。このように、両者のせめぎ合いが続く。異なる種類が影響を及ぼし合い進化することを「共進化」という。共進化の中で、植物と昆虫は敵対的で、時間がたつにつれて、エスカレートするので、軍拡競争と呼ばれている。
特定のペアで軍拡競争が進むと、昆虫は別の植物を食べられなくなる。軍拡競争によって、スペシャリストとなった状況を「進化の袋小路」と表現。共進化の歴史が現在のエサ選びを規定してしまったのです。」
5「ダーウィンは、外来植物に注目して、近縁な種類どうしは同じ環境で暮らしにくいと気づいた。
近縁な種類がすでに生育している場合、新たに持ち込まれた植物は定着しにくい。近縁な種類の存在が帰化に対する生物的なバリアになっている。今日では、「ダーウィンの帰化仮説」と呼ばれている。」
六番目に、重大事故が起こる前には、軽い事故が何度か発生しているという。その軽い事故が起こった時にいかに反省できるかが指導者、経営者の仕事となる。
6「ハインリッヒの法則とは、現場における
一件の重大な事故の背景に、数十件の軽微な事故が発生している。さらに、事故とは言えないが異常な出来事(いわゆるヒヤリ・ハット)が何百件も起きている。それぞれの事故が発生する回数はピラミッド型になっている。」
7「DNAの配列が解析できるようになり、近縁種の一部のDNA配列が混ざっていることがあった。その原因は、近縁種との交尾を経て世代を繰り返すうちに、近縁種のDNAが浸透して取り込まれた。
ホモサピエンスとネアンデルタール人とは別種ですが、同じヒト属に分類。互いに近縁な種類。およそ五万年前、両者はヨーロッパや中東で同じ時代を過ごした。
眠りから覚めた古代のDNAは、ホモサピエンスの中にネアンデルタール人のDNAが数パーセント含まれている。ホモサピエンスとネアンデルタールが過去に交雑したことを示唆している。」
八番目に、最近、やたらと暑い。実際、36度と人間の体温より暑くなると、外に出るきがしなくなる。熱帯で生きている人は当然、温帯で生きている人より、動いたり、頭を働かせたくない理由がしみじみとわかった。
8「ジャレド・ダイヤモンドは『銃・病原菌・鉄』の中で、「なぜ、ヨーロッパの白人はいろいろ発明して豊かになったが、パプアニューギニアや他の途上国はそうならないのか」と疑問を呈する。
ダイヤモンドは、ヨーロッパの人々が暮らしてきた地理環境が文明の発展に有利だった、と指摘。」
9 「マラリア原虫は単細胞の生物で、ハマダラカという蚊によって人へと媒介。人の幹細胞についたマラリア原虫は無性生殖で増え続ける。その後、赤血球へ侵入。高熱が出、死に至るケースあり。今でも、年間40万人の死者。アフリカ。アジア・太平洋諸島・中南米の熱帯で流行。
しかし、特別に抵抗性を持った人々がいる。
鎌状赤血球血症の患者です。マラリア原虫は、鎌状になった赤血球に侵入できない。ある病気(マラリア)に対して有利になるために別の病気(貧血症)が維持されている。
マラリアが流行していない地域では鎌状の赤血球はデメリットのみ。抵抗性が進化してほとんど分布せず。
一方、古くからマラリアが流行している地域では、高い割合で、鎌状赤血球貧血症が維持。」
2017年5月23日に日本でレビュー済み
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本書は本当におもしろかった。本書を読み進めれば読み進めるほど、筆者が提示する「自然のパズル」の数々に、はまっていってしまったのだ。本書は、私がこれまで読んだ進化に関する本の中では一番おもしろかったと断言できる。
筆者は『序章にかえて』で、自然淘汰の絶え間ないチェックは、不利な形質が生き残れるほど甘くはなく、いま現在見られる生き物の戦略は、さぞかし巧みで合理的であるにちがいないはずであるにもかかわらず、実際には、弱肉強食の世界で、一見すると不合理な形質や生態といった進化の不合理性が見られるのはなぜかと問題提起している。筆者は、こうした自然界の現実を前に、「進化はすごい」のか、「進化はそれほどすごくない」のか、進化生物学者の間でさえ驚くほどそのスタンスに違いがあるとし、適応と制約を本書を通したテーマとして、「教科書や主流派の説明からは逸れる(けれども合理的な)解釈について、私自身や国内外の研究事例を披露していきます」としているのだ。
