これを自伝と言っていいのかは分からない。何しろ途中が飛びすぎだ。25年くらい飛んで一挙に2010年くらいになっている。ただ彼が初め唐十郎の状況劇場からスタートし、土方巽の暗黒舞踏にも顔を突っ込み、自ら大駱駝艦を立ち上げてあの金粉暗黒舞踏を確立する時代はおもしろく描かれている。60年代70年代の、安保闘争を代表とする騒然とした、アナーキーな都市の雰囲気が、私にとってはノスタルジーを感じさせるように描かれる。あの当時のクセのある文化人たちもふんだんに登場する。寺山修司、三島由紀夫、渋沢龍彦、埴谷雄高、瀧口修造、嵐山光三郎、大島渚、中平康、新藤兼人等々。ケンカをして警察につかまり主役の劇に出られなかったり、天井桟敷と乱闘をしたり、自転車泥棒をした縁で新聞店店主と親交を結んだり、右翼の親玉に資金援助を頼んだり、手形を信用した友人に渡して会社(劇団を会社組織にしていた)が倒産したりと波乱万丈である。
最後の対談も息子二人(役者と映画監督)が相手でこんな対談も珍しい。暗黒舞踏や状況劇場、天井桟敷等が好きな人だけでなく、単に破天荒な人がムチャをするような馬鹿げた話が好きな人にもおすすめである。電車では、笑ってしまうので読むのをはばかられた。
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完本 麿赤兒自伝 - 憂き世 戯れて候ふ (中公文庫 ま 46-1) 文庫 – 2017/8/22
麿 赤兒
(著)
その芸術表現を高く評価される、世界的舞踏家・麿赤兒。唐十郎の状況劇団に参加し、喧嘩に明け暮れたアングラ時代から、土方巽に師事し、舞踏集団「大駱駝艦」を立ち上げ、国内外に「舞踏」を知らしめた現在までをユーモアを交え熱く綴る半生記。巻末に大森立嗣(映画監督)、大森南朋(俳優)、二人の息子との鼎談を収録。
- 本の長さ336ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2017/8/22
- 寸法10.6 x 1.5 x 15.2 cm
- ISBN-104122064465
- ISBN-13978-4122064461
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商品の説明
著者について
一九四三年(昭和一八)生まれ。奈良県出身。早稲田大学文学部中退。舞踏家・土方巽に師事するが、唐十郎との出会いにより、劇団「状況劇場」設立に参加。唐が提唱する「特権的肉体論」を体現する役者として活躍した。七二年、舞踏集団「大駱駝艦」を旗揚げし、国内外で高い評価を得ている。舞踏での活躍のほか、タランティーノ監督の『キル・ビル』、阪本順治監督の『どついたるねん』等、映画、ドラマの出演作も多数ある。
登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2017/8/22)
- 発売日 : 2017/8/22
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 336ページ
- ISBN-10 : 4122064465
- ISBN-13 : 978-4122064461
- 寸法 : 10.6 x 1.5 x 15.2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 95,167位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 618位中公文庫
- - 21,916位ノンフィクション (本)
- - 26,731位文学・評論 (本)
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2022年7月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
前著に当たる「快男児 麿赤兒がゆく」も読みましたが、巻末の親子鼎談が読みたいばかりにこちらも購入。
過日創立50周年を迎えた大駱駝艦ですが、舞踏カンパニーとしてこれだけの歴史を築いた麿氏の、凄まじくも破天荒なエネルギーの原点を、この著作に見る思いがします。
内容については先の方が丁寧に書いてくださっているので繰り返しませんが、自伝というよりもあの時代の貴重なドキュメンタリーとしても読めるでしょう。
しかも、ありがちな過去の美化やノスタルジーは無く、エンターテインメントとしてわくわくしながら実に楽しく読めるのが素晴らしい。
願わくば、大駱駝艦創立以降のエピソードや舞踏について語った「続編」を、切に願っております。
過日創立50周年を迎えた大駱駝艦ですが、舞踏カンパニーとしてこれだけの歴史を築いた麿氏の、凄まじくも破天荒なエネルギーの原点を、この著作に見る思いがします。
内容については先の方が丁寧に書いてくださっているので繰り返しませんが、自伝というよりもあの時代の貴重なドキュメンタリーとしても読めるでしょう。
しかも、ありがちな過去の美化やノスタルジーは無く、エンターテインメントとしてわくわくしながら実に楽しく読めるのが素晴らしい。
願わくば、大駱駝艦創立以降のエピソードや舞踏について語った「続編」を、切に願っております。