夏目漱石の「坊ちゃん」リスペクト作だが、タイトルがなければ気付かないほど漱石色は薄い。そもそも設定からして大きく違うと言うのもあるが、主人公のしゃべりが東北なまりなのが大きいと思う。江戸っ子で短気なイメージとは大違いだ。「坊ちゃん」のパロディー的なものを期待すると肩透かしを食らう。
しかしながら、「坊ちゃん忍者」と言う奇想天外な着想で、幕末を舞台の歴史ファンタジーとしては、とても楽しいエンタメ作である。特に終盤、現代にタイムスリップしたかのような奇妙なSF的展開は面白かった。
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坊ちゃん忍者幕末見聞録 (中公文庫 お 64-1) 文庫 – 2004/10/1
奥泉 光
(著)
- 本の長さ353ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2004/10/1
- ISBN-104122044294
- ISBN-13978-4122044296
登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2004/10/1)
- 発売日 : 2004/10/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 353ページ
- ISBN-10 : 4122044294
- ISBN-13 : 978-4122044296
- カスタマーレビュー:
著者について
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1956(昭和31)年山形県生れ。
1986年「地の鳥 天の魚群」でデビュー。1990年の「その言葉を」が注目を集め、以後1993年『ノヴァーリスの引用』で野間文芸新人賞、瞠目反・文学賞、1994年『石の来歴』で芥川賞を受賞。主な小説に、『葦と百合』『バナールな現象』『グランド・ミステリー』など。エッセイ集に『虚構まみれ』、共訳書に『古代ユダヤ社会史』がある。
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トップレビュー
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2020年5月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2020年5月24日に日本でレビュー済み
他のかたのコメントがあまり良くないことにびっくり!!
こんなに面白いのに!!
人の観察が鋭い。
奥泉さんの著書は「雪の階」からなので、あまりの振り幅に驚きましたが。
こんなに面白いのに!!
人の観察が鋭い。
奥泉さんの著書は「雪の階」からなので、あまりの振り幅に驚きましたが。
2012年6月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
古い文庫本なので、一応きれいにお掃除されてますが、紙質の性なのでしょう、老人の目にはあまりやさしくなかったです。つまり年寄りはせめて文庫本くらいは新品を買うべきでした。ちょっとアマゾンで買ってみたいという、好奇心でしたね。昔、盲人の方に本の紹介をするボランティアをしていて、「奥泉光」の名を知ってました。
お話はおもしろかったですよ。漱石の文章がこんなに軽快だったら、子供のときにもっと沢山読んでいたろうなと思いました。
お話はおもしろかったですよ。漱石の文章がこんなに軽快だったら、子供のときにもっと沢山読んでいたろうなと思いました。
2010年5月10日に日本でレビュー済み
読売新聞で連載されていたときに読んでいましたが、旅立ち前の村の話が笑える。特に代々引き継がれてきた忍術のエピソードが良い。忍術道場(もちろん誰も入門しない)での語り草になった逸話はゲタゲタ笑いました。他のコメントで書かれているように、途中からつまらなくなってしまいますが、導入部がおもしろいので星4つにしました。後は主人公の一人称で書かれていますから、一人称がキライな人は気をつけて下さい。
2006年9月23日に日本でレビュー済み
坊っちゃんといえば無鉄砲である。日本人の常識だ。そして『坊ちゃん忍者幕末見聞録』は夏目漱石『坊っちゃん』へのトリビュート。だからといって坊ちゃん忍者松吉が無鉄砲という道理はない。解説者は坊っちゃんはそもそも無鉄砲ではない一面もあるのだと語るが、本家・坊っちゃんの無鉄砲は坊ちゃん忍者の忍術が受け継いでいるものと私は思う。無鉄砲で損ばかりした坊っちゃん、忍術で損ばかりした坊ちゃん忍者。『坊っちゃん』的展開は前半と終盤に多いので、忍術が表に出てくる場面とばっちりあう。『坊っちゃん』と同じようなエピソードがいくつも登場し、登場人物に『坊っちゃん』の陰がちらつき、物語の筋に『坊っちゃん』が透けてみえてくる。しかし『坊っちゃん』とは似ても似つかない。そういう世界。
それだけじゃない。奥泉光は『坊っちゃん』への愛情とともに読者への心配りを忘れない。読者を楽しませようという気持ちが溢れ出ている(あざといわけではない)。幕末の京都に来た坊ちゃん忍者が様々な騒動に巻き込まれていき、そこに沖田総司や坂本竜馬まで登場するし、果てには時代小説や漱石トリビュートという言葉じゃくくることができなくなってくる。では何かと聞かれても困る。裏表紙には苦肉の策のように「痛快歴史ファンタジー」と書かれているが、そんなんじゃあとてもおさまきらない。ヘンテコなエンターテイメントだ。して文学性に富んでいる。そんなことよりなによりも、とにかく楽しい、これにつきますか。
