この本の元の版が出てから実に50年以上が経ってしまったが、実はこの分野では未だにこの本の内容がほとんどそのまま定説になってしまっているのである。別にこの分野に研究が少なかったわけではない。むしろ日本の中国史学界でも一番研究の数の多い分野といっても良いくらいである。にも関わらずこの状態はどういうことか。
言うまでも無く、この本のあまりの完成度の高さゆえである。
書名こそ「九品官人法の研究」であるが、九品官人法を基点として、当時の法制・官制、更に社会状況まで踏み込んでおり、この時代を概観するに於いても非常に有用な本である。毛を吹いて傷を求めるの類になるであろうが、文化面でほとんど言及が無いことがわずかに残念である。
専門書ではあるが、きちんと丁寧に読み込んでいけば前提知識が無かったとしても理解できると思われる。この本が文庫で手に入るとはなんと贅沢なことか。
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九品官人法の研究: 科挙前史 (中公文庫 み 22-13) 文庫 – 1997/11/18
宮崎 市定
(著)
- 本の長さ634ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日1997/11/18
- ISBN-104122029910
- ISBN-13978-4122029910
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登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (1997/11/18)
- 発売日 : 1997/11/18
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 634ページ
- ISBN-10 : 4122029910
- ISBN-13 : 978-4122029910
- Amazon 売れ筋ランキング: - 59,110位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2003年7月23日に日本でレビュー済み
三国魏より始まり、南北朝まで中国の官吏登用制度の柱となった
九品官人法(九品中正)を分析した論文です。
科挙前史ということで、役人の試験採用への道筋としての
九品中正制度論として見て行くことができます。
九品中正とは魏の陳羣が建議した人材登用法であるが、
晋代に入ると当初の理念は曲げられ、貴族を支える制度へと変わってしまった。
つまり、国家中央・地方の官吏はその能力によってではなく、
有力な家柄の人物が互選によって選ばれてしまい、国家は門閥貴族に
牛耳られてしまう状況を呈したのだ。
貴族の子弟なら、誰でも成人すれば9ランクに分けられた役所の中で
出世コースにのせてもらうことになっていたのだ。
しかし、身分の低いものたちはどれだけ現場で力を発!揮しようが、
上層まで出世することはできなかったのだ。
このような時代が約350近く続いたのだが、隋に至って
実力主義の試験制度ともいえる科挙を生み出すのだ。
現代の役人も試験制度で採用していることを思えば、この変化が重要なのは言うまでも無いことだろ。
しかし、コネというものもある。九品中正の時代だって馬鹿にできないのかもしれない・・・
九品官人法(九品中正)を分析した論文です。
科挙前史ということで、役人の試験採用への道筋としての
九品中正制度論として見て行くことができます。
九品中正とは魏の陳羣が建議した人材登用法であるが、
晋代に入ると当初の理念は曲げられ、貴族を支える制度へと変わってしまった。
つまり、国家中央・地方の官吏はその能力によってではなく、
有力な家柄の人物が互選によって選ばれてしまい、国家は門閥貴族に
牛耳られてしまう状況を呈したのだ。
貴族の子弟なら、誰でも成人すれば9ランクに分けられた役所の中で
出世コースにのせてもらうことになっていたのだ。
しかし、身分の低いものたちはどれだけ現場で力を発!揮しようが、
上層まで出世することはできなかったのだ。
このような時代が約350近く続いたのだが、隋に至って
実力主義の試験制度ともいえる科挙を生み出すのだ。
現代の役人も試験制度で採用していることを思えば、この変化が重要なのは言うまでも無いことだろ。
しかし、コネというものもある。九品中正の時代だって馬鹿にできないのかもしれない・・・
2003年11月18日に日本でレビュー済み
この本が文庫本化された時、驚いていたのは学生より教授の方だった。情けない話、学生は宮崎市定先生の元の本をよく知らなかったのである。
宮崎先生もまさかこの本が一般向けに文庫本化されことになるとは、思っていなかっただろう。(宮崎先生は故人です。)
研究者向けだと思いますが、文庫本化したのは愛好者にも読んでもらいたいからだと思う。内容は難しいが、読んでいる分には楽しい。しかしこの内容を、暗記できるとは思わない方がいい。
辞書代わりに一冊、本棚に置いておきたいものである。
宮崎先生もまさかこの本が一般向けに文庫本化されことになるとは、思っていなかっただろう。(宮崎先生は故人です。)
研究者向けだと思いますが、文庫本化したのは愛好者にも読んでもらいたいからだと思う。内容は難しいが、読んでいる分には楽しい。しかしこの内容を、暗記できるとは思わない方がいい。
辞書代わりに一冊、本棚に置いておきたいものである。
2004年7月24日に日本でレビュー済み
「九品官人」というのは古代中国における官人登用の一方法であり、やがては宋朝以降の中央集権的な科挙制度へとつながっていく前駆ともなった制度です。こう書くと、本書は東洋史家によるマニアックな専門書というイメージを持たれてしまうかもしれませんが、宮崎先生が偉大なのは、これを単なる実定的制度の問題としてではなく、制度の拠って来る所以やその変革がもたらした政治的・社会的なインパクトに過不足なく光を当てている点でしょう。
官人の登用・補任は、つづまるところ国家権力をどういった社会階層にどう配分するかという問題であり、中央集権の完成度や皇帝・貴族間の権力闘争のダイナミズムの中で論ずべき事柄です。体制を支えるのはいつの時代でも所詮は人であり、誰が登用されるかは権力関係の実態の反映です。そういった意味で、本書は、制度考察の醍醐味を十二分に堪能させてくれる格好の名著です。
また、本書は魏晋南北朝の社会的雰囲気を探るという点でも深い示唆に富んでいる点を申し添えます。
官人の登用・補任は、つづまるところ国家権力をどういった社会階層にどう配分するかという問題であり、中央集権の完成度や皇帝・貴族間の権力闘争のダイナミズムの中で論ずべき事柄です。体制を支えるのはいつの時代でも所詮は人であり、誰が登用されるかは権力関係の実態の反映です。そういった意味で、本書は、制度考察の醍醐味を十二分に堪能させてくれる格好の名著です。
また、本書は魏晋南北朝の社会的雰囲気を探るという点でも深い示唆に富んでいる点を申し添えます。