学生時代に経済学を学んだ人にとっては、サムエルソンの『経済学』と聞くだけで、
青春時代を思い出すのではないか。
私は、この本を読み終える頃になって、この本の目的に気がつきハッとした。
この本の題名は、サムエルソンの『経済学』の時代と言っているのだ。
皆さんご承知の通り、『経済学』はサムエルソンの単独著書としては
1948年~1985年に初版から11版までが改定を加え出版されている。
この間と言えば、サムエルソンが経済学者として頭角を現し、「新古典派総合」
を提唱し、1960年代前半に頂点を極め、やがて衰退していく時間的経過ではないか。
「新古典派総合」に対し、さまざまな反論が出されてもサムエルソンは真摯に耳を傾け
たという。また、「新古典派総合」の説時代もそうだが、1人の人間としてのサムエルソンも
非常にバランス感覚を持った人物だったという。
著者は、そんなサムエルソンの学者としての姿勢を、また、1人の人間としての在り方にも
敬意を払い続けていたのではないだろうか。
サムエルソンは2009年12月に94歳で他界する。この本は、2011年の出版である。
人間サムエルソンに対する追悼の意を込めたのではないだろうか。
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サムエルソン『経済学』の時代 (中公選書 6) 単行本(ソフトカバー) – 2012/1/6
根井 雅弘
(著)
古典的著作となった『経済学』の成立からバージョンアップの過程を追いながらサムエルソンの人と思想を解説する。年譜等資料充実。
- 本の長さ189ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2012/1/6
- ISBN-104121100069
- ISBN-13978-4121100061
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登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2012/1/6)
- 発売日 : 2012/1/6
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 189ページ
- ISBN-10 : 4121100069
- ISBN-13 : 978-4121100061
- Amazon 売れ筋ランキング: - 987,219位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 90,692位ビジネス・経済 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年3月19日に日本でレビュー済み
経済学部での定番教科書といえば、かつてはサムエルソン『経済学』だった。原著も日本語訳も版を重ね、現在も出版され続けている。しかし『経済学』以降は優れた教科書も他に何種類か現われ、現在ではサムエルソンを教科書に使っている大学はほとんどないようだ。
久しぶりに原書第11版の『経済学』(1981年3月30日発行)を引っ張り出して眺めてみると、(さすがに古めかしいところはあるが)その内容の広範囲さと緻密な構成に今更ながら驚いた。現代風の教科書であれば、数式(IS-LMモデルなど)を駆使してスマートにまとめるところを、たっぷり文章を費やして論じている。「今風」の教育方針には合わないところがあるかも知れないが、新古典派経済学とケインズ経済学の統合を、「新古典派統合」として完成した巨人による「歴史的」な経済学書として読み返すのも興味深い。
本書は、『経済学』を中心としたサムエルソンのコンパクトな評伝である。同時代の経済学書たちと比較しつつ、経済学の各種学派の潮流の鳥瞰図としての読み方も可能である。
本書のサムエルソンと経済政策との関わりの記述によれば、サムエルソンのような天才をもってしても、現実の経済状況を的確に理解し、ましてや問題解決の政策を打ち出すことは容易ではないようだ。本書では、現在世界を覆っている経済不況や、今も続く金融恐慌の原因と対策には全く言及されていない。『経済学』にも恐慌の記述は見当たらない(少なくとも索引にはない)。日本の経済状況(財政危機を含め)に対しても、経済学者が全く正反対の意見を述べることは(しかも、それぞれが「エビデンス」を持って!)日常茶飯事である。素晴らしい経済学の教科書の存在自体は結構だが、その内容と実体経済とは別物と考えた方がよさそうに思えてくる。
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本書は、『経済学』を中心としたサムエルソンのコンパクトな評伝である。同時代の経済学書たちと比較しつつ、経済学の各種学派の潮流の鳥瞰図としての読み方も可能である。
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