エメは「壁抜け男」が代表作として日本に最初に紹介されています。
早川書房の「異色作家短編集」の一冊に入っているだけに現代の
読者にも充分な手ごたえのある作家です。「壁抜け男」とだぶった
作品は「パリ横断」のみ。あとの6篇は他に訳がありません。(15年
前の福武文庫「クールな男」の再刊ですが)ファンタジー、ホラー
などに舌が肥えた読者に是非勧めたい一冊です。
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マルセル・エメ傑作短編集 (中公文庫 エ 3-1) 文庫 – 2005/9/1
こびと,エヴァンジル通り,クールな男,パリ横断,ぶりかえし 他
- 本の長さ257ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2005/9/1
- ISBN-10412204586X
- ISBN-13978-4122045866
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登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2005/9/1)
- 発売日 : 2005/9/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 257ページ
- ISBN-10 : 412204586X
- ISBN-13 : 978-4122045866
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,185,206位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,783位フランス文学 (本)
- - 1,926位フランス文学研究
- - 6,765位中公文庫
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上位レビュー、対象国: 日本
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2008年3月26日に日本でレビュー済み
エメの作品を読めば20世紀前半のフランスが分かる、フランス人の言である。全7編のうち、1930年代の短編集から「こびと」「エヴァンジル通り」の2編。サーカスのこびと、そしてアラブ人の浮浪者、二人に思いもかけないことが訪れる。異形の者に新たな世界が口を開けたのだ。それまでとは大違いの生活、周りの者はつめたい。とけ込んでいた社会からは追い出されてしまった。あの通りへも町へも戻れないのだ。まったくこっちの世界はどうかしている。
「クールな男」と「パリ横断」は1947年の短編集から。どちらにも冷静に悪事を行うパリジャンが登場する。クールにこなせるのは、それが食いぶち仕事ではないから。生活を背負っている奴はクールでいられない。度胸の安売りはできないが、見下されるのはごめんだ。プライドと猜疑心はわんさとある。流儀を守ってくれ、連帯してくれ。おしゃべりでやりくりすればいい。戦時にはいずこにも肉片が必要なものだ。
「ぶりかえし」「われらが人生の犬たち」「後退」は1950年の短編集から。老いてゆくばかりの肉体の中で、虎視眈々としている精神。肉体が喜ぶならば、精神はいかようにも変成する。肉体という檻に閉じ込められているのは欲望だ。ブルジョワでも農民でも欲望は絶えることがない。心の性質は犬っころと変わらないのだ。ただし社会では隠しておかなくてはならない。なんといってもフランス人なのだから。セーヌ左岸の知性も思想も糞喰らえ、大恐慌だろうと大戦だろうと生き抜いてやる。実に健全だ。納得の短編集である。
「クールな男」と「パリ横断」は1947年の短編集から。どちらにも冷静に悪事を行うパリジャンが登場する。クールにこなせるのは、それが食いぶち仕事ではないから。生活を背負っている奴はクールでいられない。度胸の安売りはできないが、見下されるのはごめんだ。プライドと猜疑心はわんさとある。流儀を守ってくれ、連帯してくれ。おしゃべりでやりくりすればいい。戦時にはいずこにも肉片が必要なものだ。
「ぶりかえし」「われらが人生の犬たち」「後退」は1950年の短編集から。老いてゆくばかりの肉体の中で、虎視眈々としている精神。肉体が喜ぶならば、精神はいかようにも変成する。肉体という檻に閉じ込められているのは欲望だ。ブルジョワでも農民でも欲望は絶えることがない。心の性質は犬っころと変わらないのだ。ただし社会では隠しておかなくてはならない。なんといってもフランス人なのだから。セーヌ左岸の知性も思想も糞喰らえ、大恐慌だろうと大戦だろうと生き抜いてやる。実に健全だ。納得の短編集である。