最近の雑誌「クライテリオン11」は、安倍晋三この空虚な「器」論特集であった。
奇しくも、この河合隼雄の中空構造論は、その動態的構造を良く説明してくれる。
これは、縄文から続く日本の伝統であろう。
この本の解説者は、その叡智はいわく言い難い曖昧さを真骨頂とするので、はっきり言語化し過ぎては本来の良さが失われてしまうと云うが、それは杞憂であろう。但し、無責任体制となる弱点はある。
その本質は、直観であり分析ではない。つまり、非言語的である。
「中空構造」とは、無為の中心(神)がありその周りに、古事記に於いては他の二神が存在する三神の組み合わせ構造である。他の二神は、そのどちらかを中心(善)とは規定せず、時にはどちらかがそうであるように見えても、次には適当なゆり戻しにってバランスが回復される。それは、入れ替わる。実社会では、四以上である。
著者は、中空巡回方式と形容しており何かの原理が中心を占めるという事はなく、その「空」の周りを優位(潜在的に劣位を含む)と劣位(潜在的に優位を含む)が少しづつ変化しながら巡回している。
これは、優れて日本社会の特質を説明している。
それは、ユダヤ教の旧約に於ける神とサタンつまり、善と悪の関係とは全く異質であり、「無我」と「自我」の関係である。禅とキリスト教の違いとも云える。
「禅」は、自力で「無我」を指向し、キリスト教は神に帰依する事によって我を消す。
但し、本来の日本人(世間)はそもそも自我を立てるのを嫌った。
この本の帯は、リーダー不在のニッポンに贈るとなっているが、敗戦の痛手から立ち直っていない状況であったことが如実に解る。リーダーは、自ずから成るのである。
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
¥776¥776 税込
発送元: Amazon.co.jp 販売者: Amazon.co.jp
¥776¥776 税込
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
¥209¥209 税込
配送料 ¥240 6月14日-16日にお届け
発送元: バリューブックス 【防水梱包で、丁寧に発送します】 販売者: バリューブックス 【防水梱包で、丁寧に発送します】
¥209¥209 税込
配送料 ¥240 6月14日-16日にお届け
発送元: バリューブックス 【防水梱包で、丁寧に発送します】
販売者: バリューブックス 【防水梱包で、丁寧に発送します】
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
中空構造日本の深層 (中公文庫 か 54-1) 文庫 – 1999/1/18
河合 隼雄
(著)
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥776","priceAmount":776.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"776","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"MCRr61IhbdEm04neoYrcufStla%2F44pXZFKJJDbmr76K%2B8IWOiD38kGekp3nT8jKaQGw9KnyAROCbnrtdA3grE1OlsuihkBwrxw2PYaUAMLXJzuuYFzKOV90tgE0MQplT","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥209","priceAmount":209.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"209","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"MCRr61IhbdEm04neoYrcufStla%2F44pXZb%2BLsHjRMtu3XLtEgOCbjQmk72iTj4iuRL4%2FDwiuqwvA22XwqCtjwRb5FgGouy15DDWpkgumbw7vKz5shmK2ye1P809gbNW0pMcwMPLbUdgwEQS%2BtzbmiY8GGIOy5PCNrNGI7k6aTeWzL%2BRAS88HEpA%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
- 本の長さ274ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日1999/1/18
- ISBN-104122033322
- ISBN-13978-4122033320
よく一緒に購入されている商品
対象商品: 中空構造日本の深層 (中公文庫 か 54-1)
¥776¥776
最短で6月12日 水曜日のお届け予定です
残り20点(入荷予定あり)
¥968¥968
最短で6月12日 水曜日のお届け予定です
残り11点(入荷予定あり)
総額:
当社の価格を見るには、これら商品をカートに追加してください。
