まずは、戦前(昭和6年)の本なのに、たいへん文章が読みやすかった事に驚かされました。解説によると、本文で修正した部分は、用語だけらしいのですが。
次に、タイトルから、王道の妖怪本を想像したのですが、実は、怪現象の正体解明本でした。怪火(火の玉)だけに限定して、その正体を、あらゆる可能性から推理しているのは、なかなか読み応えがあります。
鳥が光るケースや、水滴に光が反射して、火に見えたのではないか、と言う陳腐な説まで、幅広く、提示しております。何でもかんでも、プラズマに結びつけてしまう誰かとは大違いです。「死体から出たリンが燃えて、人魂になる」と言うのは、昔から、よく聞かされた話でしたが、この定説に真っ向から反対して、科学的根拠で完全否定していたのには、まさに、目からウロコでした。
空飛ぶ円盤(UFO)が騒がれだしたのは、戦後になってからなので、この本では取り扱われておりません。この本の著者が、空飛ぶ円盤については、どんな解析を行なったのだろうかと思うと、とても興味深いです。
巻末には、著者オリジナルのものなのか、日本妖怪地図が添付されています。怪火の発生地以外にも、けっこう渋めの妖怪の名前も見当たるのが、ニンマリさせられます。
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不知火・人魂・狐火 改版 (中公文庫 B 21-7 BIBLIO) 文庫 – 2005/6/1
神田 左京
(著)
昭和初期、発光動物の研究に生涯を捧げた孤高の学者がいた。実証により自然界のさまざまな「発光現象」を解明する科学的古典。〈解説〉田中嘉津夫
- 本の長さ291ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2005/6/1
- ISBN-104122045452
- ISBN-13978-4122045453
登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2005/6/1)
- 発売日 : 2005/6/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 291ページ
- ISBN-10 : 4122045452
- ISBN-13 : 978-4122045453
- Amazon 売れ筋ランキング: - 649,170位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 107位中公文庫BIBLIO
- - 1,467位文化人類学一般関連書籍
- - 27,095位評論・文学研究 (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年12月14日に日本でレビュー済み
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孤高の研究者であり、神秘現象の解析に一石を投じた人であり、その視点は現代科学者の蒙を啓く迫力がある。
2016年2月20日に日本でレビュー済み
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中国をシナと表現したり、昭和初期の匂いがプンプンし、決して読みやすい本ではないです。内容は専門色が濃いので、突き詰めたい人には向いているかもしれません。
2011年1月5日に日本でレビュー済み
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不思議な話のオンパレードかと思いきや、
科学的なアプローチを試みた一冊でした。
軽いユーモアを交えて説明するくだりは
著者の教養の深さを感じさせます。
信じようと信じまいとの本ではなく、
貴重な資料としても十分に活用できます。
科学的なアプローチを試みた一冊でした。
軽いユーモアを交えて説明するくだりは
著者の教養の深さを感じさせます。
信じようと信じまいとの本ではなく、
貴重な資料としても十分に活用できます。
2012年5月5日に日本でレビュー済み
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およそ80年も前にこれ程、理にかなった科学的な書籍が存在していたことは。おもに不知火・人魂・狐火・セント・エルモの火の正体を科学的に説明し解き明かした意外に知られていない隠れた名著に驚き、静かな感動を覚えました。特に不知火の真実には、かなり合理性があり正しいと思いました「不知火の正体みたり漁夫の火」。*作者の神田左京氏は何と1912年〜1915年にかけて留学経験があり、米国博士号を持ち、当時の日本では大変な高学歴だったと伝えられています。(文より作者の人間性の素晴らしさが感じられ、特に科学を目指す方々には大変為になる名著です)このような経歴の方だったから自然現象の謎を解き明かすことができたと感じました。とにかく面白い本で科学、自然現象に興味がある方々には超お勧めです。
