私は荻原先生のファンなので申し訳ないがひろみが先生に近く感じすぎることが引っかかってしまうのかもしれない。
でもそういう色眼鏡抜きにしたらとても面白い作品だと思う。
だからある種荻原先生のファンなことがネックで楽しめないというジレンマでとても悔しいです。
合唱祭の静寂と一体感の描写は鳥肌がたった。
自身の学校ではそんな張り詰めた雰囲気はなかったと思うし、全ての行事をのらりくらりと過ごしていた人間なので。
でも読んでいると記憶ももう朧げなのに確かに"知っている"という感覚があります。
学生でしか沈み込めない熱狂が確かにあった。
キャラクターとしてはやっぱり近衛さんが特別だなあと思います。
自分には最後まで何にもわからない人物、とも思えるしなんだかわかるなあ、とも思えるような。
でも彼女のようにサロメの様に破滅的になってでも手に入れたい何かがあるというのは物語の上では面白いなと思います。
あそこまで執着される鳴海くんを思うと大変だな、かわいそう、あの年であそこまでの感情を向けられて応えられる人間なんてそういないよね…とは思うものの、近衛さんがあそこまでなった理由には彼がやはり原因の一部あったりするんだろうか。などとおもいました。
荻原先生の作品において異色な多分読んだ後一番唸ってしまうというか悩んでしまうというか、考えることの多い作品だなあと思います。
好きとか嫌いとかに分類するのが難しい作品。
その中で燦然と輝く江藤夏郎という輝き。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
樹上のゆりかご (中公文庫 お 65-10) 文庫 – 2011/3/23
荻原 規子
(著)
なりゆきでかかわることになった生徒会執行部の活動。合唱祭、演劇コンクールに体育祭、そして、あの事件――。高校二年の上田ひろみが出会った「名前のない顔のないもの」とは?
- 本の長さ363ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2011/3/23
- ISBN-104122054524
- ISBN-13978-4122054523
この著者の人気タイトル
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2011/3/23)
- 発売日 : 2011/3/23
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 363ページ
- ISBN-10 : 4122054524
- ISBN-13 : 978-4122054523
- Amazon 売れ筋ランキング: - 864,049位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 5,332位中公文庫
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
1959年東京に生まれる。早稲田大学教育学部卒。1988年『空色勾玉』でデビュー、日本を舞台としたファンタジーの書き手として一世を風靡、アメリカでも翻訳出版されて話題を呼ぶ(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『薄紅天女 下』(ISBN-10:4198932050)が刊行された当時に掲載されていたものです)
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2016年9月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
都立辰川高校。様々な行事を生徒たちに運営させ、教師は極力手を出さない。個性的な授業。ある程度の学力を持ち合わせた者だけが進学してくるため、自分のできなさが実感できる場所。それゆえ、楽になったり強みを探すことができたり。
他府県ながら、私の母校と高校生活にあまりにも酷似しているので一気に読んでしまいました。合唱、演劇、体育祭のパネル…。
高校生ならではの心の動きを懐かしく思い出せる作品です。
他府県ながら、私の母校と高校生活にあまりにも酷似しているので一気に読んでしまいました。合唱、演劇、体育祭のパネル…。
高校生ならではの心の動きを懐かしく思い出せる作品です。
2020年7月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
私の母校立川高校の出身で人気作家である荻原規子さんが、辰高(実は立高)を舞台に展開される小説を出版されていることを知り早速購読した。高齢者の域に入っている私を立高時代(青春時代)に戻してくれる内容で、とても面白く思わず引き込まれてしまった。著者は私より七期位後輩と思われるが、当時の立高の風土や歴史、先生達の気質、各種学校行事(合唱祭、文化祭、体育祭)も生々しくこの本の中で描かれており当時を懐かしく思い出した。又、この本に登場する人物達は実にユニークで対照的でそれが面白いストーリーを作り上げている。
(女生徒では温厚で控えめな主人公の上田ひろみ、ラフで活発な中村夢乃、魔女的な魅力を持つ美少女近衛有里。又、男子生徒では頭とかっこうが良く人気のある鳴海知章、鳴海とは逆タイプでさえないが愉快な江藤夏郎、この二人の中間の加藤健一)そして学校生活の中で3つの怪事件が発生する。(パンへのカッターナイフの刃混入、学校祭妨害の為の脅迫状、体育祭のキャンバスへの放火) これらがストーリーの中心で内容を盛り上げている。
キャンパスへの放火以外は犯人がはっきりしないのが、やや物足りない気もするが、ストーリーを穏便にまとめたいと思う著者の意図かもしれない。 以上
(女生徒では温厚で控えめな主人公の上田ひろみ、ラフで活発な中村夢乃、魔女的な魅力を持つ美少女近衛有里。又、男子生徒では頭とかっこうが良く人気のある鳴海知章、鳴海とは逆タイプでさえないが愉快な江藤夏郎、この二人の中間の加藤健一)そして学校生活の中で3つの怪事件が発生する。(パンへのカッターナイフの刃混入、学校祭妨害の為の脅迫状、体育祭のキャンバスへの放火) これらがストーリーの中心で内容を盛り上げている。
