「3・11」の強烈な体験が本書には生きている。
震災の夜の都営地下鉄運転開始、都庁舎、都立高校開放のニュース・テロップが出て、
どれだけの人々が助けられたことか。
それが著者のツイッターの発信に端を発していたことが分かる。
そこから、著者がいかに副知事として、ノンフィクション作家として「言葉の力」
にこだわってきたかが分かる。
PISA(OECD諸国の学力調査)での日本の凋落に対する危機感。
「別に」「普通」しか言わなくなって、国内思考に陥りコミュニケーション能力を
欠くに至った若者たちもいる。
彼らにこそ「言葉の力」が必要だと著者は実体験に基づいて訴えるから、説得力が
違う。
例えば「ツイッターで文章力を鍛える」という提案。
「ファクトとエビデンスの大切さ」といった、考えてみれば著者の持論なのだが、
それが圧倒的なファクト(事実)とエビデンス(論拠)で説得される。
読者は、実際に140字で実際に試すことができよう。
非常に有用かつ心に残るとともに、コミュニケーション障害の処方箋としても
使える書である。(「読書療法」というのがあるそうである。)
「3・11」を元にその後の政治の迷走、都の「言葉の力」復活の試み等々。
自腹を切って新品を買い、どんどん書き込みをすると良いと思う。
それに値する本である。
「読書は他者とのコミュニケーション」なのだから。

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言葉の力 - 「作家の視点」で国をつくる (中公新書ラクレ 389) 新書 – 2011/6/9
猪瀬 直樹
(著)
官僚との闘いは「言葉の闘い」だ。副知事として進める言語力再生の要諦を解説。国難の今こそ、日本人は思想を鍛え、ヴィジョンを示せ
- 本の長さ214ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2011/6/9
- ISBN-104121503899
- ISBN-13978-4121503893
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登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2011/6/9)
- 発売日 : 2011/6/9
- 言語 : 日本語
- 新書 : 214ページ
- ISBN-10 : 4121503899
- ISBN-13 : 978-4121503893
- Amazon 売れ筋ランキング: - 502,874位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 470位中公新書ラクレ
- カスタマーレビュー:
著者について
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作家。1946年長野県生まれ。
83年に『天皇の影法師』『昭和16年夏の敗戦』『日本凡人伝』を上梓し、87年『ミカドの肖像』で第18回大宅壮一ノンフィクション賞。定評の評伝小説に『ペルソナ 三島由紀夫伝』『ピカレスク 太宰治伝』『こころの王国 菊池寛と文芸春秋の誕生』がある。
『日本国の研究』で96年度文藝春秋読者賞。
2002年、小泉首相より道路公団民営化委員に任命される。その戦いの軌跡は『道路の権力』『道路の決着』に詳しい。06年に東京工業大学特任教授、07年に東京都知事に任命される。近著に『ジミーの誕生日 アメリカが天皇明仁に刻んだ「死の暗号」』『東京の副知事になってみたら』。また、『昭和16年夏の敗戦』中公文庫版が2010年6月に刊行された。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2011年8月10日に日本でレビュー済み
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2013年3月23日に日本でレビュー済み
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「言葉の力」再生プロジェクトにかかわることになり、その理解のために、まずは猪瀬氏の著作を読んで考えを理解しようと、本書を購入した。猪瀬氏の文体は、「ペルソナ 三島由紀夫伝」から好きだった。マスコミに登場する彼のインタビューや対談を見ても、歯切れのよい分かりやすい言葉に好感をもっていた。
1.言語力=国民力。 2.言葉の力は、引用、検索する力。 3.引用するためには読書が必要。
若者だけでなく、60歳代以上の高齢者の活字離れを示した資料等からは、猪瀬氏がプロジェクトを立ち上げるに至った背景がわかる。
本書は、猪瀬氏の考えの概要であり、熱い思いは伝わるが、「言葉の力」再生プロジェクトの詳細を知るためには、東京都から平成22年11月に出された報告書をお読みになることをお勧めする。
1.言語力=国民力。 2.言葉の力は、引用、検索する力。 3.引用するためには読書が必要。
若者だけでなく、60歳代以上の高齢者の活字離れを示した資料等からは、猪瀬氏がプロジェクトを立ち上げるに至った背景がわかる。
本書は、猪瀬氏の考えの概要であり、熱い思いは伝わるが、「言葉の力」再生プロジェクトの詳細を知るためには、東京都から平成22年11月に出された報告書をお読みになることをお勧めする。
2013年4月22日に日本でレビュー済み
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もう一度国語を勉強したくなりましたね。
さすが作家だけのことはあります。 常日頃話すことの大事さを、心がけるようにしたいです。
さすが作家だけのことはあります。 常日頃話すことの大事さを、心がけるようにしたいです。
2014年6月6日に日本でレビュー済み
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私は普段本を読みません
上司の勧めで購入しました。
日本人の考え方と外国人の考え方の差が分かりやすく書かれていたと思う。
私にはすらすらとは読めませんでした。
上司の勧めで購入しました。
日本人の考え方と外国人の考え方の差が分かりやすく書かれていたと思う。
