澁澤のエロティシズムに関する考察を纏めた評論(エッセー)集はいくつか出版されていますが(エロスの解剖、エロス的人間など)、これはそれらの著作と比べて、いまひとつ纏りがないように感じました。
つまり洗練されていないというか…(内容ではなく構成が)。相変わらずフロイトのエディプス理論やサルトルの実存主義、バタイユの哲学などを自在に操り、動物と人間とを対比させながら独自のパラドキシカルなエロティシズム論が展開されていきますが、今読むとちょっと古いかなって思う箇所が少なくありません。例えばボーヴォワールを批判したり、女性に対してかなり辛辣な意見を述べたり(澁澤はあとがきで自分でも驚くほどだと書いています)している部分など。
色々と詰め込みすぎな感じは否め㡊??せんが、後半の『童話のエロティシズム』は澁澤らしい視点が生きていますし、私の総合評価はぎりぎり☆五つですが、満足度は3割ということで…。贔屓にしてる好きなアーティストのアルバムを買って、収録されている10曲の中で自分の気に入った曲が3曲あったという感じです。
中公文庫の澁澤コレクションは、河出文庫に比べてタイトルが少ないものの、読み応えのある粒よりなものが多いので、どれを手に取っても裏切られることはありません。自信をもっておすすめします^^
ただ個人的には澁澤の翻訳物が全てなくなってしまったのが、とっても残念。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
エロティシズム 改版 (中公文庫 し 9-8) 文庫 – 1996/11/18
澁澤 龍彦
(著)
- 本の長さ298ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日1996/11/18
- ISBN-104122027365
- ISBN-13978-4122027367
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (1996/11/18)
- 発売日 : 1996/11/18
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 298ページ
- ISBN-10 : 4122027365
- ISBN-13 : 978-4122027367
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,090,715位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2007年4月19日に日本でレビュー済み
1967年に桃源社から出た単行本の文庫化。もともと週刊誌『潮流ジャーナル』に連載されたもの。
エロティシズムに関して、さまざまな角度から切り込もうとした作品。当時最先端の性科学、同性愛、スウェーデン、童話。いずれの項もそこそこまとまってはいるのだが、どこか物足りない。あとがきで著者自身が認めるように、若書きというか、充分に成熟しないまま産み出されてしまった一冊という感じがする。
なにより不満なのは、全体が一般論で終わってしまっていて、ディテールに欠けること。著者の魅力は迫力あるディテールと、そこから導き出される壮大な論理にあるはずなのに、本書はまるで概説書のようだった。
読みやすく、まとまってはいるが、おすすめではない。
エロティシズムに関して、さまざまな角度から切り込もうとした作品。当時最先端の性科学、同性愛、スウェーデン、童話。いずれの項もそこそこまとまってはいるのだが、どこか物足りない。あとがきで著者自身が認めるように、若書きというか、充分に成熟しないまま産み出されてしまった一冊という感じがする。
なにより不満なのは、全体が一般論で終わってしまっていて、ディテールに欠けること。著者の魅力は迫力あるディテールと、そこから導き出される壮大な論理にあるはずなのに、本書はまるで概説書のようだった。
読みやすく、まとまってはいるが、おすすめではない。
2011年5月14日に日本でレビュー済み
かつて『潮流ジャーナル』に連載されていたエロティシズムにまつわるエッセイをまとめた本である。
内容は性愛の云々、性欲の云々、エロティックさの云々などを書き連ねたものである。
全体的に味はやや薄めで、飛び抜けた思想はないが、かなりとっつき易い。
我々がふだん胸に抱いている曖昧模糊としたエロティシズムのイメージを整理するのには役立つと思う。
読む前は観念的なエロティシズムの話かと思っていたのだが、実際は生々しい肉体の話が多めなのが予想外であった。
様々な心理学者、哲学者、文学者の言葉が引用されており、
執筆当時の作者の好みの所為か、フロイトとボーヴォワールへの言及がやや多い。
以下に気に入ったくだりをちょっとだけ引用してみる。
『男は子宮で生むことができないから、違った方法で生み出さなければならない。つまり言葉で、思想で、文化を生み出すのだ(p.156)』
『エロティシズムは、瞬間の燃焼というよりも、むしろ瞬間と永遠とを一致させる試みであり、
日常的世界の外にあるエクスタシー(脱我)への希求であるから、あくまで時間と秩序に対する敵なのである。(p.227)』
内容は性愛の云々、性欲の云々、エロティックさの云々などを書き連ねたものである。
全体的に味はやや薄めで、飛び抜けた思想はないが、かなりとっつき易い。
我々がふだん胸に抱いている曖昧模糊としたエロティシズムのイメージを整理するのには役立つと思う。
読む前は観念的なエロティシズムの話かと思っていたのだが、実際は生々しい肉体の話が多めなのが予想外であった。
様々な心理学者、哲学者、文学者の言葉が引用されており、
執筆当時の作者の好みの所為か、フロイトとボーヴォワールへの言及がやや多い。
以下に気に入ったくだりをちょっとだけ引用してみる。
『男は子宮で生むことができないから、違った方法で生み出さなければならない。つまり言葉で、思想で、文化を生み出すのだ(p.156)』
『エロティシズムは、瞬間の燃焼というよりも、むしろ瞬間と永遠とを一致させる試みであり、
日常的世界の外にあるエクスタシー(脱我)への希求であるから、あくまで時間と秩序に対する敵なのである。(p.227)』
2013年8月29日に日本でレビュー済み
フロイト学派の説を流用しすぎ。だから多くの女性蔑視的という評は当たらない。フロイトがそうだってだけ。