ポイントの合計:
pt
もう一度お試しください
追加されました
一緒に購入する商品を選択してください。
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (1999/1/18)
- 発売日 : 1999/1/18
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 274ページ
- ISBN-10 : 4122033322
- ISBN-13 : 978-4122033320
- Amazon 売れ筋ランキング: - 76,317位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
(1928-2007)兵庫県生れ。京大理学部卒。京大教授。
日本のユング派心理学の第一人者であり、臨床心理学者。文化功労者。文化庁長官を務める。独自の視点から日本の文化や社会、日本人の精神構造を考察し続け、物語世界にも造詣が深かった。著書は『昔話と日本人の心』(大佛次郎賞)『明恵 夢を生きる』(新潮学芸賞)『こころの処方箋』『猫だましい』『大人の友情』『心の扉を開く』『縦糸横糸』『泣き虫ハァちゃん』など多数。
カスタマーレビュー
星5つ中4.1つ
5つのうち4.1つ
全体的な星の数と星別のパーセンテージの内訳を計算するにあたり、単純平均は使用されていません。当システムでは、レビューがどの程度新しいか、レビュー担当者がAmazonで購入したかどうかなど、特定の要素をより重視しています。 詳細はこちら
59グローバルレーティング
虚偽のレビューは一切容認しません
私たちの目標は、すべてのレビューを信頼性の高い、有益なものにすることです。だからこそ、私たちはテクノロジーと人間の調査員の両方を活用して、お客様が偽のレビューを見る前にブロックしています。 詳細はこちら
コミュニティガイドラインに違反するAmazonアカウントはブロックされます。また、レビューを購入した出品者をブロックし、そのようなレビューを投稿した当事者に対して法的措置を取ります。 報告方法について学ぶ
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2015年10月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
文章が難しく、理解できないところがあり、途中まで読んでやめてしまった。
2018年6月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この文庫本には、河合隼雄氏の論文が12本収録されています。第一部で「中空構造」にまつわる論考がなされ、第二部で昔話やファンタジーにまつわる論考がなされ、第三部で現代社会にまつわる多面的な論考がなされる…といった構成になっています。
この本の一番の見どころは、第一部における「中空構造」の発見です。
河合氏は「『古事記』神話における中空構造」で、『古事記』には「中空構造」が見られるということを指摘しておられます。例えば『古事記』では、イザナキからアマテラス・ツクヨミ・スサノヲの三神が生まれますが、二番目に生まれたツクヨミは『古事記』にほとんど登場しません。他に『古事記』ではアメノミナカヌシ・タカミムスヒ・カミムスヒの三神が生まれますが、三神の中心的存在であるアメノミナカヌシもまた『古事記』にほとんど登場しません。要するに『古事記』には、生まれた三神のうち中心に位置する神が何もしないという構造があります。河合氏はこの構造を「中空構造」と名付けておられます。
さらに河合氏は、『古事記』の「中空巡回形式の神話構造」も指摘しておられます。例えば『古事記』ではアマテラスとスサノヲが対立する存在として描かれていますが、どちらが善でも中心でもありません。このように『古事記』では相反する者同士がバランスを保っており、二項対立の中心が空になっています。河合氏はこうした構造を「中空巡回形式」と呼んでおられます。
河合氏は「中空構造日本の危機」で、『古事記』にみられる中空構造は現代の日本社会にもみられる構造だと考えておられます。西洋では組織のリーダーは組織全体を率先して導いてゆくものですが、日本の場合は中心に位置する者が何もしない傾向にあるので、日本のリーダーは全体のバランスを保つ世話役に回ることが多いそうです。河合氏は日本における中空構造の短所として「統合性のない、誰が中心において責任を有しているのかが不明確な体制」(p.62)がとられることを挙げ、敦賀の原子力発電所を例に挙げておられます。このご指摘は東日本大震災における福島原発の事故を予見するかのような、鋭いご指摘だと思いました。
他にもこの本の見どころはたくさんあります。日本は欧米と比べると母性優位の国ですが、アジア・アフリカ諸国と比べると父性と母性のバランスがとれた国であると河合氏は考えておられます。第二部では昔話・ファンタジーに表現される内的世界が夢判断のように分析されており、読んでいてなかなか楽しめました。第三部の内容は一昔前の現代社会を分析するもので、今読むとさすがに時代遅れかと思えるところがけっこうありましたね。