それだけじゃない。奥泉光は『坊っちゃん』への愛情とともに読者への心配りを忘れない。読者を楽しませようという気持ちが溢れ出ている(あざといわけではない)。幕末の京都に来た坊ちゃん忍者が様々な騒動に巻き込まれていき、そこに沖田総司や坂本竜馬まで登場するし、果てには時代小説や漱石トリビュートという言葉じゃくくることができなくなってくる。では何かと聞かれても困る。裏表紙には苦肉の策のように「痛快歴史ファンタジー」と書かれているが、そんなんじゃあとてもおさまきらない。ヘンテコなエンターテイメントだ。して文学性に富んでいる。そんなことよりなによりも、とにかく楽しい、これにつきますか。
2007年10月6日に日本でレビュー済み
本作は読売新聞の夕刊に連載されていたものを単行本化したもの(加筆されているようだ)。奥泉氏は幅広い作風を持つが、本作は幕末を舞台に一青年(本当に忍者か ?)の見た当時の様子をファンタジーを交え描いたもの。
私は連載当時から読んでいたが、そのユニークかつ自由奔放な物語に魅力を感じていた。主人公は医師を目指して京に旅立ち、文字通りそこでの見聞録が本書の内容になるのだが、私がこれから(維新の模様など)と思った時、次の連載小説の案内が紙面に載り唖然としたものだ。一つ々々のエピソードを丹念に書き込んだため、最終ゴールまで行かなかったような気がする。もっとも、作者がゴールを想定していたか否かは不明だが。
幕末という時代を固定観念に捉われず、ユーモアとファンタジーで綴った素敵な物語。
私は連載当時から読んでいたが、そのユニークかつ自由奔放な物語に魅力を感じていた。主人公は医師を目指して京に旅立ち、文字通りそこでの見聞録が本書の内容になるのだが、私がこれから(維新の模様など)と思った時、次の連載小説の案内が紙面に載り唖然としたものだ。一つ々々のエピソードを丹念に書き込んだため、最終ゴールまで行かなかったような気がする。もっとも、作者がゴールを想定していたか否かは不明だが。
幕末という時代を固定観念に捉われず、ユーモアとファンタジーで綴った素敵な物語。
2007年8月19日に日本でレビュー済み
出羽の国で、家に伝わる霞流なる忍術を会得した主人公の松吉。が、これからの時代、忍術では食べていけない、江戸で医術を学ぼうと同郷の者と旅立つが、どういうわけか着いた先は天皇のおわします花の京。時あたかも尊王だ攘夷だと騒がしい時代。医者の家に書生として転がり込むことはできたものの、沖田総司や坂本竜馬とも顔見知りになって・・・。幕末の京都を舞台にした時代小説。
と思って読み進めると、最後に驚かされます。
夏目漱石『坊ちゃん』へのオマージュ作品ということで、松吉が次から次に様々な事件に巻き込まれていき、それを得意の忍術を使ったり仲間に助けてもらったりでなんとかかんとか乗り越え解決していく様は、読んでいてとても楽しい。が、これはおもしろい時代小説を読んだなぁと満足感に浸りそうになっている物語終盤にきて、え!何これ?と驚くような展開に。実験小説というかファンタジー小説というか・・・。著者らしいといえばいかにも著者らしいのですが、ここは普通に時代小説にしておいたほうが、数倍おもしろかったのではないでしょうか(まあ、そうなると今度は著者らしくないといわれてしまいそうではありますが)。なんとも不思議な小説です。
ちょっとしか登場しませんが、松吉の妹のお糸の健気な姿がとても印象に残りました。
と思って読み進めると、最後に驚かされます。
夏目漱石『坊ちゃん』へのオマージュ作品ということで、松吉が次から次に様々な事件に巻き込まれていき、それを得意の忍術を使ったり仲間に助けてもらったりでなんとかかんとか乗り越え解決していく様は、読んでいてとても楽しい。が、これはおもしろい時代小説を読んだなぁと満足感に浸りそうになっている物語終盤にきて、え!何これ?と驚くような展開に。実験小説というかファンタジー小説というか・・・。著者らしいといえばいかにも著者らしいのですが、ここは普通に時代小説にしておいたほうが、数倍おもしろかったのではないでしょうか(まあ、そうなると今度は著者らしくないといわれてしまいそうではありますが)。なんとも不思議な小説です。
ちょっとしか登場しませんが、松吉の妹のお糸の健気な姿がとても印象に残りました。
2006年2月28日に日本でレビュー済み
岩手の人間が大都会京都のしかも幕末の動乱期を見たという設定は、とても面白いんだけど。。。なにか足りない感じ。。。
せっかくのファンタジー小説なんだから、どんでん返しな、ぱーっとした盛り上がりが欲しかった。。。
坂本竜馬とか沖田総司とか幕末のそうそうたるメンバーが出演してるのに、彼らの描写もあまりなく、もうちょっとキャラをたててもいいんじゃないかと。。。
面白いことは面白いですよ。でも幕末の京を舞台にする必要があるのか?さらに主人公が忍者である必要が何処にあるのか?さらに「ぼっちゃん」って。。。??
せっかくのファンタジー小説なんだから、どんでん返しな、ぱーっとした盛り上がりが欲しかった。。。
坂本竜馬とか沖田総司とか幕末のそうそうたるメンバーが出演してるのに、彼らの描写もあまりなく、もうちょっとキャラをたててもいいんじゃないかと。。。
面白いことは面白いですよ。でも幕末の京を舞台にする必要があるのか?さらに主人公が忍者である必要が何処にあるのか?さらに「ぼっちゃん」って。。。??