キャンパスへの放火以外は犯人がはっきりしないのが、やや物足りない気もするが、ストーリーを穏便にまとめたいと思う著者の意図かもしれない。 以上
2005年1月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
小説の舞台である高校は 個人的ながら 小生の出身高校であることは 名前、場所 そして内容から見てはっきり解る。そもそも高校の同窓会で話題となったので この本を買ったくらいである。
小説の筋には のめりこむには至らなかったが 高校時代を強烈に思い出して一瞬クラクラした。「青春とは それ自体が一種の病気である」とは誰の言葉であったか忘れてしまったが つまり そういうことです。
今は中年となり 病気といえば生活習慣病となってしまったこの身ではあるがそんな時代もあったのだなあと感慨に耽った。以上 極めて個人的な感想です。
小説の筋には のめりこむには至らなかったが 高校時代を強烈に思い出して一瞬クラクラした。「青春とは それ自体が一種の病気である」とは誰の言葉であったか忘れてしまったが つまり そういうことです。
今は中年となり 病気といえば生活習慣病となってしまったこの身ではあるがそんな時代もあったのだなあと感慨に耽った。以上 極めて個人的な感想です。
2016年3月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者の萩原さんは私の10期後輩のようですが、母校の高校生活が読んでいてよみがえる思いでした。10年の隔りの中で私たちの時代と変わった部分もありましたが、合唱祭、演コン、文化祭、体育祭(嵐)、コンパ、ブランク等懐かしいイベントと催し、そしてその中で過ごした早熟で多感な人間模様が昨日のように思い起こされました。
2005年2月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
荻原規子さんといえば、やはり『勾玉三部作』が代表作だと思いますが、この『樹上のゆりかご』もまた素晴らしい作品です。
前出の作品と打って変わって、登場人物たちはみな「現実世界」に生きる高校生たち。学園サスペンスとも言うべき作風ですが、それでも荻原さんが紡ぎ出す独特の世界観は、二次元にも三次元にも納まりきらないような気がします。読んでいて、「現実」と「非日常」を行き来しているような、とても不思議な感覚に包まれます。(私は女子校育ちなので、主人公ヒロミの感覚に近付くのに少し苦労はしましたが。)
作品に出てくる『サロメ』の解釈もなかなかワイルドで興味深いです。ちなみに、この作品によって聖書に興味を持たれた方には、聖書の中の『マタイによる福音書14:1-12』『マルコによる福音書6:14-29』を開いてみることをオススメします。(違った解釈が生まれるかも知れないので。)
確かに『これは王国のかぎ』の続編を期待して読むと肩すかしをくったような気分になってしまうかもしれません。でもやっぱり『樹上のゆりかご』は『これは王国のかぎ』の完結編であったな、とじわじわ納得してしまうのも事実です。
どうぞ「現実世界」と「非日常世界」に生きる高校生たちの心の旅路をご堪能あれ!!
前出の作品と打って変わって、登場人物たちはみな「現実世界」に生きる高校生たち。学園サスペンスとも言うべき作風ですが、それでも荻原さんが紡ぎ出す独特の世界観は、二次元にも三次元にも納まりきらないような気がします。読んでいて、「現実」と「非日常」を行き来しているような、とても不思議な感覚に包まれます。(私は女子校育ちなので、主人公ヒロミの感覚に近付くのに少し苦労はしましたが。)
作品に出てくる『サロメ』の解釈もなかなかワイルドで興味深いです。ちなみに、この作品によって聖書に興味を持たれた方には、聖書の中の『マタイによる福音書14:1-12』『マルコによる福音書6:14-29』を開いてみることをオススメします。(違った解釈が生まれるかも知れないので。)
確かに『これは王国のかぎ』の続編を期待して読むと肩すかしをくったような気分になってしまうかもしれません。でもやっぱり『樹上のゆりかご』は『これは王国のかぎ』の完結編であったな、とじわじわ納得してしまうのも事実です。
どうぞ「現実世界」と「非日常世界」に生きる高校生たちの心の旅路をご堪能あれ!!
2017年12月20日に日本でレビュー済み
学園ものには脇役がいないと思います。
学生時代という知性よりも感性で生きられる時代には、だれもが主人公だと思えるのです。
物語の語り役となっている上田ひとみが構成上の主人公となっていますが、中村夢乃、鳴海知章、近衛有理、江藤夏郎、多くの人物がそれぞれ意志をもって行動する主人公として搭乗しているように読めます。
だからこそ読み手は、自らの学生時代の記憶の中に起きた出来事のように感じられます。
学生時代という知性よりも感性で生きられる時代には、だれもが主人公だと思えるのです。
物語の語り役となっている上田ひとみが構成上の主人公となっていますが、中村夢乃、鳴海知章、近衛有理、江藤夏郎、多くの人物がそれぞれ意志をもって行動する主人公として搭乗しているように読めます。
だからこそ読み手は、自らの学生時代の記憶の中に起きた出来事のように感じられます。
2007年4月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
高校生活は,曲折がありすぎる故に忘れ難いけれど,辛いことも多くて思い出の取り扱いが難しい.この作品は作者の都立辰川高校2年時代を愛惜をこめて語り直したものだが,余りにリアルに書けていて,ぼくの鍵を掛けて置いた筈の思い出を引出されてしまい,涙なしにはすまなかった.しかしぼくの高校より40年も古い創立を誇る辰高は,それなりの奇怪な伝統を(よくもここまで)保存して,それによって生徒の士気を高めているのに心底驚いた.しかしこれを可能にするにはタイトルに象徴される微妙なバランスが常時要求されるのは当然で,突然崩壊するとしても不思議ではない.作者はこの崩壊を目の当りにして,強い危機感をもってこの楽しそうで実は悲しい挽歌を書いたものと思われる.書いて下さって有難うを申し上げたい.涙の出るほどの回想録というものは滅多にないから.ただ,きょう辰川高校らしき高校のサイトを尋ね,ほぼこの本通りの行事を生徒達が楽しんでいるのを見た.復活もまた必然だと思う.