この本の一番の見どころは、第一部における「中空構造」の発見です。
河合氏は「『古事記』神話における中空構造」で、『古事記』には「中空構造」が見られるということを指摘しておられます。例えば『古事記』では、イザナキからアマテラス・ツクヨミ・スサノヲの三神が生まれますが、二番目に生まれたツクヨミは『古事記』にほとんど登場しません。他に『古事記』ではアメノミナカヌシ・タカミムスヒ・カミムスヒの三神が生まれますが、三神の中心的存在であるアメノミナカヌシもまた『古事記』にほとんど登場しません。要するに『古事記』には、生まれた三神のうち中心に位置する神が何もしないという構造があります。河合氏はこの構造を「中空構造」と名付けておられます。
さらに河合氏は、『古事記』の「中空巡回形式の神話構造」も指摘しておられます。例えば『古事記』ではアマテラスとスサノヲが対立する存在として描かれていますが、どちらが善でも中心でもありません。このように『古事記』では相反する者同士がバランスを保っており、二項対立の中心が空になっています。河合氏はこうした構造を「中空巡回形式」と呼んでおられます。
河合氏は「中空構造日本の危機」で、『古事記』にみられる中空構造は現代の日本社会にもみられる構造だと考えておられます。西洋では組織のリーダーは組織全体を率先して導いてゆくものですが、日本の場合は中心に位置する者が何もしない傾向にあるので、日本のリーダーは全体のバランスを保つ世話役に回ることが多いそうです。河合氏は日本における中空構造の短所として「統合性のない、誰が中心において責任を有しているのかが不明確な体制」(p.62)がとられることを挙げ、敦賀の原子力発電所を例に挙げておられます。このご指摘は東日本大震災における福島原発の事故を予見するかのような、鋭いご指摘だと思いました。
他にもこの本の見どころはたくさんあります。日本は欧米と比べると母性優位の国ですが、アジア・アフリカ諸国と比べると父性と母性のバランスがとれた国であると河合氏は考えておられます。第二部では昔話・ファンタジーに表現される内的世界が夢判断のように分析されており、読んでいてなかなか楽しめました。第三部の内容は一昔前の現代社会を分析するもので、今読むとさすがに時代遅れかと思えるところがけっこうありましたね。
2014年12月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
新品同様です。少し難しい本ですが、ゆっくり読ませていただきます。
ありがとう。
ありがとう。
2012年3月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ある民族の発想パターンを理解しようと思えば、そこで繰り返し読まれてきた古典を読めばいい。西洋は聖書、中国は史記、日本は古事記である。河合隼雄氏は日本人と西洋人の発想の根源的違いは何によるのであろうかと真剣に考えた人である。そして、西洋人は絶対的善を中心におき、悪と対決し、勝利していく物語に原点を見出している。二項対立構造である。また中心統合構造でもある。
一方、日本人の特異な発想を古事記の神々の関係に求め、「中空構造」を発見する。互いに対立する神々の中間に何の活動もしない「無為の中心」とも呼ぶべき神が存在すると分析する。この中心が空であるという構造は安定である。天皇もここに存在する。海外から新しい思想が導入されると、いったん中心を占めるが、揺り戻しによって周辺へと排除されてしまうというのだ。キリスト教、革命思想、マルクス主義などがそれに該当するのではなかろうか。
また、中心がないから強いリーダーが存在せず、時として無責任体制になってしまうことを河合氏はこの中空構造から指摘している。この本が出されて30年近くになるが、今でも色褪せていないとは特筆すべきであろう。
一方、日本人の特異な発想を古事記の神々の関係に求め、「中空構造」を発見する。互いに対立する神々の中間に何の活動もしない「無為の中心」とも呼ぶべき神が存在すると分析する。この中心が空であるという構造は安定である。天皇もここに存在する。海外から新しい思想が導入されると、いったん中心を占めるが、揺り戻しによって周辺へと排除されてしまうというのだ。キリスト教、革命思想、マルクス主義などがそれに該当するのではなかろうか。
また、中心がないから強いリーダーが存在せず、時として無責任体制になってしまうことを河合氏はこの中空構造から指摘している。この本が出されて30年近くになるが、今でも色褪せていないとは特筆すべきであろう。
2007年7月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
古事記・昔話・民話・神話といったものを読み解くことで、日本人の思考の原点を探ろうとした批評本です。ずいぶん前の本ですが、そこで論じられていることが実は平成の現代においてもかなり的確に当てはまる様は、著者が深く洞察をしてきた結果であり、時代に流された薄っぺらな批評をしているのではないことの証とも言えます。「現代青年の感性」の項では、マンガについて論じていますが、このあたりは資料も古く、現代のマンガが描こうとしている、「映画的コンセプト」とは趣が古い感じがします。とはいえ、民話・神話を考察して、国民性を解明しようとする項については、広い視野で納得性が高く、大変楽しく読むことが出来ました。