筆者はまず第一章で、自然界における適応と制約のせめぎ合いの具体例と、それらにどういうスタンスでアプローチすべきかという進化生物学者間の論争について解説し、第二章では、制約があるから合理的でない振る舞いをするのかと思ったら、実は制約ではなかったという自然界における「見せかけの制約」の具体例について解説している。
続く第三章と第四章が、本書のハイライトだと思う。第三章では、「クリサキテントウ」というテントウムシが、与えれば普段彼らが食べていない種のアブラムシを食べられるにもかかわらず、なぜわざわざ、すばしこくて捕まえにくいだけでなく、まずく、さらに数が少ないという三拍子そろったひどいエサであるアブラムシしか食べないように進化したのか、その原動力は何だったのかという謎の解明に、筆者の仮説を提示しているのだ。筆者は何とそれを、エサ選びとは全く関係なさそうな、異種のメスを求愛相手に選んでしまうという求愛のエラーだとしているのだが、その理由を示されてみると、筆者が『序章にかえて』で言っているように、たしかになかなか合理的で、説得力のある解釈だと納得できるものだったのだ。この第三章では、オスに感染したバクテリアがオスを殺すことで、結果的にメスに感染した同胞が生き残ることができるというバクテリアの驚異的な生存戦略とともに、クリサキテントウが、このオス殺しのバクテリアにあえて感染する道を選んだ戦略の意味も解説している。
第四章では、「一見すると不合理だけれど、実は合理的な現象」についての国内外の最新の知見をピックアップしているのだが、この中で特に注目されるのが、有性生殖の二倍のコスト問題の克服という進化学最大の難問についてだ。筆者は、有性生殖が「遺伝的多様性」を高めるという仮説も、「赤の女王仮説」も、二倍のコストを覆すには十分でないとし、「そこで最後に、生物学の教科書に載っていないばかりか、専門家の間ですらいまだにほとんど知られていない、とっておきの仮説を紹介します。ひょっとしたら、真実にもっとも近い合理的なアイデアとして、今後世界に広まっていくかもしれません」として、ある一連のアイデアを紹介し、「読者のみなさんは、専門家の間でさえもほとんど知られていない仮説にいち早く立ち会ったといえるでしょう」としているのだ。
ここで紹介した以外にも、筆者は読者の好奇心を掻き立ててやまない一見不合理な進化の具体例の数々を提示してくれている。筆者は『あとがき』で、「私を突き動かしているのは、進化の研究のおもしろさに他なりません」と語っているのだが、そんな筆者の思いに共感させられてしまう、おもしろい話題にあふれた本だった。
筆者は『序章にかえて』で、自然淘汰の絶え間ないチェックは、不利な形質が生き残れるほど甘くはなく、いま現在見られる生き物の戦略は、さぞかし巧みで合理的であるにちがいないはずであるにもかかわらず、実際には、弱肉強食の世界で、一見すると不合理な形質や生態といった進化の不合理性が見られるのはなぜかと問題提起している。筆者は、こうした自然界の現実を前に、「進化はすごい」のか、「進化はそれほどすごくない」のか、進化生物学者の間でさえ驚くほどそのスタンスに違いがあるとし、適応と制約を本書を通したテーマとして、「教科書や主流派の説明からは逸れる(けれども合理的な)解釈について、私自身や国内外の研究事例を披露していきます」としているのだ。
筆者はまず第一章で、自然界における適応と制約のせめぎ合いの具体例と、それらにどういうスタンスでアプローチすべきかという進化生物学者間の論争について解説し、第二章では、制約があるから合理的でない振る舞いをするのかと思ったら、実は制約ではなかったという自然界における「見せかけの制約」の具体例について解説している。
