1800年代後半から1900年代初頭にかけての芸術、文化についての読書量と知識においては海野弘さんをおいては誰も敵わないだろうと思います。
そんな海野弘さんの多大な著作リストの一番最初に書かれた本が、この「アールヌーボーの世界」です。
日本ではアールヌーボーと言えば、パリのエミール・ガレやルネ・ラリックを思い浮かべる人が多いのですが、本書を読むとイギリスのウィリアム・モリスやラファエル前派から始まって、マッキントッシュ、クリムト、ガウディ、ティファニーと世紀末芸術、文化との垣根があってないような、ほとんど海野弘さんの守備範囲を全て語ってしまっているように感じました。
前半までは代表的な作家とアールヌーボーの時代の流れが体系的に書かれてあり面白く読めましたが、後半からはアールヌーボーを様々な側面を縦切りにして、作家や国がごちゃ混ぜになって情報の洪水のようになってきます。
海野弘さんの陶酔した限りない独り言のような文章が延々と続くのでさすがについて行けず途中で断念しました。やはり最初の本だけあって、読者あっての著作業という意味でかなり未熟さを感じさせます。海野弘さんの圧倒的な読書量と知識量は十分感じ取れますが。
美術に興味のある人であれば、是非、海野弘さんの「ヨーロッパの幻想美術」をおすすめします。こちらは著作業もこなれて大変親しみやすい文章になっていて、カラー印刷の作品が美しいです。
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アール・ヌーボーの世界: モダン・アートの源泉 (中公文庫 M 329) 文庫 – 1987/2/1
海野 弘
(著)
- 本の長さ277ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日1987/2/1
- ISBN-104122013976
- ISBN-13978-4122013971
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登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (1987/2/1)
- 発売日 : 1987/2/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 277ページ
- ISBN-10 : 4122013976
- ISBN-13 : 978-4122013971
- Amazon 売れ筋ランキング: - 796,388位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 68位ポップアートの美術史
- - 70位アール・デコの美術史
- - 77位新古典主義の美術史
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2008年6月11日に日本でレビュー済み
アールヌーボーについてもっと知りたくて
手にしたのですが、他の方も書いている通り文の意味不明です。
だから、なんなんだ!?何が言いたいんだ!!と言いたいです。
でもある程度の知識をお持ちの方は分かるのかもしれません。
私には用語の説明がなさすぎで、
特にカタカナの単語が人名なのか美術用語なのかも分かりません。
手にしたのですが、他の方も書いている通り文の意味不明です。
だから、なんなんだ!?何が言いたいんだ!!と言いたいです。
でもある程度の知識をお持ちの方は分かるのかもしれません。
私には用語の説明がなさすぎで、
特にカタカナの単語が人名なのか美術用語なのかも分かりません。
2010年4月11日に日本でレビュー済み
1968年に造形社から出た単行本の文庫化。
海野弘氏が最初に書いた本である。そういう目で見ると、なかなか面白い。独特の美術批評眼を持った人だが、デビュー当時からこの路線で完成されていたのかと驚かされる。
1968年当時はアール・ヌーヴォーのことなど日本ではほとんど知られていなかった。そのなかで、網羅的に紹介し、再評価を促したという点では価値のあった本と思う。
ラファエル前派やラスキンといった「前夜」から語り起こし、つづいてアール・ヌーヴォー期の各国(ブリュッセル、パリ、ロンドン・・・)の作家や傾向を概観、さらに各論へと進み、装飾、植物、幻想などから切り込んでいく。しかも、基本的な事柄を押さえつつ、独自の視点を盛り込んでいく。
しかし、読みにくい。そして、やや独自すぎる。いまいち整理がされていないこともあって、けっこう不満の残る一冊であった。
海野弘氏が最初に書いた本である。そういう目で見ると、なかなか面白い。独特の美術批評眼を持った人だが、デビュー当時からこの路線で完成されていたのかと驚かされる。
1968年当時はアール・ヌーヴォーのことなど日本ではほとんど知られていなかった。そのなかで、網羅的に紹介し、再評価を促したという点では価値のあった本と思う。
ラファエル前派やラスキンといった「前夜」から語り起こし、つづいてアール・ヌーヴォー期の各国(ブリュッセル、パリ、ロンドン・・・)の作家や傾向を概観、さらに各論へと進み、装飾、植物、幻想などから切り込んでいく。しかも、基本的な事柄を押さえつつ、独自の視点を盛り込んでいく。
しかし、読みにくい。そして、やや独自すぎる。いまいち整理がされていないこともあって、けっこう不満の残る一冊であった。
2013年4月29日に日本でレビュー済み
アールヌーボーについて、ウィリアム・ブレイクから第1次大戦頃までの主な作家、作品を紹介し、
最後に、アールヌーボーの思想背景や、デザインの特徴をまとめている。
扱っている範囲が広く、いろいろな専門書を参考にしているせいもあってか、
ちょっと詰め込み過ぎの感がなくはないが、アールヌーボーの世界の幅の広さを意味してもいる。
筆者の個人的な思い入れも強いようで、
本の表紙になっている、ミュシャについては、本書ではほとんど取り上げていないが、
逆に、ガウディはお気に入りのようで、何度となく登場している。
最後に、アールヌーボーの思想背景や、デザインの特徴をまとめている。
扱っている範囲が広く、いろいろな専門書を参考にしているせいもあってか、
ちょっと詰め込み過ぎの感がなくはないが、アールヌーボーの世界の幅の広さを意味してもいる。
筆者の個人的な思い入れも強いようで、
本の表紙になっている、ミュシャについては、本書ではほとんど取り上げていないが、
逆に、ガウディはお気に入りのようで、何度となく登場している。