2012年1月30日に日本でレビュー済み
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原著は31年刊で、著者はホタルなど発光生物が専門の学者です。内容は自然に発生するといういろいろな火の伝説について科学的な説明ができるか試みたものです。伝説だから狐火(狐が口から火を吹く)は、大蛤が蜃気楼を噴出すと同様単なる想像で現実にはないことだで片付けてよさそうなのに、そのように見える場合があるのではないかというところまで考察しています。八代海、有明海に出る不知火は著者が文献や絵画だけでなく現象を観察できた唯一のものだが、正体を明確にしています。その他、火柱、蓑火、猫の眼の炎、女髪の火、セント・エルモの火、火の玉をとりあげていますが、説明できていると思います。割り切れないのが鬼火、特に人魂です。私はどちらも見たことがありませんが、あるとしても死体に由来する燐元素が燃えているのだと安心していましたが、これがとんでもない誤解であることが解説されています。といってガス、流星、生物などをもってきても人魂などの基本的性質に合致しないのです。このため著者は文献・絵画、体験談に現れるこれらも想像/創造の産物または思い込みとする考えに傾いていきますが、正確な観察例の蓄積が必要とも書いています。これらに取り殺されたという談はききません。もし、でくわした場合は、落ち着いてケータイで動画を撮る一方で日時、天候、場所、高度、現象継続時間、熱・臭いの有無、色、数、大きさ、固体・気体の別など克明に記録し開示すべきでしょう。これらを人の霊に結びつける考えも深層心理的には根強いと思いますが、臨終者のいる家から発光体が出たという談はありふれているのに重体の傷病人を看護する家族、看護婦さんなどがその人から発光体が飛び出すのを見たという談はなくこれはどうやら無理のようですが。巻末に怪火を含む全国幽霊・妖怪マップがついていますが、正体考究など思いもよらずこれらを素直に信じていた方が幸せなような気がしてきます。
2008年7月10日に日本でレビュー済み
1931年に出版された本書には、怪火とされた不知火を解説をしてくれます。非常に理にかなった解説に、人によっては「困る」方もいるのかもしれませんが、これが現実というものでしょうか? だからといって古の人々が恐れ、不思議に思った怪火が薄れ、消えてしまうものではありません。かえって私は不知火が見たくなりました。実際に足を運びましたが、あいにく気象条件が揃わずに見ることが出来ませんでしたが、夢が壊れるどころか、昔の人たちの心に触れたような気がしました。それを気づかせてくれた名著だと思います。他にも自然火に関する考察も興味深い内容です。
2013年12月10日に日本でレビュー済み
もともと1931年に春陽堂から出たものの復刊。
著者は独学の科学者で、蛍などの発光する生物を専門としていたという。そのなかで不知火、人魂、狐火のようなものに突き当たり、そうした「科学的でないもの」が世にはびこっているのに憤り、本書を書いたらしい。
狐火、鬼火、人魂、火柱、蓑美、猫の眼玉、女髪の火、セント・エルモの火、火の玉、不知火の10種類を扱っている。
それらの記録を古文書や同時代から集め、その正体を科学的に解明しようとしている。心霊的な現象などではもちろんなく、また燐が燃えているのだといった説明も退け、著者の得意とする発光生物、あるいはメタン、漁火などによって合理的に解き明かしていく。
しかし、むしろ怪火の記録集のようになってしまっているような……。
科学的な説明もだいぶ怪しげだし。
不知火に関しては、おそらくこのとおりなのだと思う。
著者は独学の科学者で、蛍などの発光する生物を専門としていたという。そのなかで不知火、人魂、狐火のようなものに突き当たり、そうした「科学的でないもの」が世にはびこっているのに憤り、本書を書いたらしい。
狐火、鬼火、人魂、火柱、蓑美、猫の眼玉、女髪の火、セント・エルモの火、火の玉、不知火の10種類を扱っている。
それらの記録を古文書や同時代から集め、その正体を科学的に解明しようとしている。心霊的な現象などではもちろんなく、また燐が燃えているのだといった説明も退け、著者の得意とする発光生物、あるいはメタン、漁火などによって合理的に解き明かしていく。
しかし、むしろ怪火の記録集のようになってしまっているような……。
科学的な説明もだいぶ怪しげだし。
不知火に関しては、おそらくこのとおりなのだと思う。