2015年12月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
世の中の一つの見方としてはおもしろいと思いますが、
著者の思い込みの強さを感じるようなこじつけが多いと思います。
根拠となる物が提示してなかったり、論理の筋が通ってなかったり、
「本当にそう言えるのか?」と納得できないことが多いです。
かなりきちんとした研究者だとは思いますが、だからといって、
それを持ってして評価を高くするのはおかしいと思います。
同じ著者の他の本も過去に読んだことがありますが、
この本が一番私は納得いきません。
著者の思い込みの強さを感じるようなこじつけが多いと思います。
根拠となる物が提示してなかったり、論理の筋が通ってなかったり、
「本当にそう言えるのか?」と納得できないことが多いです。
かなりきちんとした研究者だとは思いますが、だからといって、
それを持ってして評価を高くするのはおかしいと思います。
同じ著者の他の本も過去に読んだことがありますが、
この本が一番私は納得いきません。
2013年10月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
中空構造・日本の深層と聞いて、「やはり…」と思う人もいれば「中空って
なんだろう?…」という疑問を持つ人もいるだろう。ここでいう中空構造と
は古事記に見られるような、無為の中心性によって全体がなんとなく保たれる
といった構造を指す、そして古事記以外でも日本の神話には同じような構造が見いだせるという。
そこでは絶対的な者が支配し善悪を判断していくようなことはなく
仮に新しい観念等が入ってきても一旦それが中心の位置を占めたとしても
やがてそれが周縁へと追いやられていってまた無為を中心とする「空」の状態に揺り戻されると分析している。
この分析は文明開化以降それなりに西洋文明を受容していって「日本的」に噛み砕いていったこと
を考えればなかなか納得のいくものだ。ただこの中空構造は新しい観念、思想等を一旦は受け入
れるが、強い父性がないため中央に取り入れられた観念・思想が「たまたま」暴走することもある。
これは我が国の経験してきた悲惨な歴史を見ても明らかである。
この中空構造を日本の病理と考えるか、可能性と考えるかは我々に課された使命である。
少なくとも個々人が強い自覚をもってこの背景としての中空構造を考えていくことは過ちを繰り返さないためにも必要不可欠であろう。
さてここで考えておきたいのはこのような自覚がなかった場合に、周縁に追いやられたものが再びなんらかの新しい刺激によって
中央をしめるようなことがあるのかということである。そういった関係をナショナリズムとの関係性で問うてみるのもおもしろそうだ。
とは言ったものの著者の河合隼雄氏はユング派の臨床心理士ということでこの本の根底にあるものは
あくまでユング心理学であることを考えるとあまり国家やナショナリズムということを前面に出して考えると
どこか観念的になってしまうのも否めないので、神話の構造として物語論として観察するのがちょうどいいとは思う。
なんだろう?…」という疑問を持つ人もいるだろう。ここでいう中空構造と
は古事記に見られるような、無為の中心性によって全体がなんとなく保たれる
といった構造を指す、そして古事記以外でも日本の神話には同じような構造が見いだせるという。
そこでは絶対的な者が支配し善悪を判断していくようなことはなく
仮に新しい観念等が入ってきても一旦それが中心の位置を占めたとしても
やがてそれが周縁へと追いやられていってまた無為を中心とする「空」の状態に揺り戻されると分析している。
この分析は文明開化以降それなりに西洋文明を受容していって「日本的」に噛み砕いていったこと
を考えればなかなか納得のいくものだ。ただこの中空構造は新しい観念、思想等を一旦は受け入
れるが、強い父性がないため中央に取り入れられた観念・思想が「たまたま」暴走することもある。
これは我が国の経験してきた悲惨な歴史を見ても明らかである。
この中空構造を日本の病理と考えるか、可能性と考えるかは我々に課された使命である。
少なくとも個々人が強い自覚をもってこの背景としての中空構造を考えていくことは過ちを繰り返さないためにも必要不可欠であろう。
さてここで考えておきたいのはこのような自覚がなかった場合に、周縁に追いやられたものが再びなんらかの新しい刺激によって
中央をしめるようなことがあるのかということである。そういった関係をナショナリズムとの関係性で問うてみるのもおもしろそうだ。
とは言ったものの著者の河合隼雄氏はユング派の臨床心理士ということでこの本の根底にあるものは
あくまでユング心理学であることを考えるとあまり国家やナショナリズムということを前面に出して考えると
どこか観念的になってしまうのも否めないので、神話の構造として物語論として観察するのがちょうどいいとは思う。