続く第三章と第四章が、本書のハイライトだと思う。第三章では、「クリサキテントウ」というテントウムシが、与えれば普段彼らが食べていない種のアブラムシを食べられるにもかかわらず、なぜわざわざ、すばしこくて捕まえにくいだけでなく、まずく、さらに数が少ないという三拍子そろったひどいエサであるアブラムシしか食べないように進化したのか、その原動力は何だったのかという謎の解明に、筆者の仮説を提示しているのだ。筆者は何とそれを、エサ選びとは全く関係なさそうな、異種のメスを求愛相手に選んでしまうという求愛のエラーだとしているのだが、その理由を示されてみると、筆者が『序章にかえて』で言っているように、たしかになかなか合理的で、説得力のある解釈だと納得できるものだったのだ。この第三章では、オスに感染したバクテリアがオスを殺すことで、結果的にメスに感染した同胞が生き残ることができるというバクテリアの驚異的な生存戦略とともに、クリサキテントウが、このオス殺しのバクテリアにあえて感染する道を選んだ戦略の意味も解説している。
第四章では、「一見すると不合理だけれど、実は合理的な現象」についての国内外の最新の知見をピックアップしているのだが、この中で特に注目されるのが、有性生殖の二倍のコスト問題の克服という進化学最大の難問についてだ。筆者は、有性生殖が「遺伝的多様性」を高めるという仮説も、「赤の女王仮説」も、二倍のコストを覆すには十分でないとし、「そこで最後に、生物学の教科書に載っていないばかりか、専門家の間ですらいまだにほとんど知られていない、とっておきの仮説を紹介します。ひょっとしたら、真実にもっとも近い合理的なアイデアとして、今後世界に広まっていくかもしれません」として、ある一連のアイデアを紹介し、「読者のみなさんは、専門家の間でさえもほとんど知られていない仮説にいち早く立ち会ったといえるでしょう」としているのだ。
ここで紹介した以外にも、筆者は読者の好奇心を掻き立ててやまない一見不合理な進化の具体例の数々を提示してくれている。筆者は『あとがき』で、「私を突き動かしているのは、進化の研究のおもしろさに他なりません」と語っているのだが、そんな筆者の思いに共感させられてしまう、おもしろい話題にあふれた本だった。
2017年8月21日に日本でレビュー済み
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端的に,面白かったです。
昆虫のちょっとおかしな(不合理な)生態,例えば,「ハチに擬態しきれていないアブ」や「まずくて逃げ足の速いエサに特化したテントウムシ」「過剰に派手なクモ」などを紹介しつつ,生物学的な様々な見解を交えながら,丁寧に順を追って解説しています。
特に,なるほどと思ったのは,クリサキテントウの部分。
近縁種に追いやられているかのごとく見える生態も,実は,近縁種との差を受け入れ,一生懸命,自身の種の存続のために適応している姿だというから。なんだか健気で,愛らしく感じてしまいました。
本書は,生物学の知識が全くなくても楽しく読むことができます。
従来の学説との比較により,新たな学説による「不合理な進化」は「すごい進化」なのだとのとらえ方はなるほどです。
30代半ばという若い研究者の著書ですが,世間一般に,生物学,生物そのものへの興味・関心が広まるようにという思いの込めた本書は大変良書だと思います。
昆虫のちょっとおかしな(不合理な)生態,例えば,「ハチに擬態しきれていないアブ」や「まずくて逃げ足の速いエサに特化したテントウムシ」「過剰に派手なクモ」などを紹介しつつ,生物学的な様々な見解を交えながら,丁寧に順を追って解説しています。
特に,なるほどと思ったのは,クリサキテントウの部分。
近縁種に追いやられているかのごとく見える生態も,実は,近縁種との差を受け入れ,一生懸命,自身の種の存続のために適応している姿だというから。なんだか健気で,愛らしく感じてしまいました。
本書は,生物学の知識が全くなくても楽しく読むことができます。
従来の学説との比較により,新たな学説による「不合理な進化」は「すごい進化」なのだとのとらえ方はなるほどです。
30代半ばという若い研究者の著書ですが,世間一般に,生物学,生物そのものへの興味・関心が広まるようにという思いの込めた本書は大変良書だと思います。