私にはすらすらとは読めませんでした。
2012年5月8日に日本でレビュー済み
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猪瀬氏の言葉の力を拝読して、今まで私の頭の中でもやもやしていたものが、もやもやの原因がよく解りました。言葉だったのですね。
何故テレビでの小泉元首相の言葉が胸に響くのか、何故鳩山元首相、管前首相の演説、答弁などが空虚になってしまうのかよくか理解できました。
秋山真之の「天気晴朗ナレドモ浪高シ」の文章の凄さも解りました。
また、私は3月末まで銀行員で、阪神淡路大震災時の東京都の迅速な対応を、都開催の座談会の席で説明を受けておりました。今回の東日本大震災に際しての東京都の対応についても、如何なく発揮されておりました。NHKの「リポート・命を救った情報ライフライン」の放送を見ておりましたので、情報の重要性、言葉の重要性とともに、その情報を生かされた猪瀬氏に敬意を表します。
何故テレビでの小泉元首相の言葉が胸に響くのか、何故鳩山元首相、管前首相の演説、答弁などが空虚になってしまうのかよくか理解できました。
秋山真之の「天気晴朗ナレドモ浪高シ」の文章の凄さも解りました。
また、私は3月末まで銀行員で、阪神淡路大震災時の東京都の迅速な対応を、都開催の座談会の席で説明を受けておりました。今回の東日本大震災に際しての東京都の対応についても、如何なく発揮されておりました。NHKの「リポート・命を救った情報ライフライン」の放送を見ておりましたので、情報の重要性、言葉の重要性とともに、その情報を生かされた猪瀬氏に敬意を表します。
2013年7月3日に日本でレビュー済み
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猪瀬さんだけあって、内容を簡潔に分かりやすく伝えていると思います。
諸外国とのやりとりについては、外国に住む私から見たら、もう少し、本質をついて頂きたい。
グローバルとは、自国の歴史と言葉をしっかり身に付けるということを、猪瀬さんのような影響力を持つ方に体感して頂ければ幸いです。
諸外国とのやりとりについては、外国に住む私から見たら、もう少し、本質をついて頂きたい。
グローバルとは、自国の歴史と言葉をしっかり身に付けるということを、猪瀬さんのような影響力を持つ方に体感して頂ければ幸いです。
2012年12月2日に日本でレビュー済み
著者曰く、「言語力」とは「情報を正確に理解した上で、相手の表現の意図や背景を推論し、根拠を挙げて自分の意見を述べ、話し合って与えられた課題を解決できる力」とのこと。言葉で伝えられることには限界があるとは言え、社会の中で生きて行くしかない人間にとって、「言葉の力」は基礎的かつ重要な技術と言えるでしょう。
「型破り」と言う言葉がありますが、ただ思いつくままに発言し、行動するだけでは、社会の中で誰からも相手にされません。型を破る前に、一度その型を身につけてみる必要があります。言葉にも「型」があるのだと気づかされました。この「型」の理解・習得なくして、グローバルで存在感を高めることはおろか、会社や地域社会においてでさえ、自己を理解して貰うことも、他者を理解することも、そして何事かを進めることもできないのだと。
幾つかの言語技術が紹介されています。
・結論から詳細へ
(解っているつもりでも、実際仕事ではできていないことが多いと反省)
・位置関係を説明する場合は時計周りに
・視点を三人称から一人称に変えてみる
(これらはまさに相手に理解して貰うための技術ですね)
・形容詞は何も言っていないに等しい、重要なのは「何をしているか」などのファクトである
(これは留学先の英文ライティングの教授にも教わりました)
他にも色々な技術・ルールがあるのでしょうが触れられていません。「あとは他者と関わる中で自分で習得しなさい。」という著者からのメッセージと受け止めました。恐らくそれは、著者の指摘する「自分に同意してくれるヨコの人間関係」ではなく、時代を超えたタテの人間関係、或いは地理的・宗教的・文化的に異なる他者との対話、即ち「異質なものとの実践」によって習得できるものだと思います。
本は著者との対話であり、教師の教えを学ぶ機会であると考えています。私の拙さ故、対話とまでは行きませんでしたが、学びに満ちた読書となりました。感謝。
「型破り」と言う言葉がありますが、ただ思いつくままに発言し、行動するだけでは、社会の中で誰からも相手にされません。型を破る前に、一度その型を身につけてみる必要があります。言葉にも「型」があるのだと気づかされました。この「型」の理解・習得なくして、グローバルで存在感を高めることはおろか、会社や地域社会においてでさえ、自己を理解して貰うことも、他者を理解することも、そして何事かを進めることもできないのだと。
幾つかの言語技術が紹介されています。
・結論から詳細へ
(解っているつもりでも、実際仕事ではできていないことが多いと反省)
・位置関係を説明する場合は時計周りに
・視点を三人称から一人称に変えてみる
(これらはまさに相手に理解して貰うための技術ですね)
・形容詞は何も言っていないに等しい、重要なのは「何をしているか」などのファクトである
(これは留学先の英文ライティングの教授にも教わりました)
他にも色々な技術・ルールがあるのでしょうが触れられていません。「あとは他者と関わる中で自分で習得しなさい。」という著者からのメッセージと受け止めました。恐らくそれは、著者の指摘する「自分に同意してくれるヨコの人間関係」ではなく、時代を超えたタテの人間関係、或いは地理的・宗教的・文化的に異なる他者との対話、即ち「異質なものとの実践」によって習得できるものだと思います。
本は著者との対話であり、教師の教えを学ぶ機会であると考えています。私の拙さ故、対話とまでは行きませんでしたが、学びに満ちた読書となりました。感謝。
2012年12月22日に日本でレビュー済み
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もともと猪瀬ワードが好きなので、多少は点の甘さがあるかもしれません。
何を読もうか?と時間があるなら、読んでみてはいかがでしょうか
何を読もうか?と時間があるなら、読んでみてはいかがでしょうか